2016年5月17日の報道より
・Epoch Times
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以前と比べると最近は、世界中でやたらと「大規模な砂嵐」の報道にふれます。
サウジアラビアやイランなどの砂漠の国で砂嵐が起きても、それほど違和感はないのかもしれないですが、最近増えているのが「中国での砂嵐の報道」なのですね。
新疆ウイグル自治区の砂嵐 2016年5月18日
砂嵐で大気が真っ赤に染まった様子 2016年5月16日
こういう砂嵐が中国各地でかなり頻繁に起きているようなのですが、どうして最近になって増えたのかなあと思っていましたら、冒頭の記事のように、現在、「中国は猛烈な勢いで砂漠化している」のだそう。
冒頭の記事によれば、前世紀の後半から急速に中国の砂漠化は進み、現在は広大な中国の国土面積の「4分の1」が砂漠に転換しつつあるのだそうです。
その主な理由は、
・過剰な牧畜
・耕作地の過剰な拡大
・それらによる過剰な水の使用
・気候変動
と書かれています。
「なるほどなあ」と思いました。
先日の、
・あと25年で「30億人分の水が足りない」状況になることを報告したウィキリークスがリリースした機密文書 : 原因は世界中で進行し続ける過度な肉食
2016/05/09
でのウィキリークスからリリースされた機密文書によれば、
水不足は、2025年までに世界人口の3分の1に影響を与え、その後も、より悲惨な状況となり、2050年には水不足は壊滅的になっていると考えられると報告書は述べる。
とありますが、その最大の理由が、
「世界の過剰な肉消費」
にあるとなっていまして、つまり、動物を育てるために使われる水の量というのは、野菜や植物をしない場合に比べて、10倍の量の水が必要だそうで、そして、現在、中国の肉消費は圧倒的な勢いで伸び続けています。
1970年からの中国の食肉消費量の推移
1970年と比べると、中国の1人あたりの肉消費量は6倍近くになっていまして、今では中国人1人が1年間に 55キログラムくらいの肉を食べているということになります。
中国の人口 13億人をかけると、年間 700億キログラムほどの肉が消費されているという、何だかもうよくわからないですが、ものすごい「肉食の地球」の様子が数字にするとよくわかります。
もっとも、この期間ですと、日本の方が肉消費の伸び率は高いかもしれません。
1960年からの日本の食肉消費量の推移
過去 50年間で、豚肉や鶏肉で 12倍、牛肉で 6倍くらいに伸びています。
ここから見れば、日本でも年間 400億キログラム弱の肉が消費されているということで、中国と日本だけでも、1年間で 1000億キログラムほどの肉が消費されているということになりそうです。
すごいですね。
生きている動物に換算したら何頭分くらいなのかはよくわからないですが、それだけの数の動物たちを育てるには、膨大な水が必要であり、そして、実際にその水はすでに不足しつつあると。
おそらく、あと 10年、あるいはもっと早い段階で、「水」に関しては、地域的に相当深刻な事態も考えられそうですが、中国においては、「砂漠化」という現れ方もしているようです。
ところで、「中国と肉」といえば、最近、とても興味深いニュースが、BBC などのメジャー媒体も含めて、大きく報じられていました。
中国の「人肉缶詰」騒動
たとえば、下のような報道です。
2016年5月21日のニュージーランドの報道より
これがどんなニュースかというと、アフリカのザンビアで発行されているタブロイド紙に、
「中国は、死亡した人間の肉を加工して缶詰にしたものをアフリカに輸出している」
という記事が出たことでした。
駐ザンビア中国大使はすぐに抗議を申し入れたのですが、調べてみると、そのタブロイド紙の記事は、インターネット上のフェイスブックに投稿された記事がネタとなっていることがわかりました。
そのフェイスブックの投稿はエグすぎて載せられませんが、人肉を加工する工場の様子と、そして製品化された缶詰が写されたものでした。
さらに調べると、その「中国での人肉の加工の現場」とされた写真は、バイオハザード6というオンラインゲームの宣伝用に撮影されたスチールだったことがわかったのでした。
つまり、すべてはフェイク(作り話)だったのですが、報道記事にあるように、中国当局が「正式に否定」しなければならないほど、これは多く報じられ、また、このことを信じた人もいたことも確かでした。
冷静に考えれば、そんなことあるわけもないと思うのですが、しかし、「何となく信じる人がたくさんいた」という理由には、たとえば、人肉の加工を始めた理由が、
・中国では埋葬地が足りなくなっている
・実際に食肉工場で働いていた人たちからの証言もある
というようなフェイク記事に書かれていたことを信じたということもあるのでしょうけれど、やはり最大の理由は、
「それが中国だから」
ということなのではないでしょうか。
要するに、
「中国なら……(あり得るかも)」
という感覚。
これが現在の中国の国外の人々が「中国を見る目の心理」の代表となっている気がしたのです。
漠然と拡大する不人気
最近、下のようなニュースがありました。
中国「親しみ感じない」、過去最高83% 内閣府調査
朝日新聞デジタル 2016/03/12
内閣府による今年の外交に関する世論調査で、中国に「親しみを感じない」と答えた人が過去最高の83・2%となった。
中国に対する親近感の傾向は、比較可能な1978年の調査から40年弱で完全に逆転。国民感情の冷え込みが固定化している。
として、下のようなグラフとなっています。
1980年頃は「中国に親しみを感じる」という日本人が 80パーセント近くもいたのに、2015年では 15パーセント以下まで下がりました。
チャート的には「暴落」といってもいいと思うのですが、もはや消えつつあるとはいえ、爆買いだとか日本旅行ブームとかで、日本人は、以前よりもはるかに多くの中国人と接する機会が増えているわけですが、これはつまりは、
「中国人と接する機会が増えれば増えるほど、親しみを感じなくなっていく」
という構図でもありそうです。
その爆買いもどうやら終わりを向かえたようですが(4月の百貨店売上高、免税品が3年3カ月ぶり減 「爆買い」に陰りか?)、それがあろうとなかううと、どうにも、どんどん「心理的に遠い国」ということになる傾向は変わらなそうです。
「肉」の話に戻りますと、人々が先ほどの「人肉の缶詰」の話を、何となくにしても「あるかも…」と思ってしまうのは、過去の中国の「肉」に関して露呈した多くの出来事も関係しているかもしれません。
昨年7月のエポックタイムズでは「中国の5つの食肉スキャンダル」として、以下の実際にあった出来事を挙げています。
1. 2011年 薬漬けの肉を食べて、中国のアスリートがドーピング違反とされ資格剥奪
2. 2011年 暗いところで青く光る肉が各地で見つけられたが、何が添加されているのかはわからないまま
3. 2013年 ネズミの肉を羊の肉と称して流通させていたとして63人が逮捕される。長期間に渡って流通していた可能性
4. 2014年 消費期限切れの肉を上海の食品加工会社がファーストフードのチキンナゲットに流用
5. 中国各地のスーバーやレストランに卸されていた肉から「40年以上前の冷凍肉」が数多く含まれていたことが判明する
というような出来事が相次いでいまして、こういう一連の出来事を思い起こすと、先ほどの、「人肉の缶詰」なども、
「まあ、中国なら……」
というような思いに駆られる人も多いのかもしれません。
実際、私も人肉の報道を最初に見た時には、
「まあ、中国なら……」
と思ってしまったということもありましたが、しかし、この出来事はともかくとして、現在の畜産の状況が「いずれ水不足で限界に来ることは回避できない」ということを考えますと、今回はフェイクだったかもしれないですが、少し先の未来に同じような報道があった時に、それをまたフェイクだと言い切れる自信があるかどうか。
正直な表現をすれば、今の中国というのは、それほど「病んだ」イメージを対外からもたれているのだと思います。
個別で見れば、中国にいい人はいくらでもいるはずですけれど、そういうのを飛び越えてしまう「イメージの存在」というものがある。
まあしかし、中国のイメージ云々の問題を別にしても、現在の(世界的な)「過剰な肉消費への欲求」が続く限り、中国のさらなる砂漠化が、比較的早い速度で進むのかもしれないですし、中国のような大国が本格的に水が不足に陥る世界というのは、間違いなくカオスへの入り口になると思います。
気候にもよりますが、水と関係するカオス(水不足も、多すぎる降雨も含めて)が、今年は確実に表に出てくることになると思います。
そして、場合によっては、日本もいつか、そのアジアの大国の影響に巻き込まれてしまうのかもしれません。
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