(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
アメリカのアカデミズムの崩壊を見て
先週発行した In Deep メルマガで、「アメリカの有名大学の学生たちの深刻な学力の低下」について少しふれたことがありました。
カリフォルニア大学サンディエゴ校という(本来は)非常に優秀な大学の話で、世界的な評価としては日本の東京大学と同水準の大学です。
取りあげたのは、以下のような記事でした。
役に立たないU
Useless U
American Greatness 2025/12/03
カリフォルニア大学サンディエゴ校(UCSD)の驚くべき最新の報告書によると、新入生の授業準備がかつてないほど遅れていることが明らかになった。
特に数学において、新入生の学習準備の急激な低下が顕著だ。
UCSD の報告書によると、2020年から 2025年の間に、高校レベル以下の数学力を持つ生徒の数は 30倍近く増加している。さらに、これらの生徒の 70%は中学校レベル以下だ。
これは、COVID-19による閉鎖、標準テストの廃止、成績の水増しが原因であり、その結果、UCSDで期待される厳しさに対する準備が不十分な新入生が生まれている。
UCSD の問題は特異なものではない。過去 5年間、カリフォルニア大学バークレー校や UCLA を含むカリフォルニア大学の他のすべてのキャンパスでも、学習の準備が整っていない 1年生の数が 2倍、3倍に増加している。
…全米では多くの学生が大学を中退しており、2024年秋の大学の学部生数は 1,928万人で、ピーク時の 2010年の 2,100万人から 8.43%減少している。
エドソース誌によると、カリフォルニア州立大学は、定員不足を解消するため、来年から大学進学準備コースでCの成績を取った学生を出願なしで入学させるという。この制度は、出願を必要とせず、入学許可を得られる。
大学卒業生にとって、雇用市場は低迷している。労働統計局の最新データによると、ホワイトカラー職、特に 4年制大学卒の学生の雇用が大幅に減少している。
4年制大学卒の学生は現在、失業者全体の 25%、約 190万人と過去最高を記録しており、これは 1992年以来の最高水準だ。
大学進学にはかなりの費用がかかる可能性があることは留意しておくべきだ。アメリカの学生一人当たりの一年間の平均費用は 38,270ドル (約 600万円)で、これには書籍代、教材費、生活費が含まれる。
学生が私立の非営利大学に通う場合、キャンパスでの生活には年間平均で 58,628 ドル (約 900万円)を費やし、そのうち 38,421 ドルが授業料やその他の費用として支払われる。
学生ローンの利子と失われる潜在的収入を考慮すると、学士号取得のための投資は、学生の家族と納税者に最終的に 50万ドル (約 7700万円)以上の負担をかける可能性がある。
伝統的な大学に代わる選択肢は何だろうか?
ここまでです。
天下の一流大学に入る学生が、
> これらの生徒の 70%は中学校レベル以下だ。
というようなことになっている。
「中学校レベル以下」という表現が、中学生レベルなのか、それより低いのかは定かではないですが、 「以下」には「below」という英語の単語が使われているので、日本語の「以下」ではなく、「中学生レベルに達していない」という解釈でいいのだと思います(小学生レベルという意味だと思われます)。
「いくら何でも…」とは思うのですが、入学時のプレースメントテストのスコアを基にした実測データで、確かにこのような結果が出ているようです。
まあ、「崩壊」ですよね。
全米トップクラスの州立大学でこれでは、アメリカ全体ではどうなっているんだ? とも思いますし、あるいは、「日本を含めた世界ではどうなっているんだ?」とも思います。
理由として、記事には、
> COVID-19による閉鎖、標準テストの廃止
などが書かれていますが、おそらく、関係ないですね。小学生ならともかく、高校生くらいにまでになって、学校の対面教育が長期間失われたとしても、こんなに激しい学力の低下は起きないです。
アメリカには伝統的に、学校に通わずホームスクーリング(家庭教育)で学習する若い人たちも多く(全体の 7%くらい)、つまり学校に行かなくとも勉強を自主的にする人であれば、ここまでの学力の崩壊はないです。
「標準テストの廃止」云々もほとんど関係ないでしょう。
じゃ、原因は何だろう? と。
これが、大学生ではなく、たとえば、現在の小学生や中学生なら、それはただちに、「原因はマスクとロックダウン」とも言えるような気がしますが、在大学生となると…。
子どもの学力の低下は、2020年からものすごい低下を見せていまして、以下は 2022年のアメリカの 9歳のデータですが、「過去最低」を記録しています。
アメリカの9歳の「数学」の平均スコアの推移 (2004-2022年)
americanactionforum.org
2年前に「脳の問題:日本社会全体の知力が劇的に下がる日」というタイトルの記事を書いたことがあります。
脳は身体の中で「最も酸素を欲する器官」で、特に、
「脳の細胞と細胞をつなぐシナプスが増加し続けている年齢、男の子なら 11歳、女の子なら 12歳までは特に酸素が必要」
ということを書いていますが、12歳以下などで、毎日毎日マスクをして過ごしていれば、「必ず知能は低下する」ことがはっきりしています。くどいようですが、
「必ず」
です。子どもがマスクをした場合、必然的に酸素不足が常態化し、脳の必要な成長が「必ず」阻害されます。これは年齢が低ければ低いほど当てはまり、小学生の低学年とか幼稚園児に長時間のマスクをさせるのは、「虐待と断言してもいい」と私は思っています。
子どもの(知能を意図的に下げることで)その子どもの未来を奪う行為だからです。
ですので、パンデミック当時に 12歳以下などの子どもだった場合、影響を受けていることは想像が難しくはないですが、現在大学生の人などは、パンデミックの頃はもう十代中盤などであり、脳の発達も完了していて、脳を原因とする致命的な知能への影響は起こらない世代です(ロックダウンの心理的な影響は残る人には残ったでしょうけれど)。
まあ、ワクチンというのも…(脂質ナノ粒子もスパイクタンパク質も脳に達するため)まったく影響がないわけではないでしょうが、検証しようがないので、ここではふれません。
参考までに、スパイクタンパク質が、骨髄から血管から本体まで「脳のあらゆる部位から検出された」ことを発表したドイツの論文については、2023年4月のこちらの記事にあります。
「では原因は何なのだろう?」
私が最近思っている最大の原因のひとつとして、「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の損失」ということがあります。
デフォルト・モード・ネットワークは、「ボーッとしている時に働く脳の機能」で、創造力や思考力に大変に重要な脳の機能です。
しかし、たとえば、始終、スマホやデジタルスクリーンに向かい合っていると(それはボーッとした状態ではないので)、デフォルト・モード・ネットワークが「常にオフになっている」わけです。脳を活性化させる時間が奪われるために、それが長引くと、知能も思考力も創造力もどんどん下がる。
これについては、最近の以下の記事の後半に書いています。
In Deep 2025年11月29日
まあ…結局、「スマホ」というものが、社会全体の知力に相当悪影響を与えていると言わざるを得ない感じで、また、「ショート動画」の視聴が「脳の腐敗を引き起こす」という論文も翻訳したことがあります。
・TikTok、Instagram、YouTubeなどソーシャルメディアのショート動画は若い人の「脳の腐敗」を引き起こすという論文
nofia.net 2025年11月26日
この「腐敗」というのは、「脳機能の腐敗」のことですが、働かなくなっていく。
最近の科学メディアの記事がこれについてふれていました。
以下です。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
研究者たちは、5歳児がすでに脳を腐敗させるコンテンツに深く夢中になっていることを発見し、懸念している
Researchers Concerned to Find That Five-Year-Olds Are Already Deeply Hooked on Brain Rot Content
futurism.com 2025/12/06
5歳未満の神経発達に異常のない子どもの脳は、急激な成長を遂げ、よだれを垂らす幼児から、トイレトレーニングを終えて学校で ABC を学ぶ準備のできた子どもへと成長する。
だからこそ、私たちが意図せずして、多くの子どもたちを膨大な量のインターネットによる脳の腐敗にさらし、その重要な時期を妨害していることが非常に憂慮される、と貧困層に焦点を当てた英国の政策グループ、社会正義センター(CSJ)の研究者による分析レポートは述べている。この状況は広範囲に及ぶ有害な結果をもたらす可能性が高い。
CSJ の研究者によると、この大規模で管理されていない実験の影響はすでに現れており、ソーシャルメディア上の低品質の動画やその他のコンテンツの氾濫により、子どもたちは「不安と睡眠障害」に苦しんでいるという。
他の研究では、ソーシャルメディアを利用する子どもは記憶力と読解力のテストの成績が低下し、スクリーンタイムの増加はあらゆる年齢層でうつ病や依存行動を引き起こすことが明らかになっている。
「この調査は非常に憂慮すべきものです」と、英国貴族院議員で元教育担当政務次官のナッシュ卿は、CSJ の報告書で引用されているように述べている。
「現在、5歳未満の何十万人もの子どもたちがこれらのプラットフォームを利用しており、まだ読み書きを習得していない子どもたちが、大人を惹きつけるように設計されたコンテンツやアルゴリズムにさらされていることは、私たち全員が懸念すべきことなのです」
CSJ の研究は、英国通信庁が 2025年5月に発表した報告書に基づいている。この報告書は、英国の親を対象に、子どものメディアに対する態度と利用について調査したものだ。
英国通信庁の調査によると、3歳から 5歳までの子どもの約 5人に1人がソーシャルメディアを独自に利用していることがわかった。
また、オンラインゲームをする 8歳から 9歳までの子どもの 4分の1が、これらのインタラクティブな環境で見知らぬ人と交流しており、児童虐待者にとって格好の場となっていることが明らかになった。
同じ英国通信庁のレポートでは、調査対象となった親の 37%が、3歳から 5歳の子どもがソーシャルメディアにアクセスできると認めていることがわかった。
これは、約 3年前の 29%というすでに高い数字から驚くべき増加だ。
CSJ はこの数字を基に人口データ計算を行い、想像し得る限り最もくだらないミームやショート動画で脳を刺激されている英国の子どもは 81万4000人いると推定した。
ここまでです。
こんなに若い頃からスマートフォンなどでソーシャルメディアやショート動画などに親しんでいるということは、「今後もずっと」だと思いますが、その間、
「本来成長すべき脳が成長しないで腐敗していく」
わけです。
そして、この「脳の腐敗」は、小さな子どもだけではなく、青年期の若者(あるいはすべての世代)でも起きることがわかっていて、ここまで書いたことだけでも、スマートフォンやソーシャルメディア、ショート動画などへの過度の依存は、
・デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)の機能が常にオフになっていて、創造力と自発的知性が失われる
・脳の腐敗につながる
ということになり、やはり良くないことなんですよ。
もちろん、ここまで肥大化したスマートフォン社会を、今さらどうこうできるものでもないですが、親御さんを含めてひとりひとりの努力なら、少しはできることもある気がします。
そして、これはそういう学術論文があるわけではないですが、
「次第に自我も消えていく」
ように思います。「自我」というのは、外的刺激のない中で、自分自身で考えることにより強化されるものです。
それがなくなっていく。
そういえば、最近、イタリアのシュタイナー系ウェブサイトで、ルドルフ・シュタイナーが以下のように述べていたことが書かれていました。
1924年9月17日のルドルフ・シュタイナーの牧師たちに対する講義より
現代には、実際には人間ではない、無数の自我のない人々が転生しています。これは恐ろしい真実です。
私たちは彼らを身近に見ますが、彼らは自我の転生ではありません。彼らは肉体的な遺伝によって受け継がれ、エーテル体とアストラル体を受け継ぎ、ある意味では内的にアーリマン的な意識を備えています。
注意深く観察しなければ、外見上は人間のように見えますが、真の意味での人間ではありません。これは恐ろしい真実ですが、確かに存在するものであり、現実なのです。
シュタイナーによれば、こういう「自我を持たない人間」は、人類の 3分の1を占めると考えられているのだそうです。
この話はともかくとしても、今のままの状態だと、こういう「自我を持たない人間」はさらに増えていくように思います。
ボーッとできる時間が少なくなりすぎて、そして、自発的に考える時間が少なくなりすぎた今の世の中が進む先は、知能も自我もない人間たちの社会となるのかもしれません。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む