地球の最期のときに

「人間以下」を駆逐し続ける中で「人間として」の心が疲弊し続けるイスラエル軍兵士たち



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「サブヒューマン」

ずいぶん以前ですが 、ロシアのメディアの社説をご紹介したことがあります。量子論を軸として、エヴェレットのパラレルワールドとか、シュレディンガーの猫とか、難解な話ばかり続く話でしたが、簡単にいえば、

「量子論でいうパラレルワールド解釈では、世の中は《必ず悪いほうに向かう》示唆がある」

というようなことが書かれてあるものです。未来だけではなく「過去も悪くなる」と書かれています。

その記事より

> …量子論の持つ、この古典的な多様性は、「将来すべてが本当に悪くなる」という小さな可能性を示唆してもいるのだ。それはまた、私たちの「過去」でさえも悪化していく可能性があることを示唆している。

これは以下の記事に全文があります。8年前の記事です。

悪は複数の多世界をも支配し、善の神は無力かもしれない…と量子論から導き出される結末は、「常にこの世は最悪の世界を目指す」ということ?
In Deep 2017年4月29日

 

今回の話は、これとは特に関係ないのですが、この記事を書いた 2017年以降の「世界」と「世界観」を見ていますと、

「まあ、確かに悪いほうに行ってるわな」

と思わずにはいられない面があります。

この 2年後にはコロナの出現でしたしね。

私が当時、パンデミックの際におこなわれた様々な「対策・政策」に対して感じたことは、「すべてが人類への軽蔑の上に成り立っている」ということでした。

2022年8月の「太陽の民族として悪魔と対話する」という記事に、私は以下のように書いています。

・ロックダウンの根底には人類への軽蔑がある。

・ワクチンの強制展開の根底には人類への軽蔑がある。

・マスク着用義務の根底には人類への軽蔑がある。

・社会的距離の根底には人類への軽蔑がある。

・過剰な消毒の根底には人類への軽蔑がある。

・移動制限の根底には人類への軽蔑がある。

・そして、これらが軽蔑だと気づかないことに対してのさらなる人類への軽蔑がある。

そして、これらは最終的に、ユダヤ教の口伝律法と学者達の議論を書き留めた聖典タルムードで示唆されているような以下のような状態を思い浮かべるものでした。

ユダヤ人は、神の選んだ唯一の人間であり、非ユダヤ人は、獣であり、人間の形をした家畜であるので、人間(ユダヤ人)が家畜を群れとして支配しなければならない。

Wikipedia

あのパンデミックの中の「完全な自由の剥奪」の中で私には、そのような光景が思い浮かばれて仕方なかったという部分がありました。

それとは別に、2023年10月7日に始まったイスラエルとガザの戦争…というより、イスラエルの一方的なガザへの侵攻が始まったときに、イスラエル国防大臣は、「この通りのこと」を述べていました。

イスラエル国防大臣ヨブ・ギャラン氏の2023年10月10日の発言

「私はガザ地区の完全封鎖を宣言する。(ガザには)電気も食料も燃料もなくなり、あらゆるものが途絶えてしまうだろう。しかし、私たちは人間以下と戦争状態にあるわけで、それに応じて行動している」

この発言の「人間以下」というのは、英字紙では「サブヒューマン (subhuman)」と書かれていました。英語で文字どおり「人間以下」とか「獣のような存在」とかいう感じでしょうか。

これは、侵攻が始まった直後の以下の記事で書いています。

宗教民族の対立を超えて「人類そのものを破滅に向かわせる」選民思想。そして数十年ぶりにふれたサブヒューマンという言葉
In Deep 2023年10月12日

 

しかし、「自分たちが唯一の人間」だとしているイスラエルの、特に兵士たちが疲弊を起こしています。

これに関しては、いろいろな報道がありますが、ここでは、

・イスラエル兵の戦闘参加の拒否者が著しく増えている

・イスラエル軍兵士の自殺数が過去最高になっている

ということに関してのふたつの報道をご紹介したいと思います。

人間以下だとしてガザを攻撃、虐殺し続けていた彼ら兵士たちの心にも人間としての徒労感が広がっているようです。

まずは、イスラエル兵の戦闘参加の拒否者が著しく増えていることについての報道です。一部の部隊の脱落率は 50%超に達しているようで、そのために深刻な人員不足に陥っています。ここで書かれる「予備役」とは、ふだんは一般社会で生活している軍隊在籍者のことを指し、有事の際や訓練の時のみ軍隊に戻る構成員です。




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イスラエルの軍事危機は、予備役がガザ虐殺への戦闘を拒否したことで深刻化している

Israel’s military crisis deepens as reservists refuse to fight in Gaza genocide
naturalnews.com 2025/09/03

イスラエル軍は、ガザ紛争の激化を受け、数万人の予備兵が任務への出動を拒否したことで、ここ数十年で最悪の人員不足に直面している。

ベンヤミン・ネタニヤフ首相がガザへの全面攻撃を推進する中、軍は約 6万人の予備兵を召集したが、明確な終わりのない「政治戦争」への参加を拒否する者が多い。

これは単なる疲労の問題ではない。道徳の崩壊の問題といえる

 

目的が消えている戦争

イスラエル兵は 2年近くにわたり、ガザ、レバノン、ヨルダン川西岸地区で戦闘を続け、度重なる派遣によって、兵士たちの家族、キャリア、そして精神状態が破壊されてきた。今、ネタニヤフ首相が更なる攻勢を要求する中、予備役兵たちは「もうたくさんだ」と訴えている。

2023年10月から 400日間戦闘を続けている第98特殊部隊の曹長は、米ウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、兵士たちはネタニヤフ首相の政治的存続のため以外に「何の目的もなく命を落としている」と語った

別の予備役兵はイスラエルのハアレツ紙に対し、ガザ市への攻撃が人質救出と何らかの関係があるという考えを否定し、「ガザで 280日間戦闘を続けた後に、(これが人質救出というような)おとぎ話を語る者はいない。残念ながら、私はガザのことを熟知している。ガザの制圧は人質救出とは何の関係もない」と述べた

イスラエル軍の対応はどうなっているのだろうか? 報道によると、司令官たちは参加人数を操作し、拒否の規模を隠蔽しようとしているという。ハアレツ紙は、軍が実際の参加辞退率を「隠蔽」する計画だと報じた。

一方、イスラエルのエルサレム・ポスト紙は、一部の部隊では現在、予備役兵の 50~ 70%しか参加報告をしていないと報じている。これは、開戦当初はほぼ全員が参加していた参加率から著しい減少だ。

 

「グレー拒否」が野火のように広がる

任務を拒否する人々のほとんどは、イデオロギー的な反対者ではなく、ただただうんざりしている普通のイスラエル人たちだ。「グレー・リジェスチャー(灰色の拒否者)」と呼ばれる彼らは、疲弊し、トラウマを抱え、幻滅している。

終わりのない派遣によって、仕事や結婚、あるいは経済的安定を失った人も多い。ガザで目にした光景に恐怖を感じている人もいる。

ある予備役兵はウォール・ストリート・ジャーナル紙に対し、自分の部隊がパレスチナ人女性 3人を射殺し、そのうち 1人を殺害した後、負傷者を「人道支援区域」に放置するのを目撃して以来、出動しなくなったと語った。

もう奉仕できなくなった」と彼は語った。

依然として報告を続けている兵士たちの間でも、士気は低下している。11月まで任務が延長された 31歳の戦闘工兵は、部隊の士気が急落したと語った。

彼は指揮官が兵士を危険にさらしていることを認め、友軍誤射事件の後、戦闘からの転属を要請したと付け加えた。

この危機は人員問題だけではない。信頼の問題でもある。

世論調査によると、イスラエル国民の 80%が戦争終結のための人質取引を望んでいるにもかかわらず、ネタニヤフ首相はさらなる流血を推し進め続けている。政権は超正統派ユダヤ教徒の兵役免除さえ認めており、見捨てられたと感じている予備役兵の怒りをさらに募らせている。

この戦争は政治的なものだ。(兵士は)誰も我々の指導者を信じていない」と、夫がガザで 580日間勤務しているダリット・スペクターさんは語った。

一方、死者数は増加の一途を辿っている。ガザでは 6万3000人以上のパレスチナ人が殺害され、イスラエルの封鎖下でさらに数千人が飢餓に苦しんでいる。新生児死亡と流産は倍増している。しかし、自国の軍が人員不足を警告しているにもかかわらず、ネタニヤフ首相は前進を主張し続けている。

 

限界点

イスラエル軍は、国民兵士が国家を守る「人民軍」という理念に基づいて築かれてきた。しかし今、その絆は崩れつつある。

「拒否は拒否だ。たとえそれが暗黙の了解で、巧妙に言い表された言葉で発せられたとしても」と、ネタニヤフ首相は 1000人の空軍予備役兵が人質取引を要求したことを受け、激しく非難した。

しかし、彼が戦争を強行すればするほど、兵士たちは撤退していく。「政権の正当性が危機に瀕している」とヘブライ大学の社会学者ヤエル・ベルダ氏は警告する。

今のところ、一部の予備役兵は戦友への忠誠心から出動を続けている。しかし、それはいつまで続くのだろうか?

イスラエル軍がこの戦争を永遠に続けることはできないことは明らかだ。もしネタニヤフ首相がこれを止めないなら、彼自身の兵士たちが止めるかもしれない


 

ここまでです。

なお、2023年10月の戦闘開始以来、死亡したイスラエル軍兵士の数は 589人で、負傷者は 1万9000人とされています。ただ、死亡したイスラエル兵士の数は、報道によって様々で、7月時点で 893人としている報道もあります。

いずれにしても、ガザの 6万人以上のパレスチナ人死者と比べると、圧倒的に少ないですが、戦闘での兵士の死と共に、「兵士の自殺」も増えています。それについて報じていた中東のミドル・イースト・アイ紙の記事です。今年 7月の報道ですので、現在はさらに増えているかもしれません。


ガザ戦争:イスラエル兵4人が2週間以内に自殺

War on Gaza: Four Israeli soldiers kill themselves in under two weeks
middleeasteye.net 2025/7/16

最近の自殺の増加は、ハマスがガザ地区全域でイスラエル軍への攻撃を強化していることによる。


2025年7月11日にナハラルで行われた葬儀で、イスラエル兵士らがガザ南部の戦闘で死亡したリーエイ・ビラン大尉を悼む

地元メディアの報道によると、ガザでの戦争に参加してから 2週間も経たないうちにイスラエル兵 4人が自殺した。

イスラエルのハアレツ紙は、兵士のうち 2人は現役の徴兵兵だと報じた。残りの 2人はガザ地区での数週間にわたる戦闘を終え、最近除隊したばかりの予備役兵だった。

タイムズ・オブ・イスラエル紙は、5人目の兵士が自殺未遂とみられる事件で重傷を負ったと報じた。

ガザ戦争が始まって以来、イスラエル軍は少なくとも 1万7000人の子どもを含む 5万8000人以上(※ 9月4日現在は 6万3000人)のパレスチナ人を殺害しているが、その中でイスラエル兵士の自殺が著しく増加している。

ハアレツ紙が発表したデータによれば、戦争が始まって以来 43人の兵士が自ら命を絶っており、そのうち 14人は今年に入ってから自殺している。

2024年だけでも 21人の兵士が自殺しており、これは 2011年以降で最多の年間数値である

野党指導者のヤイール・ラピド氏は、兵士の自殺の増加は耐え難いものだと述べた。

この戦争は魂も殺している」と彼は X の投稿で述べた。

 

未報告の事例は見逃されている

メンタルヘルス団体は、多くのケースが報告されていないため、実際の自殺者数はこれよりも多い可能性があると警告している

陸軍の統計には現役ではない兵士の自殺は含まれていない。

ハアレツ紙は、戦争が始まって以来、少なくとも 12人が軍務に関連して自殺したと報じた。


 

ここまでです。

戦争と兵士の自殺ということに関しては、ずいぶんと古いニュースとなってしまいますが、2010年のアメリカ軍では、

「兵士の自殺死数が、戦闘で死亡した兵士の数を上回った」

ことが報じられていました。イラクとアフガニスタンでの戦争があった頃です。

以下の 2011年の記事にあります。

米兵の最大の敵は自分: 2010年の戦闘死462人 自殺死468人
In Deep 2011年2月1日

 

基本的には(仮に一部であったとしても)戦争に精神的に耐えられない人たちは必ずいて、そのような人たちは、多くは戦争で生き延びても、PTSD (心的外傷後ストレス障)で苦しむことになる場合が多いです。PTSD による自死は「かなり後になってから(場合によっては何年も後に)」発生します。

話を現在のイスラエルに戻しますと、イスラエル政権がどのように事態を想定していたとしても、兵士たちの心は「人間」として激しくそこから離れていっているようです。

さらに、兵役の拒否者が増えると、機能できない部隊が出てくる可能性があります。

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