サブヒューマンの意味
日本のかつての時代劇には、「おぬしも悪よのう」というような台詞がたびたび出てきたように記憶していますが、現在のイスラエルに関わることをいろいろと見ていますと、この表現が頭に浮かびます。
「悪そのもの」
が漂っているのですが、今日、地球の記録に以下の記事をアップしました。
(記事) 「ガザのホロコースト」というイラン紙の報道
地球の記録 2023年10月12日
ここでご紹介した中に、イスラエルの国防大臣が記者団に語った以下の言葉がありました。
「我々は、人間以下の動物と戦っているので、それに応じて行動する」
ご紹介したのはイランの英字紙の記事で、この「人間以下の動物たち」という部分は、英語で「human animals」とあり、「獣人間」というような感じでしょうか。
これはこれとして、「なかかなひどい表現だこと」と思っていたのですけれど、今日、イタリアのメディアで、この同じ部分を取り上げていた記事を見ました。
記事では、この部分をイタリア語で以下のように記していることを知ります。
「 subumani (英語で subhuman = 人間以下)」
「あー、サブヒューマンって言ってたのか」と知ります。
イタリアの記事でのイスラエル国防大臣の会見は以下のようになっていました。
イスラエル国防大臣ヨブ・ギャラン氏:「私はガザ地区の完全封鎖を宣言します。電気も食料も燃料もなくなり、あらゆるものが途絶えてしまいます。しかし、私たちは人間以下と戦争状態にあるわけで、それに応じて行動しています」
拡大解釈すれば、「自分たち以外は人間ではない」という思想に発展しそうに見えますが、だから、こんなことができる。
今回のハマスの攻撃が起きることをイスラエル側が知っていたことは、最近の AP 通信の報道や、あるいはアメリカの議員の発言からも明らかになっています。以下に翻訳しています。
(記事)「イスラエルはハマスの攻撃を事前に知っていた」という米国議員の発言
BDW 2023年10月12日
記事より
ハマスによるイスラエルに対する大規模攻撃の 3日前、エジプト当局はイスラエル当局に対し、そのような作戦が差し迫っていると警告していたと米下院外交委員会のマイケル・マッコール委員長が 10月11日、記者団に語った。
マコール氏は国会議事堂での非公開情報会見後、 「エジプトが 3日前にイスラエルに対し、このような出来事が起こる可能性があると警告していたことは承知している」と述べた。
「機密事項にはあまり触れたくないが、警告はイスラエル側に伝えられていた」とマッコール氏は続けた。
ここからわかることは、イスラエルとしては、「ハマスの攻撃は起きなければならなかった」ということです。
以下の記事でもふれましたが、ハマスの攻撃をイスラエル国防軍の諜報部が見逃したのは、あまりにも不自然です。
(記事)「2023年の911」なのか「偽の黙示録」なのか
In Deep 2023年10月9日
英ガーディアン紙で取り上げられた、イスラエル諜報部隊のガザでの情報追跡システムは以下のように展開されているのだそうです。
イスラエル諜報部の情報ネットワーク
イスラエル諜報部隊8200のメンバーは、次のように述べた。
「情報提供者のネットワークはパレスチナ占領地をほぼ網羅している。言うまでもなく、イスラエルはペガサス・スパイ・ソフトウェアなどの高度な監視技術を利用してハマスの通信を監視しており、パトロール、カメラ、地動センサーのネットワークを使用してガザとの国境の壁をミリ単位で制御し、遠隔制御システムを使用してガザ地区を監視していることは言うまでもない」
しかし、こうしたすべてにもかかわらず、イスラエル諜報機関はハマスの大規模な攻撃の準備を知らなかったということになる。
国境の壁を突破しようと集結する大量のハマスの戦闘員に気づかなかったと。
世界で最も洗練された情報探知システムをガザ地区の全域に展開しているようで、「国境の壁をミリ単位で制御」しているのに、
「数百人の国境突破はわからなかった」
と。
まあ…もうどうにもならなく計画性のあることだったことがわかりますが、もうひとつは、このハマスの攻撃により自国民(イスラエル人)にかなりの被害が出るであろうことも想定されていたはずです。
そして、自国民の被害が多ければ多いほど、それにより、ガザを焦土と化す作戦は、少なくとも自国内には主張として通用する。あるいは、多くの西側諸国にも通用する。
この方法は、日本の帝国陸軍が太平洋戦争前に使用した方法と似ているのですが、話が逸れるので、ここではふれません。
思えば、ハマスの攻撃は、その後にガザを消滅させるために必要だったことなのかもしれません。
そして、可能なら、「多くの自国民が犠牲になってほしい」と。
それが大戦争の大義名分になります。
戦時の挙国一致体制の大義名分になります。
何しろ、イスラエルというのは世界で最初に大規模なコロナワクチン接種を自国民に対して始めた国ですからね。
自国民への愛情はさほどないのだと思います(日本ほどではないにしても)。
しかし、「なぜこんなことを?」とは思いました。ハマスの攻撃を故意に放置したということについてです。
初めのうちは、「領土をさらに拡大したいということなのかな」と思っていましたけれど、先日の記事「「2023年の911」なのか「偽の黙示録」なのか」に書きましたように、イスラエルには「本気で終末を望んでいる」気配が以前からあり、そしてさらには、先ほどのイスラエル国防大臣の言葉にあるような、
「民族としての選民意識」
がある。
そこから結びつくのは、領土云々より、むしろ以下のような発想だと思われるのです。ある著作からの抜粋です。
陰謀論ともとらえられやすいものですので、著作名は書きません。太字はこちらでしています。
ある著作からの抜粋
ユダヤの思想のなかに、「カバラ」があり、教義の要点は、悪が最終的に勝利する、勝利しなければならないということである。
そもそも神が始祖としてのアダムとイブをつくったことが失敗である。なぜならアダムとイブは、善悪のどちらを選ぶかを、自由意志によって決定しなければならないからである。
このために、アダムとイブ以降の人間は、善と悪の間をきりもなく動揺せざるを得ない。この状態は、悪の勝利によってのみ解決できる。
悪一辺倒、この世に悪のみが存在する。
…彼らカナンの子孫が目指すところは、この世を、前アダム人的原始状態、すなわちネアンデルタール人のような人類が、自らの原始性に気付くこともないほど「文明」とかけ離れた大地を気の向くままうろつきまわる時代に戻すことであり…
…カバラ学についての叙述にてらしてみると、「シオン長老の議定書」の中の「ゴイ」「ゴイム」の定義の意味が非常によくわかる。つまり「議定書」は、首尾一貫して、人間を野獣、羊、獣、動物、家畜とみなし、または、そのようなものたらしめるのである。
ゴイムとは、ユダヤ人ではない諸民族を指す複数形です。
この思想からは、私たち日本人も「人間以下」となるはずです。
これについては、以下の記事にあります。昨年の記事です。
(記事)太陽の民族として悪魔と対話する
In Deep 2022年8月9日
先ほど、イスラエルは「さほど自国民の生命を気にしていない」と書きましたけれど、上の記事を書いた頃までの「コロナでの死亡数」でも何となくわかります。
2022年8月までの人口100万人あたりのコロナの累積死亡数の比較
ourworldindata.org
その後は、執拗にブースター接種を繰り返した日本の超過死亡が目立ってくるわけですが、それでも、現在にいたるまでも、人口 100万人あたりのコロナ累積死亡数では、この3カ国ではイスラエルがダントツのままです。
ともかく、イスラエル国防大臣の「サブヒューマン」発言で、これらの考えがよくわかったような気がします。
思い出しますのは…「サブヒューマン」という題名の 1970年代の曲がありまして、スロッビング・グリッスルという英国の…どんなバンドなのか説明するのは難しいですが、ノイズとパンクとテクノが混じった感じの。その人たちの曲でした。一般の方々が聴くような音楽ではないです。
よく聴いていたのは、二十代のはじめの頃ですかね、気分が落ち込んだ時によく聞いていました。私は気分が落ち込んだ時に楽しい曲や明るい曲を聴くと、さらに落ち込む人で、暗いときには暗い音楽を聴くという人でした。
「どんな歌詞だったっけな」と歌詞サイトを見まして、それを翻訳しますと、以下のようなものだったようです。ノイズの中でシャウトしているだけの曲ですので、歌詞を気にしたことはなかったです。
Subhuman (1979)
人間以下! 人間以下!
側溝の中でお前が這っているのが見える
お前は俺の体の中のウイルスのようなものだ
体をきれいにするために汚れた水を飲み続ける
イスラエル国防大臣の心を反映したかのような爽やかな歌詞でした。
先ほどのイタリアの記事をご紹介して締めさせていただきます。ちょっとわかりにくい文章ではあるのですが、イスラエル国防大臣のような概念は、どんな民族であれ、「自民族中心主義」から出るということについての話です。
これは日本人という民族のの私たちにも十分伝わる話であり、警告でもあります。
人間と人間以下
Umani e subumani
liberopensare.com 2023/10/09
イスラエル国防大臣ヨブ・ギャラン氏は以下のように述べた。
「私はガザ地区の完全封鎖を宣言します。それにより電気も食料も燃料もなくなり、あらゆるものが途絶えてしまいますが、私たちは人間以下と戦争状態にあるわけで、それに応じて行動しています」
「人間以下」。
これはデリケートな問題だ。
どの国も、たとえ小さな国であっても、自らを「民族中心」であると考えている。それが中心にあり、他の人(民族)は全員が、その周辺にいるわけで、中心にはいない。
彼自身こそ「人間」であり、他のすべての人々は「サブ」であるため、「部分的な人間たち」にすぎない。
ギリシャ人と野蛮人、私たち自身と他人、ヒンズー教徒と不可触民。
そしてもちろん、ユダヤ人と「ゴイム」。
ゴイムは「完全な人間」ではなく、その行いが悪い場合は、まったく「人間」ではない。
私たちが「人間以下」または「人間以下」のカテゴリーに陥ったときには、私たちは誰でも傷つく。
私たちが中心にあるべきで、私たちが誰であるかは問題ではない。その意味では、どの国も自民族中心主義だ。
西側諸国は、そのような直接的でかなり残忍な論理から離れようとしてきたが、そこまでは進んでおらず、「西側的エスニックセンター」の基準が変わっただけだ。
現在、このエスニックセンターは左派リベラルなグローバリストたち(ソロス・クラブのような)であり、他の人たちは皆「人間以下」、つまり「非自由主義者」とされる。もし「人間以下」が「非自由主義的」であるならば、「人間以下」は絶滅されなければならない。
キャンセルカルチャーは、古い虐殺の新たな実践場だ。
イスラエル・パレスチナ戦争では、さまざまな民族中心主義が重なり合っている。イスラエル人はより古風で直接的だ。非ユダヤ人 = ゴイム = 非人間と捉える。
西側諸国はもう少し複雑だ。パレスチナ人はリベラル=野蛮人だが、人間以下とはされない。もちろん、パレスチナ人も自民族中心主義者だ。ユダヤ人=占領者、アラブ虐殺の立案者等=それは少なくとも、「人間以下」だ。
どの文化もこのような態度から完全に自由になることはできず、深刻な紛争が勃発すると、あらゆる逆境に抗して自民族中心主義が目覚め、最も表面的な文化の決まり文句を打ち砕く。
唯一異なるのは「内省」だ。
自民族中心主義を事実として受け入れれば、それに対処したり、手なずけたり、緩和したりすることはできるが、自民族中心主義が克服されたと宣言し、何よりもそう「確信」すると、自民族中心主義はすぐに消えてしまう。それは新たな勢いで爆発して消えてしまうのだ。
これは自民族中心主義自体の廃止ではなく、意識と自民族中心主義を制御する心と能力の問題だ。
自民族中心主義は人類と共にしか廃止できない。これは、トランスヒューマニストが「戦争がなければ」というスローガンで徐々に到達していることだ。
戦争をなくすためには人類を滅ぼす必要がある、いや「総力戦」が必要だ。
私は誰かを正当化しているのではなく、むしろ説明を通じて、特に行き過ぎを非難している。
ところで、ロシア人は自民族中心主義を非常に巧妙に扱う。
彼らもまた、自分たちが世界の中心であると考えている。第三のローマ、神聖ロシア、私たちは神を宿す国家だ、と。
彼らにも敵がいる、そして彼らはおそらく悪魔に取り憑かれているが、同時にその民族中心主義は開かれたものだ。
それは非常に柔軟で、敵を完全に非人間化する傾向はほとんどなく、常に敵に人間的なものを残す。直線性があると、暴力がエスカレートし、ある時点でそれを止めるか、少なくとも制御できなくなる可能性がある。
これが、ロシアの自民族中心主義が非直線的である理由だ。たとえば、敗北した敵は、特定の状況下でロシア人になる可能性があるというようなことだ。
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