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ロシアの終末ラジオ局の異変
関東は比較的暖かい年末となっていますが、今年 2025年も今日で終わりです。
ところで、ロシアがソビエト連邦だった頃より放送が続けられている UVB-76 という短波放送があります。これは、日本語の Wikipedia にもありますが、英語版 Wikipeida では以下のように説明されるものです。
UVB-76は、「ブザー」という愛称でも知られ、 4625kHzの周波数で上側波帯モードで放送する短波ラジオ局である。
短く単調な バズ音(ブザー音)が 1分間に約25回の頻度で繰り返される。 時折、ブザー信号が中断され、ロシア語の音声送信が行われる。
送信の本質は明らかにされていないが、デッドハンド終末ラジオと呼ばれることもある。
要するに、「放送している意図や目的はわからないものの、1976年からの 49年間、休みなくブザー音を放送し続けている」ラジオ局です。
これが何であるのかは、推測はいろいろとあるにしても、正式なところはわかっておらず、ロシア政府もこの放送について言及したことはありません。
また、西側の機関などによって、内容が解読されたことも一度もないようです。ある報道には以下のようにあります。
2025年12月15日の報道「ブザーは戦争の合図か?」より
…もう一つの有力な説は、この放送基地をロシアの核報復システム(別名「デッドハンド」)と結びつけるものだ。これは冷戦時代の核のフェイルセーフシステムで、概念上はモスクワが軍司令部との連絡を失った場合、自動的に報復攻撃を発動できるものだった。
この枠組みでは、UVB-76 は単独の終末兵器送信機ではなく、壊滅的な事態を乗り切るために設計された、より広範で冗長性のある指揮統制アーキテクチャの一部と見られている。
こうした解釈にもかかわらず、音声コード化された中断の実際の意味は公に解読されたことは一度もない。一般的に合意された意味パターンがないため、単純な軍事実験から、スリーパーユニットや心理的シグナルを絡めたより突飛な説明まで、様々な憶測が飛び交っている。
ここにある「デッドハンド (死の手)」というのは、10年以上前の In Deep の記事「ウラジーミルの異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか」 (2014年9月2日)で取りあげたことがありますが、自動核報復装置のことで、以下のようなものです。
> 旧ソビエト連邦およびロシアでは、米国の先制核攻撃により司令部が壊滅した場合に備え、自動的に報復攻撃を行えるよう「Dead Hand(死者の手)」と呼ばれるシステムが稼動している。
謎のブザー放送が、この自動核報復装置と関係しているのではないかという推測もあるということで、しかし、その確証はまったくありません。
そんなわけで、このブザー放送の意図や目的はまったくわからないままなのですが、この未知のロシアの放送局が、
「2025年12月30日に、突如、チャイコフスキーの白鳥の湖を流し始めた」
ことを複数のメディアが報じています。
2025年12月30日の放送より
“Swan Lake” just played on the Doomsday radio station🎶
UVB-76, known as the Buzzer or the Doomsday station, is a mysterious shortwave broadcast that has been on the air since the 1970s.
Its purpose has never been officially explained, and conspiracy theorists spend hours… pic.twitter.com/cCNhXFhhhJ
— NEXTA (@nexta_tv) December 30, 2025
これについては、以下のよう報じられています。
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チャイコフスキーの「白鳥の湖」がロシアの終末短波ラジオ局で流される
Tchaikovsky’s Swan Lake Just Played On Russia’s Doomsday Shortwave Radio Station
zerohedge.com 2025/12/31
X ユーザーによると、1970年代後半から継続的に放送されている「ブザー」というニックネームで呼ばれ、非公式には「終末ラジオ局」としても知られる謎のロシアの短波ラジオ信号 UVB-76 が、ピョートル・チャイコフスキーの古典作品「白鳥の湖」を送信したという。
UVB-76 は 4625kHz で送信されており、時折ロシア語の音声メッセージによって中断される。音声メッセージには、名前、数字、暗号化されたフレーズなどが含まれることが多いためだ。これらの音声メッセージは稀で不規則であり、しばしば意味不明であるため、「白鳥の湖」の送信は非常に異常な状態といえるものとなっている。
西側の軍事アナリストたちは、UVB-76 をロシアの軍事通信および戦略指揮インフラと関連付けている。衛星、光ファイバー、または携帯電話ネットワークが中断された場合のフェイルセーフ(予備通信網)として、UVB-76 は運用を継続していると報じられている。
ピョートル・チャイコフスキーが作曲し、1877年にモスクワで初演された 4幕のバレエ「白鳥の湖」の UVB-76 での放送は、ミスやオペレーターのエラー、テスト送信、送信所の機器からの偶発的な音声漏れ、あるいは信号ハイジャックとさえ解釈される可能性があるが、推測の域を出るものではない。
ロシアはこれに先立ち、核兵器搭載可能な極超音速ミサイルシステム「オレシュニク」を同盟国ベラルーシに配備したことを披露した。
おもしろい事実として、「白鳥の湖」は 1991年8月の「8月クーデター」の際にソ連の国営テレビで繰り返し放送された。
8月クーデターの時にソ連のテレビで放送されたチャイコフスキーの「白鳥の湖」
欧州メディアの NEXTA は「では、最新のこの放送をどう解釈すべきなのだろう? オレシュニクの飛行を讃えるサウンドトラックなのか?」と疑問を呈した。
ここまでです。
ここに出てくる「 8月クーデター」とは、1991年8月19日に、ソビエト連邦のモスクワで発生したクーデターで、ソ連の崩壊を招いた出来事でした。
その 8月クーデターの際にソ連の国営テレビで「白鳥の湖」が繰り返し放送されたというのは興味深い話ですが、それを思い出させるような出来事が、この 2025年の年末に起きたということになります。
それでも、やはり白鳥の湖を突如流した意味や目的はまったくわかりません。
なお、上の記事の中に、
> オレシュニクの飛行を讃えるサウンドトラックなのか?
とありますが、オレシュニクというのは、2024年にロシアが発表した新型ミサイルのことで、詳細は以下の記事でご紹介しています。
・ロシアの新型中距離超音速兵器「オレシュニクミサイル」について
BDW 2024年11月24日
音速の約 10倍という高速で移動するため、従来のミサイル防衛システムでの迎撃は基本的にできないミサイルとなっています。
なお、ロシアの謎の放送 UVB-76 は、今年後半から明らかに、今までにはない挙動を見せていたようで、2025年12月8日には以下のような放送が記録されたとのことです。
直近では、2025年12月8日から 10日の週に、同局は 15件の謎めいたメッセージを放送したと報告されている。
12月8日(月)に3件、12月10日(水)に8件である。これらには、PEPPER、SHAKER、 TRANSFER、PABODOLL、 SPINOBAZ、 FRIGORIA、OPALNY、SNOPOVY、MYUONOSVOD といったコードワードが含まれていた。
2025年12月12日(金)には、通常のブザー音に加えて、かすかな音楽とモールス信号と思われる音が長時間にわたって放送されていたと観測者が報告しているが、これは同局の長い歴史の中で明確な前例がないパターンだ。
そして、今回は「白鳥の湖」。
このチャイコフスキーの白鳥の湖は有名な楽曲ですが、「ストーリーの内容ってどんなんなの?」と見てみますと、
> 『白鳥の湖』は、悪魔の呪いによって白鳥に姿を変えられた王女の物語であるが、直接の原作にあたる作品は明らかでない。
とのこと。悪魔の呪いでヘビやカエルやブラックスワンに姿を変えられるような話ならあるような感じもしますが、白鳥なんですね。
ちなみに、私自身はクラシック音楽を聴き始めたのが遅かったせいなのか、初めて「白鳥の湖」を聴いたのは、英国のセックス・ピストルズというバンドが解散した後に、フロントマンだったジョン・ライドンが結成したパブリック・イメージ・リミテッド(P.I.L.)が 1979年にカバーした壊滅的な白鳥の湖でした(YouTube)。高校の時の愛聴レコードでした。
ともあれ、ロシアの終末ラジオ局が、ブラックスワンならぬ白鳥の湖を流しながら 2025年は終わっていくことになりました。
最近の記事「金融リセットのフィナーレが近い?」などにも書きましたけれど、2026年は、経済的にも社会的にも地政学的にも変動の要素が大きい年だと考えられていますので、しっかり状況を見ながら生きていきたいものです。
それでは、皆様も、よい年末年始をお過ごしくださいね。
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