地球の最期のときに

乳幼児の「人の顔認識の成長過程」がマスクにより崩壊することにより「人間なんてみんな同じ」というオール失顔症社会がもたらされる日はわりとすぐ



投稿日:2020年10月20日 更新日:


Another Brick in the Wall Part 2




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赤ちゃんの「顔認識の学習」を阻害し続けるマスク社会がもたらす未来

先日、駅前を歩いていましたら、犬とか猫の里親探しのような感じのことを訴えて街頭募金をしている人たちがいました。

全員マスクをしていましたが、お若い女性たち 4人ほどで、何事かを賢明に訴えていまして、若い女の子たちに訴えられると弱い私は「まあ 500円くらい…」と、募金箱に入れようとしました。

お金を入れようとしましたら、募金箱が透明のケースで「これでは入れた金額が女の子たちにバレてしまう」と、つい 1000円を入れてしまったということがありました。

まあ、こういう街頭募金というようなものにはいろいろと「団体としての存在の真偽」が混在しているものですが、私は、街頭で募金活動をしている若い人たちを見ると、つい募金してしまうので、実態はどうでもいいです。

でも、女の子たちは真剣な表情でした……と書いて気づくのですが、その声の調子から「真剣でした」と書いているだけで、マスクにより表情は見えないのです。

それと同時に、「こういう動物関係のお仕事している人って、今、大変だろうなあ」と感じます。

また、動物のほうも大変だろうなあとも思います。

犬も猫も、接していると気づくのは、基本的に彼らは私たちの「顔ばかり」見ています。

動物の顔認識システムは科学的にはそれほど詳しくわかっているわけではないでしょうが、科学的解明がどうあろうが、とにかく「顔を見ている」のです。

それが、今では、マスクで顔の表情が掴めない。

マスクをしない家の中でならともかく、大勢の人の前で動物を相手にしたビジネスや社会活動をされている方々は、今は、複数の人たちがいる環境では、マスクが必須となっているので、慣れさせるのに苦労されているのではないかなあと。

最近、以下のようなニュースもありました。

ロシア:サーカスの調教師がクマに襲われ死亡 感染予防のマスク着用姿にクマが混乱か

news.nicovideo.jp 2020/10/19

このほどロシアのサーカス団で、調教師の男性がクマに襲われ死亡するという事故が起きた。

事故当時の男性はマスクを着用しており、クマが男性の顔を認識できなかったことが原因ではないかとみられている。

そして、動物以上に、「人間の顔認識の発達」にとっても厄介な問題が、このマスク社会に潜んでいます。

以前、「新生児は《周囲の顔》を感じている」という研究について、以下の記事で取りあげたことがありました。

マスク社会がもたらす「本当のディストピア化が何か」に気づいた。それは表情を学ぶ機会を失った赤ちゃんたちによる「人の感情を理解しない人々の社会」の誕生
投稿日:2020年8月26日

ここでは、「人の感情を理解できなくなる」ことについて書いていますが、それどころか、「相手そのものを認識できなくなる人たちばかりになる」可能性が強くなっています。

以前から、赤ちゃんが世界を認識するメカニズムには興味があり、そのようなニュースは、ずいぶんと以前から見ているのですが、ふと 2年前の米ニューヨークタイムズの記事を思い出しました。

それは、2018年のハロウィンの時期の記事で、「ハロウィンのカボチャなどのマスクは赤ちゃんの認識の成長に混乱をもたらす可能性がある」というような記事でした。

しかし、ハロウィンなどは前後数日のイベントですが、マスク社会はすでに半年を超えてきています。

とりあえずは、そのニューヨークタイムズの記事の概要をご紹介します。




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子どもはどのように顔を認識することを学んでいるか

How Children Learn to Recognize Faces
NY Times 2018/10/29

ハロウィンのマスクと化粧は、顔認識スキルを発達させている小さな子どもたちを混乱させる可能性がある。

「大人は顔の認識がとても得意です」と言うのは、カナダ・トロント大学の応用心理学と人間発達学部の教授で、子どもの顔認識スキルの発達を研究しているカン・リー博士だ。

一般的な大人は、一度人に会ったことがあれば、2、3年後に会ったとしても、その人を認識するだろうと彼は言う。「大人にとっては 1回の出会いで十分です。脳はそれをエンコードします」

しかし、幼児はこのスキルを習得するのに何年もかかる。

今は私たちが、さまざまにメイクやマスクで顔をいじるハロウィンのホリデーシーズンだが、顔を認識する能力を開発したばかりの小さな子どもたちにとって、ハロウィンのマスク、衣装、偽の鼻、偽のあごひげ、かつら、そして手の込んだ化粧は特別な課題を提示する。

いないいないばあの遊びで赤ちゃんが困惑して喜ぶのと同じように、人々が本来の姿を変えて家に戻ってくる可能性があることを学ぶと、その変容によって、子どもが本当に混乱する可能性もある。

ここには複雑な神経系が絡んでおり、自然と育成を組み合わせた脳への影響、そしておそらく必然的に社会的および文化的な脳への影響を伴っている。

リー博士によると、人々が顔を認識するために使用する視覚情報には 2種類あるという。幼児は、目の大きさ、鼻の大きさとその形状、そして、あごひげの存在と、その色などの特徴情報に依存することから始まる。

しかし成長するにつれて、子どもたちは、リー博士が「構成情報 (configural information)」と呼ぶものを使用することを学んでいく。

構成情報には、目、鼻、口など顔の構成要素間の距離、および顔の輪郭との関係が含まれる。

「私たち人間は、目の目の間の距離のごくわずかな違いなど、わずかな構成の違いを検出する優れた能力を持っています」とリー博士は言う。

「この素晴らしい能力により、人間は、20年も 30年も会っていない人と再会した時に、その人を認識することができるのです」

これらの基本的な構造の詳細は、年齢を重ねてもあまり変化しない。

しかし、大人になる前の小さな子どもたちは、認識を顔の特徴に依存している、とリー博士は言う。小さな子どもの場合、たとえば、あごひげのある人が、そのあごひげを剃っただけで、認識できなくなることもあり、あるいは、ふだんはかぶらない帽子をかぶっただけで、その人を認識できなくなることがある。

未就学児は、ふだんメガネをかけない人がメガネをかけると、その人の認識が困難になる可能性があるという。

乳児期から子どもが成長するにつれて、顔を認識するための基礎となる構成情報を使用して、それまでの、目の大きさやヒゲといった特徴だけでの認識から、顔認識も成長と共に進歩していく。

子どもたちが、大人と完全に同じ顔認識に達するのは、14歳から 16歳だという。

米デューク大学の心理学および神経科学部の助教授であるサラ・ゲイザー博士は、子どもたちが社会的な経験で成長するにつれて、顔の知覚も、人種的および社会的経験を反映すると述べた。

研究では、最初に赤ちゃんは何度も何度も顔を見せられることで慣れ、次に同じ人種または性別のグループから別の顔を提供される。

現在は、赤ちゃんの目の動きを追跡するデバイスを使用して、赤ちゃんが新しい顔を認識しているかどうかを確認できる。

「赤ちゃんは生まれて最初の 3か月までに、その乳児たちの曝露に応じて(たくさんの人たちの顔を見ることにより)かなり強く人種的および民族的嗜好の違いを感じとることは、すでにわかっています」とゲイザー博士は言う。

相手の顔を認識して、その違いを感じることを考えることは、私たちが他者をどのように認識するか、そして私たち自身がどのような認識をしているかということについて多くのことを教えてくれる。

リー博士は、ハロウィンの時、小さな子どもたちは、化粧をしたり、あごひげを生やしたりしている身近な大人を認識できないかもしれないと言う。

博士によると、顔の知覚には確かに遺伝的要素もあるが、多くの人たちの顔に接する曝露が重要だ。

生後 2年間で、視力に問題がある子どもたち、たとえば先天性白内障などの子どもたちの場合では、後で病気が回復したとしても、後の人生で顔の認識能力を回復できない可能性がある。

リー博士は、顔の認識にはさまざまな通常の能力があるが、トレーニングの価値は限られている部分があると述べている。


 

ここまでです。

わりと軽い記事なんですが、記事にある以下の部分を強力に思い出したのです。

生後 2年間で、視力に問題がある子どもたち、たとえば先天性白内障などの子どもたちの場合では、後で病気が回復したとしても、後の人生で顔の認識能力を回復できない可能性がある。

赤ちゃんから幼児の時代に、「たくさんの人の顔を見ることができない状態」の子どもたちの場合

「人の顔認識能力を一生持つことができない可能性がある」

というのです。

大人になってから訓練したとしても、リー博士の言う、

> トレーニングの価値は限られている

というように、後からどれだけ訓練しても、顔認識の能力は復活しないことのほうが多いようです。

人間が「人を人として認識する」ための顔認識能力の獲得は、ただひとつ「たくさんの人たちの顔を見ること(顔への曝露)」だけなのですね。

親と他人は「顔がちがう」という認識能力は、たくさんの人たちを見ていく中でのみ発達していく。

その点から、今のマスク社会はどうかというと、どうもこうもないのですが、赤ちゃんたちは、顔の表情も「人と人とのちがい」もまったくわからないはずです。

もちろん、家庭内では、お母さんやお父さんはマスクなしで赤ちゃんと接しているでしょうけれど、「それでは、お父さんとお母さんの違いを見分ける能力以外は獲得できない」ことになりそうです。

 

 

ディストピアへの道程

マスク社会もそろそろ半年を超えました。

この時期に赤ちゃんから 2、3歳の時代を過ごしている子どもたちは、出生数から考えて、少なくとも、日本だけで 300万人以上はいると思うのですが、その子どもたちの多くが、顔認識のための経験の機会を失っているわけです。

こうなると、マスク社会は、もはや社会犯罪的な行動だとも言えますが、しかし、では冬になったらマスク社会は終わっているのか、来年は終わっているのかというと、そういう展望はほとんどないです。

それどころか、アメリカでは、CNN や米軍などが、

「マスクは恒久的なものとなるだろう」

と述べています。

米 CNNの編集者であるニック・ペイトン・ウォルシュという人は、9月30日の CNN の記事で以下のように述べています。それぞれ抜粋です。

「物事が《以前の日常に戻る》ことはほぼない」

「コロナ以前の世界は今や単なる郷愁であり、アメリカ国民はそれに同意する必要がある」

「マスクの強制着用は《永続的》かつ《人生の一部》になるだろう。」 CNN 2020/10/01)

もし、この人が言うような「世界」になったとしたら、それはもう将来的な人間社会の地獄であるわけで、つまり、たとえば、今の赤ちゃんや幼児たちが青年期になる十数年後には、「ほとんどが顔認識能力を持っていない」わけです。

「一度会っても、その人のことを覚えることはない」

という社会。

このような意見が大げさではないというのは、先ほどのニューヨークタイムズで示されていた「幼児の顔認識能力の獲得」のメカニズムからも明らかで、文字通り「人を人と思わない」世界が登場してくるのですね。

それだけに、一刻も早いマスク社会の終焉を望むのですが、しかし、もはや賢明な科学者たちの意見は通らなくなっています。

少し以前の「…良心ある科学者たちは封鎖の停止を訴え続ける」という記事では、欧米で数万人規模の科学者と医師たちが再度のロックダウンに反対する署名を当局に送りましたが、ヨーロッパ各国では、再ロックダウンや準ロックダウンがさらに進められています。

マスクの強制着用は当然のこととなっていますし、それがどれくらい続くのかもわかりません。

現在、全世界で何千万人あるいはそれ以上の数の赤ちゃんや幼児たちが「顔認識能力という人間社会で最も重要な人間的能力」を奪われているわけで、それはもう否定しようがないはずです。

最も「科学的に良くない行動」を全世界単位でおこなっている。

なお、マスクの「顔認識妨害の効果」は、人工知能などの顔認識アルゴリズムも、お手上げのようで、8月の米 msn の報道では、

「マスクが通常の顔認識アルゴリズムを妨害しており、エラー率は 5%から 50%の範囲であることに注目したレポートが発表された」

と報じています。

エラー率が 50パーセントなどに達すると「認識システムとはいえない」わけで、マスクというのが、いかに強力な顔認識阻害ツールであることかもわかります。

 

そのうち、人が人を認識できない世界が来る。

「なるほど、ディストピアってのはこうやって少しずつ出来上がるのだなあ」

と、今まで小説かSFの世界でしか知らなかった世界が、あと 10年くらいで本格化するのかもしれません。

こうなると、相手を認識するためには、額か右手に「認識番号」などを入れるしかなくなり、学校などでも、その番号を見てから、

「やあ、S-2206-P6245-9941くん、おはよう」

「おはよう。G-2335-S5260-8878 くん」

「あれ? ごめん間違った。きみは G-2335-P5260-8878くんだった。最近視力が落ちて、番号が見えにくいんだ」

というような世界になっていくのですかねえ。

こういう話の概念は、モンティパイソンとか、映画『未来世紀ブラジル』 (1985年)でも描かれていましたけれど、その現実を見ることになりそうだという。

なお、『未来世紀ブラジル』のテーマは、Wikipedia によれば、以下のように書かれています。

ぶざまなほど統制された人間社会の狂気と、手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求

この「手段を選ばずそこから逃げ出したいという欲求」というのは、いくつかの人たちに生じているのではないですかね。あるいは、前回の記事「夢に感染するパンデミック…」でふれたいくつかのこととも関係するのかもしれないですが、死でも夢でもなく現実でそれを実現する方法があると嬉しいのですけれど。

過剰消毒のほうもそうですけど、子どもたちの日常に立ちはだかる大問題が多すぎて、くらくらする毎日ですが、お互い気丈に頑張りましょう。

 

なお、タイトルに入れました「失顔症」は、正式には「相貌失認」と呼ばれ、Wikipedia には、以下のようにあります。

相貌失認とは、脳障害による失認の一種で、特に「顔を見てもその表情の識別が出来ず、誰の顔か解らず、もって個人の識別が出来なくなる症状」を指す。相貌失認

 

今回は締めとして、以前掲載したことがある気もしますが、日本のハードコアパンクバンド「ザ・カムズ」の 1983年の曲「人間狩り」の歌詞から抜粋します。

The Comes – 人間狩り (1983)

人間は機械になってゆく
尊重されるのは一人だけの意志

人間は狩られる
機械として狩られる
正義の名のもとに猟奇的になる

人間狩り
みんな一緒だ
誰でも同じだ

狂ったように人を狩っていく
進歩の過程に本能が顔を出す
あっちでもこっちでも攻撃が始まる
誰も見えない目だ
どいつもこいつもやっちまえ

人間狩り
みんな一緒だ
誰でも同じだ

 

◎対談本が発売されます。こちらの記事もご参照下されば幸いです。

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