地球の最期のときに

これから環太平洋火山帯はどうなる? : 近年最大級のモンスター噴火を起こしたシナブン山の黙示録的光景を見て思い起こす「地球の隅々」まで起きている地質的異変たち



投稿日:2018年2月20日 更新日:

2018年2月19日 近年最大級の噴火を起こしたインドネシア・シナブン山


vk.com


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昨日、インドネシアのシナブン山で、少なくとも近年では最大級といえる噴火が発生しました。噴煙の高さは 14キロメートルに及んでいます。それと絡んで、この最近の環太平洋火山帯の流れを振り返ってみます。

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本格的な目覚めを示唆するかのような大噴火の中で

先日、環太平洋火山帯を中心とした地域で、地震と火山活動がやけに活溌化していることを書かせていただきました記事、

環太平洋火山帯の目覚めの予兆 : 1月22日から25日の4日間に全世界で「13の火山が噴火」し、マグニチュード5以上の地震が23回起きていた
 In Deep 2018/01/26

は、ほぼ1ヶ月ほど前の 1月26日のものでした。

その少し前の 1月23日には日本の本白根山の噴火などもあり、その時には、下のような感じで火山が噴火していました。

2018年1月22-25日の間に噴火した火山と、発生した顕著な地震

Google

赤で囲んだのがシナブン山で、この時にも噴火を起こしてはいたのです。シナブン山は、2017年8月に噴火して以来、繰り返し噴火を起こしていましたが、しかし、昨日の噴火はもうまったくレベルの違うものでした。

2月19日 噴火するシナブン山


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この噴火の様子は動画でも数多く撮影されて、SNS に投稿されていましたが、シナブン山の噴火には慣れているはずの子どもたちも泣いている光景が印象的でした。

下は、いくつかの動画をまとめたものです。

2018年2月19日 シナブン山の噴火の様子

そして、先ほどリンクしました記事で「環太平洋火山帯の目覚めの予兆」というようなタイトルにしたころ以来、世界では、やや異様な地質活動や現象が相次いでいます。

環太平洋火山帯に限ったことではないですが、既出の事象も含めて、この機会にご紹介しておきたいと思います。

 

火山地帯付近での巨大シンクホールの多発

シナブン山はインドネシアの火山ですが、このインドネシアでは今月上旬に、

「複数のシンクホールが一斉に発生した」

という珍しい出来事が起きていまして、それについては、先日の、

2018年「世界同時多発シンクホール」 : インドネシア、中国、イタリア、そして米国……この2月に突如として始まった世界中での「大規模な地盤の崩壊の連鎖」に思うこと
 In Deep 2018/02/16

という記事でご紹介しました。

インドネシア・ジャワ島のシンクホール。他に数十個が発生


・jogja.tribunnews.com

シンクホールの発生したインドネシアのグヌンキルドゥル地方というのは、現在噴火しているシナブン山と、やはり最近になって活溌な噴火を繰り返しているバリ島のアグン山を結ぶライン上にあります。


Google Map

そして、先ほどの記事では、同じ時期に、イタリアのローマで「巨大なシンクホールが突如として発生」したことも記しました。

2018年2月18日 バチカンの地殻に発生した大規模なシンクホール


weather.com

このイタリアというのも、「超巨大な火山噴火が懸念されている場所のひとつ」でもあります。その意味では日本とも似ています。

これについては、昨年の記事、

「ネアンデルタール人を滅ぼしたかもしれない超巨大火山」は、現世人類に同じような打撃を与えることができるか否か : イタリア・フレグレイ平野
 In Deep 2017/01/11

でご紹介したことがありますが、それは、イタリアの超巨大火山で火山活動の徴候「のようなもの」が観測されていることに関してのものでした。

この記事の冒頭では、「かつてローマを地獄へと導いた…」という文言で始まるイタリアの報道をご紹介しています。

2017年1月7日のイタリアの報道より

leggo.it

下はナショナルジオグラフィックの記事ですが、イタリアの都市部の下では、このような「超巨大火山」の「休眠状態が終わりつつあるかもしれない」とされているのです。

超巨大火山に噴火の兆候、イタリア

ナショナルジオグラフィックニュース 2016/12/28

50万人が住むイタリアの大規模な火山性カルデラ盆地、カンピ・フレグレイの地下にある超巨大火山が、500年の休止期間を終え、“臨界状態”に近づく可能性があるという論文が、12月20日付の科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載された。

近い将来、マグマの高熱のガスが突然噴出し、大規模な噴火を引き起こす可能性がある、と科学者たちは警告している。だが噴火する時期は今のところ予測不可能だ。イタリア政府はこの発表を受け、噴火の警戒レベルを緑の「正常」から黄の「要警戒」に変更した。

このカンピ・フレグレイという超巨大火山があるのはナポリのあたりで、ローマからはわりと離れているのですが、「それでも過去の噴火ではローマが壊滅的な被害を受けた」という、ちょっと想像を絶する巨大噴火が過去の地球の歴史にあったようです。

そのイタリア半島では全体的に大きな地震に見舞われることが多くなっているということもあります。

2016年8月24日にはイタリア中部で壊滅的な地震が発生しました(地震の規模こそマグニチュード 6.2でしたが、被害は壊滅的でした)が、その後も長く余震は続き、たとえば、余震の数が 6万回を越えたことなどを、

イタリア中部地震から9ヶ月で、余震の数は「6万5000回」を突破。いまだに群発地震は止まらず
 地球の記録 2017/05/01

という記事でご紹介したこともあります。

ふだん地震の多いところならともかく、このイタリア中部は 2016年8月の地震が発生するまで「ほとんど地震のない場所」でした。

さらに、これらの地震の渦中で「イタリアを縦断している山脈が沈んだ」ことも明らかになっています。これは、下の記事でご紹介したことがあります。

連続する地震の中、イタリア半島を縦断するアペニン山脈の中央部が40センチメートル「沈んだ」ことが明らかに
 地球の記録 2016/11/01

イタリア半島には、その中央を「アベニン山脈」が走っていますが、その山脈の中央部が「約 40センチメートル低くなった」のです。

イタリアのアベニン山脈

 

ひとつひとつの出来事は忘れがちですが、ここ2、3年くらいの範囲で見てみますと、イタリアでもこのようにいろいろなことが起きていて、しかも、2016年頃から始まっているこれらの「イタリアの地質的事象の様々」は、もしかすると、かなり巨大な部分としての出来事である可能性もありそうなのです。

今後はわからないですが、イタリアの地質活動を注意深く見続けている研究者たちが今は多いです。

 

アメリカではまたもイエローストーンの群発地震が始まり

2017年に、アメリカのイエローストーンでは、観測史上において最大の規模と長期間にわたる群発地震が起きたことを、

米国イエローストーンの群発地震の発生が2567回を超え、回数と継続期間が「観測史上最大」の規模に
 地球の記録 2017/09/03

という記事などでご紹介していますが、それが収束してからまだ半年も経たない今現在またもイエローストーンで群発地震が始まっています。

これに関しては、数日前に記事にしたばかりでして、

米国イエローストーンで突如として新たな群発地震が始まる
 地球の記録 2018/02/19

をご参照いただければ幸いです。

数日間で40回以上の地震が発生しているイエローストーン


USGS

イエローストーンの群発地震そのものは珍しいことではないのですが、何しろ昨年「過去の記録をすべて上回る群発地震の記録」があって、まだそれほど時間がたっていない現状での群発地震の再開ですので、いろいろと話題となっています。

まあ、これもまたいつものように収まるのでしょうけれど、しかし、「いつかは」収まらずにそのまま噴火ということが、それが何年後か何万年後か何十万年後かはわからないですけれど、そういう時がおそらく必ずやって来ることもまた事実です。

群発地震といえば、つい最近の記事、

米国と欧州各地に「100メートル級の津波」をもたらす可能性のある場所で……:大西洋のカナリア諸島やアゾレス諸島でかつてない群発地震が始まった異変の意味
 In Deep 2018/02/15

で、アメリカとヨーロッパに影響を与える津波が発生する可能性のある火山のある場所で群発地震が始まったことをご紹介しました。

また、南極での火山活動もやや顕著になっているようで、

南極のサウスサンドウィッチ諸島の火山で「熱異常」が観測される。何らかの地質的活動の兆しの可能性
 地球の記録 2018/02/18

という記事で、最近の南極のサウスサンドウィッチ諸島の火山での活動の徴候についてをご紹介しています。

サウスサンドウィッチ諸島の場所

 

そして、これは今この記事を書いている時に知ったのですが、アイスランド北部で「 48時間で 1500回を越える地震「が起きています。火山活動に起因するものなのかどうか今はわからないですが、何らかの現象がありそうです。

2018年2月20日までの48時間のアイスランドの群発地震の状況


アイスランド気象局

 

そんな感じで、足早でしたが、最近の地球での顕著な活動をいくつか羅列させていただきました。

何というか現在は「地球の隅々まで地質活動が活溌化している」というような徴候があるようには見えますが、過去記事の「地球の回転が《謎の速度低下》を起こしている…」などから見て、この地質の活溌化が今後さらに激しくなることは、ほぼ間違いないと思われます。

この「地球の回転の速度低下」の過去のデータなどと、月などの動きと照らし合わせていけば、どのくらいの時期からさらに激しい地質活動が地球で発生し始めるかは、大体のところはわかる可能性もあります。

もちろん、それは場所も時期も大ざっぱでしかわかり得ないですが、そういうデータを調べられる時間と機会がありましたら、ご紹介したいとも思っています。

淡々と時間は進行していくかもしれないにしても、今年からの世界と日本はそんなに穏やかではないかもしれないという感じが今は強くなっています。