(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
SSRIの新たなリスクを知る
うつやパニック障害、PTSD などに広く処方されている SSRI (選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の問題については、過去にずいぶんと書きました。
ベンゾジアゼピン系のメンタル薬(主に抗不安剤や睡眠導入剤など)の依存や離脱の問題が取りあげられることが多くなった最近、神経内科や精神科の医師たちは、ベンゾジアゼピンよりも SSRI や SNRI (セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)を処方することが多くなっています。
まあ、確かに、ベンゾジアゼピンの依存や離脱症状の問題は、全員に起こるわけではないにしても、ある程度深刻なもので、また、私自身、数十年ベンゾジアゼピン系の抗不安剤を断続的に服用していたのですが、厳しい離脱を経験しています。
私自身の体験も踏まえたベンゾジアゼピンの厳しい離脱の体験記は、以下の記事で取りあげています。
In Deep 2025年6月2日
しかし、それに代わって広く処方されるようになった SSRI はどうかというと、これがさらに大きな問題を持っていることが最近、多くの研究で明白になっています。
以下の記事では、SSRI の副作用としての「暴力性の増加の問題」を取りあげています。
In Deep 2025年9月1日
この記事ではいろいろな研究を取りあげていますが、わかりやすいのは、ニュージーランドで行われた研究の「副作用を感じた人の割合の数値」です。
ニュージーランドで抗うつ薬(SSRI)を服用している 1,829人の患者を対象とした調査の結果です。
ニュージーランドの研究より
・62% が性的困難を報告した
・60% が自分の感情が麻痺していると感じた
・52% が自分が自分ではないように感じた
・47% が興奮を経験した
・39% が他人のことをあまり気にしなくなった
・39% が激しい動揺を経験した
・39% が自殺念慮を経験した
かなりの率だと思います。
この中の、
「自殺念慮と暴力性の増加、そして感情の非人間化」
が SSRI の最大の副作用といえると思いますが、しかし、じゃあ、仮にこれらの問題が大きく取りあげられたとして、治療で SSRI の使用も控えるようになった場合、どうなるかというと、「医師の薬剤の処方の選択が著しく厳しくなる」わけです。というより、もはや選択肢があまりない。
なので、これからも SSRI とベンゾジアゼピンの処方は続けられるのだと思いますが、今回、アメリカの医学記事で、
「SSRI には、消化管の出血と、深刻な心臓への影響の副作用がある」
という複数の研究を知りました。
これに反応しましたのは、個人的なことですけれど、今年の初頭に私は少しの間入院していたのですが、その原因が「消化管出血」だったのですね。
消化管出血というのは、その名の通り、食道、胃、腸などからの出血のことですが、場合によっては結構深刻でもあり、SSRI には、そんな副作用もあるのだなと知りました。あと、心臓の問題も取りあげられています。
それぞれ副作用としては結構な率です。
今の社会的な状況を見ても、今後もメンタル系の悩みや疾患を持つ若い人は増えていくとみられますので、メンタル薬の処方も増えていくのだと思われますが、それに伴う副作用としての疾患も増えていくのだろうなと。
なお、SSRI にもベンゾジアゼピン同様の「強い離脱症状」があり、データによると、
・SSRI の服用を中止すると患者の 56%が離脱症状を経験する。
・46% の患者は、数か月から数年にわたって重度の離脱症状に苦しんでいる。
のだそうです。
以前、スウェーデンで SSRI の離脱症状に苦しむ人たちの問題が深刻になっていることを取りあげたことがあります。スウェーデンでは「国民の 9人に 1人」が抗うつ剤を服用していて、そのうち 6割以上が SSRI を処方されています。
ここから今回の記事をご紹介しますが、ご紹介する記事では、日本での商品名を含めて具体的に注釈を入れていますので、ご自身、あるいはご家族などで SSRI や抗精神薬などの処方環境にある場合はチェックされてみてほしいと思います。
(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});
研究論文ダイジェスト:精神薬は心臓の健康状態を悪化させ、消化管出血を引き起こす可能性がある
Weekly Research Digest: Psych Drugs Linked to Poor Heart Health and Gastrointestinal Bleeding
madinamerica.com 2026/02/06
観察研究、メタ分析、薬物安全性監視データ全体にわたって、抗精神病薬および抗うつ薬の使用は、心臓代謝異常、胃腸出血、不整脈イベントの報告またはリスクの増加と一貫して関連していた。
今週の「Mad in America」では、抗精神病薬と抗うつ薬に関連する有害事象に関する研究を検証している。この中には、両クラスの薬剤で不整脈のリスクが上昇することを発見した 2つの研究、抗精神病薬に関連する心臓の健康指標の悪化を発見した 1つの研究、抗うつ薬と胃腸出血との関連を発見したもう 1つの研究が含まれている。
非精神病性障害の小児および青年における長期抗精神病薬治療の心血管代謝への有害作用:利用可能なエビデンスの系統的レビュー
European Child & Adolescent Psychiatry (欧州児童青年精神医学)誌に掲載された新たな研究によると、精神疾患のない小児および青年における抗精神病薬の長期使用は、体重増加、高血糖、高コレステロール、メタボリックシンドロームなど、心臓の健康に悪影響を及ぼす複数の要因と関連していることが明らかにななった。
オーストラリア・シドニー大学のラーミャ・パドマヴァシー・ラッダ・クリシュナン氏が主導した今回の研究では、抗精神病薬が高血圧と関連している可能性を示すエビデンスも得られたが、この知見は検討された研究間で一貫していなかった。
本研究の目的は、精神病と診断されていない小児および青年における抗精神病薬の使用と心臓の健康に関連する有害作用との関連性に関する既存のエビデンスを検証することであった。
著者たちはメタアナリシスを用いて、精神病関連の診断を受けていない小児および青年に抗精神病薬を投与した臨床試験および観察研究を解析した。本分析に含めるには、研究は英語で発表され、抗精神病薬の使用期間が少なくとも 12ヶ月であることが必要であった。
研究は、有害事象の増加、減少、または変化なし/結論が出ていないに分類された。著者たちは、観察された関連の強さや統計的に有意かどうかは考慮していない。
著者たちは合計 15件の観察研究を調査し、114,141人の被験者を対象とした。被験者の大多数(83.4%)は男性だった。対象となった研究では 12種類の抗精神病薬が検討されており、リスペリドン (幻覚や妄想などの精神症状を改善する抗精神病薬)が最も多く使用されていた。
対象となった15件の研究のうち12件は、抗精神病薬の副作用として体重増加を検討した。
この 12件の研究のうち 11件(91.7%)で、抗精神病薬の使用後に被験者の体重増加が認められた。リスペリドンとアリピプラゾール (統合失調症、双極性障害等に使用される抗精神病薬)はいずれも有意な体重増加と関連していたが、クエチアピン(セロトニンとドパミン受容体に作用する抗精神病薬)とジプラシドン(統合失調症の治療に用いられる抗精神病薬)はより軽微な増加と関連していた。
15件の研究のうち 6件は高血糖について調査した。6件の研究すべてにおいて、抗精神病薬の使用後に高血糖の増加が報告された。
調査対象となったすべての抗精神病薬がこの増加と関連していた。6件の研究は高コレステロールについても調査し、そのうち 4件で抗精神病薬の使用後に善玉コレステロールが減少し、悪玉コレステロールが増加することが示された。
4件の研究は高血圧について調査し、そのうち 1件のみが血圧上昇とアリピプラゾールとの関連を示した。2件の研究はメタボリックシンドロームの存在について調査し、どちらの研究でもリスペリドンとメタボリックシンドロームの少なくとも1つの基準値の上昇との関連が示された。
特定のSSRIおよびSNRIによる消化管出血のリスク:系統的レビューとメタアナリシス
英国臨床薬理学ジャーナルに掲載された新たな研究によると、SSRI および SNRI 系抗うつ薬の使用は、消化管出血(GIB)のリスク増加と関連していることが明らかになった。ユタ大学のアイノア・ゴメス・ランブレラス氏が主導したこの研究では、イフェクサー (SNRI に分類される抗うつ薬)として販売されることが多いベンラファキシンが最も大きなリスク増加と関連していたことが報告されている。
本研究の目的は、特定の SSRI および SNRI 抗うつ薬とGIB(消化管出血)の関連リスクを検証することであった。
この目的を達成するために、システマティックレビューとメタアナリシスを用いた。著者たちは、6種類の SSRI(シタロプラム、エスシタロプラム、フルオキセチン、フルボキサミン、パロキセチン、セルトラリン)および2種類の SNRI (ベンラファキシンおよびデュロキセチン)と消化管出血との関連を調査した論文を検索した。
本研究に含めるには、特定の薬剤との関連で消化管出血流のリスクを検証し、そのリスク指標を含む研究が必須であった。症例報告および症例シリーズは除外した。本レビューおよびメタアナリシスには 20件の研究が含まれた。
著者たちは、「すべての抗うつ薬は、抗うつ薬を全く服用していない場合やプラセボを服用している場合と比較して、消化管出血(GIB)のリスクを有意に増加させる」と報告している。
SNRI(統合失調症治療薬)であるベンラフラキシン(イフェクサー)は、消化管出血(GIB)のリスク増加と最も関連が高かった。
このSNRIを使用している人は、消化管出血(GIB)を発症する可能性が 50%高かった。SSRI であるパロキセチン(パキシル)は、リスク増加率が 30%と最も低かった。
調査された他の薬剤は、次のように消化管出血(GIB)リスクを増加させた。
・シタロプラム(セレクサ) – GIBのリスクが38%増加
・フルオキセチン(プロザック) – 38%
・エスシタロプラム(レクサプロ) – 37%
・セルトラリン(ゾロフト) – 34%
・フルボキサミン(ルボックス) – 33%
・デュロキセチン(サインバルタ) – 32%
(※)注釈をつけておきます。
・シタロプラムは、大うつ病性障害、パニック障害、強迫性障害などに処方される SSRI (日本では未承認)。
・フルオキセチン(プロザック)は、うつ病や強迫性障害、摂食障害に使用されるSSRI(日本では未承認)。
・エスシタロプラムは、うつ病、社会不安障害の治療に用いられる SSRI 。日本での商品名は、レクサプロ錠など。
・セルトラリンは、うつ病などに処方される SSRI で、日本での商品名は、ジェイゾロフト。
・フルボキサミンは、うつ病、強迫性障害、社会不安障害などに処方される SSRI 。日本名は、デプロメールやルボックス。
・デュロキセチンは、うつ病や慢性疼痛などに処方される SNRI。日本名はサインバルタ。
抗精神病薬および抗うつ薬の使用と重度のQT延長との関連性の探究:心室性不整脈および突然心臓死への影響
(※) QT延長とは、心電図で心臓の興奮が収縮してから回復するまでの時間が通常より長くなる状態で、危険な不整脈(致死性不整脈)を引き起こしやすい状態です。
医学誌ハートリズム誌に掲載された新たな研究によると、チオリダジンやハロペリドール(※ 共に後に注釈をつけます)などの抗精神病薬は、しばしば不整脈につながる重度の Q T延長のオッズを有意に高めることが明らかになった。
台湾の長庚大学の王俊立氏が主導した今回の研究では、重度の QT 延長と抗うつ薬エスシタロプラム(一般にレクサプロとして販売されている)との間に同様の関連性が認められた。
本研究の目的は、抗精神病薬および抗うつ薬に曝露された人々における重度の QT 延長の発生率を調査することであった。
著者たちは、台湾の電子カルテデータを用いてこの関連性を調査した。本研究の対象者には、抗精神病薬または抗うつ薬を処方され、ベースラインおよびフォローアップの心電図検査を受けていることが条件とされた。著者たちは合計 43,526人のデータを検討し、そのうち 28,892人が抗精神病薬を服用し、14,634人が抗うつ薬を服用していた。
以下の 5種類の抗精神病薬が重度の QT 延長と関連していた。
・チオリダジン – リスク445%増加
・ハロペリドール – 288%
・クロチアピン – 217%
・クロルプロマジン – 201%
・スルピリド – 152%
(※)注釈をつけておきます。
・チオリダジンは、統合失調症治療等に用いられていた第1世代抗精神病薬ですが、現在は使用が中止されています。
・ハロペリドールは、強い精神安定作用を持つ抗精神病薬です。日本での商品名はセレネースですが、多くのジェネリックが存在します。
・クロチアピンは、統合失調症の治療に用いられる向精神薬。日本での商品名はセロクエルですが、多くのジェネリックが存在します。
・クロルプロマジンは、強い鎮静作用を示す抗精神病薬。日本での商品名は、コントミンやウインタミンなどです。
・スルピリドは、抗うつ効果や統合失調症治療、あるいは胃潰瘍の治療などにも使われる抗精神病薬で、かなり一般的なものです。日本の商品名は、ドグマチールです。
抗うつ薬のエスシタロプラム(レクサプロ)とフルオキセチン(プロザック)も、重度の QT 延長(それぞれ 89%と 54%)との関連が認められた。
著者たちは、複数の薬剤を併用した場合、これらのリスクはさらに大きくなると指摘している。重度の QT 延長は、抗精神病薬使用者における心室性不整脈(191%増加)および突然心臓死(116%増加)のリスク増加と関連しており、抗うつ薬使用者における心室性不整脈のリスク増加も 178%増加した。
ここまでです。
この後、抗うつ薬に関連する不整脈の調査なども続くのですけれど、ともかく、このタイプの薬剤は、消化管出血、不整脈や心臓の問題を引き起こす可能性がそれなりに大きいという内容でした。
それにしても、
> 抗うつ薬使用者における心室性不整脈のリスク増加も 178%増加した。
というのは相当高い数字ですね。
これらの薬は、それなりにリスクを知ってから服用するべきものだとつくづく思います。
>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
▶ ご登録へ進む