地球の最期のときに

アメリカの「超過死亡数」が、依然としてコロナ以前の水準を上回っていることを示した研究を見て思う今後の社会



投稿日:




(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});

緩慢な大量死の時代へと

最近の『あの世についての書』というようなものをご紹介した記事でもふれましたが、まあ、今は「死の時代」だと私は認識しているのですが、最近、アメリカの医学誌 JAMA (米国医師会雑誌)に、2023年までのアメリカ人の超過死亡率についての研究が掲載されました。

その論文によりますと、2023年の時点でも、まだパンデミック前の 2019年の超過死亡率より高い水準のままであることが示されていました。

数字としては、以下のようになります。


2019年 超過死亡数   63万1247 (全死亡数の22.1%)
2020年 超過死亡数 100万8369 (全死亡数の29.8%)
2021年 超過死亡数 109万8808 (全死亡数の31.7%)
2022年 超過死亡数   82万396 (全死亡数の25.0%)
2023年 超過死亡数   70万5331 (全死亡数の22.9%)

これを見ますと、1980年以来、アメリカの超過死亡は一貫して増えているのですけれど、やはり、2020年 (ロックダウンの年)と 2021年 (ワクチン開始の年)は突出しています。

2021年などは、全死亡数の 3分の1近くが超過死亡に該当するということになっていて、穏やかではない感じではあります。

以下も、論文にあったグラフです。

アメリカの超過死亡率の推移


JAMA

2021年に急激に上昇していますが、それでも、2021年を頂点として、少しずつ超過死亡は減ってきてはいます。

この原因について、論文の著者のひとりは、メディアに以下のように語っていました。

「これらの死亡は、薬物の過剰摂取、銃による暴力、自動車事故、そして予防可能な心臓代謝性疾患による死亡といった、長期にわたる危機によって引き起こされています」

薬物の過剰摂取、銃、そして、自動車事故などを原因として挙げていますけれど、先ほどの「 2019年の超過死亡数が 63万だったのに対して、2021年は 109万となった」という、

「超過死亡が 46万人も唐突に増えた」

ことについて、その薬物の過剰摂取、銃、そして、自動車事故の統計も見てみました。

まず、薬物の過剰摂取にわる死亡、これは多くがフェンタニルですが、確かにパンデミックのときに急激に増えています。

アメリカのオピオイド(ほぼフェンタニル)の過剰摂取による死亡数

NIH

2020年に唐突に増えたのは、まあ、ロックダウンの影響もあったと思いますが、しかし、「数」だけ見れば、2019年に 5万人ほどの死亡数だったものが、2022年に 8万人を超えたということで、「 3万人」増えています

多少は超過死亡の増加と関係あるかもしれません。

銃による死亡はどうでしょうか。

アメリカの銃による死亡数の推移

THE TRACE

これも増えているには増えていますが、2019年から 2021年までの増加数は、約 5000です。

では、自動車事故は?

アメリカの自動車事故による死亡数の推移

freedomforallamericans.org

これも 2019年からだと、やや増えていますけれど、3000件くらいの上下です。2022年、2023年は、むしろ、それぞれ前年より減少しています。

結局、先ほどの論文著者の方が述べていた、薬物の過剰摂取、銃による死亡、自動車事故の統計をすべて合わせても、4万に届くものではなく、2021年の「 109万の超過死亡」いう数に与える影響はあまりなさそうです

つまり、

「原因は他の、もっと別のところにある」

はずです。しかも、ターニングポイントの年代がはっきりとしている。

いまさらワクチンがどうこう書くのも粋ではないですので、今回はふれないですが、そもそもアメリカでは、

「 2021年以来、障害を持つ労働年齢の人が著しく増えている」

という現実があります。

16歳- 64歳の障害を持つアメリカ人の数の推移
(2009年-2024年12月6日まで)

BDW

2021年以来、過去には見られなかった上昇となっています。くどいようですが、障害を持つ高齢者ではなく、労働年齢つまり 16歳から 64歳までの人たちです。経済に直接影響を与える人たちの多くが何らかの障害を持つようになっている。

これに関しては、2025年の現在でも上昇し続けていますので、2021年ほど顕著な超過死亡率の増加は今後はないにしても、以前のような超過死亡率に戻ることもまたないと見られます。

若い人たちの心筋の問題は永続的に続くでしょうし、比較的若い高齢者の老衰の増加に関しては、今さら修正のしようがないものです。

世界はもう元には戻らないともいえそうです。

JAMA に掲載された論文を記事にしてメディア記事をご紹介して、締めさせていただきます。




(adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({});


「失われたアメリカ人たち」:米国の超過死亡者数は依然としてコロナ以前の水準を上回り、100万人を超える

“Missing Americans”: US Excess Deaths Still Above Pre-COVID Levels, Upwards Of 1 Million
iflscience.com 2025/05/24

アメリカの超過死亡率は、パンデミック中に見られた急増から回復していない。

新たな調査によると、2022年から 2023年の間に 150万人の「失われたアメリカ人」がいたという。

この数字は超過死亡数、つまり米国の死亡率が類似諸国と同等であったと仮定した場合に生きていたであろう人数を指す。

米国の超過死亡数は数十年にわたり着実に増加していたものの、 COVID-19 パンデミックのピーク時に記録された数値から完全に回復しておらず、その原因は何なのかという疑問が生じている。

COVID-19 は他の高所得国よりも米国に大きな打撃を与え、2020年と 2021年に死亡率の急上昇を引き起こした。

世界保健機関のデータによると、これまでに世界中で 700万人以上が命を落としたパンデミックのうち、100万人以上が米国で発生した。

しかし、今回の新たな研究は特に超過死亡、つまり米国の死亡率が他の高所得国と同じであれば発生しなかったであろう死亡に着目していた。

この統計は、COVID-19 が出現する何年も前から懸念すべき方向に推移していた。

「米国は数十年にわたり長期にわたる健康危機に陥っており、健康状態は他の高所得国よりもはるかに悪い」と、ボストン大学公衆衛生大学院の国際保健および疫学の准教授で、この研究を主導したジェイコブ・ボー博士は声明で述べた。

「この長期的な悲劇は、COVID-19 パンデミックの影で展開し続けたのです」

1980年から 2023年の間に、米国では推定 1,470万人の超過死亡が発生した。2023年には、超過死亡は米国の全死亡数の約 23%を占めることになる。

パンデミックのピークであった 2021年には、その年だけで約 110万人の超過死亡が発生した。2023年の 705,331人という数字は、正しい方向への一歩のように聞こえるかもしれないが、それでも 2019年の数字より数万人多いことになる。

若い労働年齢層のアメリカ人が、不釣り合いなほど大きな影響を受けているようだ。この研究によると、年齢層別の死亡率が他国と同水準であったならば、米国の 65歳未満の死亡者全体の 46%は発生していなかっただろうという。

米国の超過死亡率の推移

パンデミックが発生していたとしても、超過死亡数の大幅な増加は当然のこととはいえない。

経済協力開発機構(OECD)の最近の調査によると、ニュージーランド、ノルウェー、アイルランドを含む 9か国では、パンデミックの最悪期であった 2020年から 2022年にかけて、実際には超過死亡は記録されていなかった。

(※ 訳者注) この「ニュージーランド、ノルウェー、アイルランドを含む 9か国では超過死亡は記録されていなかった」というのは、やや疑問です。以下の記事などをご参照いただけれけばと思います。

(参考記事)
ニュージーランド政府に情報公開法を通して死亡数データを要求した結果「2022年の 0歳 – 4歳の死亡数が前年の約2倍」だったことが判明。公式の数字が改ざんされていた模様

ノルウェーで統計開始以来はじめてとなる「若年世代の超過死亡」が発生中

アイルランドの2022年12月からの死亡者数が同時期として過去最大の増加。葬儀は混乱し、政治家たちは「超過死亡の原因の調査」を求める

この研究では、米国のデータを英国、カナダ、日本を含む他の 21の高所得国と比較した。同じく主任著者であるアンドリュー・ストークス博士は、国民皆保険や、より広範な社会福祉制度といった点で、米国と他の裕福な国々との間の政策格差を強調した。

「これらの死は個人の選択ではなく、政策の怠慢と根深い社会・医療制度の欠陥を反映しています」とストークス氏は語った。

「 2023年の米国の 70万人の超過死亡は、パンデミックがなかったとしても、過去の増加傾向に基づいて予測されるものと全く同じです」と、共著者であるミネソタ大学のエリザベス・リグレー=フィールド博士は述べ、その原因についてもいくつかの示唆を示した。

「これらの死亡は、薬物の過剰摂取、銃による暴力、自動車事故、そして予防可能な心臓代謝性疾患による死亡といった、長期にわたる危機によって引き起こされています」

著者らは、超過死亡率の背後にある要因を完全に理解するにはさらなる研究が必要であることに同意しているが、他の国の成功した社会プログラムを参考にすることが良いスタートになるだろうと示唆している。

しかし、トランプ政権による最近の政策決定は、ボル氏に将来への懸念を抱かせている。

「公衆衛生、科学研究、セーフティネットプログラム、環境規制、連邦政府の健康データへの大幅な削減は、米国と他の裕福な国々の間の健康格差をさらに拡大し、米国人の過剰死亡数(そして完全に予防可能な死亡数)の増加につながる可能性があります」

「もし米国が他の国々の平均レベルを維持しただけで、どれだけの命が救われ、どれだけの悲しみやトラウマが回避できたか想像してみてください」とボー氏は付け加えた。

「アメリカで 65歳未満の死亡者の 2人に1人は、おそらく避けられたはずです。この問題に対処できないのは、国家的なスキャンダルです」

>> In Deep メルマガのご案内
In Deepではメルマガも発行しています。ブログではあまりふれにくいことなどを含めて、毎週金曜日に配信させていたただいています。お試し月は無料で、その期間中におやめになることもできますので、お試し下されば幸いです。こちらをクリックされるか以下からご登録できます。
ご登録へ進む