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身体の「自然」がすべてを治してくれている
まあ、この2年ちょいちょいのコロナ生活の中で、以前よりはっきりと認識させられたことが、
「人間の身体の《自然のメカニズム》に逆らうようなことをしてはいけない」
ということでした。
つまり、この期間は、「逆らうようなこと」ばかりが奨められてきたからです。
たとえば、過剰な消毒は、身体の全域にある常在菌や常在ウイルスたちへの悪影響だけがあるものであり、本来は、コロナと関係なく、
「どんな局面でも、人間はふだんの生活で消毒剤なんか使っちゃダメ」
ということについて、以前から薄々とは感じていたわけですけれど、コロナの中の「狂気の消毒社会」を見るにつれ、それを調べる中で「消毒は悪」だということを確信しました。
それに関しての過去記事は多いですけれど、下のリンクに一覧があります。
[記事リンク] In Deep の「過剰な消毒の悪影響」に関しての記事一覧
これも特に「子ども」が影響を受けるのですね。
腸内を始めとした体内のさまざまな常在菌の基礎を築く発達期に、「それが奪われてしまう」という。
私自身は、子どもに対しての過剰な消毒は、明らかに「早期の死へ向かわせる生活習慣」だと考えています。以下の記事に、論文や過去記事などでそのことをご紹介しています。
[記事] 過剰な消毒がどのように小さな子たちを殺していくか
In Deep 2021年10月21日
スーパーとかで見ていると、今でも入店の時に消毒剤を手につけて、あまつさえ、持参の布でスーパーのカゴを消毒剤で拭いたりしている人さえいます。まあ、そういう人は高齢の方が多いのですが、子どもにそういう習慣をつけさせることは絶対的な「悪」です。
まあしかし、今回はコロナのこととまったく関係ない記事で、ポイントは、最初に書きました、「人間の身体の《自然》に逆らうようなことをしてはいけない」ということをさらに痛感させてくれた科学誌サイエンスに掲載された「痛みと抗炎症剤」についての研究論文の話です。
少し話が逸れますが、この「人間の身体の《自然》に逆らうようなことをしてはいけない」ということの日常での最大のものは、
「発熱を薬で下げてはいけない」
ということがあります。
以下の 2019年の記事にあります。
[記事] 熱を下げてはいけない : 感染症の治癒メカニズムが人体で発動するのは「体温が《38.5℃以上》に上がったときのみ」であることが中国科学院の研究で判明
In Deep 2019年1月19日
ここでご紹介した中国科学院の研究は、ウイルスなど病原体に感染した際に、
「体温が 38.5℃以上になった時、初めて体内の有効な治癒メカニズムが発動する」
ことを明らかにした研究でした。
つまり、「熱が出ないとその病気は治らない」とも言えるのです。
たとえば、体温が 38℃などの時に熱を下げる薬を飲むと、「熱が下がるために、治癒メカニズムが発動しない」という状態が続き、その病気がなかなか治らない、ということになるということです。
紀元前 400年頃の古代ギリシャの医師ヒポクラテスは、「患者に発熱するチャンスを与えよ。そうすればどんな病気でも治してみせる」というようなことを述べたと伝えられていますが、本当その通りであることが、2019年になってわかったということでした。
このヒポクラテスというのは不思議な人で、二千数百年前に、「すべての病気は腸から始まる」とも述べていました。
しかし、まさか、ヒポクラテスさんも、それから二千数百年後の地球に、第四級アンモニウム塩とか次亜塩素酸ナトリウムなどという、
「腸内細菌抹殺ツール」
が出てくるだろうとは思いもしていなかったとは思います。
腸内細菌どころか、第四級アンモニウム塩は、ミトコンドリアを殺すことが研究でわかっています。以下の記事に論文などがあります。
[記事] 多くの消毒剤に用いられる第四級アンモニウム塩は、人間の生存に必須の「ミトコンドリア」を殺す
In Deep 2021年2月24日
こんなので毎日殺菌しているというのは、もう緩慢な自死ですよ。
話が逸れましたが、今回の話は、
「痛み」
です。
痛みというのは、多くが炎症などからもたらされるわけですが、
「炎症を薬で止めると、痛みが慢性化する」
ことが見出された研究で、これは、痛みに対して炎症を薬で止めるという現代の医療の常識的処置について、非常に大きな問題が提起された論文です。
まずは、そのカナダのマギル大学の研究者たちとイタリア人研究者たちの研究論文を紹介していました医療メディアの記事をご紹介します。
論文自体は以下にあります。サイエンスに掲載されたものです。
(論文)好中球の活性化を介した急性炎症反応は、慢性的な痛みの発症を防ぐ
Acute inflammatory response via neutrophil activation protects against the development of chronic pain
このタイトルはやや難しいですけど、簡単に書けば、「炎症そのものに、痛みを治していくメカニズムがある」ということです。
発熱同様に、炎症を薬で抑えることには問題がある可能性が出てきています。
ここからです。
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薬剤による炎症の遮断は、慢性的な痛みにつながる可能性があることが明らかになった
Discovery reveals blocking inflammation may lead to chronic pain
Medical Xpress 2022/05/11
カナダのマギル大学とイタリアの研究者たちによる研究で、抗炎症薬とステロイドを使用して痛みを和らげると、慢性的な痛みを発症する可能性が高くなるかもしれないことがわかった。彼らの研究は、痛みを和らげるために抗炎症薬やステロイドが使用される従来の医療的慣行に疑問を投げかけている。
痛みを伴う怪我からの通常の回復には、炎症が含まれるため、炎症を薬でブロックすると、治療が困難な痛みにつながる可能性があることが見出されたのだ。
研究者のマギル大学心理学部のジェフリー・モギル教授は以下のように述べる。
「何十年もの間、抗炎症薬で痛みを治療することは標準的な医療行為でした。しかし、この短期的な解決策は長期的な問題につながる可能性があることがわかったのです」
良くなる人と良くならない人の違い
サイエンスに掲載されたこの研究では、研究者たちは人間とマウスの両方の痛みのメカニズムを調べた。彼らは、好中球(体が感染と戦うのを助ける白血球の一種)が痛みを解決する上で重要な役割を果たすことを発見した。
マギル大学医学部、歯学部の教授であるルーダ・ディアチェンコ氏は、以下のように述べた。
「腰痛に苦しむ人々の遺伝子を分析する際に、痛みがなくなった人々の遺伝子の活発な変化を経時的に観察しました。血液細胞とその活動の変化は、特に好中球と呼ばれる細胞において最も重要な要因であるように思われました。炎症は痛みを解決する上で重要な役割を果たしていることがわかったのです」
ディアチェンコ教授は「好中球は炎症の初期段階を支配し、組織損傷の修復の段階を設定します。炎症は、理由があって発生し、つまり、その炎症を妨げるのは危険なようです」と述べる。
マウスで実験的に好中球をブロックすると、痛みの期間は通常の 10倍まで延長された。デキサメタゾン (ステロイド系抗炎症薬)やジクロフェナク (非ステロイド性抗炎症薬)などの抗炎症薬やステロイドで痛みを治療すると、初期の痛みには効果があったが、同じ結果(痛みの期間が長くなること)が得られた。
これらの調査結果は、英国の 50万人の別の分析によっても裏付けられており、痛みを治療するために抗炎症薬を服用している人は、 2年 – 10年後まで痛みを感じる可能性が高い。この効果は、アセトアミノフェンや抗うつ剤を服用している人には見られない。
急性疼痛の標準治療の再考
研究者のひとり、イタリアのモンツァ病院のマッシモ・アッレグリ医師は以下のように語る。
「私たちのこの調査結果は、急性の痛みを治療する方法を再考する時期かもしれないことを示唆しています。幸いなことに、炎症を妨げない他の方法で痛みをなくすことはできます」
ディアチェンコ教授は以下のように述べる。
「痛みの解消は実際には活発な生物学的プロセスであることがわかりました。今回の発見は、抗炎症薬と、痛みを和らげるが炎症を妨げない他の鎮痛剤と直接比較する臨床試験によってフォローアップされるべきです」
ここまでです。
これを読みまして、「ふーむ」と唸りました。
先ほど書きました「発熱が病気を治している」のと同様に、「炎症が痛みを治している」ということのようです。
しかしまあ、これは難しい問題でもあり、つまり、
「痛みを薬で抑えることは、現在の医学であまりにも一般的な方法となっている」
ということがあります。
上の記事ですと、
・ステロイド系抗炎症薬
・非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs)
の「どちらもダメ」のようです。
私たちが日常で一般的に用いる解熱鎮痛剤は、このうちの「非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs)」というもので、これはあまりにも日常的です。
たとえば、市販の解熱鎮痛剤で、以下のような名称ものはよく知られているのではないでしょうか。全部、非ステロイド系抗炎症薬 (NSAIDs)です。
アスピリン、イブ、ロキソニン、ノーシン、セデス、ボルタレン、ポンタール……。
他にもいくらでもありますが、これらを急性の痛みに使用すると、結果として「痛みが慢性化する」ということがわかったというものです。
まあしかし、難しいですよね。
私は今はないですが、ずいぶん以前、長く頭痛に悩まされていたことがあり、どうしようもない時には、ロキソニンとかを飲んでいました。
ああ…でも、鎮痛剤を飲むのをやめてから、少しずつ頭痛がなくなっていった……ということも今思い出しました。
痛みへの対処を我慢するということが大変に難しいものであることは私も知っていますが、しかし、「気軽に飲んだ非ステロイド系抗炎症薬が、結局、痛みを長引かせる」ということになるということになると、考えることでもあるのかもしれません。
もしかすると、今の世界で全体的に慢性的な痛みに悩まされている人が多い理由はこれなのではないかという気さえします。
つまり、
「日常的に痛み止めの抗炎症薬を飲み続けているため、いつまで経っても痛みが消える炎症メカニズムが作動しない」
ということにより、結局、痛みが慢性化している人たちが多いのかもしれません。
ただ、上の記事を読む限り、「痛みを取ることが悪いのではない」ようで、「炎症を抑えることが悪い」ということですので、炎症を抑えずに痛みを取る薬、というのが消極的な選択なのでしょうか。
そのような薬の種類は、私が知っているのは、
「アセトアミノフェン」
くらいです。
> アセトアミノフェンはアスピリンやイブプロフェンなどの非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) と異なり、抗炎症作用はほぼ有していない。 (Wikipedia)
あ、そうだ。
アセトアミノフェンは、普通の方々が飲む分には特に問題ないのかもしれないですが、「妊娠されている方」はやめたほうがいいのかもしれません。
2017年の研究で、妊娠中にアセトアミノフェンを服用した妊婦さんは、子どもが、その後、ADHD (注意欠如・多動症)となる率が有意に高かったことが示されています。こちらの過去記事にあります。
なお、今回の研究を主導したカナダのマギル大学は、カナダ最古の名門中の名門ですが、以前、疼痛疾患である「線維筋痛症」の根本的な原因が「腸内細菌環境の変化」であることを突きとめた論文を発表していました。
以下にあります。
[記事] 原因不明とされる疼痛疾患「線維筋痛症」の根本的要因は「腸内細菌環境の変化」であることがカナダでの研究により判明。病気と関係する細菌19種が特定され、治療への道が開く可能性も
In Deep 2019年12月25日
話が最初にふれたことに戻りますが、線維筋痛症の発症の要因が「腸内細菌環境の変化」であるなら、現在の過剰な消毒社会は、その「芽」を広げている気がします。
過剰な消毒は、期間が長ければ、必ず腸内細菌環境の組成に影響します。腸内細菌環境の組成の変化が、線維筋痛症のような痛みと関係しているのなら、今後の社会では、線維筋痛症ではなくとも、慢性的な痛みを訴える人たちが非常に多くなると思われます。
そして、痛みに対して、自主的に非ステロイド性抗炎症薬を飲む、あるいは、病院でステロイド性抗炎症薬を処方される、等というのが現在の医療では一般的です。
そのことによって、痛みはさらに慢性化していく……ということが今回わかったわけです。
なかなか厄介なことが積み重なりますね。