オープンアクセスの科学誌プロスワンに掲載された医学論文
NHK 健康ch より
妊娠中に使っても比較的安全だといわれている「かぜ薬」や「解熱・鎮痛薬」は、「アセトアミノフェン」です。
生まれてくる子どもたちへの影響を作っているひとつの原因は
世界中で ADHD (注意欠陥・多動性障害)の子どもたちが爆発的な率が増加しています。現在、日本やアメリカを含めた主要国では、この ADHD と、自閉症の子どもたちの数の増加は途方もないものとなっています。
このことは、今から 2年ほど前の記事、
・アメリカで驚異的に増え続ける ADHD の子どもたち。しかし、それよりも、今でも「日本の子ども」の治療に使われているのが、コカインや覚醒剤と同じリタリンもどきだったとは・・・
In Deep 2015/12/16
に、アメリカのジョージ・ワシントン大学の科学者が、アメリカ国内の ADHD の子どもたちの数が劇的なペースで増加していることを突き止めたことなどをご紹介しました。
・New report finds 43 percent increase in ADHD diagnosis for US schoolchildren
この「 43%」というのは、つまり倍増に近いことを意味すると理解しますが、それが 2003年から 2011年までという非常に短期間で起きていることへの驚きを含めた報道でした。
日本では ADHD に関してこのような詳細な調査は存在しないですが、医学的な事象に関しては、アメリカで起きていることは、大体のところは日本も同じような推移を見ますので、推定としては似たような増加を示していると考えられます。
下の記事では、マサチューセッツ工科大学の調査と研究で、このままのペースで自閉症の子どもの率が増加すれば、「 2025年には、アメリカの子どもの半数に自閉的傾向が見られる可能性がある」ということまで述べる科学者もいることが記されています。
MITの調査によるアメリカでの自閉症の子どもの増加
・MIT Senior Scientst States that Half of All Children May Be Autistic by 2025 due to Monsanto
自閉症と ADHD はちがいますが、どちらも「同じような増加曲線を描いている」という意味で、原因が似たものである可能性がありますが、それらの原因はどちらも「漠然」ともわかっていない部分があります。
しかし、いろいろな複合要因があるかもしれないとはいえ、「どんなものにも原因は必ずある」と考えるのが妥当で、もちろん、それは病気や症状によって違うものではありますけれど、先ほどのジョージ・ワシントン大学の研究のように「数年間で倍増する」などということには、相当直接的な原因が存在しているはずです。
そして、そういう中で、
「これが ADHD のひとつの原因かもしれない」
と思われるものが、冒頭に示しました「アセトアミノフェン」です。この研究は、妊娠中にアセトアミノフェンを配合されている薬を使用することにより「その子どもが将来的に ADHD になりやすくなる可能性」を示したものです。
アセトアミノフェンというように書くと、わからない方もいらっしゃるかもしれないですが、「日本のきわめて多種類のかぜ薬や頭痛薬に配合されているもの」といえば、おわかりになるかもしれません。Wikipedia - アセトアミノフェンにも、以下のように書かれています。
アセトアミノフェンは、米国と欧州で最も利用される鎮痛薬・総合感冒薬である。
鎮痛剤として多く頓服処方されている。関節炎、痛風、腎結石、尿路結石、片頭痛、疼痛、歯痛、外傷、生理痛、腰痛、筋肉痛、神経痛、小規模から中規模な手術後などの鎮痛目的で使用される。
このように、主要国ではとても一般的な薬で、日本でも、市販薬の画像検索をしてみると下のような見知った商品がずらっと並びます。
他にも羅列できないほどの数のかぜ薬や鎮痛剤にアセトアミノフェンが使われていると思われますが、もちろん、「アセトアミノフェンに有用な部分が多いから」数多く使われているということは事実で、副作用にしても、アセトアミノフェンは、胃潰瘍などの重篤な副作用が出やすい鎮痛剤である「非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) 」とはちがい、比較的穏やかだと言えます。
それだけにかなり安全なものとして考えられてきまして、そのために濫用にも近い処方となっているのだと思います。このあたりはベンゾジアゼピン系のメンタル薬の濫用とも状況は似ています。
そして、従来は、アセトアミノフェンは妊娠中に服用しても「胎児への影響が少ない」とされていました。
ところが最近、妊娠中のアセトアミノフェンの服用と、生まれた子どもの「その後の成長での問題」の関係が非常に強いことがわかり始めていまして、冒頭のプロスワンの論文もその関係のものです。
このプロスワンの研究とその結果は以下のように記載されています。
妊娠中にアセトアミノフェンを使用した場合の7歳と11歳時点でのADHD(注意欠陥/多動性障害)症状判定結果との関連
[研究の目的] 妊娠中のアセトアミノフェン使用と就学年齢の子どもの ADHD 症状との間に最近発見された関連性を再現すること。
[研究の方法] オークランド(ニュージーランド)で、妊娠中期のヨーロッパ系の 871人の乳児を対象に調査した。
その参加者たちが妊娠中に薬物使用(アセトアミノフェン、アスピリン、制酸薬、抗生物質)をした場合の、その子どもたちの行動障害および ADHD の症状に関して、その子どもが 7歳になった時の親からの報告と 11歳になった時の親と子ども両方からの報告で測定した。分析には、出生時体重、社会的経済的状況、および母親が知覚する出産前の複数の共変量が含まれている。
[結果] アセトアミノフェンは、研究に参加した妊娠中の母親の 49.8%が使用していた。妊娠中にアセトアミノフェンを使用した場合、その子どもの成長における困難の度合いに有意に高いスコアが見いだされたが、他の薬(アスピリン、制酸薬、抗生物質)では有意な差はなかった。また、妊娠中にアセトアミノフェンを使用した母親の子どもは、7歳と11歳の時点で ADHD のリスクが高かった。
ここまでです。
これは、妊娠中のお母さんたちのその子どもたちを「 11歳まで追跡した」というもので、過去になかった長期的な研究です。
調査の対象としての薬は、
・アセトアミノフェン
・アスピリン
・制酸薬(胃の薬)
・抗生物質
とされて(おそらくは、妊娠中に使用する率が高い薬ということなのかもしれません)、その中で、生まれた子どもたちが 7歳と 11歳の時点で ADHD と診断された割合が、「妊娠中にアセトアミノフェンを使用した場合」に有意に高かったというものです。
アスピリンが何でもなくて、安全と言われているアセトアミノフェンにだけ増加が見られたというところが興味深くはあります。
最近、この問題に関して、さまざまな調査や研究をまとめた記事を見たのですけれど、妊婦さんのアセトアミノフェンの服用が、おなかの胎児の「脳」に影響を与える一種の神経毒のような形で作用することが、マウスの実験でわかったようで、アメリカ・メリーランド大学薬理学科の研究では、「アセトアミノフェンによる胎児の脳損傷のメカニズム」が解明されたということも記されていました。「脳損傷」という表現が衝撃的ではあります。
とはいえ、これに関してのすべての論文を読んだところで、あまり意味はないことで、つまりは、妊娠されている方は、
「アセトアミノフェンの配合されているものは飲まない」
ということでいいのではないでしょうか。「極力避ける」というような消極的なことではなく「飲まない」と。
頭痛を持ってらっしゃる方などにとっては大変だとは思うのですが、個人的な経験でいえば、頭痛の頻発は治すことができるものだと考えています。
実は私も 10年くらい前から 2年ほど前まで偏頭痛に頻繁に襲われました。
これは、過去記事というか、過去日記の、
・不明熱
In Deep 2011/06/21
というものに書いていますが、2008年頃から毎晩のように偏頭痛があり、そのたびに頭痛薬を飲んでいたのです。
しかし、3年くらい前でしょうか、自分で書いた In Deep の記事によって、
「薬は良くない」
と初めて気づいたのです。そして、無理のない程度に薬と病院をやめる生活に少しずつ向かっていきました。
それは下の 2015年4月の記事ですから、3年も経っていません。
・基本的に「すべての薬」は人間に良くないという理由の理論的なメカニズムがわかったのです
In Deep 2015/04/02
私でいえば、当時、
・頭痛薬
・ベンゾジアゼピン系の抗不安薬
・胃薬
は「三種の神器」と思っていたほど手放せないものでしたが、上の記事を書いて以来、やめる方法はわからなかったですけれど、とにかく「やめよう」という方向で来ました。
そして、1年後くらいには、頭痛薬とベンゾジアゼピン系の抗不安薬を、ほぼやめることができるようになりました。
最近は、ついに悲願だった「胃薬」も、まだ完全ではないですが、ほぼ頼らなくて済むようになりました。
この、胃の調子の健全化については、その方法論は「所沢ノーベル賞」を受賞するくらいの価値はあると思います(小さい賞だな)。
まあしかし、それらの薬をやめてきた方法の詳細は、医者でも何でもない素人の私による個人的な方法論であり、多くの人に当てはまることはないかもしれないですので、それを書くのはとても無責任であり、今は書きません。書いても無責任ではない! と言い切る自信ができましたら書きたいとは思いますが、まだそのようには思えません。
いずれにしましても、女性の方で、「今後妊娠する可能性があって」、それで「現在、頭痛薬を常用している」という場合などは、積極的に対策を考えるのもいいのではないでしょうか。
ADHD あるいは自閉症の子どもたちが劇的に増加している原因は決してひとつやふたつの理由ではないとは思いますが、少しでも懸念を減らすことができるのなら、それに越したことはないような気がするのです。
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