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4月12日にメルマガ夢見と古代ギリシャと「痛みとの個人的歴史」が混沌とを発行させていただきました。

人類の未来 健康の真実

原因不明とされる疼痛疾患「線維筋痛症」の根本的要因は「腸内細菌環境の変化」であることがカナダでの研究により判明。病気と関係する細菌19種が特定され、治療への道が開く可能性も

投稿日:2019年12月25日 更新日:


NNR




 

人間の「感覚」を司る神経伝達物質を作り出すのは腸内細菌なのだから

女性のアナウンサーか何かの方が「線維筋痛症」になったという記事を読みました。私は日本のアナウンサーをほとんど誰も知らないですので、どのような方なのかはわからないですが、線維筋痛症については、以前から非常に厳しい病気だと認識していました。

2007年頃には、やはり女性アナウンサーの方で、線維筋痛症を発症して自死された方もいたと記憶しています。

これは簡単にいえば、「痛み」の疾患なのですが、その痛みの激しさは、たとえば、線維筋痛症 - Wikipedia にある以下のような表現でも、多少ではあるにしても説明できている部分はあるのかもしれません。

線維筋痛症 / 症状

骨格筋の激しい痛みが、線維筋痛症の主な症状であるが、その激しさを表現するのに、「体の中で火薬が爆発するような痛み」「万力で締め付けられるような痛み」「キリで刺されたような痛み」「ガラスの破片が体の中を流れるような痛み」などと形容される

この病気の原因は、これまで「完全に不明」でした。

以下も線維筋痛症 - Wikipedia からの抜粋です。

線維筋痛症 / 原因

原因は不明であり、医師が通常行なう血液検査では異常が現れない。CTスキャン、MRIを検査しても異常を発見できない。また、この病気が診断できる特別な検査は2015年時点で存在しない。診断が非常に困難な症例が多いが、圧痛点による簡易的な見分け方が知られる。

このようなものだったのですが、実は最近、

「線維筋痛症が、腸内細菌環境の変化と関係している」

ことと、

「80パーセント以上の精度で線維筋痛の診断が即座に確定できる可能性」

が、今年、カナダの複数の大学と科学研究所の研究によって発表されていました。

ブログでは最近、「いろいろな疾患の根本原因が腸内細菌環境の変化にある」ことを取り上げることが多いですが、線維筋痛症もそうだったようです。しかし、今回のアナウンサーの方の記事を少し見ましたが、線維筋痛症と腸内細菌環境の関係が書かれてあるものがないように思いましたので、その発表を報道していたアメリカの科学記事をまずはご紹介します。

その後に「原因不明の痛みの症状への対処」についての私見を書かせていただきます。

なお、欧米では、糞便移植を含めた「腸内細菌環境の視点からの治療」が拡大していますので、今後、線維筋痛症の治療法が確立する可能性はあると思います。

何しろ線維筋痛症と関係している腸内細菌が特定されているのですから、それが病気の結果としてではなく、原因であるならば、治療への道は開けると思われます。

ここからです。

 


Fibromyalgia Linked to Gut Bacteria for First Time
technologynetworks.com 2019/07/25

線維筋痛症が腸内細菌環境と関係していることが初めて示される

科学者たちは、慢性疼痛を伴う線維筋痛症において、腸内微生物叢の変化との相関関係を発見した

線維筋痛症とは慢性疼痛を伴う疾患だが、人口の 2〜 4%に影響を及ぼしているとされており、治療法はまだわかっていない。

この疾患の症状には、疲労、睡眠障害、認知障害などもあるが、何より、この病気の最も顕著な特徴は、広範囲にわたる厳しい慢性疼痛だ。

アメリカ疼痛学会が発行する医学誌「ザ・ジャーナル・オブ・ペイン(The Journal of Pain)」において発表された論文で、カナダのモントリオールに拠点を置く研究チームは、線維筋痛症の人々の胃腸管内の細菌に変化があることを初めて示した。

約 20種類の異なる細菌が、健康なコントロールグループよりも病気に苦しんでいる参加者の微生物叢で、より多いまたは少ない量として見出された。

 
特定の種の細菌の存在の有無

研究は、カナダのマギル大学、モントリオール大学、モントリオール神経科学研究所(MUHC)の研究者たちによるものだ。論文の筆者であるアミール・ミネルビ博士(Dr. Amir Minerbi)は、以下のように述べる。

「人工知能(AI)など、さまざまな手法を使用して、線維筋痛症患者の微生物叢に見られる変化が、食事、投薬、身体活動、年齢などの要因によって引き起こされたものではないことを確認しました」

ミネルビ博士は次のように付け加える。

「また、患者の症状の重症度は、特定の細菌の存在の増加、またはより顕著な不在と直接相関していることがわかりました」

 

細菌の変化は単に病気のマーカーなのか、そうではないのか

現時点では、線維筋痛症患者に見られる腸内細菌の変化が単に疾患のマーカーであるのか、それとも、腸内細菌の変化そのものが疾患の発症の原因となるのかは明らかではない。

この病気は単なる痛みだけではなく一連の症状を伴うため、研究の次のステップは、腰痛、頭痛、神経障害性疼痛などの慢性痛を伴う他の状態で、腸内微生物叢に同様の変化があるかどうかを調べることだ。

研究者たちはまた、細菌が痛みや線維筋痛症の発症に因果的な役割を果たしているかどうかを調べることに興味を持っている。そして、それらの存在が最終的に治療法の発見に役立ち、診断プロセスをスピードアップできるかどうかに注目している。

 

診断を確認し、治療法を見つけるための次のステップ

線維筋痛症は診断が難しいことが証明されている疾患だ。患者の中には、最終診断を得るまで 4〜 5年待つこともある。

しかし、今回の研究で、この状況は変わるかもしれない。

カナダ計算ゲノム研究センターの研究者であり、マギル大学人間遺伝学部のエマニュエル・ゴンザレス(Emmanuel Gonzalez)氏はこのように言う。

「大量のデータを分類することにより、線維筋痛症の患者の腸内で増加した細菌あるいは減少した細菌 19種を特定することができたのです」

「機械学習を使用することで、研究所のコンピュータにおいては 87%の精度で、微生物叢の組成のみに基づいて線維筋痛症の診断を行うことができたことを確認しました。この最初の発見に基づいて、より多くの研究を重ねるにつれて、精度がさらに改善され、線維筋痛症の診断に段階的な変化をもたらす可能性があります」

疼痛治療の専門家であり、モントリオール神経科学研究所のヨラム・シャー(Yoram Shir)氏は、このように語る。

「線維筋痛症の人々は、病気の症状だけでなく、家族、友人、医療チームなど周囲が症状を理解するのが難しいことにも苦しんでいます」

「痛みと向きあう医師として、私たちは線維筋痛症の患者の人たちを十分に助けることができていないことを実感しており、そこに苦悩を感じています。この医師たちの苦悩が、さらに研究を続けるための動機となっているといえるのです」

「今回の研究結果は、少なくとも人間の場合、マイクロバイオーム(腸内細菌叢)がびまん性の痛み(広がる痛み)に影響を与える可能性があるという最初の証拠であり、今後、線維筋痛症を含む慢性疼痛に対する医療的態度として新しい方法が必要となってくるかもしれません」

 

調査の方法

この研究は、モントリオール地域の 156人のコホートに基づいており、そのうち 77人は線維筋痛症に苦しんでいる人たちだ。この研究の参加者たちは問診を受けた後に、便、血液、唾液、尿のサンプルをとり、それを健康なコントロール被験者と比較した。

研究者たちの次のステップは、世界の異なる地域の別のコホートで、同様の結果が得られるかどうかを確認し、そして動物による研究を行って、腸内細菌の変化が線維筋痛症の発症に役割を果たしているのかどうかを発見することだ。

 


 

ここまでです。

なお、先ほどの「線維筋痛症 - Wikipedia 」には、線維筋痛症と似たような症状を呈する疾患がたくさん挙げられているのですが、その中でよく知られたものとして、

・慢性疲労症候群
・過敏性腸症候群
・化学物質過敏症
・シックハウス症候群
・顎関節症

などが書かれてありますが、「これは線維筋痛症と異なる疾病概念である」とあります。

しかし、私は実はここにあるような原因不明の、自己免疫のようなことが関係しているタイプの病気は、「すべて腸内細菌環境と関係がある」と思っています。

そういう意味では、今挙げたような病気は、「線維筋痛症と同じ根本原因」かと。関係する細菌の種類が違うだけで、「腸内細菌の中の特定の種が損なわれる、あるいは増える」ことが根本的な発症要因となる。発症のきっかけそのものは、ストレスや身体と関係する何らかの原因があり起きるのかもしれないですが、根本的な要因は腸内環境だと思います。

というより、「痛みを伴う原因不明の症状」は、ほとんど腸内細菌と関係するのではないですかね。

なぜかといいますと、「なぜ痛みを感じるか」という部分で、これは正しい医学的な表現ではないですが、大ざっぱにいえば「脳内の神経伝達物質が関わっている」というようなことが言えるとして、

「脳内の神経伝達物質は《誰が作っているか》」

ということと関係するわけです。

それは以下の記事で、ベルギーのルーベンカトリック大学の研究についてご紹介した記事で取りあげたことがありますが、

「神経伝達物質を作り出しているのは腸内細菌」

なのです。

自殺の多くは腸内環境の改善で防ぐことができる可能性
In Deep 2019年11月25日

この記事から抜粋します。

ベルギーの大学の研究より

研究でチームは、腸内バクテリア 532株のゲノムをテストし、バクテリアが神経伝達物質を作り出すことができるかどうかを調べた。その結果、研究で調べた腸内細菌の 90%以上が、神経伝達物質を 1つ以上生産する能力を確認した。

腸内細菌が神経伝達物質を作っていることを知ったのは最近ですが、そのあたりを知って以来、

「原因不明の人間の痛みの根本をコントロールしているのも腸内細菌」

だといえるような気がしているのです。

線維筋痛症ほどの厳しい症状ではなくとも、今は原因のわからない疼痛に悩む人が大変に多いです。

たとえば、日常的な痛みでポピュラーなものとして「腰痛」がありますが、皆様は、「腰痛の原因で圧倒的に多いもの」は何かご存じでしょうか。

腰痛の原因


腰痛 - Wikipedia

かつては、腰痛といえば、姿勢がどうだ、運動不足がどうだ、というようなことが言われていたりしたような気もするのですが、医療診断技術が進化するごとに、

「ほとんどの腰痛には《原因がない》」

ということがわかってきています。

他の多くの痛みもそうだと思います。

しかし、このようなさまざまな原因のわからない痛みの症状に対しては、現代の医療は、対症療法で臨むしかないのが多くの場合の現状です。

以下の記事などでもふれましたけれど、アメリカなどでものすごいペースでオピオイドという「強力な痛み止め」の常習者が拡大している理由のひとつに、

「人々の間に痛みの疾患や症状が拡大している」

ことがあります。

クスリ地獄アメリカ : 1億5000万人以上が病院の処方薬を飲み、薬物過剰摂取による1年間の死者数はベトナム戦争での全死者数を超えた
In Deep 2019年12月19日

先ほども書きましたように、さまざまな「感覚」を人間に与えてくれる神経伝達物質を産生しているのは腸内細菌であるわけで、「痛み」という感覚も彼ら腸内細菌が支配するもののひとつだと思います。

結局、痛みに悩む人々が増えているのも、「現代社会が、腸内細菌環境を破壊しやすいものとなっているから」に他なりません。

いずれにしましても、言いたいことは、

「原因不明の痛みが何かあるのなら、腸内環境の改善に全力を注ぐということが最も良い方法」

だと思います。

その具体的な方法を書く知識も素養も私にはないですが、今の時代は、腸内環境に関するウェブサイトもたくさんありますし、学習そのものは簡単にできると思われます。

私が腸内環境について書けることは、以前から何度か取り上げている「酪酸菌」のことくらいでしょうか。

以下のふたつの記事で書かせていただいています。

腸内細菌環境が老化プロセスを変化させること、そして 「酪酸菌」が身体の若返りの要因となることが国際研究により突き止められる

米シカゴ大学が乳幼児の腸内細菌を用いて食物アレルギーを改善する画期的な方法を発見。そして、キーである「酪酸菌」を用いて、日本人も誰でも食物アレルギーを飛躍的に改善できる可能性があります!

酪酸菌の他にも、今はビフィズス菌などを含めて、数多くの細菌などがサプリなどとして商品化されていますが、その中で、酪酸菌が重要だと思われるのは、

「酪酸は、腸の中で健康な微生物群を確立するための重要な栄養素」

だからです。

私も、幼少期からのさまざまな投薬の連続などで、腸内環境が破壊されている人ですが、そのような私を含めて、一度、腸内細菌の構成が変化してしまった以上は、糞便移植などでも行わない限り「元の環境に戻ることはない」ことは事実です。

ですので、酪酸菌のような細菌を服用することは、腸内細菌を元のようにするためなのではなく、「欠けた環境を補い続ける」という意味になると思われます。

そういう意味では、続けるしかないのが現状で、わりと果てしない行動となる可能性がありますが・・・正直に書けば、ずいぶんと「助かった」という実感があります。

もう、1年前くらいまでの、ここ数年は、実際には、

「もう死ぬんだろうなあ」

と自分で思うくらい、体調もメンタルも非常に悪かったんですね。

偶然、酪酸菌のことを知って、「強ミヤリサン」というのを購入してみたのが、えーと、いつだったか正確にわからないですので、Amazon で検索してみます。

ああ・・・ちょうど、ほぼ1年前ですね。

2018年12月26日に、はじめて「強ミヤリサン」を注文しています。

ということは、ほぼ1年飲み続けているということのようですけれど、まあ、胃とかの調子が悪い時は今もたまにありますけれど、少なくとも「死ぬんじゃないか」と思うようなことはないです。

めまいもなくなりましたし、足が微妙に痺れることとかあったんですけど、そういうのも完全に消えましたし、そういう意味ではとても感謝しています。

何より、酪酸菌を飲み始めてから、ベンゾジアゼピン系の抗不安剤を完全にやめることができたのも大きいです。

若い時からたまに「うつ気味」になるときがあったりしたのですが、それもないですしね。

一度損なわれた腸内細菌環境の構成は元に戻らないことは事実ですが、その中で「何とか残った細菌たちでやっていこう」という気になってくれるまで、「酪酸菌ジャンキー」として生きていこうとは思っています。

ちなみに、ドラッグストアなどで、いろいろな「腸活系サプリ」の成分ななどを見てみますと、今ではいろいろな製品に酪酸菌が含まれているようですが、私が1年飲んでいるのは、以下のものです。

強ミヤリサン 330錠

この強ミヤリサン、以前には、近所のドラッグストアになかったのですが、最近、近くのスギ薬局に行きましたら、置いてありましたので、このチェーンならあるのかもしれません。

それにしても、アメリカの腸内細菌の研究の進行度はすごくて、今年 4月には、こちらの記事で、「自閉症の子どもに糞便移植を行った後、 2年後には自閉症の症状が50%消えた」という医学研究をご紹介したことがあります。

これからの社会環境作りというのは、人間の基本的な健康システムである腸内細菌環境をいかに損なわないような生活を送ることができるかどうか、ということになるのではないですかね。

どれだけ医療が進んだとしても、腸内環境を毀損する過度な清潔、殺菌、抗生物質、その他の医薬品などに対しての代替を見つけていかないと、人間社会の不健康はさらに拡大するだけだと思います。

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  • この記事を書いた人

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