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10月11日にメルマガ悪魔の精神操作。ついでに、77年前の米軍によるハリケーン操作実験も思い出すを発行させていただきました。

人類の未来 健康の真実

自殺の多くは腸内環境の改善で防ぐことができる可能性

投稿日:2019年11月25日 更新日:

うつ病発症をコントロールする2種類の腸内細菌が特定された


smithsonianmag.com




 

自殺率においての圧倒的な男性の多さ

世界中のさまざまなデータをグラフ化して紹介してくれる statista というウェブサイトがありまして、最近そこで、 WHO のデータを元に作成された、

「 2016年の世界各国の自殺率の比較」

のグラフを見ました。

まずは、そのグラフを日本語に直したものを掲載しますので、ご覧下さい。国ごとの比較というより、「女性と男性の自殺率の比較」に注目してほしいのです。

2016年の世界の自殺率の比較

statista.com

ロシアの自殺率の高さには確かに驚きますが、それよりも、

「ほとんどすべての国において、男性の自殺率が圧倒的に高い」

ことに驚いたのです。

男性の自殺率のほうが高いことは、ある程度は知っていたような気がしていましたが、ここまでとは思いませんでした。

上位のいくつかの国を数字で示しますと、以下のようになります。

2016年の10万人中の自殺件数の比較

・ロシア 男性 48.3人 / 女性 7.5人

・ウクライナ 男性 34.5人 / 女性 4.7人

・ポーランド 男性 23.9人 / 女性 3.4人

・韓国 男性 29.6人 / 女性 11.6人

・日本 男性 20.5人 / 女性 8.1人

WHO

ロシアやウクライナにいたっては、男性の自殺率は、女性の自殺率より 6倍高いというような数字となっていて、自死というものがこれほど男性に多いものだということを初めて知りました。

日本も、他の諸外国ほど偏ってはいないとはいえ、男性の自殺率は、女性の2倍を超える数値となっています。

私自身は、すべての自死が悲劇であるとは考えませんが、中には、悲劇でしかない自死もたくさんあるはずだとも思います。

自死の原因や理由は、個々により、あるいは国や地域により異なるでしょうけれど、たとえば、日本の場合、その根本的な原因となっているのは、

「うつ」

です。

うつ病でもうつ状態でも、呼び方はどのようであれ、病的なうつ状態が自殺に結びつく最大の原因であることは現実です。

ただ、日本でのうつ病の罹患率そのものは、厚生労働省の 2011年の調査では、「女性の方が 1.6倍ほど多い」ですので、男性側の自死率が圧倒的に高い原因は、社会や環境の問題が確かにあるのだとは思います。

そして、自死の問題は、常に、このような社会的な、あるいは環境的な問題として語られますけれど、やはり根本は、

「メンタルの健全性」

にあると思われます。

そう考えますと、最近、記事にしてきた「腸内環境とメンタルの状態には強い相関関係がある」ということから、思われることはないでしょうか。

つまり、

「腸内環境の社会全体での改善が、国家としての自殺率を減少させる」

という可能性です。

突飛な発想だと思われてしまうでしょうか。

しかし、腸内環境とメンタルの強い関係を考えると、私自身は決して突飛な発想だとは思えないのです。

現代社会は、腸内細菌環境が破壊されやすい状態が増大しています。

それに加えて、前回の以下の記事にあるような、「医療現場そのもので、腸内環境が破壊されている」ということが続いていることも現実です。

原因不明とされてきたパーキンソン病の発症の原因が「抗生物質による腸内環境の破壊」である可能性がフィンランドの研究で判明
投稿日:2019年11月24日

そういう社会の腸内環境を破壊している要素を改善していけば、人々の精神状態は全体として上昇していくはずです。

たとえば、経済が崩壊したり、戦争のようなことになっても、「そのような現実によってメンタルが崩壊しない強い心」を持つ基礎を作ることができるような気がするのです。

まあしかし、「国家の安定のために国民総出で腸内環境を改善しましょう」などと声高に叫ぶような政治家のような方々は存在しないでしょうから(苦笑)、社会全体で取り組むのは難しいでしょうけれど、個人個人が「自分の精神状態を改善するため」に、「腸内環境を改善する」ということは、とても有効なことのような気がします。

ちなみに、「腸内環境とうつ病」の関係に関する医学論文は、数多く存在します。

今回は、その中のひとつで、米スミソニアンのメディアで紹介されていた医学論文をご紹介したいと思います。

うつ病の根本的な原因が、「腸内細菌環境の変化」だということが示されています。

そして、何と、うつ病を発症しないようにコントロールしている腸内細菌は「たった 2種類」である可能性があることがわかる驚異の研究です。

また、「ほとんどの腸内細菌が、《神経伝達物質》を産生している」ことも判明し、腸内細菌はメンタルに強く影響する可能性がさらに高く示されています。

ここからです。


Scientists Find a Possible Link Between Gut Bacteria and Depression
smithsonianmag.com 2019/02/05

科学者たちは腸内細菌とうつ病の間の相関関係を見出した

神経伝達物質を生成し、脳の活動に影響を与える可能性がある腸内微生物叢内の細菌が特定された。

腸や腸に混入する細菌、古細菌、菌類、ウイルスの集合体である人間のマイクロバイオーム(腸内細菌叢)は、消化器の健康や自己免疫疾患の予防など、幅広く人間の健康状態に関連している。

最近の研究では、腸の健康と「脳機能」の間に、相関関係がある可能性さえ特定されている。この研究に基づいて、科学誌ネイチャー・マイクロバイオロジー(Nature Microbiology)に発表された研究では、うつ病が腸内の特定の細菌の量によって影響を受けている可能性があることを明らかにした。

ベルギーのルーベンカトリック大学の微生物学者であるジェロエン・ラエス(Jeroen Raes)博士率いる研究チームは、ほとんどすべての腸内細菌が神経伝達物質を生成できることを発見した。

神経伝達物質とは、ドーパミンやセロトニンなど、ニューロン間のコミュニケーションを可能にする化学物質だ。これらの「化学メッセンジャー」が脳の受容体に送られると、その人の気分や行動に影響を与える。

そして、研究者たちは、うつ病と診断された人々の腸内に「 2つの細菌株が欠けている」ことがわかり、その細菌種を特定した。

この研究は、腸の健康と脳の間に関連性が存在するという証拠を補完している。

ラエス博士と彼のチームは、ヨーロッパの 2,000人以上の参加者の腸内細菌を研究し、マイクロバイオームとメンタルヘルスの関係を調査した。

研究でチームは、腸内バクテリア 532株のゲノムをテストし、バクテリアが神経伝達物質を作り出すことができるかどうかを調べた。その結果、研究で調べた腸内細菌の 90%以上が、神経伝達物質を 1つ以上生産する能力を確認した。

ラエス博士は以下のように言う。

「身体の最も長い神経である迷走神経は、脳幹から腸の最下部まで走っています。神経は双方向のハイウェイのようなものであると考えられ、脳から消化管に信号を送り、消化を調節し、そしてまた、腸から脳にも信号を送っています」

「この後者の機能は、腸内細菌によって産生される神経伝達物質が、ヒトの精神的健康に影響を及ぼす可能性を示唆しているかもしれません」

そして、チームは、うつ病の人たちの腸内には、以下の細菌が欠如していることを見出した。

・細菌「コプロコッカス (Coprococcus)」
・細菌「ディアリスター(Dialister)」

コプロコッカスは、精神的な健康に影響を与えることが知られている神経伝達物質であるドーパミンに関連する生物学的経路を持つことも発見された。

次のステップは、腸内でこれらの 2つの細菌株がどのように機能するかをより完全に理解することだ。

科学者たちは大腸菌のようにいくつかのバクテリアの遺伝的特性を広範囲に研究したが、コプロコッカスやディアリスタのようなバクテリアのゲノムと特性は、まだ注意深く調べられてはいない。

米アイオワ州立大学の微生物学の教授であるマーク・ライト(Mark Lyte)博士は、腸内細菌がメンタルヘルスに影響を及ぼすと結論付けるためには、さらなる研究が必要だと述べる。

「すべての細菌のすべての遺伝子が何を行っているかを完全に理解されているわけではないので、神経伝達物質を作る遺伝的能力の観点から腸内微生物叢についての結論を出すわけにはいきません」

最近、人間の腸内にある 100種類以上の新しい細菌種が特定されており、つまり、研究は始まったばかりだ。腸内細菌の個々の働きの研究は、これから発展していくものであるともいえる。


ここまでです。

全部の患者の場合ではないでしょうけれど、大半のうつ病患者は、

コプロコッカスとディアリスターという、たった 2種類の腸内細菌が欠如していることが発症の要因

である可能性が高いようなのですね。

たった、2種類の細菌が何らかの原因で腸内から消えてしまっただけで、人生全体が大きく影響されてしまうのです。

うつ病患者に欠如していた腸内細菌「ディアリスター」

Dialister

むかしは、社会環境が今よりもっとひどい時代でも、こんなにうつ病の人はたくさんはいなかったわけで、腸内細菌環境が破壊されやすい現代社会の中で、うつ病はそれと比例して増えたという考え方は成り立つのかもしれません。

記事には、100種類以上の腸内細菌が特定されたとありますが、これらすべてに特有の働きがあり、そして、それらの多くが神経伝達物質を産生していることから、おそらく、それらすべての腸内細菌が、その人のメンタルの状況に関係しているのだと思われます。

ですので、「健全であること」というのは、「腸内環境の健全」とまったく同じことなのだなあと今さらながらに思います。

そして、何だかこう・・・最近の狂気じみた犯罪を含む社会の状況や、主要国の多くでの自殺率の急激な上昇などの根幹には、実はこの「社会全体的な腸内環境の悪化」の問題があるのでないかと思ったりもいたします。

狂気の 21世紀の状態はさらに増大していってしまうのかもしれません。

 

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