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4月26日にメルマガ40兆個による細胞への攻撃が延々と続いていくを発行させていただきました。

アメリカの憂鬱 人類の未来 健康の真実

クスリ地獄アメリカ : 1億5000万人以上が病院の処方薬を飲み、薬物過剰摂取による1年間の死者数はベトナム戦争での全死者数を超えた

投稿日:2019年12月19日 更新日:


The Opioid Epidemic




 

アメリカで「オピオイド」と呼ばれる医療用麻薬(鎮痛薬)が、エピデミックと呼ばれるほどの蔓延状態となっていることは、以前からたまに書かせていただくことがありました。

先ほどオピオイドの後ろに「医療用」と強調しましたが、日本などでは、アメリカで激しく蔓延しているこのオピオイドが、まるで「娯楽のための麻薬」であるかのような錯覚観念を持つ方がいらっしゃるかもしれないのですが、もちろんそういう人たちもたくさんいるだろうとはいえ、基本的には、

「病院で処方される薬」

なんです。

その病院で処方される薬によって、今のアメリカはどのようなことになっているかといいますと、以下は、米フォーブスの「オピオイドが私たちアメリカ人を殺し続けている」というタイトルの記事の冒頭ですが、このようなことになっています。

オピオイドが私たちアメリカ人を殺し続けている

Forbes 2019/11/26

米国では 2017年に 6万1300人以上のアメリカ人が薬物の過剰摂取で死亡した。これは 2016年の死者数 5万4800人を上回り、そして、ベトナム戦争でのアメリカ人の全死者数をも上回った。

今では毎年毎年、ベトナム戦争のアメリカ兵士の死者数を上回る人々が、薬物の過剰摂取で死亡しているのだ。

これらの過剰摂取での死亡のうち、オピオイドが、直接的または間接的に全薬物死亡のうちの 70パーセントに関与している。


CCD

ここまでです。

ちなみに、ベトナム戦争での 1964年8月から 1973年1月までのアメリカ軍兵士の全死者数は 4万7434人ですので、2016年以降は、毎年、ベトナム戦争でのすべて死者数を上回る人たちが薬物の過剰摂取(その多くはオピオイド)で死亡していることになります。

今のアメリカでは、オピオイドによって、平均して毎日 46人が死亡しているのだそうで、その数は増える一方です。

そして、上のグラフの急激な上昇を見て普通に考えれば、今後もさらに過剰摂取による死者数は増加する一方だと思われます。

オピオイドというのは、たとえば、ヘロインなどという人体と精神への影響としては最悪レベルの薬物と同系統であるわけですが、そういうものがアメリカの医療現場では「フェンタニル」という鎮痛剤として処方されているのですね。

それを聞いた時、

「いくら何でもヘロインと似たようなものを処方すれば、その後どうなるかなんてわかるだろう」

とは思いました。

どうして、こんな危険な薬が病院で普通に処方されるようになってしまったのかということに関しては、以下のような説明がありました。

非がん患者へのオピオイド処方

米国のオピオイド禍と日本への教訓」より

米国のオピオイド禍にはどのような背景があるのか。一つの要因は、非がん患者に対してオピオイドが処方されるようになったことである。

非がん患者の慢性的な疼痛へのオピオイド処方が急増したのは1990年代終わりごろである。その少し前、つまり1980年代後半から1990年代前半に公表された文献では、欧州や北米でオピオイド鎮痛薬が過少評価され、結果として痛みの治療が不十分であると報告されていた。

がん疼痛の治療に関しては、多くの医師たちが患者の痛みの重大さに気づき、多くの国で早急に改善された。

だが、問題は非がん患者の疼痛の管理であった。がん患者の場合と比べて、非がん患者にオピオイドを使用するための科学的エビデンスは十分ではなかった。

ところが、がん疼痛の専門家たちは、その他の慢性疼痛や非がん性疼痛の専門知識がないまま、がんと非がんの疼痛の原因を一緒に考え、オピオイドが慢性的な非がん性疼痛の主要な治療方法とした。

そして、製薬会社は、常習性が低い薬物としてオピオイドの使用を推し進めたのである。

このように、最初は「ガン患者の痛み止め」として使われていたものが、次第に、「ガンではない患者」にも鎮痛剤として処方されるようになったということのようです。

それが結局現在のように「1年間で6万人の命を奪っている薬物となった」と。

少し前に、以下のような記事を書きました。

日本では数百万人が服用しているあまりにも一般的な処方薬であるベンゾジアゼピン系の薬がアメリカで殺人ドラッグになり始めている
投稿日:2019年12月9日

ベンゾジアゼピン系というのは、抗不安剤(いわゆる安定剤)や、睡眠薬、抗うつ剤などの多くが含まれる薬のカテゴリーですが、もちろんこれも「病院で処方される薬」なのですけれど、今のアメリカは、このベンゾジアゼピン系でも多くの死者がでています。

上の記事に載せたアメリカ疾病予防管理センター(CDC)の統計では、2016年に、ベンゾジアゼピン系で 1万684人が亡くなっていることが示されています。

こちらも、うなぎ上りで増えていますので、2017年以降も増え続けているようにも思います。


CDC

今のアメリカは・・・。

オピオイドで、毎年 6万人以上が亡くなっている。

ベンゾジアゼピン系で毎年 1万人以上が亡くなっている。

あと、アメリカでは、非ステロイド性抗炎症薬(いわゆる鎮痛剤のほぼすべて)でも、毎年 1万5000人以上が亡くなっています(胃潰瘍になりやすいのです)。

これは全部、病院で処方される「合法」な薬です。

ちなみに、アメリカ食品医薬品局(FDA)のウェブサイトによれば、今のアメリカでは、

・毎年 200万人以上が病院で処方された薬による重篤な有害反応を起こしている。

・毎年 10万人以上が、病院で処方された薬で死亡している。

・処方された薬による死亡数は、アメリカで 4番目の死因となっている。

ということになっているのだそうです。

アメリカ食品医薬品局のウェブサイトには、

> これらの統計には、外来環境で発生する薬物有害反応の数は含まれていない。

とあり、つまり、これは「入院患者だけの数字」ということで、この 10万人の薬による死亡数の中には、オピオイドやベンゾジアゼピン系での死者数はほとんど含まれていない可能性が高いです。

ですので、病院で処方される薬では、毎年 20万人近くの方が薬の影響で亡くなっているという可能性さえありそうです。

 

世の中では、違法薬物のことがよく言われますけれど、それらと病院での薬とどちらが「たくさんの人の命を奪っているか」というのは、ある程度は明らかで、本当に凶悪な薬物は、処方薬の中にも数多く存在すると私は思っています(もちろん有用な処方薬もたくさんあるでしょうけれど)。

抗ガン剤なんもそうですけれど、薬効のメリットとデメリットが釣り合っていないとしか思えないものがあまりにも多い気がするのです。

いずれにしても、アメリカも日本も、あるいはほとんどの主要国が「処方薬の洪水の時代」となっている今、そして、これからは、このような合法的な薬物によって健康や命を損なうケースがさらに増えていくのかもしれないですね。

今回は、「アメリカ人は 2人に 1人が処方薬を服用している」というタイトルのブルームバーグの記事をご紹介して締めさせていただきます。

人口 3億人を超えるアメリカで、その半数近くが何らかの処方薬を飲んでいるのだそうです。


Nearly One in Two Americans Takes Prescription Drugs: Survey
bloomberg.com 2019/05/08

調査によると、アメリカ人のほぼ2人に1人が処方薬を服用している

メリカ人は薬を飲むことが好きなようだ。

アメリカ国立衛生統計センターの調査によると、アメリカの人口の約 46%が過去 30日間に 1種類以上の処方薬を使用していた。アメリカの人口のほぼ半数が処方薬を服用していることになる。なお、この数字は 10年前よりわずかに改善(減少)している。

国立衛生統計センターの報告書には以下のようにある。

「長期にわたる処方薬の使用の変化の傾向は、疾患の有病率と診断の変更、治療の推奨事項の拡大、そして、不適切または無効な治療の使用の減少によって影響を受ける可能性がある」

アメリカ人が使用する処方薬の種類は年齢層によって異なる。喘息の治療に使用される薬は、最も若い年齢層で最も一般的だった。12〜 19歳の青少年では、注意欠陥・多動障害を治療するための刺激薬が最も一般的であり、青少年の約 16人に 1人が処方を受けていた。

若年および中年の成人は、過去 30日間で最も頻繁に抗うつ剤を使用していた。20〜 59歳の成人 9人に 1人が抗うつ剤の処方を受けている。

60歳以上の高齢者の薬物使用率は 85%と最も高くなっていた。高齢者のほぼ半数がコレステロールの薬を処方されており、5人に 1人以上が糖尿病の薬を使用していた。

年齢別の薬物タイプ

年齢層(0〜11歳)
・ペニシリン(感染症)2.7%
・中枢神経刺激薬(注意欠陥障害)3.5%
・気管支拡張薬(喘息)4.3%

年齢層(12〜19歳)
・経口避妊薬(避妊、月経調節)3.7%
・気管支拡張薬(喘息)3.7%
・中枢神経刺激薬(注意欠陥障害)6.2%

年齢層(20〜59歳)
・脂質降下薬(高コレステロール)7.5%
・鎮痛剤(痛みの軽減)8.3%
・抗うつ剤 11.4%

年齢層(60歳以上)
・糖尿病薬 22.6%
・ベータ遮断薬(高血圧、心臓病)24.8%
・脂質降下薬(高コレステロール)46.3%


 

ここまでです。

子どもの注意欠陥障害に処方されている「中枢神経刺激薬」というのは、日本では、コンサータ、以前ならリタリンと呼ばれた処方薬の一群で、基本的には「覚せい剤」と同じ成分のものです。以下の記事などで取りあげたことがあります。

アメリカで驚異的に増え続ける ADHD の子どもたち。しかし、それよりも、今でも「日本の子ども」の治療に使われているのが、コカインや覚醒剤と同じリタリンもどきだったとは・・・
投稿日:2015年12月16日

今回のアメリカの「薬の洪水に襲われている」状況は、オピオイドを別にすれば、日本もさほど変わらないのかもしれません。

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