
ニコチアナ属のニコチアナ・アラタの花。portlandnursery.com
ナス科の植物としてのニコチアナの歴史
最近、『ニコチンの秘密:毒素の世界に隠された治癒力』という英語の書籍の存在を知りまして、ずっと以前から思っていたことや、あるいは学習してきたことなども含めて、少し書きたくなりました。
書き方によっては、反社会的なものになってしまうかもしれないですが、そうならないように書こうとは思います。ともかく、これは、喫煙やタバコへの賞賛とは関係のない話であり、喫煙が身体に悪いことは、今さら言うまでもないことです。
少し古い論文ですが、2004年の「歴史におけるタバコの医療用途」という論文の冒頭の以下の通りだと思います。
2004年の論文より
タバコ(Nicotiana)は、おそらく他のどのハーブよりも多くの死因となっている。現在、世界中で喫煙による死亡者数は年間 300万人を超えており、現在の喫煙傾向が続けば、2030年頃には年間死亡者数は 1,000万人を超えると予測されている。
これに経口摂取によるがんによる死亡率を加えると、死亡者数はさらに増加する。タバコは、世界で最も重要な、早期死亡と疾病の回避可能な原因であることは疑いようがない。
タバコの葉と、それを燃やした時に発生する煙には、4,000種類を超える化学物質が含まれており、その中で最もよく知られているのがニコチンで、1828年にポッセルトとライマンが初めてタバコの葉から単離した。
タバコの煙を吸い込むと、ニコチンはすぐに体の各臓器に送られる。脳と神経系は少量で刺激され、多量では抑制される。ニコチンは心拍数と血圧を上昇させ、喫煙者の血栓症とアテロームの過剰に直接寄与する可能性がある。
それでも、ニコチン置換療法は、発がん性の多環芳香族炭化水素や N-ニトロソ化合物、アクロレインなどの刺激物質、ベンゼン、ホルムアルデヒド、アンモニアなど、タバコの煙に含まれる他の多くの有害物質を避けることができるため、喫煙をやめるための補助として使用される。
タバコが心血管疾患や肺疾患を引き起こすという証拠が明らかになるまでには数百年かかった。
この後、論文は、15世紀にコロンブスが新世界の先住民によるニコチアナの使用を初めて観察した時代から、16世紀、17世紀から 20世紀に至るまでのニコチアナの「医療用途の歴史」が長く語られます。娯楽や習慣としての歴史ではなく、医療用途の歴史です。
GGスチュワートという、おそらく医学者が、1785 年から 1860 年までに発表されたタバコ治療の症例研究を医学出版物で調べ、1967年に発表した論文では、その時代には、以下のような治療成功例が挙げられていたそうです。
1967年のGGスチュワートの論文より「タバコ治療」が成功した病名の一部
(外部からの投与)有毒な爬虫類や昆虫の咬傷、ヒステリー、痛み、神経痛、喉頭痙攣、痛風、毛の成長、破傷風、白癬、げっ歯類の潰瘍、潰瘍、傷、呼吸刺激、(直腸から投与)便秘、痔出血、(経口摂取)絞扼ヘルニア、マラリアまたは間欠熱、嘔吐を誘発して食道から閉塞物質を除去する、鼻ポリープ
いろいろ、こういう事例が引用されながら、最初の論文は「結論」として以下のように書かれています。冒頭とはちょっと毛色の違う展開でここに至るのです。
2004年の論文「結論」より抜粋
ニコチアナ属のさまざまな種には、他の多くのアルカロイドも含まれている。葉と汁は皮膚疾患に多用されており、基底細胞がんもその対象だった可能性がある。
タバコの葉には、ニチニチソウ(ビンカアルカロイド)に抗がん作用があることが証明されているように、抗がん作用があるのだろうか?
喫煙の悪影響によって生じる偏見を捨て、治療効果のある物質が含まれていないか、葉を体系的に調査すべきだと私は考える。
この論文には、37件の過去の論文と資料が引用されていて、今ではリンクが存在しないものも含まれますが、いくつかはある程度読むことができます。
くどいようですが、「喫煙が良い悪い」の話ではなく(悪いに決まっています)、「ニチコン」の作用の研究が進んでいないという話です。
話は変わって、ニコチンは身近なものでは、どんなものに入っているかというと、たとえば、「ナス科の植物」です。ナスやトマトや唐辛子などですね。それについて、少しだけふれます。
私たちはほぼ毎日微量のニコチンを摂取している
以下は、薬局チェーンで知られる「さくら薬局」のお役立ちコラムからの抜粋です。
さくら薬局コラム「第84話 野菜にニコチンが入っていること知っていますか?」より
煙草のニコチンは肺癌の原因ではありません。真犯人は煙草の煙に含まれているタールです。そこには幾つもの発癌物質があります。だから煙草を燃やさずに口に入れても癌にはなりません。勿論、肺が黒くなることもありません。
あまり知られていませんが、煙草はナス科の植物です。では、ナス科の野菜にはどんなものがあるでしょうか?なかには「知らなかった!」というような名前もありますよ。
●ナス科の野菜
ナス、ジャガイモ、トマト、唐辛子、ピーマン、パプリカ、獅子唐ナス科の野菜には例外なくニコチンが入っているのです。
…では、ナス科の野菜にニコチンはどのくらい入っているのでしょうか。平均して1キログラム当たり0.05マイクログラムという微量です。こんな微量のニコチンなら、プラセボ効果がない限りは効きません。
微量のニコチンにプラセボ効果はあるでしょうか?この疑問には、「これまでそんな臨床試験が無いので分からない」としか言いようがありません。
ニコチンは、いわゆる病気を治すという薬にはなっていませんが、禁煙のための補助薬としてなら使われています。しかしそれでは薬食同源の意味合いとは違います。
一歩下がって、薬になる可能性はあるでしょうか? それならば大いにあり得る話なので、説明しましょう。
自律神経の一部に副交感神経があります。その他に感覚神経と運動神経があります。それらの全てではありませんが、少なくとも副交感神経と運動神経には、アセチルコリン作動性神経という大事な神経が身体中に張り巡らされています。
その神経が脳から手足の指先まで届く間に、神経接合部という仕組みを通過します。アルツハイマー病の治療薬アリセプト(エーザイ)は、その接合部を刺激することで認知力の低下を防ぐとされています。
ところで、全身にある神経接合部の半分くらいに、ニコチン作動性受容体というのがあって、ニコチンに反応して、その先の神経を刺激するのです。
その結果、例えばパーキンソン病の手足のしびれや歩行困難が改善することが解っています。つまり、ニコチンは薬になる可能性を秘めた、ナス科野菜の成分なのです。
ここでも、決して喫煙が良いと言っているわけではなく、「ニコチンの作用」について述べられています。ニコチン作動性受容体という言葉が出てきますが、これは、
> ニコチン受容体の機能異常は、アルツハイマー病、パーキンソン病、統合失調症などと関連が指摘されている。 Gemini
というものでもあり、そういうこともあって、先ほどのコラムには、ニコチンがパーキンソン病の症状の一部を改善させることにふれられていますが、そういう機能もあるということなんですが、おそらく、ほとんどの人は知らない。
「ニコチン=悪」
というイメージが完全に定着している現代社会では、すでに薬用としてのニコチアナ属の植物についての研究は全体としては停止されている状態です。
場合によっては、ナス科の植物である、ナスやジャガイモやトマト、あるいは唐辛子やパプリカにさえ、何かの可能性はあるかもしれないのですが、とにかく、そういう研究はあまり、あるいはほとんどないです。
先ほどのコラムに、
> 微量のニコチンにプラセボ効果はあるでしょうか? この疑問には、「これまでそんな臨床試験が無いので分からない」としか言いようがありません。
とありますが、そういうことです。
嫌われ者になってしまうと、誰もそこに目を向ける人はいないのです。
なお、「ニコチンが腸内細菌や病原菌、毒素など外来異物の侵入を防ぐ重要な役割(タイトジャンクション)の完全性を形成する可能性」についての 2007年の論文の概要を、こちらで翻訳したことがあります。
そういうことを前提としまして、最初に取りあげました書籍『ニコチンの秘密:毒素の世界に隠された治癒力』を取りあげていた記事をご紹介したいと思います。
この書籍は PDF 版で無料でダウンロードできます。以下からアクセスできます(メールアドレスの登録が必要です)。
Nicotine Unveiled: The Hidden Healer in a World of Toxins
ともあれ、この書籍を紹介していた記事をご紹介して、今回は締めさせていただきます。くどいようですが、喫煙は悪いに決まっていますので、その良い悪いの話ではなく、毒素としての汚名を着せられたままの歴史にあるニコチンについての現実です。
なお、これは米ナチュラルニュースの記事で、このメディアは陰謀論的な展開が多いですので、そのあたりは適度に読み流してください。
ここからです。
ニコチンの正体:製薬大手が悪者扱いする誤解された分子
Nicotine Unveiled: A misunderstood molecule demonized by Big Pharma
Ramon Tomey 2026/02/23
『ニコチンの秘密:毒素の世界に隠された治癒力』は、現代医学で最も誤解されている分子の 1つである同名の天然分子に焦点を当てている。
数十年にわたり、ニコチンはタバコの煙の悪役として悪者にされてきた。中毒性のある毒物であり、人々を生涯にわたるがんの毒に陥れる。
しかし、真実ははるかに微妙だ。
ニコチン自体が問題なのではない。真の犯人は、タバコの煙に含まれる 7,000種類以上の化学物質、つまり大手タバコ会社が製品に混ぜるピラジン (※ 香ばしい香りを持ち、食品の風味成分や医薬品の原料として広く利用されている化合物)などの合成添加物、そして規制当局と製薬会社による数十年にわたるプロパガンダによって、ニコチンの驚くべき治療効果が埋もれてしまったのだ。
アメリカ大陸の先住民文化では、アンモニア、ホルムアルデヒド、ヒ素がたっぷり含まれたタバコは吸われなかった。先住民は純粋で混じりけのないタバコを儀式の場で使用し、集中力や精神的な繋がり、さらには痛みの緩和にも役立てていた。
ニコチン自体はアルカロイドであり、植物が天然の殺虫剤として生成する窒素含有化合物だ。コーヒーに含まれるカフェインや唐辛子に含まれるカプサイシンと同様に、植物の昆虫に対する防御機構の一部を形成する。
しかし、肝心なのは、人間がこれらの植物性防御分子を少量摂取しても、中毒になるわけではないということだ。むしろ、体内で適応反応を引き起こし、免疫力を高め、認知能力を高め、さらには炎症を軽減する。
ニコチンを悪者扱いすることの偽善は、日常の食品にニコチンが含まれていることを考えれば、明白になる。ナスは植物界で 2番目にニコチン含有量が高く、次いでトマト、ジャガイモ、そしてカリフラワーにもニコチンが含まれている。
もしニコチンが本当に食品医薬品局(FDA)が主張するほど危険な中毒性の悪魔であるなら、フライドポテト(※ ナス科のジャガイモ)やケチャップ(※ ナス科のトマト)に警告ラベルを貼るべきではないだろうか?
ナスのチーズ焼きを一皿食べた後、冷や汗をかきながら目を覚まし、ナス科の野菜をもう一口食べたくなるような(中毒に陥る)人はなぜいないのだろうか?
答えは簡単だ。食品に含まれる微量の天然ニコチンには中毒性はない。中毒性という物語は、真の犯人である製薬業界とそれを支援する規制当局を守るための煙幕なのだ。
なぜ彼らは私たちにニコチンを恐れさせたいのか
大手製薬会社は、チャンティックス(自殺念慮に関する黒枠警告付き)などの禁煙薬で数十億ドルもの利益を上げている一方で、ニコチンの治療効果に関する研究を抑制している。
一方、FDA(米国食品医薬品局)は、サラダに含まれるニコチンには目をつぶり、アルツハイマー病、パーキンソン病、さらには COVID-19による味覚・嗅覚障害の患者を救う可能性のある、命を救うニコチン療法を禁止している。
(※ 訳者注) 2024年のネイチャー誌に掲載された「タバコの煙はインフルエンザウイルス感染を弱毒化する」という論文をこちらで翻訳しています。
研究では、ニコチン(煙からではなくパッチやガムで摂取)は、健康な人だけでなく神経変性疾患の患者においても、集中力、記憶力、注意力を向上させることが示されている。米国ヴァンダービルト大学の研究者たちは、ニコチンパッチがアルツハイマー病の前兆である軽度認知障害の患者の認知機能回復に役立つことを発見した。
軍と製薬会社は、これらの受容体を活性化するのではなく、阻害することに注力している。なぜだろうか? ニコチン拮抗薬(ニコチン性アセチルコリン受容体を遮断する薬剤)は兵器化できるからだ。
ニコチン拮抗薬は、高用量では麻痺や呼吸不全を引き起こすため、化学兵器として最適なものだ。コーヒーの味を確かめたり、買い物リストを覚えたりするのと同じ受容体が乗っ取られ、命を落とす可能性がある。
この二重使用の可能性こそが、政府と製薬会社がニコチンに関する言説をコントロールすることに強い関心を持つ理由だ。彼らは、純粋なニコチンが脳の健康、自己免疫疾患、さらにはウイルス感染症に劇的な変化をもたらす可能性があることを人々に知られたくないのだ。
ニコチンは悪者ではない。誤解されている栄養素だが、大きな可能性を秘めている。ニコチンにまつわる偏見は、大手製薬会社、規制当局、そして軍産複合体の利益のために、半分真実と完全な嘘に基づいて作り上げられた物語といえる。
しかし、真実はますます隠し通すことが難しくなってきている。
研究者たちは、潰瘍性大腸炎から統合失調症まで、あらゆる疾患の治療におけるニコチンの役割をひそかに研究している。患者たちは、ニコチンパッチが化学療法による脳障害や長期の COVID-19 で失われた認知機能を回復できることを発見しつつある。
偏見から科学への道は、あるシンプルな認識から始まる。ニコチンは敵ではない。私たちの本当の敵は、私たちにニコチンを恐れさせてきた人たちだ。
ここまでです。
なお、喫煙されている方は、やめるに越したことはないですが、やめられないという場合、「完全な無添加」の製品という選択もあります。
完全無添加のタバコ製品は非常に少なく、ドイツのプエブロ、ルクセンブルグのチェ、ドイツのペペ、米国のアメリカンスピリットなどがあります。
もちろん完全な無添加でも、タールは当然含まれています。ただし、ピラジンなどの香料や添加物は含まれません。
しかし、今回の話の中心は、あくまでも、ニコチンという物質への偏見が、科学的・医学的に誤っている可能性があるということだけです。
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