ドバイ砂漠の金環日食。2019年12月

Nikon
ジハードの意味はいろいろとあるにしても、ここではあくまで復讐の聖戦としてのジハード
2026年2月28日に米国とイスラエルによる攻撃でイランの最高指導者ハメネイ師が殺害された後、イランの 2人の上級聖職者が、
「米国とイスラエルに対するジハードを宣言した」
ことが伝えられています。
以下の書簡が、そのファトワ(イスラム法学に基づいて発令される布告)です。
ジハードを呼びかけるファトワ

NoAlphaLimits
当然、読めるわけもありませんので、AI に翻訳してもらいました。
以下のように書いてあるようです。
コーラン(ハッジ章22:39)を引用し、ムスリム国家全体に抵抗を呼びかけるものとなっています。
慈悲深く慈愛深きアッラーの御名において。
「戦われている者たちには、不当な扱いを受けたがゆえに、戦うことを許されたのだ。本当にアッラーは彼らに勝利を与える力を持つ。」(ハッジ章22章39節)
ムスリムの民よ、あなた方の宗教の擁護者であり、イスラムと人類の文明の担い手であるムスリムの民よ、欧米の植民地勢力に支援されたシオニストの戦争は、私たちの土地と私たちの聖域に対して継続している。
今起きているのは単なる一時的な侵略ではなく、私たちのアイデンティティを根絶し、人々を屈辱させ、私たちの国々に服従を強いることを目的とした組織的なキャンペーンだ。
シオニストの侵略に率いられ、欧米諸国に支援されたイスラムの敵は、私たちの資源を支配し、私たちの土地を支配し、私たちの価値観を消し去ろうと試み続けている。
彼らは、このウンマ (※ イスラム教徒の共同体を意味する言葉)が弱体化し分裂していると信じ、腐敗、占領、そして不正を蔓延させている。
イスラム教の民よ、彼らのプロパガンダに惑わされたり、脅迫におびえたりしてはならない。あなた方の尊厳、宗教、そして未来が危機に瀕している。
これは生存と運命を賭けた戦いだ。信仰、土地、名誉、そして神聖さを守る戦いだ。団結し、毅然と立ち向かい、互いに支え合い、屈辱と服従を拒絶してほしい。
ウンマはこれまでも困難に直面し、信仰、忍耐、そして犠牲を通してより強くなってきている。この対決は単なる政治的なものではなく、抑圧と暴政との闘争だ。植民地勢力とシオニスト政策は、イスラムの光を消し、この地域を支配しようとしているが、アッラーは守護者であり、支え手として十分だ。
世界中のムスリムよ、これはあなた方が責任を持つことだ。沈黙してはならない。不正を容認してはならない。堅固にあれ。
忍耐すれば勝利が得られ、苦難の後には安楽が訪れる。アッラーは最高の守護者であり、最高の援助者であられる。
ここまでです。
このファトワを発行したのは、イランの上級シーア派聖職者であるグランド・アヤトラ・ナセル・マカレム・シラジ師とアヤトラ・ホセイン・ヌーリ・ハメダニ師という二師で、ファトワは、ムスリム全員に「宗教的義務」としてハメネイ師の血の復讐を命じており、「これらの犯罪者の悪を地球から根絶する」ことを呼びかけているようです。
AI の Grokは、以下のように述べています。
これにより、イラク、シリア、レバノン、イエメンなどのシーア派民兵が宗教的に動員される可能性が高まり、紛争が政治的なものから聖戦へとエスカレートしたと見られています。
この「ジハード」という言葉は、日本では「聖戦」などの言葉が当てられることが多いのですが、言葉には特に「聖」という意味は含まれていないようで、そして実際には、ジハードにはいろいろな意味があるようですが、それでも、このファトワを読む限り、今回のジハードは、
「イスラムのための異教徒との戦闘」
の定義のほうのジハードだと考えられるもののようです。
ところで、ジハード宣言をなされたアメリカのほうはどうなのか。
仮に戦争が長引いた場合、耐えられるのか。
米軍の兵器枯渇と超過した予算の結末は…
前回の「赤い月の後、すべてが始まる」という記事の後半で、アメリカ政府の当局者が中東の新聞ミドル・イースト・アイ紙に、以下のように語ったことを書きました。
「過去数日間で(米国は)数年間分の生産量を撃ち尽くしてしまった」
この発言だけではないですけれど、アメリカの兵器の在庫について懐疑的な見方がなされています。
これに対して、トランプ氏は、アメリカ軍の弾薬の備蓄について、「在庫は十分にあり、無限に供給できる」と述べていたことが報じられています。
この世に「無限に供給できる武器」などないわけですが、そもそも、アメリカは特に前政権の翁を含めて、ウクライナに高性能の兵器をバンバン送っていまして、その時点で、かなり武器は減っていました。
トランプ氏は、緊急権限である「国防生産法」で武器の製造を加速中だと述べていましたけれど、高性能のミサイルなどに関しては、製造に数ヶ月などかかり、巡航ミサイルなどでは数年かかるものもあります。一度枯渇してしまうと、補充は大変に時間がかかります。
先ほどのトランプ氏の「在庫は十分にあり、無限に供給できる」に対しては、各メディアの専門家たちは以下のように述べています。
米国の武器の在庫についての専門家の意見
・アルジャジーラ紙の国防総省からのリーク報道:紛争が 10日以上続けば、重要なミサイル在庫が低水準になる。迎撃ミサイル(THAAD、SM-3)が特に脆弱で、製造速度が追いつかない。
・ウォールストリート・ジャーナルに掲載された専門機関の分析:武器の使用速度が補充速度を上回っているとして、イランからの報復(ミサイル・ドローン)防衛で迎撃弾が大量消費され、米軍基地や同盟国防衛が脅かされるリスクがある。
・米公共放送 NPR の分析家:イラン戦では長距離対艦ミサイルは使っていないが、防空系(Patriot/THAAD)が痛手を受けている。数週間~数ヶ月の長期戦では「十分な備蓄がなくなるはずだ」と明言。
・その他のアナリストの共通意見:アメリカの国防産業の生産能力低下(脱工業化影響)により、トマホーク巡航ミサイルや高額精密弾薬の補充には数年かかる。イラン攻撃で 1,700以上の標的を叩いた初期段階ですでに数百発を消費している。短期(数日~1週間)は持つが、トランプ氏の「 4- 5週間以上」の持続には厳しく、一部迎撃ミサイルは「数週間で枯渇する」可能性。それ以前に、2025年のウクライナ・イスラエル支援ですでに在庫が目減りしている。
このようなのが現実で、仮に戦争が 1カ月以上続けば、アメリカの武器は「枯渇に近づく」可能性がかなり高いようです。
そして、「アメリカの武器が枯渇するのを待望しているのは、(どこの国とは書かないにしても)イランだけではない」はずで、場合によっては、アメリカの全体的な防衛能力が、数年の間、極端に落ちる可能性があります。
たとえば…まあ、私は中国による台湾侵攻というのは、あまり現実的ではないと思っているほうですが、仮に、そういうことが起きたとしても、それが、今後 1〜 2年内に起きたとすれば、
「台湾を守る余力はアメリカにはない」
ことになってしまう可能性があり得ます。
それくらいリスキーなことをやってはいるのですよ、トランプ氏は。
さらに、「イランとの戦争には非常にお金がかかっている」という経済的な側面の問題もあります。
トルコ国内最大の通信社であるアナドル通信は、
「 2月28日の初日の攻撃の費用だけで約 7.8億ドル (約 1200億円)かかっている」
と推定しています。
この戦争費用の問題は多くのメディアが取りあげていますが、そのうちのひとつをご紹介します。
トランプ氏のイラン戦争の費用は…? | 予算専門家が数字を分析
Trump's War In Iran Could Cost As Much As... | Top Budget Expert Crunch The Numbers
Republic 2026/03/03
ケント・スメッターズ氏はフォーチュン誌に対し、今回のイラン攻撃の最も控えめな推定額は 400億ドル (約6兆3000億円)だが、最大で 950億ドル (約 15兆円)に達する可能性があると述べた。これは、直接的な軍事作戦、装備品、弾薬、その他の軍需品の交換など、納税者への直接的な打撃となるだろう。
米国は長年の中東同盟国イスラエルと連携し、コードネーム「エピック・フューリー作戦」と呼ばれる対イラン戦争を 5日目に突入させた。
トランプ大統領はホワイトハウス入りに際し、内向きの姿勢を保ち、米国領土から遠く離れた場所で戦われる戦争には関与しないと誓ったが、その約束はとうの昔に破られたようだ。ホワイトハウスは戦争は今後数週間続くとしているが、トランプ大統領の海外任務がアメリカの一般納税者にどれだけの負担をもたらすのか、その内訳を見てみたい。
米国ペンシルベニア大学ウォートン校の予算モデル(PWBM)のディレクターであるケント・スメッターズ氏によると、この攻撃による経済損失総額は 2,100億ドル (約 33兆円)に上ると予測されている。
フォーチュン誌のインタビューで、スメッターズ氏は、エピック・フューリーの最も控えめな推定額は 400億ドルだが、最大で 950億ドルに達する可能性があると述べた。これは、直接的な軍事作戦、装備品、弾薬、その他の軍需品の交換など、納税者への直接的な打撃となるだろう。
スメッター氏は「戦争が 2か月以上続いた場合、この数字(損失額)は、さらに上がるでしょう」と付け加えた。
直接的な軍事費とは別に、米国の追加的な経済損失は約 1150億ドル (約 18兆円)になる可能性があり、その範囲は 500億ドルから 2100億ドルに及ぶ可能性がある。
「繰り返しになりますが、上層部では不確実性が高まっています」と彼はフォーチュン誌のインタビューで述べた。彼は、中東における過去の紛争の推定に基づき、経済への影響は貿易の混乱、エネルギー市場の問題、そして金融市場の状況の問題に起因すると説明した。
一部の報道によると、ペンタゴンの攻撃前の軍事力増強は約 6億3000万ドル (約 1000億円)だった。これは、中東への 12隻以上の海軍艦艇と 100機以上の航空機の調達に充てられた。
一部の関係者は、戦争の経済的コストが、すでに連邦議会で厳しい批判を浴びていると指摘している。週末に実施されたロイターの世論調査によると、イランへの米軍攻撃を支持するアメリカ人はわずか 4人に 1人だった。スメッターズ氏の推計は、終結の目処がまだ立っていない戦争のコストをめぐる米国の政治的議論に火をつけることになりそうだ。
ここまでです。
こういう金額がアメリカ人の負担となっていくわけで、第二次トランプ政権が当初掲げていた「緊縮財政」的な公言はどこに行ったのか…。
さらに、専門家の話には、
> 貿易の混乱、エネルギー市場の問題、そして金融市場の状況の問題
とありますけれど、これはほぼ確実に起きることで(もう起きていますし)、しかも、アメリカだけの問題ではなく、主要国すべてに影響を与えるはずで、日本や韓国など、石油や天然ガスなどの自国のエネルギー生産が事実上ゼロの国は、特に大きな影響を受けそうです。
また、先ほど以下の記事に書きましたけれど、「肥料」の問題ですね。
・世界の「肥料の3分の1」がホルムズ海峡を通過していることが判明。必ず起きる肥料危機が、今度こそ日本の農業を終焉に導くかも
地球の記録 2026年3月4日
仮にホルムズ海峡の閉鎖が長引けば、ここから、食糧インフレが全体的に上昇していく可能性が高く、また、ただでさえ経済的に厳しい日本の農家へのダメージも大きくなると思われます。
日本のことはともかくとしても、戦争が長引いた場合、アメリカに強いブーメランが飛んでくる可能性が高そうです。
イランのほうは、武器や兵器、ドローンなどを中国やロシアなどから提供を受けている(あるいは今後受ける)可能性が非常に高く、だからこそ、
「中国とロシアの船舶だけはホルムズ海峡の通過を許可する」
という通達を出したのかもしれません。
実際、防衛メディアは、ロシアはイランとの、戦闘機、攻撃ヘリコプター、対空ミサイル、高性能ミサイル、ドローンなどの契約に合意したことを報じています。中国からも同様です。なお、世界のドローン部品の 80%を供給しているのは中国です。
ですので、アメリカ側の武器が枯渇したとしても、イラン側はそれなりに豊富な武器での対応が可能なのかもしれません。
とはいっても、ジハードの行方はわからないですが、仮にアメリカが勝利したとしても、その後かなりの悪影響にアメリカは苛まれる可能性があります。
戦争は確かに良くないものですが、しかし、すでに始まっている戦争にその理論は通じません。結果が出るまで続けるしかない。
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