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4月12日にメルマガ夢見と古代ギリシャと「痛みとの個人的歴史」が混沌とを発行させていただきました。

2020年からの世界 人類の未来 日本の未来 資本主義の終焉

ハイパーインフレーション…預金封鎖…。ロックダウンパニック後には、どちらが先にやってくる?

投稿日:2020年5月3日 更新日:

1994年に 3億%のハイパーインフレに見舞われたユーゴスラビアの「5000億」ディナール紙幣

CNBC




 

ロックダウン・パニックの影響は、日本国民全員に

何というかこう、先日出されました金髪自爆エンジンの炎上……じゃないや、緊急事態宣言の延長の報道を聞きまして、もはや脱力の極みのような感情で、昨日は、ブログを書く気力も出ず、昼からお酒を飲んでボーッと外の光景を眺めていました。

昼からお酒を飲むのは別に脱力の極みとは関係なく、これは二十代から 30年以上続いている私の日常ですが、それはともかく、私たちはずいぶんと今後の生活を覚悟していかなけれけばならない状態に突入するようです。

堀江貴文さんは、現在の日本の対策を、ブログで、

> 実質的ロックダウンを決めてる。

と記していたことが報じられていますが、前回の以下の記事でアメリカのロックダウンの影響による現在の惨状にふれましたけれど、世界の当局者たちは、ロックダウンの後遺症のすさまじさを軽視していると思われます。

この6週間でアメリカで失業した人の実数が「 5000万人」に達していることが判明。世界で推定10億人の失業者を瞬間的に作り出したロックダウンという死の政策

日本でも、経済規模の大きい都市部での実質的な経済ロックダウンの「延長」が決定したということは、マイナスの影響はこれからさらに拡大していくということになります。

何とかギリギリでのところで耐えてきた飲食業や観光業の方々でも、あと1ヶ月を乗り切ることのできる方は少数だと思われます

この影響は、じきに「すべての業種」に現れることが、今現在、目にみえる形で現れています

「インターネット上の広告の数と内容が極端に変化している」

のです。

広告を出稿している企業そのものが減少しているように見受けられますが、それと共に、全体としてインターネット上の「広告の質」が下がっています。

これが意味するところは、大きな企業の広告の出稿が減っているということで、安い広告が増えていることになります。

これは以下の報道が明確に示しています。

Googleの広告収入が3月に急減 iFOREX 2020/04/29)

そして、その後、さらに広告の数が減少し続けていると思われます。

こういう Google などを含めた IT  大企業などは、多くの人たちが家に滞在し続けているような現在の状況では、「良い風向き」だと思われる場合もあるかと思いますが、上の報道のように、

「 IT 業界は、実は最も影響を受けている業種のひとつ」

だといえます。

そして、これはメルマガにも書いたのですけれど、たとえば、スマートフォンを含む携帯通信サービスを提供する企業や、ゲーム、ブログ、サーバなど、さまざまなインターネットサービスを提供するビジネスの特徴は何かといいますと、

「多くがクレジットカード決済のみとなっている」

ことです。

そして、これから「どのようなこと」が増加していくかというのは、たとえば、先日の記事「ロックダウンという名の虐殺…」では、4月上旬の世論調査で、アメリカ人の家計と貯蓄に関しての状態が以下のようになっていることをご紹介しました。

米国クレバー社の調査より

・アメリカ人の約半数は、貯蓄が 4月末までになくなると答えた

・ロックダウンにより約3分の1のアメリカ人が職を失った

・25%のアメリカ人はロックダウンにより追加の借金をした

・住宅所有者の 22%は、住宅ローンを 1か月間カバーするだけの貯蓄がない

・住宅所有者の 27%が住宅ローンの債務不履行を心配している

・賃借人のほぼ半分は、緊急用の貯蓄が 500ドル(5万円)未満であると述べた

このような状況の人たちに、次に起きるのは、

「カードの債務不履行」

だと思われます。

そのような可能性がある人たちが、現在のアメリカで、実質的な失業者 5000万人の中の半分だとしても、「数千万の人たちが、突然のカード支払いのデフォルトに陥る」ことになることは避けられないと考えられます。

そうなりますと、それまでカードで受けていたサービスがすべて、「停止」ということになるわけで、携帯、ネットサービスのさまざまが、「突然のサービス停止」ということになる可能性が高いと思われます。

カード決済でサービスを提供していたそのような企業は、企業の規模にもよりますでしょうが、

「突然、数十万人とか数百万人とかの退会に見舞われる」

わけです。

これはなかなか衝撃ではないでしょうか。

世論調査で「アメリカ人の約半数が 4月末までに貯蓄がなくなる」と述べていたということは、今すでに仕事を失った多くのアメリカ人たちに、貯蓄がない状態で、しかも、アメリカ政府からの失業手当もほとんどの人が受け取ることができない状態が続いています。

カード破綻の連鎖は、すでに起きているはずです。

その影響が数値として表れるのは 少し先で、そして、その後の夏の四半期決算などで、数値のもたらす衝撃の大きさがはっきりとしてくると思われます。

 

日本の失業者の数は、アメリカほど甚大にはなっていないとはいえ、緊急事態宣言を延長したことにより、実質的にアメリカと似たようなものとなっていくと思われます。

つまり、

「カード破綻する人が、過去の記録にないほど増加する」

わけです。

私のメルマガは、まぐまぐさんから発行させていただいているのですが、まぐまぐさんの支払い手段も現在はカードのみでして、4月を過ぎた頃から、読者の何人かの方々から「カードで支払いができなくなりました」という連絡をいただいています。

支払いについては、私にはどうにもならないのですが、そういう方が増えるような場合、まぐまぐさんのほうにも、支払い手段の多様化を相談しようかとも思っています。

いずれにしても、現在、カード支払い中心で収益を得ている企業は、今のうちに、対応手段を考えておくべきだとも思います。

一度、「破綻の連鎖」が始まると、どうにもならない大波に包まれる可能性があると考えています。

 

いずれにしましても、ロックダウンという政策は「何もかも崩壊させる」のです。

現在まだ、このロックダウン・パニックの影響をあまり受けていない方々もいらっしゃるかもしれないですが、今後、「被弾しない人は基本的にはひとりもいない」と思われます。

著名投資家であるウォーレン・バフェットさんが率いる投資会社でさえ、このほんの2ヶ月ほどで、「 5兆円の損失を出した」と報じられています。

バフェット氏、航空株すべて売却 「世界は変わる」 1~3月期、5兆円の最終赤字 日本経済新聞 2020/05/03)

もう何もかもです。

農業から漁業からアパレルから芸能界からスポーツから学校経営まで何もかも深刻な渦中にあります。

以下のようなニュースが日々続きます。

・コロナ影響、漁業にも ホタルイカ漁「打ち切りあり得る」 (神戸新聞 NEXT

・肉牛価格減で「廃業危機」も コロナ影響、栃木県内の農家 (下野新聞

・[新型コロナ] 輸入バナナ食卓から消える? 比で輸出減少エクアドルも (日本農業新聞

・上場アパレル小売業の3月の売上高、9割超で減少、新型コロナの影響本格化 (DCS

・芸能界が怯える“開店休業” 芸人すら打つ手なしのコロナ底なし沼 (ゲンダイ

・ジャニーズ損失は数百億円 エンタメ界は消耗戦に突入する (ゲンダイ

・無観客開催だと収益9割減… 球団経営にも影響大 (Full-Count

・欧州サッカークラブ経営破綻の危機。Jリーグも対岸の火事ではない (Sportiva

・米国、コロナ危機で大学教育バブルが崩壊 (JB Press

このような業種が影響を受ける以前に、飲食と観光、ホテル、デパート、輸送などはすでに崩壊しているわけで、個人の破綻の中で、これらに続いて、「クレジットカード破綻による決済不能」の嵐が訪れるという中で、無傷でいられる分野はないと思われます。

政治当局も保健衛生当局も、このような「失業と破綻の嵐の中で失われる人々の生命」のほうにはまったく注意を払わなかった

今後、日本を含めて「戦後最大の死亡率」が各国で見られることになるはずです。

もちろん、私自身も生き残ることができるかどうかわかりません。

メルマガにも「サバイバルツール」のことなどを書いていますけれど、それは、ほんの少しだけサバイバル期間を先延ばすだけのものであり、中長期の展望はないです。

まあしかし、こうなった以上は、ジタバタしても仕方ないわけで、日本は「終わったものは終わった」わけで、「復活する可能性もない」のですから、そこを基本として、その間の

「ささやかなサバイバル」

については、今後も考えてみたいと思います。

「復活する可能性もない」というのは、今後の数十年単位の話としてはそうなると思います。というのも、日本の最大の問題は「少子化にある」ということを思い出されていただいてもいいかもしれません。以下の記事で、海外の認識として「日本の最大の敵は少子化」だということにふれています。

失われる100年に突入する日本 : 「日本は30年後に消滅する」という言葉を聞いても、まるで違和感がない日本の過激な人口統計の行方

まさかこの状況で、「どんどん子どもを作りましょう」と考えるご夫婦はそれほど多くないような気がします。

現在、主要国全体が少子化傾向にありますが、これがさらに進みそうです。人類史で見たことのない低い出生率が各国で拡大しそうです。

ただまあ……少子「高齢化」のほうは、いろいろな面から少し解消するかもしれないですが……。

 

 

ハイパーインフレーション

前回のメルマガでは「預金封鎖」について少しふれさせていただいたのですが、結論から言いますと、預金封鎖に対抗する「完全な手段はない」です。

対抗する手段があるような預金封鎖は、預金封鎖ではないです。

しかし、ほんのささやかな手段は多少あるのかもしれないですが、それについては、あまりブログなどで書くのもどうかと思いますので、『元日銀マンが教える預金封鎖』という著作をご紹介するのにとどめておきたいと思います。

ちなみに、前回、日本で預金封鎖がおこなわれたのは戦後の昭和 21年のことで、「金融緊急措置令」という法令が発令され、その約 2週間後に、それまでの紙幣は一切使用できなくなっています。

法令の内用はおおむね以下のようなものです。

昭和21年2月16日 金融緊急措置令 (金融封鎖令)

・現在流通している紙幣の通用は3月2日限りとする。

・新紙幣と旧紙幣の交換期間は2月25日から3月7日までとし、交換限度は一人につき100円。それ以上の旧紙幣は預金として封鎖。

・封鎖預金からの現金引き出しは、一ヶ月につき世帯主300円、家族一人につき100円とする。

・臨時財産調査令によって、3月3日午前0時現在で財産調査を行い、財産税算定の基礎とする。

この際の預金封鎖については、2015年に NHK が唐突に、「“預金封鎖”の真実」という番組を放映したことがあります。私は偶然これを見ていました。

今は、この「“預金封鎖”の真実」という番組は、すでに NHK のウェブサイト上にも痕跡は残っていません。

この番組の内容に関しては、以下の過去記事で少しふれています。

カルバナクの衝撃 : サイバー攻撃での世界の金融システム崩壊が早いか、それともNHKが特集した「預金封鎖」がそれより早いのか
 In Deep 2015/02/19

この番組でわかったことは、この時の預金封鎖の日本政府の目的は、

「預金封鎖の間に、国民の財産(現金、不動産など)に高い税率(税率90%)をかけることにより、徹底的な財産の没収を行って、国の借金に充てるということ」

だったことが『日本銀行職場百年史』に記録されている、この時の大蔵大臣だった澁澤敬三氏の言葉により判明するのです。戦争により極端に悪化した財政を立て直すために「税金という名目」で、国民の財産の 90%を徴収するという手段だったのですね。

そして、この番組では、日本の債務の状態は、この NHK の番組が放映された 2015年の時点で「すでに昭和 21年よりずっと悪い」と報じていました。つまり「いつ預金封鎖が起きても不思議ではない」と NHK は述べていたのです。

ちなみに、昭和21年の預金封鎖令では、2月16日に法律を発令し、3月2日から旧札の使用を停止、と、発令から施行まで約 2週間くらいの猶予がありましたが、2016年のインドで行われた「旧札の使用停止令」は、「発表から 4時間後に旧札の使用を停止」という素早いものでした。

「高額紙幣は無効」インド首相が突然発表 混乱広がる
朝日新聞 2016/11/09

インドのモディ首相は8日夜、テレビ演説し、高額紙幣の1千ルピー(約1600円)札と500ルピー(約800円)札を演説の約4時間後から無効にすると突然発表し、9日午前0時から全土で使えなくなった。偽造紙幣や不正蓄財などの根絶が目的。

旧紙幣は10日以降、銀行に預金したり、新紙幣と交換したりできるとしているが、金額に制限があり、混乱が広がっている。

いずれにしても、「突然の新札発行」とか、「突然の預金封鎖」とかは、今後どの国でも、あることにはあるでしょうけれど、現実的な対応は難しそうです。

 

ところで、新型コロナウイルスの「感染者数の推移」のグラフを見ていますと、途中から突如として「棒上がり」していく光景から、いつも「あること」を思い出します。

1月22日-5月2日までの新型コロナウイルスの世界の感染確認者の推移

coronavirus

それは「ハイパーインフレーションの中での物価の推移」のグラフです。

以下は、2017年から急激なインフレーションに見舞われたベネズエラのインフレ率グラフです。

2018年のベネズエラのハイパーインフレの状況

bloomberg.co.jp

世界に広がるロックダウン・パニックがもたらすものが、デフレなのか、極端なインフレなのか、それはどちらの意見もあり、専門家ではない私はにわからないですが、仮にハイパーインフレーションのようなことになるとしても、ずいぶん先のことにはなるだろうと経済学者たちは述べています。

あるいは、インフレの起きる国と、デフレの起きる国というようにわかれることもあるでしょうけれど、そのどちらにしても、

「私たち一般人に快適な方向は存在し得ない」

とは思います。

なお、今回の記事の冒頭に載せましたのは、1994年に「 3億パーセント」というハイパーインフレーションに見舞われたユーゴスラビアの 5000億ディナール紙幣ですが、その後、2008年にアフリカのジンバブエで起きたハイパーインフレーションは、

「インフレ率 790億パーセント」

に達しました。

この時のジンバブエの最高額紙幣は、以下の「 100兆ジンバブエドル札」でした。

2008年にジンバブエで発行された100,000,000,000,000ジンバブエドル札

CNBC

2008年11月のジンバブエでは、「 24時間ごとに物価が倍になった」ことが記録されています。

この時のジンバブエの実際の物価の推移に関しましては、2008年当時、青年海外協力隊としてジンバブエに滞在していた日本人の方が、「マゾエ」というジンバブエの清涼飲料水の物価の推移を日々、自らのブログに記していてくれたことがあります。

以下は、2017年まで長きにわたりジンバブエの大統領だったムガベ氏(左)ですが、これは現役の大統領時代の写真で、ムガベ氏が手にしているのがマゾエです。

2017年4月 清涼飲料水マゾエを手にするムガベ大統領

chronicle.co.zw

その青年海外協力隊の方のブログは現在はすでに存在しないですが、価格の推移をメモしてありますので、ご紹介させていただいて、今回の記事を締めさせていただこうと思います。

こういう「物価の推移の経験」をした人たちがこの世にはいるのです。


2006年10月 - 2008年5月のジンバブエの清涼飲料水「マゾエ」の価格

2006年
10月04日 1,300 ジンバブエドル (1300ドルからスタート)
11月01日 1,950 ジンバブエドル
11月07日 3,300 ジンバブエドル
11月23日 4,000 ジンバブエドル
12月02日 5,300 ジンバブエドル
12月23日 6,900 ジンバブエドル

2007年
01月24日 6,500 ジンバブエドル
02月05日 13,700 ジンバブエドル(3ヶ月後に1万ドルを超える)
03月16日 21,000 ジンバブエドル
03月30日 34,500 ジンバブエドル
04月10日 47,000 ジンバブエドル
05月10日 58,000 ジンバブエドル
05月22日 72,000 ジンバブエドル
06月11日 99,500 ジンバブエドル
06月19日 165,000 ジンバブエドル
06月22日 399,000 ジンバブエドル (8ヶ月後に約300倍の価格に)

07月05日 政府の価格統制令で店頭から食品が消える。マゾエも店頭から消え、ブラックマーケットでのみ流通。以下はブラックマーケットでの実勢価格。

10月12日 900,000 ジンバブエドル
11月20日 1,800,000 ジンバブエドル
12月20日 5,500,000 ジンバブエドル (1年2ヵ月後に500万ドル超え)

2008年
01月08日  9,000,000 ジンバブエドル
02月23日  19,000,000 ジンバブエドル
03月04日  35,000,000 ジンバブエドル
03月17日  63,000,000 ジンバブエドル (1年半後に価格は約 5万倍に)
05月02日 210,000,000 ジンバブエドル
05月09日 420,000,000 ジンバブエドル(元の価格の32万倍の4億ドル超え)


この後、マゾエはスーパーから再び消え、再度販売された際には、「米ドルでのみ購入可能」となりました。ちなみに、米ドルでの価格は「約 300円」でした。

当時のジンバブエのインフレ率から考えますと、スーパーで販売され続けていれば、この清涼飲料水マゾエの価格は、円で例えれば、最終的に「 1300円のジュースが 2兆円くらいになっていた」と予想されます。

ここまで極端な事例が今後起きるとは思いませんけれど、世界全体が、もはや何が起きても不思議ではない状態にはなりつつあります。

 
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