ペルシャ湾岸諸国すべての国で石油生産施設が損傷を受けている
今日、以下のような投稿を見ました。長い投稿でその前半部分です。
速報:ペルシャ湾全体の石油化学施設が火災に見舞われ、停止中、または稼働を停止している。国数を数えてみてほしい。
・イラン:アサルーヤとマフシャフラへのイスラエル空爆により、石油化学生産の 85%が破壊された。
・カタール:イラン製ミサイルがラス・ラッファンに命中し、2基の LNG(液化天然ガス) トレインと輸出能力の 17%が 3~ 5年間オフラインに。
・UAE:ボルグールのポリオレフィン工場が停止、ハデシャン・ガスコンプレックスが閉鎖され国内ガス供給の 80%がオフライン、アサブ脱ガスステーションが 3月29日から燃焼中、ブハサ油田が被弾。
・サウジアラビア:イラン製ミサイルがサビック石油化学ハブを攻撃し、地球上で最大級の統合化学コンプレックスの 1つであるジュベール工業都市で火災発生。
・クウェート:空港燃料タンクが炎上、2基の発電・淡水化ユニットがオフライン、石油省施設が被弾、アリ・アル・サレム空軍基地で15人のアメリカ軍兵士が負傷。
・バーレーン: GPIC石油化学ユニットが攻撃、バプコ貯蔵タンクで火災。
一つの戦争で、ペルシャ湾の主要エネルギー生産 6カ国すべてが被害を受けていることになる。
グローバルな数字は今、定量化可能だ。C&EN の報道によると、世界のエチレン生産能力の 12%がオフラインとなっている。
ダウ・ケミカル社の CEO はフォーチューン誌に対し、ホルムズ封鎖と攻撃の複合影響で世界の石油化学生産能力の約 20%がブロックされていると述べた。
中東は 193の石油化学コンプレックスを運営し、世界生産の 22%を供給している。GCC (ペルシャ湾岸6カ国)単独で 12%、つまり年間 1億5千万トンを占める。
アジアのナフサ原料供給は 700万~ 800万トン絞り込まれた。S&P Global は、パラキシレン生産の 1,000万~ 1,100万トンの損失を推定している。これらは予測ではない。現在測定された、生産していない能力の数値だ。
ここまでです。
このように、「湾岸 6カ国全体の石油施設が損害を受けている」と書かれているわけで、そして、石油や天然ガス関係の施設や関連した化学工場というのは、一度損傷を受けると、復旧まで数年などかかるわけで、日本のような中東依存の強い国は大変な影響が長く続きそうなのですが、しかし、この投稿には、ソースがないですので、「ホンマかいな」と思い調べてみました。
そうしましたら、おおむね「本当」でした。
2026年4月7日までに報告されたペルシャ湾岸諸国の状況

イランの攻撃により火災が発生し、操業を停止したサウジアラビアのジュバイル工業都市
・イラン → 主要な石油化学複合施設が打撃を受け、生産が大幅に停止中(イスラエルの報道ではイランの石油生産の 85%が停止)。ガス田関連施設も攻撃され、電力・水・ガス供給が止まり全面停止状態。 ソース:haaretz.com
・UAE (アラブ首長国連邦) → アブダビの石油化学工場が、イランによるドローン攻撃の影響で 4月5日に操業停止。 ソース:reuters.com
・サウジアラビア → 4月6日に、イランのドローンやミサイルが、150以上の施設を擁する工業都市(メタノール、エチレングリコール、肥料原料を世界市場向けに生産)を直撃し、大規模な火災が発生。 供給網の混乱で、完全に操業停止。 ソース:moneycontrol.com
・カタール・クウェート・バーレーン → イラン革命防衛隊が4月5日にこれら 3カ国の石油化学施設を攻撃したと主張。火災・損傷・操業停止が報告され、クウェートでは電力・淡水化施設も影響。 ソース:tribuneindia.com
ここまでです。
どうやら、今日(4月7日)までの数日間で、中東の現地状況は著しく悪化したようです。
こうなりますと、ホルムズ海峡の閉鎖ということを超えて、
「中東の生産拠点のエネルギー生産能力そのものが著しく落ちている状態」
だということになり、そして、これらの被害を受けた施設の復旧・復興は、損傷の度合いにもよるでしょうが、数週間や数ヶ月などの期間ではなく、「数年単位かかる」ということになるはずで、(仮にホルムズ海峡の閉鎖が解除されても)かなり長期間にわたり、「供給の不安な状態」は続くことが確定していると思われます。
そして、さらにイランが、今後もこれらの湾岸諸国のエネルギー生産拠点や、化学工場などを攻撃し続けた場合、被害はさらに大きくなっていくわけで……と書いていて、何だか愕然としてきました……。
「なんか…文明の終わり?」
的な思いが湧き上がってくるわけです。
ブスチックショックはさらに拡大する見込み
現在、石油にしろ天然ガスにしろ、あるいは、その生産物であるエチレンとか、まあ何でもかんでもですが、比較的世界中で不足は起きていて、どの国も欲しがっているわけですから、日本だけが、どこかの国から安定供給を受けるというのも、近い将来では難しいわけで…… orz。
これは日常の生活にかなり長く影響しますね。
以前、「ホルムズ海峡封鎖から発展する文明崩壊と大量飢餓のカタストロフ」という記事で書きましたけれど、とにかく、石油や天然ガスから作られるもの、あるいはそこから派生している「普通の日常製品」の種類というのは膨大であり、プラスチック関係全部から食品トレーやカップ麺の容器なんかも危うくなるかもしれないですし、衣服もそうですね。
ハイテク製品や電気自動車、塗料に建築資材に…と、もう何でもです。
そして、比較的懸念されているのが「医療への影響」です。
・日本での医療上のカタストロフは4月から始まり、夏頃には日常のサバイバルが本格化することがすでに確定している中で、ナフサについて、もう一度考えてみる
In Deep 2026年3月29日
先ほど書きました現在の中東の被害状況を見ていますと、医療への影響が出てくるのはもう避けられないといえるのかもしれません。時間が進むにつれて、緊急性が高い治療、あるいは生命に直結している医療や治療以外は、ある程度諦めなければならない時期がいつかは来そうです。
そして、何より長期化した場合、「食糧(肥料)の問題」ですね。
以下の記事で書きましたけれど、現在の地球の人口 80億人を支えているのは、「合成肥料の発達」によるものでした。
・100年かけて4倍に増加した地球の人口は、実は「肥料生産の拡大」と同じ曲線を描いている。ホルムズ海峡閉鎖で肥料生産が長く崩壊した場合は…
In Deep 2026年3月23日
太古のように人口自体が少なく、また、人口の大半が農業などを行っていた時代なら、乏しい肥料でも何とか人々は生きていけたのだと思いますが、現在の農業は、
「少ない農業人口で大量の作物を生産しなければならない」
ということがあり、主要国では大規模農家の農作が主流ですが、これはもう、肥料もそうですけれど、「エネルギー消費の塊」のようなものであり、エネルギー価格がさらに高騰した場合、続けられない農家の方々も出てくるとは思われます。
現在の危機以前から、日本は農家の廃業・倒産が増え続けています (農業の2025年の倒産件数は過去最多)。
これが加速する可能性はあり得ます。
数日前に、米エポックタイムズが「イラン戦争による真の脅威は、ガソリンスタンドを襲うのではなく、農家を襲う」というタイトルの記事を掲載していました。
エネルギーや肥料の高騰による農業と食糧価格への影響が「 6カ月から 12カ月後に現れる可能性」について書いていました。
とはいえ、この記事は、アメリカ国内向けに書かれているもので、エネルギーの大生産国でもあるアメリカの今後については以下のように楽観的です。
> 米国には天然ガス、農業インフラ、肥料生産能力、市場の厚みがあり、地球上のほとんどの国よりもこの混乱をうまく乗り切ることができるだろう。 Epoch Times
しかし、日本は違います。
何もない。
エネルギー生産は事実上なく、食糧生産率も非常に低い(著作「世界で最初に飢えるのは日本」によれば、日本は種や鶏のエサやヒナがほぼすべて輸入されていることから計算すると、日本の食料自給率は実質 10%以下)。
韓国や台湾もそうですね。
ただ、食料については、少し長い期間の後に影響が出る可能性があるものですが、プラスチック関係では、もうすでに影響が出ています。
以下は、いくつか日本の報道のタイトルをです。
今でこれでは、夏にはどうなっていることか。
2026年4月のいくつかの報道より
・石油供給不安で「トレーがなくなる」可能性 (KTS 2026/04/06)
> 大洋商会・田實大志朗会長:「トレーがないとスーパーの営業ができない。大パニックになる。(繁忙期の)年末にかけて満足に商品が入ってくるかが心配」
・ポリエチレン製ゴミ袋等を扱う企業が30%以上の値上げを発表 (prtimes.jp 2026/03/25 )
・専門家“ホルムズ封鎖続くと食品容器や医療資材など不足の可能性” (TBS 2026/04/05)
> 「ホルムズ海峡封鎖が続けば夏頃に包装材・日用品(ビニール袋・ラップ・洗剤容器など)に影響が出る可能性が高い」と指摘
似たような報道はいくつでもありますので、このあたりにしておきますけれど、まだ 4月に入ったばかりです。そして、最初に書きましたように、中東のエネルギー供給情勢は、日に日に悪化しています。
ホルムズ湾の海底光ケーブルが切断される可能性も
なお、イラン革命防衛隊は、米イスラエルが「インフラ・電力施設への攻撃を行った場合」、
「ホルムズ海峡の海底光ファイバーケーブルを切断する」
と述べています(報道の翻訳)。
これが実施されると、中東のエネルギー供給網や、あるいは、ほぼデジタル管理されている化学工場などでの生産に影響が出ると思われ、エネルギーショックあるいはプラスチックショックの混乱がさらに拡大するかもしれません。
ホルムズ海峡は戦時下にあるため、ケーブルが切断された時に「修理船が修理に赴くことが非常に難しい」ということもあります。
物流危機の可能性が果てしなく広がっています。
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