2026年4月1日 赤く染まったクレタ島を飛ぶカラス

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イスラエルで最も重要な祭日に
イスラエルの祝日である「過越(すぎこし)」、あるいは、ヘブライ語でペサハというのはユダヤ教徒の最も重要な祭事のひとつです。
今年 2026年の過越祭は、「 4月1日の日没から 4月8の日没まで」の 1週間がその期間に当たります。
これは、聖書の「出エジプト記12章」に由来する春の祭りで、神がエジプトの長子を打った(長子をすべて殺した)際羊の血を塗ったイスラエル人の家を「過ぎ越した(難を逃れた)」ことに由来しています。聖書には以下のように書かれてあります。
出エジプト記/ 12章 03 - 07節
あなたがたはイスラエルの全会衆に言いなさい、『この月の十日におのおの、その父の家ごとに小羊を取らなければならない。すなわち、一家族に小羊一頭を取らなければならない。
もし家族が少なくて一頭の小羊を食べきれないときは、家のすぐ隣の人と共に、人数に従って一頭を取り、おのおの食べるところに応じて、小羊を見計らわなければならない。
小羊は傷のないもので、一歳の雄でなければならない。羊またはやぎのうちから、これを取らなければならない。
そしてこの月の十四日まで、これを守って置き、イスラエルの会衆はみな、夕暮にこれをほふり、その血を取り、小羊を食する家の入口の二つの柱と、かもいにそれを塗らなければならない。
出エジプト記/ 12章 13節
その血はあなたがたのおる家々で、あなたがたのために、しるしとなり、わたしはその血を見て、あなたがたの所を過ぎ越すであろう。わたしがエジプトの国を撃つ時、災が臨んで、あなたがたを滅ぼすことはないであろう。
今は、羊の血を家に塗ることはないようですが、本来は入り口の扉の周りなどを以下のように羊の血で赤くするという儀式だったようです。
さらに言えば、過越の本当の意味は、以下のようなものらしいです。
「神が与えようとした十の厄災のうちの《最後の災い》を避けるために犠牲を捧げる祭」
十の厄災というのは、やはり出エジプト記に書かれているもので、その最後は、
「すべての家の最初に生まれた子どもを殺す」
というもので、これを避けるために「羊をいけにえとして捧げる」のが儀式化したようです。かなり以前の記事ですが、以下でふれています。
・春の満月と同時に始まるユダヤ教の犠牲の祭典「過越」に突入した日に、国力衰退の象徴「無敵艦隊」がアメリカから朝鮮半島に向けて出発した
In Deep 2017年4月12日
今年 2026年の過越は、「イランからの攻撃」で始まりました。
イスラエルは以下のように報じています。タイトルにある「セデル」というのは、過越の初日の夜に行われる儀式的な食事会です。
イランとヒズボラがイスラエルで過越祭のセデルが行われている最中に攻撃を開始し、数百万人が避難を余儀なくされた
Times of Israel 2026/04/01
水曜日 (4月1日 ※ 過越の始まりの日)の夕方、過越祭の開始を目前に控え、イランが大規模な弾道ミサイル攻撃を行い、ヒズボラがレバノンからロケット弾を発射したため、イスラエル中部ではサイレンが繰り返し鳴り響き、全国各地で家族がセデルの食事を催す中、数百万人が防空壕や安全な部屋に避難した。
攻撃は木曜日の早朝まで続き、イランの弾道ミサイルがイスラエル中部、エルサレム地域、北部に向けて発射された一方、レバノンのヒズボラによるロケット弾攻撃によりハイファ近郊で警報が鳴り響いた。
イランのミサイルのうち 1発はクラスター弾頭を搭載しており、イスラエル中部一帯に子爆弾をばらまいた。イスラエルの救急医療サービス「マゲン・ダビド・アドム」によると、ブネイ・ブラク (テルアビブ近郊の都市)では 12歳の少年 1人と生後 7ヶ月の乳児 2人が割れたガラスで軽傷を負った。
同じ事件で 24歳の男性も軽傷を負った。同医療サービスによると、水曜日の朝、同地で別のミサイル攻撃により 11歳の少女が破片で負傷し、依然として重篤な状態にあるという。
夜間に発生したブネイ・ブラクへの攻撃により、市内の水道管も損傷を受けた。
イスラエル国防軍は以前、ユダヤ教で最も広く行われている儀式の一つであるセデルの夜にミサイル攻撃が予想されると警告していた。
そして、もうひとつ、過越が始まって、すぐに起きたのが(4月2日)、
「トランプ氏のイラン戦争の過激化発言」
でした。
・トランプ氏がテレビ演説で「イランに極めて厳しい攻撃を仕掛ける」と発言し、ホルムズ海峡の早期の閉鎖解除は絶望的に
NOFIA 2026年4月2日
トランプ氏は、「今後 2~ 3週間でイランに極めて厳しい打撃を与える」とか、「イランを石器時代に戻す」とか、「イランの発電所を攻撃する」とか、つまり、
「前日述べていた《終戦》的なニュアンスから一転した」
のでした。氏にはよくあることですけれど。
ホルムズ海峡が真っ赤に染まった頃
先ほども少しふれました、聖書に出てくる十の災いというのは、以下のようになっています。
聖書に記述されている「十の災い」
1. ナイル川の水を血に(赤く)変える (出エジプト記 7章)
2. 蛙を放つ (8章)
3. ぶよを放つ (8章)
4. 虻を放つ (8章)
5. 家畜に疫病を流行らせる (9章)
6. 腫れ物を生じさせる (9章)
7. 雹を降らせる (9章)
8. イナゴを放つ (10章)
9. 暗闇でエジプトを覆う (10章)
10.長子を皆殺しにする (11章、12章)
このうち、「水が赤くなる」なんてのは、海にしても川にしても湖にしても、ここ十数年ではあまりにもよく起きていて、特に珍しい現象ではなく、記事一覧としては以下にあります。
そういえば、2019年の 5月頃に、
「ホルムズ海峡のイラン側の水が真っ赤に染まった」
という出来事があったことをふと思い出しました。
2019年5月16日 ホルムズ海峡のイラン側海域

indeep.jp
まさに現在、世界的な供給不安の元となっているホルムズ海峡です。
赤くなる理由は比較的明快で、このホルムズ海峡にホルムズ島という島があるのですが、ここは「土壌が赤い」のですね。それで、大雨によって、その土壌が大量に海に流れていくと、このように海域が赤くなっていくのです。
その赤さはかなりのもので、手につけると「血液のように付着する」というほどの濃さでもあります。
関係ない話ですが、最近、オーストラリアや北アフリカ、ギリシャのクレタ島などで、相次いで「風景が真っ赤になった」ことを地球の記録で取りあげています。これも、砂嵐と悪天候の組み合わせで起きるもので、ここまで赤いのは珍しいとしても、たまに起きる現象です。
・オーストラリアの「終末的な赤い空」は二つの要因で形成された
・オーストラリアが赤く染まった数日後、今度はギリシャのクレタ島がアフリカからの砂嵐の影響で真っ赤に
2026年4月1日 ギリシャのクレタ島

dailymail.co.uk
これも土壌と天候が関係しているのですけれど、強い砂嵐が発生した場合、このように広範囲で風景が真っ赤になることがあります。
つまり、土壌というのは、その色や性質によっては、水でも大気でもどちらも風景を「血の色」にできる性質を持っているのですね。
十の災いには「8. イナゴを放つ」というのもありますけれど、イスラエルの過越との絡みでは、2019年の過越祭のときには、
「イスラエルをイナゴの大群が直撃した」
という出来事もありました。
イランのほうでは、オルーミーイェ湖という湖の水が、突然赤くなったということもありました (In Deep の記事)。
赤く染まったイランのオルーミーイェ湖 (北緯33度)

Hoootan
とはいえ、十の厄災にあるようなことの 1から 7は、今ではどれも非常によく起こる事象となっていますので、それだけに、
9. 暗闇でエジプトを覆う
10.初子(長子)をすべて殺す
は、目立つ項目です。
そんなことになるときがあるのかどうなのかを、たまに考えます。
聖書の舞台地はこれからどうなる
ともかく、支離滅裂なトランプ氏の日々の主張の中で、早期の戦争終結は遠くなってきた感があり、また、トランプ氏は「ホルムズ海峡には興味がない」等とも述べていますので、
「ホルムズ海峡閉鎖の解除は、少なくともすぐには起きない」
と思わざるを得ません。
それどころか、本当にアメリカが激しい攻撃を行ったり、あるいは地上作戦を開始したりした場合、さらに完全な閉鎖などに至る可能性もないではないのかもしれないですし、イエメンのフーシ派が、「紅海の通航を封鎖」する可能性もあります。
2026年3月29日のアルジャジーラ紙の報道より
イエメンのフーシ派はイスラエルへの攻撃を開始することでイラン・イラク戦争に参戦しており、一部のアナリストは、フーシ派の参戦によって紛争に新たな戦線が開かれる可能性があると警告している。それは、世界の一次産品貿易におけるもう一つの要衝であるバブ・エル・マンデブ海峡 (紅海に通じる海峡)の封鎖の可能性だ。
現在、サウジアラビアなどが、この紅海ルートで原油等を輸出していて、紅海のほうに向かう船舶が多くなっているのですが、フーシ派は 2023年〜 2024年頃に、紅海を通過する西側の船舶等に何度となく砲撃を行っています。
こういう状況が一度でも発生すると、保険会社の船舶に対しての保険料がただちに大幅にアップして、採算がとれないような保険料になる可能性が高く、もちろんエネルギー価格の高騰にもつながります。そのために、保険料が上昇した場合、通過を避けるようになるのですね。そうなりますと、紅海もホルムズ海峡同様に「物理的に封鎖していないのに、実質的に封鎖される」状態になってしまいます。少なくとも、過去はそうでした。
仮に、紅海ルートまでもが遮断されると、
「中東からのさまざまな輸出がほぼ完全に途絶えてしまう」
という事態が発生しかねません。
今でさえ、日本での物資不足、エネルギー不足は、すでに深刻な状況になりつつあるわけですが、それがさらに深刻になる可能性があります。
聖書の舞台、あるいはその周辺地である中東の状況が緊迫の一途となっていて、それにより私たちの生活も大きく左右されています。
聖書の舞台の周辺地が、世界全体を混乱に陥れる。
そういう時代なのかもしれません。
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