小惑星 3122 フローレンス(右端の水色)の9月1日の軌道
ここ数日は、まあ……お盆だということとはそれほど関係がないのかもしれないですけれど、時間があまりない日々が続いています。
きちんとした内容で書けるかどうかわからないのですが、今日はひとつのことだけを書いておきたいと思います。
それは、来月の 9月1日に「知られている中では最大の小惑星」が、地球に、これまでなかったほどの距離にまで接近することを昨日知りまして、そのことをちょっとだけ書いておきます。
「これまでなかったほどの距離にまで接近する」とはいっても、衝突だとか、そういうような影響はまったくない距離ですので、何があるというようなことではないです。
その小惑星は、冒頭に載せました「3122 フローレンス」と名づけられた小惑星で、1981年に発見されたものなのですけれど、これが、
・小惑星の観測の歴史の中で最大のもの
であり、そして、
・この3122 フローレンスがここまで地球に近づくのも観測史の中で初めて
なのです。
この小惑星の推定される大きさについては、観測した組織や計算などによってバラツキがありますが、冒頭のものでは、「直径 4.8 キロメートル」となっています。
ちなみに、NASA では、直径約 5.3キロメートルとなっています。
NASAのデータより
この小惑星に対しての、これまでで最も大きな推定値は「直径約 9キロメートル」というものも存在します。
いずれにしても 最小でも 4キロメートルから最大で 9キロメートルほどもあるという、大変に巨大な小惑星なのですが、数値だけではよくわからないですので、感覚的なものとして、たとえば In Deep の過去記事に載せたことがあります「チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星とロサンゼルスの街の大きさの比較」の写真を再度掲載しておきたいと思います。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星は、ヨーロッパ宇宙機関の探査機ロゼッタが 2014年に、探査装置フィラエを送り込み、彗星の表面の組成の観測に成功したて天体で、その直径は長い部分が約 3.2キロメートルです。
チュリュモフ・ゲラシメンコ彗星(3.2km)とロサンゼルスの街の比較
・Graphic Shows The Size Of Rosetta's Comet
直径3キロメートルでこれですから、今回の地球近傍小惑星である 3122 フローレンスの直径 4キロメートルから最大 9キロメートルというのが、いかに巨大な天体であるかがおわかりかとも思います。
これが、9月1日に地球から 711万キロメートルにまで接近します。
もっとも、711万キロメートルという距離は、天文学的には地球と近いとされる距離ですが、実質的に見れば、宇宙のずーっと向こう側でありまして、間違っても地球に影響があるほど接近するようなことはありません。
仮にですけれど、いつの日か、「こういう天体が地球に大接近したり衝突するようなことがあったらどういうことになるか」というと、これは、たとえば、過去記事の、
・良い時代と悪い時代(1): 500年ほど続いた「穏やかだけれど傲慢な時代」は終わろうとしているのかも
2012/10/06
などに載せたことがあります、フレッド・ホイル博士の名著『生命はどこからきたか』にある「彗星が地球に衝突した場合」の想定表を見るとおわかりになるかと思います。
今回の 3122フローレンスの大きさ( 4hm から 9km)相当の天体が衝突した場合を赤で囲んであります。
天体が地球に衝突した際の大きさと被害の影響の関係
これを見ますと、「おおむね、7キロメートルを超える天体が地球に衝突すると、地球は大絶滅を迎える」ということになっています。
ちなみに、上の表ですと、地球に衝突する際の速度が「秒速 13.5キロメートル」とありますが、今回の 3122フローレンスも、通過する際には同じような速度で通過します。つまり、「 1秒間に 13キロメートル進む」というようなスピードで通過していくのですね。よくわからない速度ですが、それだけに、何かに衝突した場合は、その破壊力は大変なものとなります。
今回の小惑星 3122フローレンスは「決して」地球に衝突しませんが、現実として、こういうものがわりと地球の近くを行き来しているという事実があるということを知っておくのも悪いことではないのかもしれないとも思います。
長い地球の過去の歴史、そして「これからの歴史」の中では、いつかは必ず、こういうような天体が地球に衝突する時はあるのです。それは過去にも確実にあったことですし、今後も避けようがありません。
そして、そういう時に立ち会えたとするならば、それをラッキーと感じるかアンラッキーと感じるかはそれぞれの方々の感覚によるものでしょうけれど、しかし、それはとても劇的な場面に立ち会えていることになるということは確かだ思います。
それは何億年に1度ほどの大変化の時に他ならないのですから。
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