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3月15日にメルマガニネベの年に起きること。そしてガンと寄生虫の関係を発行させていただきました。

中国という国 人類の未来 悪魔の輪郭

未来世紀チャイナが作り出す中国式デストピア : 人々はシミュレーションゲームのような「変動するポイント制度」による信用システムの中で生きていく

投稿日:2018年4月3日 更新日:


Welcome To Xi Jinping’s Orwellian Dystopia ※ ここにある「デストピア」という言葉は、ユートピアの逆の言葉で「暗黒の社会」を意味します。

 

深セン市の交通警察は「信号無視」等した人たちのデータをウェブサイトで処罰的に公開中。顔認証により本人特定も即座


abc.net.au




 

少し前の記事、

生まれる前の赤ちゃんに個体識別バーコードがつけられ、何十億人もの情報がインターネットで一括入手できる時代に、もはや個別の事案に感情的になっても…
  In Deep 2018/03/22

の中で、「中国で、社会信用システムによる全国民のランキングが作られる」ということについてふれました。

その内容は具体的にはどういうものなのかということを、やや知りたかったのですが、数日前のオーストラリアの ABC ニュースでそれが特集されていました。

これはもう本当にすごいもので、小説『1984』や、映画『未来世紀ブラジル』などで描かれていたような「超管理社会」の《完成》ともいえるものなのかもしれません。

これは「国民がすべてポイント(得点)で評価される」というもので、それは事細かいもので、たとえば冗談ではなく「信号無視はマイナス〇〇点」とか、「献血するとプラス〇〇点」などのように評価されていくのです。もちろん、反体制とか犯罪歴は超大幅マイナスのはずです。

そして、マイナスが大きくなり「信用のできない人物」という評価になると、その人は飛行機や長距離列車に乗ることができなくなります。また、家を買うこともできなくなり、その家族が大学に進学することもできなくなります。

わかりやすい分、とてもこわいものでもあります。

とても長い記事ですので、今回はいろいろな感想等は書かずに、さっそく、その翻訳を載せたいと思います。これをお読みになるだけで十分なものだと思います。

ちなみに、テクノロジーの観点からだけいえば、これは「どの国家でも採用できる」ということもまた事実です。

「なるほど、世界はこれからこういう方向に変わっていくのか」と、やや暗い感慨を胸に秘めながら、これからの世界のサバイバルというようなことを改めて思うのでありました。

それでは、記事です。


China's Social Credit System seeks to assign citizens scores, engineer social behaviour
ABC News 2018/04/03

中国の社会信用システムは、市民たちに得点を割り当て、社会的な行動を調整している

中国政府の国家計画のための委員会である「国家発展改革委員会」の報告書によると、中国当局は「信用できない」と見なされた 700万人以上の中国市民の飛行機への搭乗を禁止し、300万人以上の人々の高速移動鉄道への乗車を禁止した。

この発表は、2020年までに中国に社会信用制度(SCS)を創出しようとする中国政府の野心的な試みの一貫だ。すなわち中国 14億人の市民に対して「得点付け」することで、良い個人行動と見なされた人たちに高い評価を与え、「体制に不服従である」ことに対して処罰を下すという試みだ。

中国の重慶市に住む 43歳のジャーナリストのリウ・フー(Liu Hu)氏は、昨年、飛行機を予約しようとした際に、航空会社のシステムのリストに彼の名前があることを知った。彼は飛行機への搭乗を拒否された。リウ氏は、自分が中国政府の社会信用システムに巻き込まれていることを知り、「物が言えないほど悄然とした」と ABC ニュースに語る。

リウ氏は、「不正な行いをした人物」のリストに載せられていた。その理由は、彼は 2015年に名誉毀損訴訟で敗訴したが、その罰金を支払っていないためだと裁判所の記録に記されているという。

しかし、リウ氏は罰金を支払ったと主張しており、「誰もこのことを私に通知していない」と述べる。

「中国政府は私をブラックリストに載せ、私が何もできないようにしている」と彼は言う。

リウ氏は、他の 700万人の中国市民と同様に、「信頼できない人物」としてブラックリストに載せられている。

そのため、リウ氏は星付きの各付けホテルに宿泊することはできない。また、家を買うもできないし、休日に遠方への旅行に行くこともできない。さらには、彼の 9歳の娘を私立学校へ入学させることもできないのだ。

そして 4月2日、中国当局は「信頼できない人物」とみなされる人々の資産を凍結する可能性についての発表をおこなった。

 

献血とボランティア活動でボーナスポイントが与えられる

この国家制度がまだ完全には実現されていない中で、中国の地方自治体の省や市や郡などの地方自治体レベルでは数十の試行的な社会的信用システムがすでにテストされている。

たとえば、中国東部の蘇州市では、すべての市民に 0ポイントから 200ポイントの尺度で評価されるポイントシステムが適用されている。蘇州市民は、最初はすべての人が 100ポイントの基礎得点を持つところから始まる。

このポイントは、慈善的な活動をおこなうことでボーナスポイントを獲得することができ、あるいは、法律や社会規範に違反した場合には、ポイントを失う可能性がある。

地元警察による 2016年の報告によると、上級ポイントの蘇州市民たちは、1リットル以上の献血をし、また、500時間以上のボランティア活動をして 134ポイントを獲得している。

蘇州市当局は、次のステップとして、交通機関の不正無賃乗車や、ビデオゲームでの不正行為、あるいはレストランなどの予約を無断で取り消す行為などについて、処罰の対象(ポイントを下げる)にしようとしているという。

深セン市の当局は最近、信号無視などの小さな犯罪を取り締まるための顔認識システムの運用と、その人たちのオンラインでのシャミング(ネットで「さらし者」というような意味)システムの使用を開始した。

深セン交通警察は交通規則を無視した人たちの詳細を公開している

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アモイ市では、社会信用システムの開発が 2004年の初めに始まったが、当局はブラックリストに載せられた市民の携帯電話回線にメッセージを自動的に入れるシステムを適用していると伝えられている。

これは、社会的評価の低い人に電話をかけようとすると、その通話の前に「あなたが電話をかけた人物は、不誠実な信用できない人物です」という音声が入れられる。

 

消費行動によってプロファイルされた市民

また、多くの中国の民間企業は、複雑な分析システムを使用して、彼らの顧客のプロファイルを立てている。ここには 2020年から公式に使用できるさまざまな技術(顔認識やその人物のネット上での公開システム等)をさらに進化させる先行するプログラムの実施が含まれる。

顧客の消費パターンをとらえるソフトウェア(北京のデパート)

 

例えば、「セサミ・クレジット (Sesame Credit)」は、中国企業アリババ関連の会社アント・フィナンシャル社 (Ant Financial)によって開発された個人クレジットシステムだ。

このセサミ・クレジットのシステムは、中国などで非常に普及しているアリババの支払いプラットフォームであるアリペイ(Alipay)のアルゴリズムとデータを使用し、消費行動や他の要因の中で顧客の嗜好を評価する。

セサミ・クレジットのテクノロジーディレクター、リ・エイウン(Li Yingyun)氏は、「例えば、1日に 10時間もビデオゲームをプレイしている人は、遊んでいる人物と見なされることになるだろう」と中国のメディアに語った。

「おむつを頻繁に購入する人はおそらく子どものいる親として考えられ、責任感を持つ可能性が高い」

しかし、同社のウェブサイトによると、セサミ・クレジットは、このデータを公開して顧客をプロファイルしているのにもかかわらず、現在、中国当局と情報を共有していないと主張している。

 

Wifi 探索装置に夜間監視、そしてビッグデータ

一方、最近の報告によると、一部の地域では、中国は IJOP(Integrated Joint Operations Platform / 統合集積操作プラットフォーム)と呼ばれるものを採用している。これは中国市民の銀行の記録、コンピュータの詳細、法的な過去に関する情報をプールするハイテク型の監視システムだ。

社会信用システムと並行して実行され、複数の情報源または「センサー」からその情報を収集すると報告されている。

その情報取得取得方法の 1つのソースは CCTV カメラ(監視固定カメラ)によるものであり、そのうちのいくつかは、顔認識と赤外線機能を備えており、またカメラには「夜間視力」を与えており、必要だと警察当局が考える場所に配置されている。

街の様子を24時間記録し続ける固定カメラ

もう1つのソースは、コンピュータ、スマートフォン、その他のネットワークデバイスの固有の識別アドレスをプールする「 wifi sniffers (Wifi 捜索装置群)」だ。

このシステムはまた、ナンバープレート番号と市民識別カード番号を含む情報をセキュリティ・チェックポイントから収集すると伝えられている。

国際的な人権 NGO ヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)の上級中国研究者であるマヤ・ワン(Maya Wang)氏は、「これは基本的には、人々、特に当局が注意を要する人物とみなす群にわけられる人々の監視と記録を行っているものです」と語った。

「この中には、精神障害のある人たちや精神衛生上の問題を抱える人たち、あるいは、当局に対して苦情を申し立てる人たちや、請願を行う人たち、さらには、国家プロジェクトの名において、ウイグル人などのマイノリティたちが含まれている可能性があります」

「 IJOP システムは、疑わしいと思われる人々のリストを警察に送り、そしてその人たち拘束されます。社会的信用システムは、小さな罰を受けることがあり、さまざまな方法で人々を統制することを確約しているのです」

中国政府がこれらのプロジェクトを組み合わせることにより、社会を操作していくことは可能なのだろうか。

これについて、中国の国家保安についてのコンサルタントをしているサマンサ・ホフマン(Samantha Hoffman)氏は、先駆けて地方で行われてきたプロジェクトと、膨大な量のデータを統合して管理すれば、中国政府は 2020年までに絶対的な社会的および政治的統制を発揮し、「人々の行動を先取りして形作る」ことができるだろうと述べている。

ホフマン氏は、以下のように述べる。

「人々が、その行動が得点にマイナスの影響、あるいはプラスの影響を及ぼし、それが生活や人生そのものにも影響を与えていることに気づいた場合、人々はそれに応じた意思決定を行い、行動を調整していく可能性が高いでしょう」

しかし、ヒューマン・ライツ・ウォッチのワン氏は、中国当局が「社会から取り除く」ことをする可能性がある場合、問題は残ると述べる。

現在の中国では、政府の公安省が多数のデータベースを運営しているおり、それと共に地方当局もデータベースを運営しているが、これらのそれぞれのデータベースがどのように相互に関連しているか、そして、それらがどのように構造化され、どのように更新されているかを知ることは私たちには困難だ。

ワン氏は、「現時点では、ある程度はデータベースは更新されていますが、中央と地方で統合されていないため、統合は困難なのではないでしょうか」と述べた。

上海財政経済大学の財務教授で、国家社会信用制度の構築にも関わるフー・ナイホン(Hu Naihong)教授は、浙江省で開かれた2017年の会議で、以下のように述べている。

「トップレベルの設計、制度的枠組み、主要文書はすべて整っているが、まだ解決すべき問題が多い。最も深刻な問題は、すべてのプラットフォームが厳密にデータを収集しているが、それを適用する法的および概念的根拠が曖昧なことだ」

現在のアルゴリズムがブラックリスト内の無実の人々を間違って捕えたケースは数多くある。

2015年、江蘇省在住の 16歳の女子学生であるツォン・ペイ(Zhong Pei)さんは、ブラックリストに乗った。それは彼の父親が 2人の人物を殺害して、交通事故で死亡した後だった。

その後、ツォンさんは 4ヵ月間、裁判所の判決に異議を唱え続けた。2017年に、彼女はブラックリストから外れることができた。それにより彼女は列車に乗ることができるようになり、大学へ入学することもできる。

現在、先行的に行われている中国の社会信用制度は、主に、裁判所の命令に従わなかった人や負債を持つ人、また共産党に脅威を与える人たちや、党のルールや一般的な 「社会的安定」を脅かす人たち、そして、反体制派と政府に請願する人たちと、その家族が含まれている。

 

国家権力の乱用、法律違反

前述したブラックリストに掲載されたジャーナリストのリウ氏は、国際メディアの注目を集めているが、彼は、複数の「マイナス」のカテゴリーに該当するようだ。リウ氏は以前に、腐敗した中国政府の関係者を暴露した時、「噂を広めた」という理由で警察に拘束されてもいる。

中国の社会信用制度は、政府が裁判所命令を執行するために適切な試行をすることが期待される一方で、専門家たちは、それは市民の動きを制限し、教育への平等なアクセスを拒否することでもあり、基本的な人権の問題にもふれると述べている。

リウ氏は ABC ニュースに、「信用履歴の低い市民に、航空機や高速鉄道での旅行を禁止することは、市民権を侵害することだ。特に鉄道と航空は国有産業であり、すべての市民に輸送手段への平等なアクセスを与える義務がある」と述べた。

成長する監視システムと、全国に展開する顔認識などの技術と組み合わせることにより、中国政府は、社会的信用システムを介し、さらに市民を管理することが可能となっていく可能性を持つ。

しかし、その目的が「悪用」される可能性に対しての懸念は、多くの専門家から指摘され続けている。





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Oka In Deep

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