・Brazil Not Prepared for Olympics
離脱ブームの中で
今日はね(もういいっつーの)、イギリスの EU からの離脱に関しての住民投票で離脱派が勝利したことで、市場はムチャクチャな混乱に陥りました。
為替はあっという間に数ヶ月分くらいの変動を瞬間的に起こし、株式市場は、過去にあったのかもしれないですが、私は聞いたことがない、
「東京株式市場で一時、東京証券取引所第1部に上場する約1960の全銘柄が下落 (共同通信)」
という速報が流れるなど、1日の動きとしては、リーマンショックどころではない激しい動きを見せていまして、「今日は非常に特別な日なんだなあ」ということを実感させてくれた午後でした。
株価は最終的には 1286円安ということで、16年2か月ぶりの下げ幅だということです。
そして、今は午後5時くらいですが、ヨーロッパの株式市場も超混乱しています。
ちなみに、離脱派が勝利した途端、アイルランドの右派政党であるシン・フェイン党が「アイルランド独立の国民投票」を呼びかけ(AFP)、すぐに、オランダの政党も EU 離脱の国民投票を呼びかける(Twitter)、スコットランドの首相は独立を示唆(AFP)という流れになっていて、今後ちょっとした「離脱ブーム」が起きそうな感じもあります。
他にも、今年は夏に向けていろいろな行事がありますからね。
この夏最大の行事といえば、まあ、お盆(そうかよ)。その次が、リオデジャネイロオリンピックということになるのでしょうか。
ブラジルは日本からは比較的遠いですので、わざわざ行く日本人の方がそれほどいるとは思いませんが、選手の方々は行かなければならないわけですし、その関係者の方などもそうでしょうけれど、しかし、今度のオリンピックは、なかなか「難敵な存在」となってきています。
今回はそれを項目別に記してみたいと思います。
日本は次のオリンピックの仮開催国ということで、ニュースなどでも、オリンピック周辺の懸念情報はあまり流さない傾向にありそうですが、これらが今、ブラジルで起きているいくつかのことです。
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2016年オリンピックがやや過酷なものになるかもしれないことについて
1. 毒性が異様に強く見える豚インフルエンザの流行
ブラジルで最も懸念されていた病気として、ジカ熱がありましたが、現在、ブラジルの多くでは、大変な寒さとなっていまして、それについては、
・リオデジャネイロオリンピックは極寒の中で? ブラジルの未曾有の寒波がさらに拡大し、複数の凍死者を出す状況に
地球の記録 2016/06/18
などでふれていますが、今、地球の南半球では大変な寒さが続いていますが、この状況が続く限りは、ジカ熱の心配はあまり必要ないと思われます。
しかし、それよりも、今、ブラジルで問題なっているのが、豚インフルエンザで、6月22日までの死者が 1003人にのぼったことが発表されています。
2009年に WHO がパンデミックを宣言した際には、豚インフルエンザで 2060人が死亡していますが、ブラジルでインフルエンザが流行する場合、当地の冬である6月から9月くらいまでに流行が拡大することが多いようで、オリンピックまでに流行が終息していなければ、最もインフルエンザが流行しやすい時期のオリンピックとなります。
これは、どうして最初に挙げたかといいますと、どうも「死亡率が妙に高い」のですよ。
たとえば、AFP の記事のには、
> 1月3日から6月11日に報告された感染件数は5214件
> 死者1030人
とありますが、患者数 5214人のうち 1030人が亡くなったというならば、致死率が 20%だとかになるような気がするのですが・・・。
あるいは、下のような記述もあります。
最も感染者が集中したのは南東部で、2606人が感染し、540人が死亡した。特に、政治・経済の中心地であるサンパウロ州での被害が大きく、2197人が感染し、434人が死亡している。
8月5日~21日に五輪が開催されるリオデジャネイロ州では150人の感染と44人の死亡が報告された。
> 2606人が感染し、540人が死亡(南東部)
> 2197人が感染し、434人が死亡(サンパウロ州)
> 150人が感染し、44人が死亡(リオデジャネイロ州)
やはり、どれも 20%に迫るか、超えているように見えます。
致死率 20%というのは、どんな病気であっても、相当なものです。
2009年の豚インフルエンザのパンデミックの時は、2009年新型インフルエンザの世界的流行 - Wikipedia によれば、
2009年9月30日の報道では、致死率は季節性インフルエンザ並みかそれ以下の0.045%と分析されている。
と、致死率は 0.1%よりも低い普通の季節性インフルエンザよりも弱い「体に優しいインフルエンザ」だったのですが、どうも、今のブラジルの豚インフルエンザはそういうものではないようなのです。致死率 20%超の豚インフルエンザでパンデミックなんかに繋がりますと、ちょっとね。
先行きはわからないながらも、そういうウイルスがある場所へ「世界中から人々が訪れる」という図式になるわけです。
気をつけようがないことではありますが、寒さとインフルエンザの組み合わせという状況が8月まで続いたとすると、やや面倒なことにもなりかねないかもしれません。
2. 警備、医療、交通の崩壊のささやかな懸念
オリンピックをおこなうリオデジャネイロ州は、先日、財政難で「五輪開催の責任を果たせない」として、非常事態を宣言しました。
ブラジル・リオ州が財政非常事態、連邦政府に支援要請
ロイター 2016/06/20
ブラジルのリオデジャネイロ州は17日、財政が危機的状態にあるとして非常事態を宣言し、8月の五輪期間中に公共サービスを提供できるよう連邦政府に資金支援を要請した。
官報に掲載された布告によると、「警備、医療、教育、交通、環境面の運営が完全に崩壊する」のを避けるため、臨時の資金拠出が必要になる。
リオデジャネイロ市のパエス市長はツイッターで「州財政の非常事態により、五輪プロジェクトやリオ市の約束の実行に遅れが生じることはあり得ない」と述べた。
この後、ブラジル政府は、リオデジャネイロ州に約 870億円を融資するということになったのですが、そもそも、ブラジルという国自体が危うくなった際には、こういう援助も危うくなるのではないかということなんですね。
そうなった場合、上の記事にありますように、
> 警備、医療、教育、交通、環境面の運営が完全に崩壊する
ことになると市当局自身が述べているわけですが、どうもいろいろと危うい感じがするのです。
まず、つい最近、ブラジル大手の固定通信電話会社、日本でいえば、NTT に相当する会社が「破綻」したのです。
それも、負債総額2兆円という、ブラジルでは前例のない巨額の破綻でした。
ブラジル通信大手オイ、会社更生手続き申請 負債総額2兆円
日本経済新聞 2016/06/21
ブラジル通信大手オイは20日、リオデジャネイロ州の裁判所に会社更生手続きの適用を申請したと発表した。負債総額は654億レアル(約2兆円)。外資系企業との競争が激化し、資金繰りに行き詰まった。地元メディアによると同国で過去最大の破綻といい、低迷する経済に冷や水を浴びせかねない。
ブラジルでは景気低迷で債務返済に苦戦する有力企業が目立つ。
そして、ブラジルの報道では、この巨大な破綻が、ブラジルの銀行に大きなダメージを与える可能性が書かれていまして、ブラジルは今でも経済は厳しいですが、これをきっかけにブラジル経済がさらに混沌とした状態に突入する可能性があるのかもしれません。
そして、この今の時期に、先ほど書きました「イギリスの EU 離脱」による、世界の市場と通貨の大混乱が重なってしまいまして、ブラジルの市場もおそらく混沌としたものとなると思われます。
そして、仮に、いろいろと混乱したまま8月に突入して、リオ州政府が言うような「警備、医療、環境面の運営が完全に崩壊」した場合は、テロ対策も含めまして、防御の崩壊という状態の中でオリンピックが開催されるという可能性もまったくないとは言い切れないのかもしれません。
そういう思いはブラジルの人たちが何より感じているようで。さきほど載せましたブラジルのリオ・タイムズの「今なおブラジルがオリンピックの主催国である必要があるのだろうか」という記事につながるわけで、この記事は、6月22日のものですから、開催2か月を切っている中で、このような記事が出されるという、一種非常識にも思える気分は、今の一部のブラジルの人たちの正直な思いなのかもしれません。
おそらく、ブラジルの多くの人は、もはや、オリンピックを楽しみになんてしていないのではないかとさえ思います(東京も)。
できれば、もう少し穏やかな状況のところでオリンピックをおこなってほしい気もしますが、でも、今さら開催地を変えるというのも現実として難しいでしょうしね。
もはや予算不足だろうが、開催できる状態でなくなっていようが、リオでのオリンピックは強行する他はないということになりつつあります。
3. 治安
治安は一時的な滞在であれば、十分に注意して行動すれば大丈夫でしょうが、今のブラジルの治安の悪さは、何だか悪意や憎悪を感じる部分を醸しだしていまして、それがどうも。
ブラジルの都市部は、たとえば、「ブラジルの強盗発生率、日本の約400倍! (産経新聞 2014/06/13)」というような報道を見ましても、一般的な意味での治安も確かに良くないのでしょうが(殺人率は日本の 100倍くらいです)、何だかこう人々、特に男性たちの考え方が、何だかやや悪魔的に見えてきてしまう事例を多く目にします。
最近も、16歳少女を男33人で集団性暴行をして、その動画をネット上に投稿するというような出来事が報じられていましたが、このブラジルという国は、女性に対しての性的暴行被害の届けが年間に5万件もあるそうなのですが、多くが被害届けを出していないことなどから、実際の被害数はものすごいものになると思われます。
尊重すべきものを尊重できなくなった国や場所に良いものが根付くとも思えないのです。
ブラジルの治安といえば、昨日、NHK か何かのテレビ番組で、ちょうどチラッと見た時に写されていたのですが、鹿児島県の三島村という人口 300人ほどの小さな島が、過疎化対策として、現金での支援を含む定住支援を打ち出し、これが外国語でも報じられたため、外国人たちが応募してきたのですが、その中に、奥さんが日系三世のブラジル人夫婦がいました。
チーズ店を経営していて、仕事は順調なのに、なぜそれを捨てて日本に行きたいかと言いますと、「子どもがほしいけれど、ブラジルでは治安が悪くて子どもを産みたくない」のだとか。
ブラジルでは、この 10年だか 20年で出産率が 18%下がっているのだそうで、その理由は、治安が悪すぎて安心して妊娠・出産できないのだそう。
「治安が悪くて子どもが産めない」というのも終末的な感じがしますが、日本のように、そういう理由でなく出産率が下がり続けている国もあるわけで、いろいろではあります。
ちなみに、その鹿児島県の三島村の移住支援はかなり手厚いもので、島に暮らしてくれれば、子牛一頭プレゼントの他、夫婦世帯なら、3年間毎月 10万円の給付があるのだそうで、若い方なんかはいいんじゃないですかね(55歳まで)。こちらに案内があります。
圧倒的な余談
私はオリンピックの方にはあまり興味がないのですけれど、NHK 教育の「ハートネット TV 」をよく見ていて、今は週に1度くらい、パラリンピックの選手の方々の特集をやっているのですけれど、何人かの選手の人たちから私は「圧倒的な肯定的態度」を学ばせていただいていて、それだけに、彼女たちには、強く楽しくリオでのパラリンピックに参加していただきたいと思っています。
私がその「圧倒的な肯定的態度」に胸を打たれたのは、視覚障害者マラソンに出場される道下美里さん(番組)と、視覚障害柔道に出場される廣瀬順子さん(番組)です。
存在そのものから明るさが弾ける彼女たちですが、やはりその「思考法」そのものは本当に勉強になりました。
まあ、この「圧倒的な肯定的態度」という言葉はほとんど私の造語で、おそらく私自身にしか通じないような言葉ですので、具体的に書くのは難しいですが、「今の瞬間が人生で最も素晴らしい」と常に感じながら生きていくことができるかどうかという。
少し前の記事、
・「サイキック能力を身につけるための重要な方法」について書き始めましたら、結局カオスとなってしまいました
2016/06/07
に、漫画家の水木しげるさんのことにふれた部分がありました。
そこで、2007年に放映された NHK スペシャル『鬼太郎が見た玉砕〜水木しげるの戦争〜』というドラマについて書きましたが、先日、それを久しぶりに見たのですね。
その中に、戦後、日本に戻り、人気漫画家となった水木しげるさんが、雑誌か新聞の女性編集者からインタビューを受けるシーンがあります。
その時のやりとりに、その圧倒的な肯定的態度があらわれています。
編集者が、「水木先生は、戦争で左腕を亡くされましたが、さぞやご苦労されたのではないかと・・・」のような問いかけをします。
すると、水木しげるさんは、
「手がなくなってからずっと天国だ。手がある時は地獄じゃった」
と、こともなげに呟いたのです。
「これだよな」と私はつくづく感服しました。
今の瞬間が常に人生で最も良い状態であるという思考を体得すれば、実は世の中がどんなにムチャクチャになっても、あるいは大きな病気などになっても、全然関係ないのですよね。
これは最強のサバイバル思考でもあります。
そういうようになれれば、今のブラジルでも楽しく過ごせるのかもしれません。
何だか最後は妙な余談で終わってしまいましたが、みんなが楽しく無事に終われば、それに越したことはありません。そして、やはり、ブラジルだけではなく、未来世紀がよい状態の世界になっていればいいなと、今日の離脱騒動を見ていて、ふと思いました。