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2020年からの世界 アメリカの憂鬱 日本の未来

アメリカの中小企業の半数が「永久に会社を閉める」と回答する中に見える、農林中金など日本の金融機関が過大に投資している金融商品「CLO」が危機に至る可能性。その影響はリーマンショックの十数倍以上か

投稿日:


Newsweek




 

アメリカの中小企業の崩壊が日本の金融機関を破壊する構図

パンデミックのロックダウンの影響について、中小企業の経営者からの回答をまとめたアメリカの金融サービス会社の調査で、

「調査対象の中小企業のうち、47%が会社の永久的な閉鎖を予測している」

という衝撃的な結果が導かれたことが、米ニューズウィークにより報じられていました。この中小企業とは店舗などを含む多くの小規模企業ですが、公式のデータによれば、これらの中小企業は「アメリカの企業の 99.9%を占めている」のだそうです。中小企業の労働人口は 5890万人です。

この「アメリカの中小企業の半数が消える」ということを聞いたときに、ふと最近の日本のニュースを思い出しました。

日本最大の機関投資機関として知られる農林中央金庫が、このパンデミックの中で、「 4000億円の評価損を出した」という以下の報道でした。

農林中金:CLO評価損は4000億円超、新規投資は引き続き抑制へ

農林中央金庫は27日、2020年3月期のローン担保証券(CLO)の評価損が4000億円超に上ったことを明らかにした。新型コロナウイルス感染拡大による世界的な金融市場の混乱が影響した。

27日に開示した資料によると、格付けの低い企業への融資を束ねて証券化したCLOの保有残高は、19年12月末の8兆円から3000億円減少し、7兆7000億円だった。CLO残高は市場運用資産全体の12%を占め、すべて満期保有目的の「AAA」格だった。

(2020/5/07 Bloomberg

ここに、

「CLO」

という聞き慣れない言葉がありますが、これは、この報道にもありますように、「信用力の低い米国企業向けの貸出債権を束ねた金融商品」であり、簡単にいいますと、「あまり質の高い貸し出し債権ではない」といえ、このような金融商品が何と似ているかといいますと、2019年11月の以下の東京新聞の記事の冒頭がわかりやすいかと思います。

「リーマン」類似、投資急増 農林中金など3社 CLO、計12兆円

大手金融機関が、信用力の低い米国企業向けの貸出債権を束ねた金融商品「ローン担保証券」(CLO)への投資を急増させている。CLOの仕組みは、二〇〇八年にリーマン・ショックを引き起こしたサブプライム住宅ローンの関連商品と類似する。米国の景気次第で価格が大きく下がる懸念もあり、日銀はリスクに留意するよう促す報告書をまとめた。 (2019/11/27 東京新聞

この東京新聞の報道は、新型コロナウイルスが中国で発生したと伝えられるより前の時期のものですが、ここに、

> 米国の景気次第で価格が大きく下がる懸念もあり

とありますが、まさに今「それが起きている」のです。しかも、どんな想像も上回る規模で起きているのです。

今起きていることは、リーマン・ショックどころの騒ぎではなく、先ほどのように、「アメリカの中小企業の半数が消える」というような大災害となってきている状況が明らかになってきています。

この 2019年当時、日銀のリポートは、

リーマン・ショック級の経済危機が起きると、アメリカ企業の破綻などでCLOの価格は2~3割程度、下落する可能性があると分析。

としていましたが、今回のカタストロフは、リーマン・ショックの数倍あるいは十数倍になるかもしれず、そして、現在のアメリカで最も影響を受けているのが、金融商品「 CLO 」と関係するかもしれないような「信用力の低い米国企業」であり、場合によっては、日本の多くの金融機関が投資しているこれらの金融商品の「存在自体が、危機的な状態になる」可能性さえ出てきています。

まずは、冒頭で書きました「アメリカの中小企業の半数が、このまま会社を永久に閉鎖する」とした調査を報じた米ニューズウィークの記事をご紹介します。

 


調査では、アメリカの中小企業の経営者のほぼ半数が永久に会社や店舗を閉鎖しなければならなくなったと回答している

Even With Loans, Survey Shows Almost Half of Small Business Owners Say They'll Have to Shut Down For Good
newsweek.com 2020/20/05

新型コロナウイルスのパンデミックの中で、全米の中小企業がビジネスを再開させることに苦労しており、新たな調査によると、中小企業のオーナーの半数近くが最終的には企業を完全に閉鎖せざるを得なくなると考えていることがわかった。

ウイルスの蔓延を抑制する手段としてアメリカで行われた強制ロックダウンと社会的距離の命令の結果として、中小企業は、すでにその多くが会社や店舗を閉鎖しているという報告がある。

米金融サービス会社 Azlo が実施した調査は、パンデミックの経済的影響に関する中小企業の経営者からの回答をまとめたものだ。

調査対象者の経営者のうち 47%は、永久的な店舗や会社の閉鎖を予測していると答え、41%の経営者が他の場所でフルタイムの仕事を探していると答えている。

回答者たちはまた、パンデミック発生時にアメリカの中小企業への財政負担を軽減することを目的としたアメリカ連邦融資イニシアチブである「ペイチェック保護プログラム(PPP)」についての経験を共有していた。

3月末に可決された「コロナウイルス援助、救援、経済安全保障法(CARES)」に基づいて設立されたこのプログラムは、実施後 2週間も経たないうちに、政府資金が不足したため、申し込みの受け付けを停止した。4月27日、トランプ大統領が 2回目のコロナウイルス救済パッケージを承認した直後から、再び申請を受け入れ始めている。

アメリカ中小企業庁のガイドラインによると、500人未満の従業員を抱える企業や非営利組織は、個人事業主、独立請負業者、自営業者と同様に、PPP を通じてローンを申請する資格がある。

調査の回答者の半数未満(38%)が、PPP ローンに関与していた。申し込みをした人のうち、37%はプログラムの資金配分が遅いと述べ、20%はこのプロセスは「痛みを伴う」と説明した、と Azlo 社は報告している。

米 CNBC が全米 2,200の中小企業経営者を調査し 5月4日に発表した別の調査によると、アメリカ全体の中小企業の多くは融資プログラムを通じて救済を受けていなかった。CNBC の調査では、回答者のうち 45%が 救済資金を申請したと答えたが、申請した人のうちで承認されたのは 13%だけだったと述べている。


 

ここまでです。

日本もかもしれないですが、アメリカにおいても、中小企業の救済プログラムはあまり機能していないようで、その中で、「ほぼ半数の中小企業が消滅する可能性がある」という事態に直面しています。

そのような中で、日本の金融機関のいくつかは、アメリカの信用の低い企業の債権から構成された金融商品「ローン担保証券」(CLO)に巨額の投資をおこなっています。先ほどの東京新聞の報道によれば、2019年9月末の時点で、日本の金融機関の CLO への投資額は以下のようになっています。

2019年9月の時点のCLOの保有額

・農林中央金庫 7兆9000億円

・三菱UFJフィナンシャル・グループ 2兆4733億円

・ゆうちょ銀行 1兆5241億円

東京新聞

最大の保有額を誇る農林中央金庫(農林中金)というのは、農業協同組合などの系統中央機関の役割を持ち、運用の仕組は Wikipedia によれば、以下のようになっています。

約3,200人の職員で、JAバンクから上がってくる約80兆円の貯金を各県の信用農業協同組合連合会を通して運用する。

農林中金は、2008年のリーマンショックの際にも大きな評価損を出していますが、しかし、それは以下のような額でした。

2008年3月期の最終利益は過去最高を達成したものの、日本の株価の値下がりの影響による870億円余りの損失と合わせて2743億円の損失も計上することとなった。

このように、リーマン・ショックの際の損失は「 2743億円」ということになっていたのですが、今回は、

「パンデミックの影響がまだ本格的に出ていない時期だけで 4000億円の評価損」

となっているわけで、そして、アメリカの企業への影響も、あるいは日本の企業への影響も本格化するのはこれからであり、先ほどの3つの金融機関も含めて、おそらくは、他の国の金融機関も、この CLO という不安定な金融商品を大量に持っていると思われますので、この金融商品の破綻による「本格的な金融不安」がやってくる可能性が高まっています。

ちなみに、2019年10月の NHK の「金融危機の引き金に? 膨張する「CLO」のリスク」という記事によりますと、日本の金融機関が持つCLOの全保有額は「 12兆 7000億円」だそうですが、このような巨大な額でも、

「世界で発行されたCLOの15%に相当する規模」

なのだそう。

つまり、大ざっぱな計算としても、100を15で割れば 6.66…ですので(こんなところにも 666 )、世界には、80兆円以上のこの不安定な金融商品が保有されていることになり、これが破裂すれば、世界的な金融不安につながる可能性もありそうです。

今回の経済危機は、リーマン・ショックとは逆となりそうで、リーマン・ショックは「大手金融機関の破綻から一般の企業や生活に影響が広がった」のですけれど、今の危機は、「中小企業や一般の店舗から危機が始まり、危機が大手金融機関に波及していく」ということになっていきそうです。

リーマン・ショックの時は、金融機関の救済という方法で、少しずつ抜け出すことができのですけれど、今回のような順番では、つまり、「すでに中小企業と一般の人々に多大な救済資金を使っているので、大手金融機関の救済にまで回らない」という国もあるかもしれません。日本がそうなのかどうかは私にはわかりません。

なお、日本の金融機関のCLOへの投資について、米ゼロヘッジは、

常軌を逸した金融商品の数々に投資する日本の農林中金は米国のCLOで4000億円を失った

というタイトルの記事を掲載していましたが、その記事に、農林中金は、CLOへの投資を「 2017年からの 2年間で、ほぼ 2倍」にしたことが記されています。そして、投資を倍増させた時に新型コロナウイルスのパンデミックが発生したのでした。


zerohedge.com

農林中金という組織については、日本のウェブサイトの説明は、どれもわかりにくいのですが、むしろこのアメリカのゼロヘッジの以下の説明がわかりやすいように思います。

農林中金は日本の何百万人もの農家の人たち、漁師の人たち、そして、その退職者たちに代わって投資する組織だが、今回、CLO投資で、37億ドル(4000億円)という同組織としては記録的な損失を被った。 zerohedge.com

そして、農林中金の「 4000億円の損失の発表」を知る限り、世界中の多くの金融機関や保険会社などが CLO により何らかの影響をすでに受けているはずで、そして、先ほど書きましたように、アメリカの中小企業の多くが再生もできないようなダメージを受けている中、そのような企業の債権を数多く扱っているかもしれない CLO の今後は非常に厳しいと思われます。

何しろ、米連邦準備銀行のひとつであるアトランタ連邦準備制度は、5月28日に、アメリカの第2四半期の実質 GDP 成長の最新のモデル予測を発表しましたが、それは以下のようなものなのです。


-51.2%! Atlanta Fed Now Expects Staggering Collapse In Q2 GDP

なんと、GDP が 51.2%減少すると予測したのです。

もちろん、このような数値は 100年前の恐慌時にもなかったものです。

そして、これが単に「アメリカの話」だとはもはや言えないことは、たとえば、農林中金の巨大な損失が、農家や漁師の方々を含めた多くの日本の人々にどのように影響していくかを想像してみても何となくわかるのではないかと思います。

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