今朝、海外のメディアで一斉に下のような事案が報じられていました。
4月26日の英国サンの記事より
・Sun
海外メディアで紹介された株式会社シェルターの西本社長の自宅地下
・Sun
海外で報じられると、日本のことも何だかんだとオオゴトに取りあげられるようですが、やや興味もあり、調べてみますと、実用的な側面もある報道でしたので、ご紹介したいと思います。
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まずは、冒頭の英国サンの記事をご紹介します。
英国では、テレグラフやインディペンデントなどの、いわゆる高級紙系メディアも軒並み、このことを取りあげていまして、英国人には興味をそそることのようです。
ここからです。
FALL-OUT PLOY Terrified Japanese civilians panic-buy nuclear bomb shelters as threat of war with Kim Jong-un’s North Korea draws near
Sun 2017/04/26
「死の灰への備え」 :金正恩政権下の北朝鮮との戦争への脅威から日本の市民たちは核シェルターのパニック買いに走っている
今、日本では、急激に高まる軍事的な衝突への懸念の中で、突発的な核攻撃や毒ガス攻撃から身を守るための核シェルターや空気清浄機の販売が急増している。
日本で唯一、核シェルターを現金販売する大阪の会社「シェルター」は、会社の CEO の自宅の地下に核シェルターのモデルルームがある。
金正恩の独裁政権下で繰り返されるミサイル実験の結果、日本を含むこの地域では緊張が高まっている。
北朝鮮は、最近、平壌の大規模な軍事パレードの中で、新しい種類のミサイルを披露した。そして、北朝鮮は、ミサイル発射を毎週行うことを誓った上で、「核戦争はいつでも勃発する可能性がある」と警告した。
北朝鮮の持つミサイルは、まだアメリカ本土にまでは届く能力はないとされているが、日本や韓国などの主要なアメリカの同盟国に打撃を与えることができる。
現在、核シェルターの建設を専門とするいくつかの日本の小さな会社では、最悪の状況に備える人々により、核シェルターの販売がかつてないほど伸びていると語っている。
神戸市を本拠地とする織部精機製作所は、4月だけで 8件の受注を受けた。織部精機製作所の社長によれば、スイス製の空気清浄機が 50台売れたという。これは、放射線やサリンや VX ガスなどの有毒ガスを排除するとされており、さらに販売があると見込まれている。
この空気清浄機は、家庭用のものだと 6人用が 62万円、13人用の浄化装置は 170万円だ。
日本の安倍晋三首相が国会で、北朝鮮が致命的なサリンガスを搭載したミサイルを運ぶ能力を持っている可能性があると発言した後、日本へのガス攻撃の可能性が懸念されている。
織部精機製作所は「シェルターの設置には時間も費用がかかります。しかし、ここ最近の緊張した雰囲気の中で、すぐにシェルターや空気清浄機の設置をしたいので見積もりを出してほしいという切迫した希望をおっしゃる方々が多いのです」と言う。
記事はここまでなんですが、読んでいて、
「 62万円? 核シェルターが?」
と思われた方もいらっしゃったのではないしょうか。
私はボーナスの平均額とかを知らないのですが、夏のボーナスで買えるというような方もいらっしゃる額なのではないでしょうか。もちろん、棒に茄子を刺したものではダメです。
まあ、もちろん 62万円という金額そのものは大層なものなのですが、「核戦争」とか「サリン攻撃」とか、そういう響きに綾取られているところに出てくる数字としては、「手頃な感じなのでは?」と思いまして、ちょっと調べてみますと、週プレNEWS の記事にそのあたりが載っていました。
まず、サンの紙面で華々しく重装備でご登場されてらっしゃいました大阪に本社があるその名も「株式会社シェルター」の CEO である西本誠一郎氏は、以下のように述べています。
「自宅の部屋に放射能や化学物質を除去する空気清浄機を設置するだけで、十分にシェルターの役目を果たすことができるんです。当社では一台 280万円であらゆる有害物質を除去できるスイス製空気清浄機を販売しています。これだとその日のうちに設置できます」
ということで、さらには、やはりサンの記事に出てきた神戸に本社のある織部精機製作所の織部社長は以下のように述べています。
「放射能、サリン、VXガスなどを除去できる空気清浄機がオススメです。停電になっても、手動で空気を浄化できます。大きさも大型ポリバケツほどしかなく、価格も 62万円とお手頃です。寝室などに設置しておけば、いざ核攻撃があっても家族全員でこもり、危険が去るまでじっとしていればいい」
とのこと。
この、
> いざ核攻撃があっても家族全員でこもり、危険が去るまでじっとしていればいい
という響きから、「ああ、核戦争も身近になったのだなあ」と、しみじみ感じます。
ちなみに、上のそれぞれの実物は、各社のウェブサイトに掲載されています。
株式会社シェルターの販売する「家庭用核シェルター」は下のようなものです。
シェルター社の家庭用核シェルター
後ろの壁が南国の景色なのも、「非常時でこそ……」というような心遣いを感じます。
ちなみに、説明には以下のように記されていて、スイスとイスラエルでは、こういう簡易型シェルターはすべての家庭に備え付けられているものだそうです。
シェルター社の「放射能物質家庭用核シェルター」の説明
このシェルターはスイス・イスラエルで100%各家庭に設置されております。
人体に被害を及ぼすのは、爆発時に空気に含まれ、風と共に広範囲に流れる放射性物質のヨウ素・セシウム・ストロチユーム等です。その物質を 99.997%濾過する濾過装置です。テロや戦争に対応する毒ガス・細菌物質も 99.997%濾過します。
始動と同時に部屋の気圧が上昇する仕組みで、寝室・応接間・台所・事務所・マンション和室向けも取り付け 1日で設置できます。
ちなみに、
> このシェルターはスイス・イスラエルで
という表現は、「このタイプの」というような意味で、この製品そのものというわけではないと思います。
先ほどの記事からは、このシェルター社が販売する製品は 280万円ということですが、神戸・織部精機製作所の 62万円のものは、下のタイプのようです。
織部精機製作所の販売する空気清浄機(サリン、炭疽菌、VXガス対応)
織部精機製作所の空気清浄機の説明
この空気清浄機は、シェルターの心臓部ともいうべき部分です。特殊なフィルターを備えており、放射性物質はもちろんのこと、サリン、炭疽菌、VXガスなど、現在世界で知られているすべての有害物質を排除し、安全な空気に換えて室内に取り込むことができます。
また、停電時は手動での操作になりますが、お子様や女性でも十分な動作を得ることが可能な設計になっています。
「炭疽菌に対応しているのか……」と頼もしく思いつつ、私はこういう物々しいものが好きなので、無駄なお金がたくさんあるなら買っていたかもしれません。
それにしても、個人も国家も「準備の時代」感が強くなっていますね
昨年の夏過ぎには、ドイツ政府が国民に「攻撃に備えて、 10日分の水と食糧などの備蓄をただちに開始するように」と通達を出していました。何からの攻撃なのかは説明されていません。
2016年8月21日の米国ロイターの報道より
・Germany to tell people to stockpile food and water in case of attacks
そして日本……。
今現在の問題ということではなくても、日本は地理的に見ましても、準備すること自体は、それほど無意味ではないのかもしれません。
そういえば、第 40代内閣総理大臣の東条英機が、処刑前に教誨師に口頭で伝えた遺書には、
> 第三次世界大戦に於いては極東、即ち日本と中国、朝鮮が戦場となる。
と書かれてあるそうで(ソース)、なぜ戦場が東アジアにならなければならないのか、その根拠はわからないですが、ただ、この遺書とされるものの中で、彼は、
「戦争は国家の欲心から起きる」
としていて、その上で、
「世界は今もお互いに欲心で対峙しており、この状態が続く限り戦争がこの世になくなることはない。なので、第三次世界大戦も避けることができない」
というようなことを述べていたようで、どこが戦場になるにしても、今の状況は「永遠に続く戦争の時代」の中のひとつの節目というだけのことなのかもしれません。
4月25日に北朝鮮で行われた「史上最大」の火力戦力演習
・CNN
第二次世界大戦が終結してからずいぶんと時間が経ったように感じますが、その間、実は「世界は全然平和に向かっていなかった」ということだけが事実で、それなのに、世界中の指導者と言われる人々は、口先から「平和平和」と口うるさい連呼を流出しながら 70年。
すでに指導者の言葉など、どこの国でも多くの人は聞いていないというのが現実で、注目を集めるために政治の世界では失言だとか何とかだとかが世界のいろいろな国で続きますが、もはやほとんど誰も興味はありません。
そして、こつこつと核シェルターを設置し、しずしずとその日を待つ……という。
というわけで、何の話かわからなくなりましたけど、日本のプレッパーズ的ライフスタイルもさらにスイス化、イスラエル化してきたということになりそうです。
なお、 62万円のシェルターを買うのは難しそうですので、過去記事でご紹介したことがある「屋内のシェルター化」についての記事から抜粋しておきます。
核爆発の際のセブン-テン・ルール(The “seven-ten” rule)という「放射性降下物(死の灰)からの放射線の量は7時間ごとに 10倍ずつ減少する( 7時間後に放射線量は 10分の 1に、 49時間後には 100分の1になる)」ことと合わせて知っておくと、行動しやすいかもしれません。
抜粋した記事は、2010年のものですが、
・核攻撃を受けた際の対処法 (2010/11/01)
です。
核爆発の際の曝露を減らすことと室内のシェルター化について
放射能への曝露を減らすために
放射性降下物から身を守るために知っておくこと。
距離 - 放射性降下物(死の灰)から距離は離れていればいるほど良い。
シールド(遮蔽物) – 放射性降下物(いわゆる死の灰)との間を、できるだけ重くて密度の高い材料で遮る。たとえば、厚い壁、厚い土、コンクリート、レンガ、水、本など。その部屋からは出ない。あるいは地下に留まる。
地下のシェルターでは放射線の曝露は 90パーセント減少する。10センチ未満の土も、約 50パーセントのガンマ線の侵入を防ぐことができる。
屋内のシェルター化の方法
簡単な方法で、放射線から身を守るための急場のシェルターを、自宅や仕事場などに作ることができる。
1. 適当な場所(窓から離れた場所)に、大きくて頑丈な作業台かテーブルを置く。もし、テーブルがない場合、箱や家具の上にドアなどを置いてテーブル状のものを作る。
2. テーブルの上と横にできる限りの遮断物を積む。たとえば、家具、戸棚、電気機器、本などが詰まった箱、土や砂を詰めた枕、食べ物の詰まった段ボール、水、コンクリート、ブロックなど。これをあなたのいる回りを取り囲むように置いていく。
3. 作業がある程度終了したら、そこにいる全員がただちにテーブルの下に入り、内部から密閉する。
4. 中から空気を入れるための 10センチ程度の小さな空気穴を2つ残すか、ない場合は開ける。穴は両サイドに、ひとつは高い位置に開け、もうひとつは低い位置に開けることによって、空気の流れが良くなる。
5. この簡易シェルターには、ラジオ、携帯電話、数日分から数週間分の水と食料、そして薬や公衆衛生用品を入れておくこと。
ここまでです。