2016年3月18日に米国アラスカ・フェアバンクスで撮影されたオーロラ
先日、アラスカで上のような「鳳凰」のごときオーロラが撮影されたことが、スペースウェザーで報じられていました。
まあ、鳳凰というか、「マッチョなニワトリ」という気配もありますが。
鳳凰のようなオーロラといえば、1か月ほど前の記事でも、下のような鳳凰を思わせる形の、アイスランドで撮影されたオーロラをご紹介したことがありました。
2016年2月18日にアイスランドで撮影されたオーロラ
こういう見事なオーロラが地球で見られるのも「太陽活動」のお陰でありまして、そして、現在、サイクル24と命名された現在の太陽活動がどんどん縮小していっています。
今日の米国スペースウェザーでは、「現在の太陽活動周期はついに終わりに入った」とする記事を載せていました。
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SOLAR CYCLE CRASHING
Spaceweather 2016/03/28
太陽活動周期がクラッシュしている
太陽活動は最近異常なほど静かだが、そのことを疑問に思われる方はいらっしゃるだろうか。太陽活動が異常に静かな理由は下のグラフに示されている。
11年周期を持つ太陽黒点活動サイクルが終わりに入っているのだ。
過去2年間、太陽活動が最大期から最小期へと転換していく中で、黒点の数は減少し続けてきた。太陽黒点が少なくなっていくということは、太陽フレアやコロナ質量放出(CME)も、より少なくなることを意味する。
太陽表面での爆発現象が収まっていき、私たちは今、太陽が「静かになった」と判断する。
しかし、本当はどのような意味で静かになったのかがおわかりだろうか?
広く考えられている誤解として、たとえば、太陽活動が静かになると、宇宙天気も同様に停止するように静かになる、あるいは、太陽黒点の少ない期間の間は、宇宙天気が退屈なものになるのだろうということがある。
ところが、実際には、太陽活動が弱く転換していくことは非常に興味深い現象を私たちにもたらすのだ。
たとえば、それにより地球の上層大気が崩壊し、そのことは宇宙ゴミが私たちの地球の周囲に蓄積する可能性を作り出す。あるいは、太陽活動が弱くなると共に太陽圏は縮小する。そして、そのことにより地球と星間空間の距離が縮むのだ。
さらに、太陽活動が弱くなると、銀河宇宙線が比較的容易に太陽系の内側に入ってくることができるようになる。
実際すでに地球での宇宙線の量も増大し続けている。
・Cosmic Rays Continue to Intensify
太陽黒点の数が減少し続けると共に何が起きていくのかを共に楽しみに待ちたいところだ。
ここまでです。
そうなんですよね。太陽活動が弱くなっていくと、「ただ静かになる」というものではなく、宇宙線の量が増えますので、
「宇宙線の影響を受ける地球の現象は増大する」
ということが言えて、ある意味では「騒がしくなる部分」も多くなるはずです。
宇宙線と地球の現象の関わりについては、長くなるので、今回はふれませんが、過去記事の、
・「銀河からの宇宙線が直接地球の天候を変化させている」 : デンマーク工科大学での実験で確定しつつある宇宙線と雲の関係
2013/09/05
・太陽と宇宙線と人類の関係の中で浮かび上がる 1900年代ロシア宇宙主義の科学
2012/06/22
・私たち人類も他のあらゆる生命たちも「宇宙線にコントロールされている可能性」を感じて
2012/06/13
など、いくつかがありますので、ご参照下されば幸いです。
極めて弱かったサイクル24の太陽活動
太陽活動に話を戻しますと、現在の「サイクル24」という太陽活動周期が終わって、次にやって来るのは「サイクル25」という活動周期なのですが、これがどのような活動周期になるか次第で、次の十数年の「地球の状況」が決まってくる部分もかなりあるようには思います。
これも、過去記事の、
・精度97%の「2030年までのミニ氷河期突入」予測は…
2015/07/22
など、いくつか記したことがありますが、現在の太陽活動が異常なほど「弱い」ものだったために、次の太陽活動も非常に弱くなることを予測する人たちは多く、その場合、地球の気候を含めて、いろいろな影響があると予測されています。
最近、ドイツの科学サイトでそのことにふれたものがありまして、今回はその概要をご紹介したいと思います。
基本的な傾向は、3年くらい前から記していることと大体同じでして、
- 現在の太陽活動サイクル24は過去約200年で最も弱い
- この傾向は今後も続く可能性が高い
ということになりそうです。
また、今回の記事に「太陽の北半球と南半球の磁場の力が差が大きい」ということが書かれてあるのですが、これはおそらく、4年前の記事、
・奇妙な太陽のポールシフトは太陽系全体に影響を与えるか?: 国立天文台が発表した「4極化する太陽磁場」
2012/04/21
で取り上げました「太陽の磁場のカオス化」とも関係していそうな気はします。
2012年に「4極化」したとされる太陽磁極
いずれにしましても、この数ヶ月以内には、太陽黒点数が「ゼロ」になる日が再び訪れるはずで、そして、あと1〜2年で今後の太陽活動の方向性が、かなり明確になってくるのではないでしょうか。
ここから翻訳記事です。
Record Low Solar Dynamo Asymmetry May Indicate Weak Upcoming Solar Cycle 25, New Solar Minimum
notrickszone.com 2016/03/16
記録的に弱い太陽活動の原動力は、次の太陽活動周期であるサイクル25がさらに弱い太陽活動になるかもしれないことを示す
2016年2月の太陽活動
2016年2月の太陽活動は、過去数ヶ月もそうだったように、平均的な太陽活動より低いものだった。
この月に観測された太陽黒点数の平均値は 57.2 個だったが、サイクル1からサイクル23までの同じ期間の黒点平均数は 80.8個ということで、サイクル24のこの月の黒点数は平均値の 71%しかなかったことになる。
下のグラフは、サイクル1(1755年に開始)〜サイクル23(2008年に終了)の黒点数(青)と、サイクル24の黒点数(赤)、そして、黒いラインは記録的に黒点数が少なかったサイクル5(1798年から 1810年)を比較したグラフだ。
太陽黒点は 1749年に観測が始まった。そして、1755年にサイクル1とされた活動周期から現在のサイクル24までのすべての太陽活動の比較は次のようになる。
これを見ると、現在の太陽活動が、サイクル7(1823年から 1833年)以来、200年ぶりの弱い太陽活動となっていることがわかる。
現在のサイクル24の太陽活動の合計の黒点数は、サイクル1〜サイクル23までの太陽活動周期全体の、わすか 57%しかない。
サイクル24は、太陽黒点観測が始まって以来、3番目に低い活動として記録される可能性が非常に高い。
そして、現在と同様だった約 200年前の太陽黒点の少なかった時期は、ダルトン極小期(1790年〜 1830年)と呼ばれる気温の低かった時代でもある。
このような現在の弱い太陽活動周期の次はどんなものになるであろうか。
以前指摘したことがあるが、次に来る太陽活動周期の状態の兆候は、活動周期が始まる前の、太陽活動最小期の太陽の極の磁場の強さで示される。
また、太陽の北の磁極と南の磁極との磁場の差異からもそれは示される。
下の図は、太陽の北半球と南半球の磁場の差異をあらわしている(※ 訳者注 / グラフが下に向かえば向かうほど、北と南の磁場の差が大きいということだと思います)。
これを見ると、現在の太陽は 1976年以来、最大の北半球と南半球の磁場の差を有していることがわかる。
これらの一連の現在の太陽の現象は、いくつかの科学論文で語られてきているが、研究者たちは、太陽活動の北半球と南半球の磁場が非対称であることとの関係を述べている。
それは、かつて地球が寒冷期に包まれたマウンダー極小期(1645年〜1715年までの異常に太陽活動が低かった時期)の背後にある理由が、今と同じような太陽磁場の非対称性であったとする説だ。
これらの説は、現在の太陽の極の磁場の強度の半球の非対称性からも考える価値があることかもしれない。
いずれにしても、あと1年から2年で、次に何が起きるのかがはっきりする。