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カナダの大学が突き止めた「ガン腫瘍を最大80パーセント縮小させた物質の正体」を知り、人間の体の中には「病気をおこす物質と、治す物質」があらかじめ組み込まれていることを再認識する

投稿日:2015年12月3日 更新日:

2015年11月30日のカナダ・トロント大学のニュースより

ras-turn-off-by-shp2
▲ 左から、研究を行った、ヨシヒト・カノ博士と、マイケル・オー医学部教授。University of Toronto News より。




 

化学治療不介入の革新的なガン治療の誕生?

前回の記事が、

アルツハイマー病の発症を「最大17年間遅らせる」ことができる遺伝子がオーストラリアの大学の研究で発見される
 2015/12/02

というオーストラリアの大学のもので、研究はネイチャー系で発表されました。そして、今回取り上げますものが、「ガン腫瘍を著しく縮小させる物質が発見される」というカナダの大学による研究論文で、これもネイチャー関係に発表されたものという、何だかネイチャーの回し者のような感じのブログになってきていますが、それにしても、タイトルにあるように、

「ガンの腫瘍を80パーセント縮小した」

という響きは確かに興味深いです。

そして、昨日のオーストラリア国立大学の研究者たちの「何となく遊び人っぽい風情」も気に入ったということもあったのですが、今回の研究主任のお二人も冒頭の写真のように、お若そうに見えますし、またラフな感じがする方々でもあります。

このうち、左の方の名前は、ヨシヒト・カノ( Yoshihito Kano )さんということで、日本人の方のような気がするのですが、いくら探しても、漢字表記が見つかりませんでしたので、カタカナ表記としています。

さて、この記事に興味を持ったのは、彼ら二人と研究チームが見つけた「ガン腫瘍を退縮させる物質の正体」なんです。

これが化学薬品などなら興味が出なかったのですが、彼らが発見した、ガンを縮小させる物質とは、

「タンパク質」

だったのです。

私たちの体の中に、いくらでもある・・・ものかどうかはわからないですが、とにかく、私たちが持っているものだと思います。

そして、私は今回、初めて知ったことなのですが、それは、

「ほとんどのガンの原因もまた、体内のタンパク質」

だということです。

今回の記事に Ras タンパク質という言葉が出てくるのですが、どうやら、これが、ガンと関係しているもののようです。

京都大学の岩田想 医学研究科教授による「がんを引き起こす膜たんぱく質の立体構造と働きを解明 ~がんを抑制する薬剤の設計へ~」というページには、

細胞制御に関わる重要な分子であるRas(ラス)たんぱく質は、常に活性化(スイッチオンの状態)されるような突然変異により、高頻度でがんを引き起こすことが知られています。

とあり、また、今回のトロント大学の記事にも、このラスというタンパク質は、

すべてのガンの 30パーセントに直接関与しており、そして、間接的には事実上すべてのガンに直接関与すると見なされている。

という記述があります。

ガンの原因となるRasタンパク質の構造

ras_secondary_structure_ribbonRasタンパク質

 

そのRasタンパク質を不活性化させることがわかったタンパク質「SHP2」

Shp-2
PTPN11

 

それにしても・・・うーん・・・。上にありますように、Rasタンパク質というものが「間接的には事実上すべてのガンに直接関与する」というのなら、外部要因とは一体何なのだろうと、やはり思ってしまいます。

たとえば、以前書きました、

WHOが公式発表した「ガンの原因となる116の要因」を全掲載
 2015/10/31

などの「外部のガンの原因」とは一体何なのか?

 

私たちの体には「病気を起こすもの」と「病気を治すもの」がすべて最初から組み混まれている

うーん・・・。

「そもそも、ガンってどういう風になるんだ?」

ということについての、今の医学での見解を私はよく知らないことに気づいたのでした。

一般的な認識としては、発がんのメカニズムというページにありますように、

1. 化学的因子(科学物質、薬品など)
2. 物理的因子(機械的刺激や放射線、紫外線など)
3. 生物的因子(ウイルスなど)
4. がん遺伝子
5. その他:食物 (食習慣)

というようなことを考えやすいですけれど、今年1月に、米国のジョンズ・ホプキンス大学( Johns Hopkins University )の研究チームが主導した研究により明らかになった「ガンの原因第1位」が、サイエンス誌に発表されたことがあります。

その結果として、

「環境(外部要因)が最も多い原因ではない」

と発表されまして、たとえば、喫煙とか紫外線とか化学薬品とか、つまり、先ほどリンクしました過去記事の「ガンの原因となる116の要因」とか、そういう外部要因は、主たるガンの原因ではないことがわかった、というものでした。

では、ジョンズ・ホプキンス大学の大規模研究で、ガンの原因1位となったものは何だったかといいますと、

「細胞のランダムな突然変異」

ということになったのです。

下は AFP の記事からの抜粋です。

研究チームが評価対象とした成人がんのうちの約3分の2は、腫瘍の成長を促す遺伝子で起きるランダムな変異で原因を説明できる一方、残りの3分の1は、環境的要因や親から受け継いだ遺伝子に起因するものだった。AFP 2015/01/02

調べたガン患者のうちの、

・3分の2は、環境や血統の遺伝は関係なく、遺伝子のランダムな変異でガンが発生した

・3分の1は環境と親からの遺伝子が関係した

という結論となったのです。

私は、この報道が出た今年の1月の時点では、「いくら何でも、そんなことはないだろう」というように思っていましたが、その後、新潟大学名誉教授の安保徹さんの「病気になる最も大きな要素はストレス」という主張に納得して以来、むしろ、このジョンズ・ホプキンス大学の研究結果は正しいように思っています。

なぜなら、人間の体は、自覚するしないに関わらず、自律神経に支配されていますが(意識しなくとも心臓が動き、胃や腸は食べ物を消化するために動き、血液や体液は正しく循環し続けていることの他、実は、体は「自我から完全に自立」した存在です)、自律神経は、体の様々な分泌状態も支配しているわけで、交感神経を刺激するストレスが強い状態が続けば、体内の分泌はおかしくなりもするわな、というようなことを思うのです。

たとえば、先ほどのガンの原因である Rasタンパク質にしても、「Ras タンパク質消えろ」と頭で念じても仕方ないわけで、そういうものに対処するのは「自我ではなく体の役割」だと思います。体は、自分で病気に立ち向かう能力を持っている。

医学的なメカニズムはともかく、先ほど書きましたように、ガンに関係しているのが「ラス」という、タンパク質であって、そして、今回、トロント大学の研究者たちが、「阻害薬剤」という使用したのも、SHP2というタンパク質でした。

前回の、アルツハイマー病の発症を遅らせる物質も、化学薬品ではなく、「遺伝子」でした。また、記事では、発症を遅らせる遺伝子の他に、「アルツハイマー病の発症を加速させる遺伝子」もあることも記されていました。

つまり、

「アルツハイマー病を加速させる遺伝子と、アルツハイマー病の進行を止める遺伝子と、両方を私たちは持っている」

ということで、今回のガンについても、

「ガンの原因となるタンパク質と、そのタンパク質の活動を止めるタンパク質の両方を持っている」

ことになります。

結局、前回と今回の記事の中で自分自身が知ることは、

「私たち人間は、自分たちの体の中に、病気にするシステムも、病気を治すシステムも、どちらも最初から持っている」

ということだったかもしれません。

このフレーズは、そのまま「病気は自分で作り出している」という響きと直結するものではないでしょうか。

この「発ガンのメカニズム」については、「環境要因」を少し意識から外して、もう少しいろいろと調べてみたいです。

それでは、カナダ・トロント大学のニュースです。




 

U of T researchers “turn off” cancer-causing protein
University of Toronto 2015/11/30

トロント大学の研究者たちは、ガンの原因となるタンパク質を「消し」た

ガンの原因となる最も一般的なタンパク質がある。

それは、Rasタンパク質というもので、すべてのガンの 30パーセントに直接関与しており、そして、間接的には事実上すべてのガンに直接関与すると見なされているものだ。

この 30年間、科学者たちは、このラス( Ras )という名で知られるタンパク質を標的とした研究に失敗し続けていた。

しかし今、トロント大学の研究者たちが、実験薬物により、この Rasタンパク質を消したのだ。

「この阻害剤の結果は、信じられないほどのものでした」と、医学部と病理生物学部の学部教授、マイケル・オー( Michael Ohh )氏は述べる。

「私たちはとても衝撃を受けました。何しろ、過去、どんなものもこのような効果を有したことはないのです」

通常、Ras は、細胞増殖を促進する。しかし、これが変異した時に、コントロールできない増殖を引き起こす可能性がある。

その結果として、このタンパク質は多くのガンの形成に関与する。たとえば、最も致命的なガンの形態のひとつである膵臓の腫瘍の 90パーセント以上が、このタンパク質が変異している。

研究者たちは、SHP2 と呼ばれる別のタンパク質を発見した。そして、この SHP2 が、Ras タンパク質を消したのだ。

オー教授は言う。

「私たちの研究室は、ガン生物学の他の領域で知られています。しかし、ある同僚からの要請で、小児白血病のまれな形態での変異について研究するために、5年前に、Ras の研究を始めたのです」

研究チームは、米国インディアナ大学と、トロント大学ヘルス・ネットワークなどと協力し、脳腫瘍の攻撃的なタイプである神経膠芽腫を有するマウスに、最も一般的な SHP2 阻害剤をテストした。

驚くべきことに、この阻害剤は、腫瘍の 80パーセント以上を減少させた。

「これまで、Ras を調節する役割として、誰も SHP2 を用いた確認をしていなかったことを知り、私たちは驚きました」と、オー氏は言う。

この研究の結果は、最新の科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載されている。

次に、チームは、ヒト膵臓腫瘍を持っているマウスを治療するために、ノースカロライナ大学癌外科医で試験を行う。

SHP2 阻害剤が有効である場合、研究者たちは、ヒトでの臨床試験をサポートするために、このエビデンスを使用するつもりだ。

共同研究者の、ヨシヒト・カノ博士( Dr. Yoshihito Kano )は、「私は、研究者であると同時に、消化器の専門医でもあります。そのため、多数くの膵臓ガンの患者さんを見るのです」と述べる。

「これらの膵臓ガンの患者さんたちは、化学療法をおこなっても、多くの場合、1年以内で亡くなってしまいます。しかし、この薬剤は、彼らの生命と人生を劇的に変える可能性を持つのです」

彼らの研究はまだ初期段階にあるが、オー氏やカノ博士と研究チームのメンバーは、この発見が、新しいフィールドを開くキッカケとなり、ガン治療を新しいものへと変更していく展望となることを希望している。

「ガンの原因となるこのタンパク質がどのように機能するかを理解することによって、これまでよりも、ずっと正確に、標的を定められるようになることを私たちは期待しています」と、オー氏は言った。

「結局、私たちが望んでいることは、私たちの基本的な発見が、他の研究者たちの治療法の構築のためになり、ガンの患者さんたちに対して、より多くのオプションを提供できるようになることなんです」

 

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