フェイクニュースと喝破された米ニューヨークタイムズの2018年1月18日の記事
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私は関東の首都圏のはずれあたりに住んでいますが、今、雪が降っています。
今年一番の雪であることはもちろんですが、このまま降り続けますと、近年で最大の積雪になりそうです。
というわけで、寒い日にピッタリということもあり、今回は、タイトルにも書きましたアメリカのブログ記事をご紹介したいと思います。
タイトルに書きました「2017年は最も暑い年だった」というニュースは、日本語でも報じられていまして、たとえば、下のようなものです。この最初が冒頭のニューヨークタイムズの記事だったということになるようです。
日本語記事の冒頭部分を抜粋します。
2017年は「エルニーニョのない」最も暑い1年 NASAなど
BBC 2018/01/19
地球各地の気温を計測している米航空宇宙局(NASA)、米海洋大気庁(NOAA)、英気象庁は18日、2017年のデータを発表した。
それによると2017年は、エルニーニョ現象が発生しなかったにもかかわらず、発生した2016年に次ぎ、同じく発生した2015年並みの暑さだった。
エルニーニョは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米沿岸にかけて海面水温が平年より高くなり、その状態が約1年にわたり続く現象のこと。この自然現象を要因として除くと、2017年は記録上、最も暑い1年だったことになるという。
これを最初に報じた米国ニューヨークタイムズの記事が「フェイクニュースに相当する」ということが、直後から語られていましたが、その記事のひとつをご紹介したいと思います。
今回は、とにかくその記事のご紹介に入りたいと思います。
なお、NASA や NOAA から出ているオリジナルの観測データに不正確な部分があるということではないです。
メディアが報道としてリリースする時に「少しだけ修正している」という話です。
たとえば、これは本文にもで出てきますが、下のように、「比較の対象となる年代のデータを少し修正したりする」他、データそのものの「解釈を変更する」という方法など、いくつかの方法で、なるべく温暖化の方向性を強く出すということになります。
また、ご紹介する記事のオリジナルには、データを修正したと思われる編者者などの個人名が多く出るのですが、別に、誰かや何かを非難したいわけではないですので、そのあたりは割愛しています。
誰を何を非難するというのではなく、たとえば、先ほどのような「2017年は最も暑い年だった」というような報道が出た時、それを何の疑いもなく信じてしまうというのはどうなのだろうというようなことが重要な気がしまして、記事にした次第です。
それでは、ここからです。
Fake News and 2017 Near-Record Temperatures
wattsupwiththat.com 2018/01/21
フェイクニュースと、その記事にある2017年の記録的な気温について
「フェイク(偽の)ニュース」とは事実についての不正確な、あるいは不完全な描写によって一般の人々を誤解させるプロセスのことだ。それが故意であっても、または意図しないものであっても、どちらもフェイクニュースになり得る。
多くのフェイクニュースには、統計が使用される。特に複雑なプロセスのグラフィックイラストが含まれることが多い。これは、フォーブスの 2017年2月のこちらの記事で説明されている通りだ。
例として、これまで長い間、「地球温暖化」について語られる時にき、そのような複雑な統計グラフが用いられて説明されることが多かった。
最近の例は、2018年 1月18日のニューヨーク・タイムズの記事だ。そこでは次のグラフが提示され、「2017年は最も暑い年」とされた。これは 1880年〜1899年を「基準点」として、その期間以来の年間の地球表面温度データが 摂氏 1.2℃増加したことを示している。
このグラフのチャートは、そこに何が含まれているのか、そして「何が隠されている」のか、そして「何を除外されている」のかを見ていくと、そこには「欺き」が存在することがわかる。その意味で、このニューヨークタイムズの記事はフェイクニュースだと言える。
NASA ゴダード宇宙科学研究所(以下、NASA / GISS )のウェブページのトップには、以下のように記載されている。「これらの現在のデータファイルは、 NOAA (アメリカ海洋大気庁)の GHCN v3(気象観測所)、ERSST v5(海域観測)、SCAR(南極ステーション)からのものだ」
まず、上記のチャートに含まれるものを見ていこう。
これらのデータは、今年 1月17日に、昨年 12月分まで更新されており、現在、NASA / GISS のウェブサイト「世界および半球月間平均および地域年次平均」からデータを入手することが可能だ。
その NASA / GISS のウェブサイトの見出しの下に明白に記載されていることは、そのデータは、「 1951年 -1980年の平均値からの偏差」であるということだ。
ところが、先ほどのニューヨークタイムズの記事では、「1880年 - 1899年の平均値との偏差」となっているのだ。
NASA / GISS にも NOAA のいずれのウェブサイトにも、このデータが 1880年 - 1899年の平均値との偏差として示されているデータはない。
この時点で、ニューヨークタイムズは、オリジナルの NASA や NOAA のデータにある事実に変更を加えているわけだが、なぜ、ニューヨークタイムズがデータの操作をおこなったのかを説明してみたいと思う。
NASA が地球温暖化のグラフを 1880年から 1899年の 20年間の平均を基準として作成したことはない。そのため、その期間の世界の平均気温とそこからの偏差は、せいぜい大雑把な推測作業に基づくしかない。
NASA が作成している基準期間は、通常の 30年間の気候変動期間である 1951年から 1980年の間の平均だが、このデータを修正した人物たちは、基準点を 1880 -1899年に「前倒し」することで、気温の偏差を 1.2℃の上昇にまですることに成功したといえる。
オリジナルの NASA のデータである 1951- 1980年の平均の気温との比較では、この差は 0.9℃となるのだ。NASA ゴダード宇宙科学研究所の科学者によれば、これは「十分に気温が上昇しているようには見えない」ものだった。
そこで、彼らは、このデータに「少し手を加える必要があったと感じた」。
ウェブサイト「アメリカン・シンカー」の著者エド・ストレイカー氏は、NOAA のオリジナルデータの「修正」を確認したことを 1月19日に記事にした。
ストレイカー氏によれば、この修正は 1890年以来の気温の上昇がほとんど、あるいは「まったくない」という事実を隠蔽するものであり、それだけではなく、1990年代後半からごく最近までは「気温が低下していた」ことも隠蔽している。
下のチャートが含まれているデータはアメリカ歴史気候ネットワーク(US Historical Climatology Network / USHCN)のもので、連続したアメリカ本土の気温変化を示している。すなわち、このグラフからはアラスカとカナダ、そして、海洋を含む他の世界全体のデータは除外されている。
さらには、欠落し「偽造された」観測ステーションデータ数が近年上昇しており、2016年には 42%に達した。
2016年には、ウェブサイト「リアル・クライメート・サイエンス」の記事において、アメリカの温暖化のデータが NOAA (アメリカ海洋大気庁)のデータを不正に書き換えていることによるものだという記事が議論を巻き起こした。
・The Deplorable Climate Science Blog
重要な点は、このようなデータの調整がおこなわれていることを認識している人々が一般的にあまりいないことだ。
そして、このような大規模なデータの調整がアメリカで起きているとした場合、他の世界の代表的なデータの信頼性はどの程度のものとなると思われるだろうか。それに全面の信頼を置くことができるだろうか。
年間のデータ自体、非常に重要な情報を隠蔽している。
NASA によると、例えば、GISS の毎月のデータ(例えば、2013年から 2017年 12月まで)では、2016年が記録的に暑い年となった。これは、2015年後半から始まった最初の 4ヶ月間の非常に暑い時期からものだ。
下のチャートで、2017年の最初の 4ヶ月間の温度偏差が 2016年のそれより大幅に低いことに注目してほしい。 2017年 6月の偏差は過去 4年間を下回っている。そして、 8月から 11月までの偏差は 2016年より低いことがおわかりだろうか。
2017年の 12カ月のうち 9カ月は 2016年を下回っていた。そして、 2017年の 1ヶ月( 6月)は過去 4年間を下回っていた。 1カ月( 9月)は前 3年度(2013年、2014年、2016年)を下回っていた。
他の多くの主流メディア、そして実際に多くの気候研究者たち自身もまた、地球温暖化を証明するために、ある種のデータを除外している。
地球の表面温度の観測が広くおこなわれるようになったのは 1880年以来の期間のデータに過ぎない。
そして、今では、NASA のデータ取得が始まる年(1951年)以前の初期のデータは十分には信頼できないと考えられている。
また、これはあまり言及されないが、気温の観測ステーションがないためにカバーされていない世界の重要な地域が存在することは言うまでもなく、また、アメリカ本土のいくつかの観測ステーションからのデータ不足も指摘されている。
さらに、観測開始が始まってからの約 120年間の信頼性に乏しいデータから、数千年の地質学的時間にわたっての結論を導くには不十分であるといえる。
1990年の「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」では、下のような、20世紀は中世の温暖な時期より気温が低いとする図表を発表していた。
ところが、2001年の IPCC の報告書は下のような「20世紀の気温がロケットのような形」のものとなり、疑わしい信頼性の問題とデータの調整の存在が明らかになったものとなっている。