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4月19日にメルマガ私たち現生人類は「鉄の種族」であることから思う生き方を発行させていただきました。

2017年からの世界 日本の未来

「日本死ね」とか「日本を殺せ」とかが跋扈する焼け野原を歩きながら、東田直樹さんの文章が初めて私自分の気持ちを代弁していて……まあ、つまりは、バラ色ではないけれど灰色でもないと

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vk.com
 

冒頭の写真は記事とは何の関係もないですが、2日前にポーランドで撮影された雲で、SNS では天使の形だとか、いやモンスターの形だとかいろいろと言われていたものです。

さて、下は、12月19日のニューヨークタイムズの「ベストセラー」というコーナーで、つまり、「アメリカでよく売れている本」ということになります。

2016年12月19日の米国ニューヨークタイムズ「ベストセラー」面

New York Times

そのアメリカで、上のように堂々と一位となり、また、ノンフィクション部門で 13週連続で上位にリストアップされ続けているのが、以下の本です。

 

『 Killing the Rising Sun 』(日の出る国を殺せ)ということで、作者のつけた原題は Killing Japan で、当初はそのタイトルになるはずだったそうですので、つまり

「日本を殺せ」というタイトルの本

です。

これが、今、アメリカで上のように爆発的に売れていて、50万部は楽々突破し、おそらく、ノンフィクションとしては、近年のアメリカで空前の売れ行きを記録しそうになっているとのことなのですね。

内容などについては、東洋経済が、「米国でバカ売れしている「日本叩き本」の正体 - トンデモ本が3カ月で50万部も売れた! (東洋経済オンライン 2016年12月11日)」で詳しく取りあげていますので、興味のある方はそちらをご覧頂ければよろしいかと思います。

簡単にいえば、たとえば、第二次大戦の日本への大量破壊兵器(核兵器)の使用は正しかったというようなことの他に、いろいろとそういうようなもののようです。

この本が出ること自体は特に驚きはしませんけれど、驚いたのは Amazon の書評でした。

Amazon

赤いラインで示していますが、レビューが 3000件以上あるにも関わらず「ほぼ満点」という、すさまじい高評価になっているのでした。

そのことに驚いたのです。

普通は、こういう内容のものだと、批判的な採点やレビューがあったりするものだと思うのですが、少なくともレビューを書いている人たちは「みんな満足」しているという形になっています。

「なるほどなあ」

と思いました。

ちょうど、日本でも、下のようなニュースを見かけたばかりです。

"保育園落ちた日本死ね"のトップ10入り、俵万智さんが理由明かす「言葉の力が世の中を動かした」
 HUFF POST 2016/12/12

まあ、いろいろな考え方はあるのでしょうけれど、この記事のタイトルの「言葉の力が世の中を動かした」というのを、そのまま受け取りますと、あるいは、理屈をそのまま現実に当てはめますと、

「じゃあ、日本ではずーっと汚い言葉を叫び続けていればいい」

というように考える人たちが出てきても不思議ではないです。

今の日本は、ただでさえ、「寛容性」が消えた社会になっているように思えて、つまり、「自分の不利益」に対しては、異常なほど攻撃性をもって対応する場合が増えています。そして、このような今の流れですと、その傾向はさらに増大していきそうです。

まあしかし、流行語何とかとか、そういう世相にはあまり興味がないですので、批判的な意味で書いているわけではないです。

「今の日本は何もかもが、理想とは逆に走るなあ」という、ほんの少しの寂寥感はありますが。

 

それにしても、たまにちょっとニュースを見ていますと、「どうしてこんなに寛容性のない社会になってしまったんだろうなあ」とは思います。

たとえば、誰かが何か小さな犯罪を犯す。
いや、大きな犯罪でもいいです。

その時には、誰も彼もが、その対象を徹底的に叩きのめす。慈悲なし。

何だか、犯罪者に対しては無慈悲こそが正義というような空気が普通になっている感じです。

またその「小さな犯罪」というのが、本当に小さな犯罪だったりして、そんなことを本気で責めることのできる人たちの集団というのは、何だかもう「神様のような」模範的な人たちのようにも感じまして、何だかもう「グリグリの模範」社会。

その「模範」を犯した者たちは、何を問うこと、問われることなく「排除と敵対と憎悪」の対象となってしまう。

 

まあしかし・・・おそらく、今の日本人の本当のところは違うはずなんですけれどもね。

たとえば、先ほどはアメリカでのベストセラーとして、先ほどの本を上げたのですけれど、では、日本のベストセラーはどうなっているか

どこかの国を殺せとか、そういうようなことになっているのか。

これは電子書籍のランキングだと思うのですが、「日本のベストセラー」は以下のような、これはこれである意味、衝撃的なものとなっています。

注目すべき部分は太字にしています。


2016年 年間実用書ランキング

2016年12月16日の goo ニュースより

第1位 女医が教える 本当に気持ちのいいセックス
第2位 つくおき〜週末まとめて作り置きレシピ〜
第3位 どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法
第4位 超一流の雑談力
第5位 嫌われる勇気
第6位 女医が教える 本当に気持ちのいいセックス スゴ技編
第7位 女医が教える 本当に気持ちのいいセックス 上級編
第8位 自分を操る超集中力メンタリスト
第9位 クックパッドのおいしい厳選!定番レシピクックパッド
第10位 全部レンチン! やせるおかず 作りおき〜時短、手間なし、失敗なし〜


 

となっていて、ベスト 10の中に、宋美玄さんという方が書かれた「本当に気持(略)」シリーズが3作品入っているということになっています。

3位が「どんなに体がかたい人でもベターッと開脚できるようになるすごい方法」というのも、何だかもうすごいですが、いずれにしても、「殺せ」とか「死ね」とか、そういうものとは離れたものが多い気がします。

この「気楽な間延び」こそが大昔の日本人の気質のような気味するのですけれどもねえ。

 

ま・・・それでも、ひとりひとりの思いはともかく、社会そのものは進んでいく方向にひたすらに進んで、結局すべてが木っ端微塵になるまで進み続けるしかないのかもしれません。

そういう意味では終末ですよね。

 

そういえば、最近、「ずっと表現できなかった自分の気持ちがそのまま表現されている」言葉に出会って嬉しかったことがあります。

それは下の文章の一節にありました。

夕日の色

東田直樹 オフィシャルブログ 自閉症の僕が跳びはねる理由 より

夕日が美しい日は、

とても心が癒されます。

嫌なことがあっても、今日という日に

感謝することができます。

僕にとって、この世界は、

バラ色ではありませんが、

灰色でもないです。

夕日を見ていると、この世界が

さまざまな色で成り立っているのが

わかります。

どうか、明日も

きれいな空が、見られますように。

この中の、

> 僕にとって、この世界は、バラ色ではありませんが、灰色でもないです。

というのは、まさに、私が3歳くらいからの 50年間、ずっと、自分で表現できなかった言い回しなのでした。

この言葉に出会えたのは、先週くらいに NHK スペシャルで「自閉症の君が教えてくれたこと」という番組が放映されていて、それを見たのですね。

そこに出ていたのが、Wikipedia から説明をお借りすると、東田直樹さんという方で、下のような方です。

東田 直樹(ひがしだ なおき、1992年8月12日 - )は、日本の作家・詩人・絵本作家。千葉県君津市在住。

会話をすることができない重度の自閉症者である。またパソコンや文字盤などの助けを借りて自分の意思を外部に伝達することができる。

自閉症患者自身の意思伝達に成功し、自閉症患者が何をどう受け止め、なにを考えているかを、健常者に伝えることに成功した少ない中の一人であり、特に子供の年齢による著作は例がなく、多くの関係者に貴重な情報として受け止められた。

 

東田さんが意志をあらわすことのできるツールの文字盤
・NHK

 

番組に関しての感想は書かないですが、この東田さんという人の番組を見た後に検索しましたら、彼のオフィシャルブログが見つかり、それを読んでいて、いくつか、とても「自分自身で表現できなかったこと」を書かれてらっしゃいまして、本当に嬉しかったです。

他には、下のような文章も、子どもの時から感じることのあったことです。

眠りに着く時

僕は、眠りに着く時、そこにあるものを

じっと見ます。

そこにあるものとは、目の前にある壁や天井、

家具ではなく、目に入り込んでくる空気です。

意識しなければ存在すらない。

けれども、確かにそこにあって、

僕に大切なことを教えてくれる。

自分の目の中で空気が漂う間、

僕は気持ちを無にします。

帰らぬ時間への寂しさはありません。

こんな静かな時間を過ごせることに

感謝しながら、

僕の一日は終わります。

 

実は、私は二十代の時に、この文章にある「意識しなければ存在すらない。けれども、確かにそこにあって、僕に大切なことを教えてくれる。自分の目の中で空気が漂う間、僕は気持ちを無にします」と同じ意味のことを「死ぬほど汚い言葉で表現した」台詞が繰り返し出てくる演劇の脚本を書いて上演したことがあります。

ここにあるようなことは感じてはいたのですけれど、しかし、私と違い、東田さんは、その後に、

> 感謝しながら、僕の一日は終わります。

と書かれています。

私は、感謝したことがありませんでした。

 

いずれにしても、生きていれば、「何十年も自分の内側からは出てくることがなかった言葉に合うこともできるのだなあ」と思いました。

バラ色ではないけれど、灰色でもない。

これしか言いようがない今生です。

この世には、きれいで、しかも影響力のある言葉もまだまだたくさんあります。

とはいえ、汚いものを選ぶか、きれいなものを選ぶかは人それぞれの価値観ですので、「絶対にきれいなものを選べ」なんていうのも、また終末的なわけで。





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Oka In Deep

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