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「地震発生確率という《神話》」 : 政府地震本部の「北海道地震との関係が考えられる断層帯の今後30年間の地震発生確率が0パーセント」だった予測を見て思う21世紀の地震

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2018年に政府地震本部が発表した「北海道石狩断層の今後30年の地震発生予測(0%)」


地震本部 リリース資料

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地震関係の話題が続いてしまって恐縮なのですが、ニュースメディアで「北海道地震関与が疑われる断層帯 30年以内発生確率は「ほぼ0%」「0.2%以下」だった」という記事を読みました。

これは、どういうことかといいますと、日本国政府の組織に、「地震本部 (正式名称:政府 地震調査研究推進本部 )」というものがあります。

この組織の目的は、地震本部のウェブサイトからそのまま抜粋しますと、以下のようになります。

地震調査研究推進本部の紹介

平成7年1月17日に発生した阪神・淡路大震災の経験を活かし、地震に関する調査研究の成果を社会に伝え、政府として一元的に推進するために作られた組織です。

このようなものでして、そのトップページからは、日本の各地域の過去の地震、そして「今後の長期の地震の予測」などを、詳細に閲覧することができます。

地震本部ウェブサイトのトップページ

地震本部

政府にこのような組織があることを知っているという人自体が少ないと思われるのですが、それよりも、この内容におびただしく書かれている「科学的なデータ」をふだん見ている人は、専門家以外は、ほぼいないと思われます。私も、今回のことで、はじめてこのサイトを拝見させていただきました。

その中には、先日、マグニチュード 6.7の大地震が発生した北海道についての項目もありました。

そして、北海道の中でも、今回の震源となった場所にある断層帯に関しての「今後 30年の巨大地震発生確率」が、冒頭に示した通りなのでした。再度貼りますと、以下のように「 0 パーセント」となっていたのです。

この断層帯(正式には「石狩低地東縁断層帯」)は、以下で囲まれた場所を南北に走る断層です。私の出身地である岩見沢も通っています。

今回の地震の震源も加えました。


石狩低地東縁断層帯

震源は、この石狩低地東縁断層帯をほんの少し逸れているのかもしれないですが、しかし、これほど近いということを考えれば、「この断層が地震に関与した可能性がとても高い」とはいえそうです。「今後 30年間の地震発生確率  0 パーセント」だと想定されていた震源域で大地震が実際に起きてしまったわけです。

政府の地震本部は、このように毎年、日本各地の既知の断層等を対象に「今後 30年以内の地震の発生確率」を発表しています。

ところが、ふと考えてみると、

「ここのところ日本で大きな被害を出し続けている地震に関しては、大地震が予測されている対象の地域とはなっていない場所」

ばかりという感じなのです。

なお、これは決して、批判的なことを書きたいわけではなく、これは現時点での「科学での」地震予知での限界といえるものなのかもしれません。

その理由は、それが「過去の地質記録」から推測するしかないものだからです。しかも、1000年から 2000年くらいの比較的短い時間的範囲での中でのものです。

ところが、実際には、1000年や 2000年くらいのスパンでは「日本で大地震の影響を受けた地域は信じられないほど少ない」のです。

例えば下の図は、地震本部の資料にある「西暦 599年から 2014年まで、日本で震度 6以上の揺れを観測した」と推定される地域です。

西暦599年から2014年に震度6以上となったことがあると推定される地域(色のついた部分)

地震本部

こう見ますと「地震国日本」といえども、この 1500年くらい間に実際に巨大な地震の揺れを経験した地域はかなり限られていたことがわかります。

そして、今回の地震のあった北海道平野部の「真っ白ぶり」や、熊本地震のあった九州の平野部などの「真っ白ぶり」を見ていますと、正直、

「現在の地震は、すでに過去の地質データで何かを推測することはできない」

ということが、かなりはっきりとわかるというような部分があるのではないでしょうか。

巨大地震の発生にある程度の時間的な周期(サイクル)があることは、もちろん私も否定しません。

しかし、今起きている数々の地震のサイクルは、こういう過去 1000年、2000年などの周期で判断できるようなものではなく、

「さらに時代の幅の大きな周期の中で起きているもの」

なのかもしれないというようなことを思わせるのです。

 

・・・・・となりますと・・・・・。

つまりは、これらの現代の地質学的な予測の方法は、ほぼ機能しないのではないかということも思うのです。

というより、現時点では実際に機能していません。

もちろん「いつかは来る」と言われている様々な巨大地震は、いつかは来るのは来るのでしょうけれど、「それより、さらに時間軸の大きなサイクルを持つ数多くの巨大地震が存在する」というようなことが言えそうです。

 

そもそも、2011年 3月11日の東日本大震災の超巨大地震の震源も「予測されているものではなかった」わけですし。

もっとはっきりいえば、

「来ると予測されている巨大地震が来たことはまだない」

です。

日本で、今後 30年以内の発生の可能性があるとされている巨大地震は、おおむね以下の通りです。

発生推定マグニチュードと、30年以内に発生する確率は、地震本部の資料からの抜粋です。

今後30年以内に予測されている巨大地震とその確率

1 千島海溝沿いの超巨大地震 M8.8以上 確率 7〜 40%

2 根室沖のプレート間巨大地震 M7.8〜8.5 確率 80%

3 十勝沖のプレート間巨大地震 M8.0〜 8.6 確率 8%

4 三陸沖北部のプレート間地震 M8.0前後 確率 4〜20%

5 東北地方太平洋沖の地震 M8.4〜 9.0 確率 ほぼ 0%

6 相模トラフ沿いの地震 M7.9〜 M8.6 確率 0〜 5%

7 南海トラフ地震 M8〜9クラス 確率 70〜 80%

文字だけですと、わかりにくいかもしれませんので、資料の図に上の番号をふっておきます。


地震本部

このように確率を提示されますと、たとえば、「南海トラフ地震 確率 70〜 80%」というような数字には、確かに威圧感がありますが、実際には、「確率 0%の場所で次から次へと巨大地震が起きている」というのが現実です。

そして、これは世界の他の地域でも、超巨大地震については言えることだと思われます。

2008年5月に中国で発生した四川大地震(M 8.0 / 死者:推定8万7400人)や、2004年に、インドネシアのスマトラ島沖で発生した地震(M 9.1 / 死者:推定22万人)も、「誰も発生を予測していなかった地震」でした。ここでいう「予測」とは、地質学的な周期時間での予測という意味です。

冷静に考えれば、21世紀に入ってから「実際に起きた地震」は「どれもこれも、専門家たちが誰も発生を予測していなかった地震」だったということに今さらながら気づきます。

これも批判的な意味で書いているのではありません。

先ほども書きましたが、今の地震に対しての地質学的な見識では、これが限界だからです。

最近になって、人工衛星などを使った「空からの監視」などを含めた予知態勢への見識も出てきてはいますが、それが本格化、あるいは「地震予知に実用化される」ということになるのは、まだ相当先か、あるいは、いくつかの理由により「それはいつまでも実用化されない」ということになる可能性があります。

地震の「空からの観測」については、最近では以下の記事でご紹介しています。

巨大地震の前兆の正体がさらに明らかに : 2011年3月11日の東北の巨大地震の前に過去最大の日本列島周辺の《重力異常》が起きていたことをNASAの人工衛星が検知していた

私個人の確信としては、大地震は「宇宙からもたらされている現象」だということを、2011年以来ずっと考えていますが、しかし、それが「地震予知に結びつく話かどうか」というのは、また違うことでもあります。

 

なお、いろいろと書きましたが、今回の記事で書きたかった要点のひとつはまず次のひとつです。

「これからも、巨大地震は、まったく予測されていない場所で起きる」

 

もちろん、南海トラフや先ほどの「予測されている大地震」もそれは確かに起きるかもしれないですが、21世紀になってから、すでに「予測されていない巨大地震の回数のほうが大幅に上回っている」という現状では、冷静に考えれば、今後もそうなると思います。

予測されていない場所ということは、つまり「地震はどこでも起きる」としか言いようがないです。

そんなわけで、このあたりまでとさせていただきますが、くどいようですけれど、今回の記事で書きたかったことは、何かを批判・非難することではなく、ひとりひとりの方に対して、「今後 30年以内の地震発生確率」という「神話」から脱却していただきたいと思ったということです。


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