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地球という場所の真実 拡大する自然災害 日本の未来

南米と日本の「地震のラリー」を見続ける中、科学誌ネイチャーに掲載された論文《大地震は地球の反対側の地震を誘発する》という最近の学説を思い出す

投稿日:2018年9月7日 更新日:

科学誌ネイチャーに掲載された論文の内容を紹介する米国科学メディア

sciencedaily.com




 

今回ご紹介する科学誌ネイチャーに掲載された論文は、ごく最近のものというわけではなく、1ヶ月くらい前のものですが、その論文の内容を見た時に、

「そうなんだよなあ……と漠然と思い続けていたんだよなあ……」

という「二段階の思い出」が浮かびまして、その内容は何かといいますと、タイトルにもありますが、

「大地震は遠隔地の別の大地震を誘発することが解析により判明。そして、それは特に《地球の反対側付近の地震を誘発する》」

というものです。

しかし、このネイチャーの論文が発表された頃は、他にもいろいろな話題もあり、記憶に留めたままで最近まで来ていました。

その中で昨日の北海道地震が発生したのですけれど、この北海道の地震そのものが、

「地球の反対側のあたりで起きたペルーの地震の後に起きた」

ということと共に、実は、この北海道の地震の直後に、

「その反対側あたりの南米エクアドルでマグニチュード6.2の地震が起きた」

ということなどを見ていまして、「あの論文…」と思い、ご紹介しようと思った次第です。

これは、いろいろと書くより、まずはその論文の内容を記していたメディア記事をご紹介しようと思います。ネイチャーに掲載された論文そのもののタイトルは「大地震が遠隔地の別の地震を体系的に誘発している」というものです。

8月のネイチャーに掲載された論文

nature.com

ちなみに、これは「いわゆる余震」を除外したものであり、通常の余震のことを言っているわけではありません。

ひとつの地震が、他のまったく関係ない地域に新たな地震を作りだす」という意味です。

では、ここからです。


Earthquakes can systematically trigger other ones on opposite side of Earth
sciencedaily.com 2018/08/02

地震は、地球の反対側で起きる別の地震を系統的に誘発させる力を持つ

新しい調査によると、大きな地震は予震など他の地震を誘発するだけでなく、地球の反対側にも別の地震を発生させる可能性があることがわかった。

8月2日に科学誌ネイチャー・サイエンティフィック・レポート(Nature Scientific Reports)に発表された調査結果は、短期的な地震予知とリスク査定の改善に向けた重要なステップとなると考えられる。

米オレゴン州立大学の科学者たちが、過去 44年間の地震データを調べ、マグニチュード 6.5以上の地震が マグニチュード 5.0以上の他の地震を引き起こすという明確な証拠を発見したのだ。

従来、余震というものについては、大地震が起きることによる断層擾乱の後、周囲の地殻が調整されることよる主に同じ地域での、本震より小さなマグニチュードの地震のことだと考えられてきた。

しかし、オレゴン州立大学の研究者たちによる 1973年から 2016年までの余震域のデータを除外した地震のデータの解析によると、大きな地震の 3日後に他の大地震が起こりやすく、また他の、より小さな地震も発生しやすくなっていたことがわかったのだ。

今回の解析は、従来の地震のデータ解析よりさらに大きな時間軸を使用している。

オレゴン州立大学 農業科学部の研究者であるロバート・オマーレイ(Robert O'Malley)氏は、「テストケースでは、通常時の発生率よりも、大地震発生後の 3日の間に、明らかに検出可能な地震の増加を示していました」と述べる。

「地震は構造的な応力の蓄積と解放のサイクルの一部です。この地震の解放のサイクルの終わりに近い断層が地震発生のポイントに達することにより、地震のトリガーとなっている可能性があります」と氏は言う。

研究では、マグニチュードが高いほど、別の地震を起こす可能性が高くなることもわかった。

近年頻繁に発生している、より高い振幅の地震もまた、より低い振幅の地震より頻繁に引き起こされるようだ。

また、そのような場合の地震は、最初に大地震が発生した位置から対角で 30度以内で別の地震が誘発される可能性が最も高いことも判明した。

簡単にいえば、地震が起きた「地球の反対側のあたり」で別の地震が誘発されやすいということだ。

オマーレイ氏は以下のように述べる。

「地震がどのようにして、地球の反対側、しかも極めて離れた距離の場所において別の地震を起こすかというメカニズムを理解することは、現時点では、どのように説明しても推測の域を出ないでしょう」

「 しかし、その具体的なメカニズムがはっきりしていないにしても、ひとつの大地震が別の地震を引き起こすトリガーとなり、休止と再充電の期間が続くという証拠そのものがここに示されているのです」


 

ここまでです。

やはりというか何というか、

「大地震は、離れた場所の地震を誘発する」

ことが確定的なのです。

しかも、「主に地球の反対側(中心をはさんだ逆側)あたりの地域の地震を誘発する」ということになっているのです。

 

前回の以下の記事では「 8月15日から9月6日までに発生したM6以上の地震」について記しました。

北海道地震 : 環太平洋火山帯の大地震の連続の中で、ほぼ初めてプレート上「ではない場所」で発生した「おそらく史上初めての場所」での特異な地震を見て
投稿日:2018年9月6日

この3週間ほどの間に 20回以上のマグニチュード 6以上の地震が起きているのですけれど、そのほとんどは「プレート境界線上」で起きていました。

ところが、その中で「ふたつのマグニチュード 6以上の地震」だけが、「プレート上ではない場所」で発生していました。

それは、

・8月24日 M 7.1 ペルー南東
・9月06日 M 6.7 北海道 胆振地方

です。

時間的には、10日間ほど離れていますが、このふたつの地震の震源は、今回の論文にあるような、

「地球の反対側あたりでのそれぞれの大きな地震」

という位置関係になります。

地図で示しますと以下のようになります。これは過去1ヶ月間のマグニチュード 6以上の地震の震源ですが、北海道の地震の直後に起きた南米エクアドルでのマグニチュード 6.2の地震も指しました。


USGS

以下の地球儀的な図で、位置関係を想像していただくのもいいかもしれません。


Google Map

これは、あくまで今回の北海道の地震を中心として書いているのですけれど、これまで「同じようなデータ」を本当にずいぶんと見てきたのです。

大ざっぱな話になるかもしれないですけれど、最近の日本の印象深い地震でも、

「 2011年 03月11日 日本・東日本大震災 マグニチュード 9.0」

の 5日前には、その地球の反対側のあたりで、

「 2011年 03月06日 南米チリ マグニチュード 6.2」

が起きていたり、2016年の熊本の地震に至っては「熊本と南米が地震のラリーの応酬をしていた」といってもいいような地震の発生を見せていました。

・2016年 4月14日 日本・熊本   マグニチュード 6.8
  ↓ (その地球の反対側のあたり)
・2016年 4月16日 中米ニカラグア マグニチュード 6.1
  ↓ (その地球の反対側のあたり)
・2016年 4月16日 日本・熊本   マグニチュード 7.0
  ↓ (その地球の反対側のあたり)
・2016年 4月16日 南米エクアドル マグニチュード 7.8

ここでは「地球の反対側のあたり」というように、「あたり」としていますが、論文でも最初の地震から「 30度の角度以内の範囲」ということなので、わりと大ざっぱな感じではあります。

こういう例は、日本以外でも非常に多くて、「環太平洋火山帯での対極の地域同士で地震が連動する」ということは、データ的に否定できないのでは、という気はしていたのです。

それが今回のオレゴン州州立大学の研究者の方々の解析で「確認された」ということになりそうで、つまり、

地震は「遠い離れた場所で連動する」

のです。

ただ、この理由やメカニズムは、先ほどの本文記事にありましたように、現在の地質学では、はっきりとそのメカニズムを解明することは難しいと思います。地質学的には、「こういうことはあり得ないこと」とされてきたからです。

ただ、以下の過去記事にありますように、科学の世界には「地震の発生のトリガーには《宇宙線》が関係している」という説を主張する科学者たちがそれなりにいます。

新燃岳の黙示録的な噴火の光景を見て思い出す「巨大地震と火山噴火が起きる本当の理由は、宇宙線の増加と太陽活動の低下」いう数々の研究結果。そしてこれからその時代区分が始まる
投稿日:2018年4月5日

宇宙線と地震の発生に関係があるとするならば、この「地球の反対側あたりで地震が連動する」ということは、むしろわかりやすくなるのかもしれません。

どうしてかというと、宇宙線は常に地球の内部を通り抜けていますが、どう通り抜けるかというと、下の図のように「地球のある地点から入り、反対側の地点から出て行く」のです。

宇宙線が地球を通り抜ける際の大ざっぱな例え図

何だかどうでもいいような図となってしまいましたが、宇宙線はまっすぐ地球に入ってきて、まっすぐ出て行くので、このようになります。

そして、たとえば、宇宙線が地球の中心を通った場合だと、それは「地球の反対の位置から反対の位置に抜けていく」ということになります。

こういうような原理だと、「地球のひとつの場所と、その反対側の場所で同じような時期に大地震が起きやすい」ということも説明できる可能性もあるのかもしれません。

ちなみに、地球を通り抜けていっているような極小の物質の中で、宇宙線ほど高いエネルギーを持つものは他にないとされています。

ただし、もちろん「宇宙線が地震のトリガーになる」という説は学説的に認められているわけではないですので、こういう「たとえ話もある」という程度のことだとお考えいただけると幸いです。

そして、この宇宙線に関しては「トリガー」であり、地震が発生する前提として、地質的なさまざまな条件が必要となるはずです。

環太平洋火山帯やプレート境界線上に地震が集中するのは地質的な理由があるからで、そういう条件がないところに、どれだけ宇宙線のようなトリガーからエネルギーを加えられても「何も起きない」ということになるはずです。

今回の研究と発表が、今後の地震の予測や防災に役立つ理論となるかどうかは不明です。

しかし、日常の応用としては、例えば、とても簡単にいえば、「南米で大きな地震が起きた際には、数日くらいは何となく注意してみる」とか、そういう曖昧な気持ちの持ちようには応用できるものなのかもしれません。

 

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