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2019年からの世界 アメリカの憂鬱 人類の未来 悪魔の輪郭

医療費の支払いでの破産が全体の60パーセントを超える「アメリカの地獄の病院システム」を見て、健康保険制度が破綻した後の日本を想像する

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2019年9月10日の米国「エンド・オブ・ジ・アメリカンドリーム」より


endoftheamericandream.com




 

二時間の点滴で60万円以上が請求されるアメリカの現実

アメリカの医療費が高額だということは、昔から言われていることですが、しかし、最近、アメリカでは、相次いで、「あまりにも高額な医療費」についての問題がさまざまなメディアで取り上げられはじめています。

それは、すでに、アメリカでの高額な医療費が「社会のガン」となり始めているほどのものとなっているからです。

アメリカ全体の破産のうちの 66パーセントが、医療費が原因とされているほど、今のアメリカの医療請求は異常なことになっています。

今回は、最近の各メジャーメディアで報じられた高額の医療費の問題をまとめたアメリカのブログ記事を翻訳してご紹介したいと思います。

なお、これは、「アメリカの現実」を知っていただきたいというより、「健康保険制度が遠からず崩壊することが確定的な日本でも、将来的には起き得ること」だと思いましたので、ご紹介しようと思った次第です。

ここからです。

なお、金額に関しまして、最初はドルと円の併記にしていますが、日本円のほうが実感が湧くと思いますので、途中からは、最初から日本円に換算した表記としています。

 


This Is Why So Many Americans Are Deathly Afraid Of Going To The Hospital…
endoftheamericandream.com 2019/09/10

多くのアメリカ人たちが病院に行くことを極度に恐れる理由

遠い昔のアメリカでは、病院の主要な使命は人々を助けることだったと記憶している。しかし今日では、病院という存在は、貪欲な金銭捕食者になっている。

病院では高額な費用がかかる可能性があるため、多くのアメリカ人たちは、病院へ行くことを極力避けようと努力しているが、急病や事故などにより行かざるを得ない場合がある。

緊急で病院に行く人たちは、基本的に弱っている場合が多いが、行われる治療に対して、どのくらいの料金がかかるか、事前に病院から説明されることはない。

それは、最終的に請求書が届いた時に初めてわかる。

たとえば、最近の FOX ニュースの記事では、実際の請求書の例として、以下のように記載されている。

「アスピリン 1錠が 30ドル (3300円)」、あるいは「点滴が 2000ドル (22万円)」。

FOX ニュースによると、アメリカの緊急治療室では、頭痛の治療で最大 17,797ドル (約 190万円)、足首の捻挫の治療で、最大 24,110ドル (約 260万円)請求される可能性があるという。

病院側は、そのような費用を支払うことができない患者たちにも、執拗に請求を催促し、回収を行い続けている。以下は、USA トゥディの記事からの抜粋だが、このような話が現在のアメリカのどこにでもある。

ヘザー・ウォルドロンさんの一家は、最近、バージニア州ブラックスバーグの丘にある 4つのベッドルームがある自宅を失った。

彼女には、5人の子どもがいるが、そのうちの 1人 の十代の娘は、お金を工面するために自分の服を売り払った。現在、一家は電気代の支払いを心配している。この金銭的な災害は、夫妻の別離へとつながり、4月に離婚が成立した。この一家に、何が起きたのか。

それは、2017年に、ウォルドロンさんが、バージニア大学保健システム病院において、緊急手術を受けた際の手術費用 1800万円の支払いについての訴訟を病院から起こされ、その金額を支払わなければならなくなったために起きたのだ。

1800万円の費用がかかる手術というものは想像ができない。これは、アメリカでは、家一軒を購入できる金額だ。

治療にこのような金額を設定しているのは、略奪あるいは詐欺的であると言わざるを得ない。

USA トゥディによれば、過去 6年間、バージニア大学保健システム病院(UVA Health System)と医師たちは、治療費の支払いができない 36,000人の患者たちに、ウォルドロンさんに対して行ったのと同じように訴訟をし続けてきた。

患者に対しておこなわれたこの 36,000件の訴訟では、合計 116億円以上が請求され、支払わない場合は、給料の差し押さえ、銀行口座の押収、そして、財産と抵当権の差し押さえがおこなわれた。

これにより、多くの個人や家族が破産した。

なお、ウォルドロンさん夫妻は、いくつかの会社を経営していたが、差し押さえは、そこにも及んだ。

確かに、バージニア大学保健システム病院は毎日、多くの人たちの命を救っていることは確かだ。しかし、今では、このような彼らのやり方は、バージニア州全体の大きな恥となっている。

もちろん、アメリカには、全国に同様の方法の経営がなされている他の多くの病院がある。次の例は、最近の CNN の報道からの抜粋だ。

ドナ・ヘルナンデスさんは、昨年、インフルエンザにかかり、彼女は、ニューメキシコ州の地元の病院の緊急治療室に搬送された。そこで、生理食塩水の 2つの点滴バッグと、抗ウイルス薬と吐き気止めを受け取った。

彼女は、病院に到着した時には、朦朧とした状態だったが、約 2時間半後に意識が通常に回復した。

ヘルナンデスさんは、インフルエンザから回復はしたが、その後、受け取った請求書の金額の衝撃からはまだ回復していない。そこには、66万円以上の請求額が記載されていたのだ。

悪い冗談だろうか?

この記事に出てくるヘルナンデスさんは、2時間半、病院にいて、点滴を受けたに過ぎない。入院もしていないし、手術もなかった。点滴と抗ウイルスと吐き気止めの薬で、請求額が 66万円。

これが詐欺的でないとすると、何が詐欺的といえるのだろう?

しかし、それでも、これらの病院のやり方は「完全な合法」であり、病院側は、私たちに請求する費用により非常に裕福になっている。たとえば、バージニア大学保健システム病院は、莫大な利益を上げいることを USA トゥディは以下のように伝えている。

財務諸表によると、バージニア大学保健システム病院は、過去 6年間で、610億円の利益を得ており、1100億円相当の株式、債券、その他の投資の資産を保有している。

公開情報法に基づいた情報によると、病院の CEO であるスットン・ワラス (Sutton-Wallace)氏の給与は 8200万円で、ボーナスは 1億円を超える。

アメリカでは、病院へ行くことが、生活上の経済的な損失につながる可能性があることが伝えられており、そして、以下のメディア報道によれば、25歳から 45 歳のアメリカ人たちにとって、経済的な懸念の主要な項目に医療費が上げられているという。

25歳から 45歳の 1,000人のアメリカ人を対象とした調査によると、経済的ストレスと心配事が文字通り人々を病気にしている。

回答者たちは、ヘルスケアを人生の主な経済的懸念として挙げており、4人に 3人が経済的ストレスにより「ネガティブな経験」をしていることを認めている。

皮肉なことに、39%が経済的ストレスが健康に悪影響を及ぼしていると答えたが、この経済的ストレスをもたらしているひとつの理由が医療費なのだ。医療費に経済的ストレスを感じることで、さらに健康状態が悪化するというパラドックスがそこにある。

アメリカのヘルスケアシステムは、非常に大きく壊れており、アメリカ全体の人々の生命と健康をも破壊していることが、この統計でもわかる。

そして、同じ調査では、回答者たちのかなりの数の人たちが、医療システムに費用がかかる可能性があるために、病院に行くことを避けていることがわかる。以下は、記事からの抜粋だ。

調査対象の 4人に3 人の若者が、医療費を節約するために「危険な」行動をとっていると報告された。ここでいう「危険」とは、治療のために病院に行かないことを指す。

具体的には、回答者の 33%は、病状が自然に治まることを期待し、病院に行くことを遅らせていると答えた。 27%は、高額な医療費を恐れて、病気の際も病院には行かないと答えた。

また、 22%の人たちは、病院の予約をしたが、医療費を考えて、実際には病院に行かない経験をしたという。

CNBC の報道によれば、今日のアメリカでは、破産したすべての人のうち 66.5%が医療費と関連している。しかも、破産した人たちのほとんどは、健康保険に加入しているのだ。

かつてアメリカでは、医師や医療専門家というのは、高貴な職であり、人を助けるために自らが犠牲になる尊い人たちとして尊敬されていた。

しかし今、アメリカのヘルスケアシステムは貪欲の溜まり場になっており、それに惹かれる多くの医療従事者たちにとって、医療行為をおこなう主要な目標は、可能な限り多くのお金を稼ぐことになってしまった。

アメリカの医療システムは、アメリカ経済全体の 5分の1近くを占めており、これを国家として考えれば、地球全体で 5番目に大きな GDP を持つ。

しかし、現在のようなことが起きている時点で、アメリカ全体にとって、大きな恥となっている。今こそ再構築する必要があるのではないか。


 

ここまでです。

日本でも、ガンや難病などの治療等で、健康保険の効かない薬や治療はかなり高額なものもありますけれど、アメリカの場合、点滴や普通の薬など、

「日常的な治療が異常に高い」

のが特徴のようです。

痛み止めが 1錠 3000円とか、点滴が 20万円とか、捻挫の治療が 260万円とか、ものすごいとしか言えないですが、こうなると、記事にもありました「病院には行かない」という選択しかなくなりそうではあります。

捻挫の治療で 260万円だと、事故で骨折とかして、緊急治療室に搬送された場合は何百万円請求されるかわからないですね。

それとはもかくとして、日本も、そう遠くない将来には、健康保険制度が維持できなくなると思われるのですが、そうなった後、同じような状況が出現しないことを祈っております。

なお、2025年度には、国の医療費は 54兆円に達すると見られているそうで、このあたりの時期が「限界」ではないかと思います。つまり、あと 5〜6年で、段階的に、健康保険制度は崩壊か、内容の完全な見直しとなっていくのではないですかね。

ちなみに、こちらの報道では、2017年の、1030人の日本の医師へのアンケートの結果、

「国民皆保険は破綻すると考えている医師は 52パーセントに達した」

と伝えられています。もはや、日本の健康保険制度は、現場の医師たちから見ても、維持することは不可能だと見られているようです。

まあ、日本の病院が、今回のアメリカのような非道な道に走るとは思わないけれど、日本の医療の形も変化していくことにはなりそうです。

その変化に流されないためには、基本的には、「あまり病院に行かない」ということに尽きるのではないかとも思います。





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Oka In Deep

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