2016年8月17日のロシア・トゥディより
・RT
私などのように、金融や経済に疎い人間は、直近の経済の流れなどを近視眼的な見方の方だけで見てしまう部分があります。
たとえば、最近発表された日本の輸出入の統計なども、まあ良くないのですが、下のような報道の見出しを見て「ふむふむ」などと頷きます。
7月貿易統計 輸出額はリーマン後以来の落ち込み
テレ朝news 2016/08/18
7月の貿易統計で、輸出額はリーマンショック後の2009年以来の落ち込みとなりました。
財務省によりますと、円相場が1年前より20円近く円高になったことなどから、輸出額は5兆7284億円と前の年に比べて14%減少しました。リーマンショック後の2009年10月に次ぐ下げ幅です。一方で、原油などの値下がりで輸入額も減ったため貿易収支は5135億円の黒字でした。
というのを読んで、
「 2009年以来ということは、7年ぶりくらい悪いのですね」
という「数年の単位で云々」というような理解で終わろうとしているのですが、今回、冒頭の RT 記事を読みまして、今の世界で起きていることは、そういう単位のことではないことに気づきます。
あとで、翻訳をご紹介しますが、そこに下のようなくだりがあるのです。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの報告書によると、6月中の先進国の金利は過去 5000年で最も低いレベルになった。
「過去 5000年?」
何だか、私たちはえらい状況の中にいるのかもしれないのです。
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5000年の間の人類の歩みのメインテーマが
それにしても、
「 5000年前に金利なんかあったのかいね」
と、調べてみますと、正確な資料というわけではないですが、先物取引の歴史というページに、
農作物の先物取引の歴史は、なんと紀元前20世紀のインドで始まったそうです。その後、古代のギリシアやローマでも農作物の先物取引は行われました。
紀元前20世紀のインドやギリシア、ローマというと、世界最古級の文明が育まれた場所ですから、人類が物の売買を始めたころから、先物取引は行われていたということです。
ということで、先物取引というのは、簡単に書けば「買ったものの価格が後で高いか安いか」で利益を得るか、損失になってしまうかが決まるもので、金利というものではないですが、要するに、そういうものを含めて「金銭的な利益を作り出す」という概念はそんなに昔からあったのですね。
人類が文字を持つようになったのは、歴史時代 - Wikipedia には、
人類史として、初めて文字が発明されたのは約6,000年前である。
とあり、文字が発明されてから急速な勢いで人類は「金銭的な利」に突き進んでいったという部分はあったようです。
紀元前 20世紀というのは、4000年くらい前ということになりますけれど、日本はまだ世界史の中に登場もしない平和な時代でした。
ちなみに、過去 5000年の金利の推移についての表が、バンク・オブ・イングランドなど、いくつかの金融機関や金融データの数値をグラフにしたものが冒頭の RT に載っています。
紀元前3000年から2016年までの金利の推移
・Evan Bleker
今という時代は「過去 5000年の経済活動の中でも特別に奇異な時」だということが明らかになっているのでした。
「5000年」という区切りの最期の頂点にいるという実感の意味
この、
「過去 5000年」
という区切りは、いろいろな意味で、今まで考えてきたことでもあります。
過去 5000年という時代は、今話題にしています「金利」なんてものが出てきたことでもわかるように、この 5000年間は、「物質至上主義」が成長してきた地球の歴史でした。
「お金がたくさんある=物がたくさん手に入る=幸せだ」
という、現代社会にまで続く(実は誤っているけれど、誰も疑わない)概念です。
しかし一方で、たとえば、御嶽山が噴火した 2014年に書きました、
・御嶽山の噴火やマヤカレンダーが示した「 5000年間」という時代の区切りに「日本神話の根源神」は何を私たちに示そうとしているのだろうかと考える
2014/10/06
の中で「 5000年という時代の区切り」について記したことがありました。
たとえぱ、今ではすっかり話題に出ることもなくなりましたが、マヤ文明のマヤ暦では、260日を一周期としたツォルキン暦、365日を一周期とするハアブ暦、そして、「長期暦」の3つの暦を用いており、このうちの長期暦は、
「紀元前 3114年8月11日に置かれた基準日からの経過日数で表されている」
ものです。
そして、ここでは意味は省略しますが、マヤ文明では「 13 」という数字に特別な意味があり、比較的長い期間を示す単位に「バクトゥン」というマヤ文明の単位がありますが、この「1バクトゥン」は 394年となっていて、そこに、マヤ文明のサイクルとして重要な 13回目のパクトゥンが来る時が、
394年×13(マヤ文明の重要な数字)= 5112年
となるわけで、マヤの長期暦が始まった「紀元前 3114年から 5112年目は 2012年」となり、例の「 2012年、この世の終わり説」もそこから出ました。
2012年の具体的な日付けはともかくとして、マヤ文明がその神話の時代から歩み始めたのが約 5000年前ということになります。
そして、彼らが「この世が終わる」としたのが、それから約 5000年後の・・つまり、「今でしょ」(あーイラつく)ということになるのだと思います。
そして今は、おそらくその「終わりの時代の渦中」にあると、少なくともマヤ文明の概念からは今でも言えると思います。
他にも、5000年というような概念は、2012年以前は、よく出ていた話題でした。
気づかないだけで、徐々に人類は変容しているのかもしれない
やはり、マヤ暦を研究していたスウェーデンのカール・コルマン博士も、以前は、人類の過去 5000年のことを述べていました。
2009年5月27日のヤスの備忘録の記事「コルマン博士主要論文全訳」では、2004年のコルマン博士の論文を翻訳していて、その中に、
過去5000年間、経済成長は人類史のメインテーマであったが、それは特にプラネタリーアンダーワールド(1755年~1999年まで)の盲目的な意識が一般化した時代にとことん加速し、これとともに人口も増加したのである。
という部分があります。
つまり、この 5000年間、人類は経済成長を目指して文明を発展させてきたと。
他のこと(意識とか精神とか真の宇宙とか)はそれほどの問題にはしなかったと。
その時代に生まれた私だからこそ、この時代はそういう時代だと断言できます。特に、世界でいえば過去 2000年、日本でいえば、戦後の 70年間はものすごいものだったと思います。
しかし、コルマン博士の 2004年のこの論文では、上に続いて下のように書かれてあります。
だが、意識の統合とバランスの回復がテーマとなるギャラクティックアンダーワールド(1999年1月~2011年10月28日)では、経済成長と人口の増加を希求する欲求そのものが消失してしまうのである。
この意識変化により、われわれ人間は、地球環境や地球上に存在するあらゆるものを、これまでのように左脳の計算によっていかようにでも収奪が許される生命のない単なる物質として考えることはできなくなる。
「プラネタリーアンダーワールド」とか「ギャラクティックアンダーワールド」という言葉はコルマン博士の造った言葉で、要するにそういう名称の「期間」ですが、いずれにしても、その期間に、つまり、
> 1999年1月~2011年10月の間に、われわれ人間は意識的に変容する
と述べていたのです。
しかし、ご存じのように、人類も人類社会も、その期間に本質的に変わったとは思えません。
私は、このコルマン博士の言葉に当時、ずいぶんと期待を持たせていだたきました。それは今でもあまり変わりません。
この期間にはなし得なかったかもしれないけれど、これから、そうなるのかもしれないですし。
・・・あるいは・・・もしかすると、1999年~2011年の期間に何もなかったと思えるのは、それは社会の表面的なもので、
「それ以前に比べれば、1999年1月~2011年の期間に意識が変容した人が増えた」のかもしれない
と思っています。
その理由は、日本人なら特にそうですけれど、私たちは 2011年に東日本大震災を経験しています。
この出来事は、震災の規模というものを超えて、どれほど日本人にとって大きなものだったかということを説明することが難しいほど大きなものだったと思います。
被災したとか、しなかったという意味ではありません。
「日本人として日本に住んでいて、東日本大震災を経験した」という意味です。
少なくとも私自身は、あの直後からしばらくは、「別の人間」になりました。
それまで考えることをおろそかにしていた様々なことを考え、言い方を代えれば「覚醒直前」だったと言っていいと思います。
しかし、日が過ぎると共に、次第にあの「超感覚」は薄らいでいきました。
とはいえ、この時に自分の中に目覚めた何かが、たとえば、このブログ In Diip(綴り間違ってるぞ) …… In Deep を本格的に書き始めるキッカケになりましたし、ほんの少しかもしれないけれど、タワシは(タワシになってるぞ) ……私は、この「 1999年~ 2011年」の間に確かに変わりました。
もしかすると、読まれている皆様方も、思い出せば、その「 1999年~ 2011年」の間に何らかの「変容」があったのではないでしょうか。
先ほど書きましたように、金利という観点ひとつでも、今世界は、かつてない場所に来ていて、おそらく、これを含めて今は「過去 5000年の終わり」の何かを意味しているのだと考えます。
たかが金利ひとつでも、そのことを思います。
良い意味で私たちは終わりに向かっているのだと思います。
では、何だか、ロスチャイルドさんの記事は完全におまけになってしまいましたが、RT の記事の翻訳を載せておきます。
ちなみに、この記事は、陰謀論的な意味でのものではなく、投資会社の会長で億万長者である人物ということでのロスチャイルドさんの現在の経済と金融に関しての考え方が記されています。
記事の最後には、現在の世界の国債や負債の状況を「いつか爆発する超新星」という表現をする人が出ていて、超新星とは「この宇宙で最も激しく明るく爆発する存在」ということですが、現在の状況をそのように例えています。
そのうち爆発するのです。見たこともないような大爆発を。
World seeing ‘greatest monetary policy experiment in history’ - Rothschild
RT 2016/08/17
世界は「史上最大の金融政策の実験」を見ている - ロスチャイルド氏
低金利、政府債務のマイナス金利、そして量的緩和は、世界の歴史の中で最大の金融の実験の一部であり、その結果はいまだ不明だと、投資会社 RIT キャピタル・パートナーズ会長のロスチャイルド氏は述べる。
ロスチャイルド氏は、同社の年次財務報告書に次のように書いた。
「6カ月間の観察の中では、中央銀行が継続しているこれらのことは、確かに世界の歴史の中での金融政策の最大の実験だ。それゆえに、私たちは未知の海の中にいるようなものであり、この非常に低い金利の意図しない結果を予測することは不可能だと言える。何しろ、世界の 30%の政府の負債が、巨大な規模の量的緩和と結びついたマイナス金利の中で進んでいる」
彼は、この政策は、成長投資と株価の変動率が低いことなどにより、株式市場の急速な成長につながっていると注記している — 現在、アメリカの株式価格は 2008年以来3倍に成長している。
しかし、現実経済の部門は、このような利益を享受してこなかったとし、ロスチャイルド氏によれば、「経済成長は、先進国の多くの部分で需要低迷とデフレの渦中にある」という。
この億万長者は、地政学的な状況が悪化していく中、世界経済に対してのリスクが数多く残っているとしている。これらの地政学的なリスクの中に、ロスチャイルド氏は、イギリスが EU を離脱するか残留するかを決めた国民投票、アメリカ大統領選、そして中国の経済成長の減速も含めている。
もう一つのリスクは、世界的に拡大するテロで、これはロスチャイルド氏は、中東における継続的な紛争の結果としている。
バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの報告書によると、6月中の先進国の金利は過去 5000年で最も低いレベルになった。特にアメリカでは 0.5パーセントになっている。デフレに対する戦いの中で、スウェーデン、スイス、日本などの国ではマイナス貸出金利となっている。
もうひとつの災いは、国債のマイナス利回りだ。6月に、ドイツ 10年国債は、史上初めて 0パーセントを下回った。投資会社ヤヌス・キャピタルは、世界的な利回りは、過去 500年間で最低であると推計している。このような国債の総額は 10兆ドル(約 1,000兆円)に上る。
投資グループのポートフォリオ・マネジャーであるビル・グロースは、これを「いつか爆発する超新星」と呼ぶ。