接種6ヵ月後以降の「持続性」は不明
少し前の以下の記事で、オーストラリアの研究者たちによる、コロナワクチン接種後の「小児の免疫状態の研究」についてふれたことがありました。
(論文)BNT162b2 小児における新型コロナウイルス感染症ワクチン接種は、異種病原体およびトール様受容体アゴニストに対するサイトカイン反応を変化させる
BNT162b2 COVID-19 vaccination in children alters cytokine responses to heterologous pathogens and Toll-like receptor agonists
この際には、論文も難解でしたし、リンクをご紹介するにとどめたのですけれど、その後、この論文を解説していた医学メディアの記事がありまして、その記事をご紹介したいと思います。
簡単に書けば、
「ワクチン接種後の子どもは、少なくとも 6ヵ月後まで、様々な感染症に対しての防御が弱くなる」
ことを示した研究です。
論文の概要の部分から抜粋しますと以下のようになっていました。研究は、 5歳から 11歳の 29人の子どもからのサンプルで行われ、SARS-CoV-2 抗原(スパイクタンパク質のこと)に対する、さまざまな病原体の「サイトカイン応答」を、
・接種前
・2回目の接種の 28日後
・6ヵ月後
に調査したものでした。
概要の「結論」には以下のようにあります。
論文の概要より抜粋
結果: V2 + 28 (※ 2回接種から28日後)では、インターフェロン-γ および単球化学誘引物質タンパク質-1 が、黄色ブドウ球菌、大腸菌、リステリア菌、BCG ワクチン、インフルエンザ菌、B型肝炎抗原、ポリ (I:C) および R848に対しての応答が、ワクチン接種前と比較して減少した。
…BNT162b2 ワクチン接種後 6か月後も、ウイルス刺激物に対するサイトカイン応答の持続的な減少が見られたが、細菌刺激物に対する減少は見られなかった。
つまり、接種後 1ヵ月後までは、ウイルスに対してと共に、黄色ブドウ球菌、大腸菌などを含む「細菌」に対しての免疫応答も悪くなっているということだと思われます。
しかし、6ヵ月後には、細菌に対しての免疫の状態は、それ以上の悪化は見られなかったのですが、
「ウイルスに対しての免疫応答の状態は引き続き悪化していた」
という解釈でいいと思うのですが(間違っていたら申し訳ないです)、いずれにしても、11歳以下の子どもなどの場合、接種後、
「まず、ウイルスに対しても細菌に対しても免疫状態が悪化する」
ということで、その後、
「ウイルスに関しての免疫の問題は、6ヵ月後も持続している」
ということのようです。
それ以上の期間については調査はされていないですので、わからないですが、「 6ヵ月間も持続したウイルスに対しての免疫状態の悪化が、すんなりと元に戻るのかどうか」は、何とも言えない部分があります。
「ずっと免疫状態が悪化したまま」という可能性もあり得るかもしれません。修飾され強化された mRNA とスパイクタンパク質の体内での持続性からはあり得ないことではないです。
この 2年間、日本も含めて世界中で広く起き続けている「子どもの感染症の拡大」の理由もこのあたりにあるのかもしれません。
それぞれ、かなり以前の記事になりますが、以下のような記事をご参照いただければとも思います。
(記事)コロナワクチン後天性免疫不全症候群(VAIDSとも)への警告に関する論文からも、ストレートな曝露を受けた小さな子どもたちへの懸念がさらに
In Deep 2022年5月4日
(記事)超過死亡率データを見て思う、緩慢に進む子どもたちのジェノサイド
In Deep 2022年8月25日
(記事)コロナ重症化のメインが小さな子どもの世代に移行している。これ以上の大量死を避ける方法は「接種を拒否すること」のみ…
In Deep 2022年10月3日
ここから医療メディアの記事を翻訳させていただきます。ややわからない部分もあるのですが、ご紹介させていただきます。
なお、この中に出てくる「オフターゲット効果」というのは、ある疾患に対しての薬やワクチンが、狙っているものではないものに作用する、あるいは阻害する、ということです。
ターゲットにした別の病原体などに良いほうに作用することもあれば、悪いほうに作用することもあるというような現象です。
査読済み論文で、ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが、子供の免疫に影響を及ぼし、他の病原性感染症にかかりやすくなることが示された
Peer Reviewed Study Shows Pfizer’s COVID-19 Jabs Affect Immunity In Children, Making Them Susceptible To Other Pathogenic Infections
thailandmedical.news 2023/09/04
オーストラリアの研究で、SARS-CoV-2 mRNA ベースのワクチンが子供の異種免疫を変化させ、これらの効果がワクチン接種後最大 6か月持続する可能性があることが判明した。
この研究では、小児における BNT162b2 新型コロナウイルス感染症ワクチン接種により、異種病原体や Toll様受容体アゴニスト(※ 受容体に結合することでその情報を細胞の内部に伝達する物質)に対するサイトカイン反応が変化することが判明した。
BNT162b2 として知られるファイザー社の COVID-19 ワクチンは、COVID-19 パンデミックと戦う世界的な取り組みにおいて重要なツールであると主張されている。
その「有効性」と「安全性プロファイル」は、さまざまな事例研究、レポート、さらには副作用報告プラットフォーム等から、成人においては十分に文書化されているが、小児の接種は、彼らの免疫システムについてのワクチンの影響について重要な疑問を引き起こしている。
子どもの免疫システム
オーストラリア・ビクトリア州のマードック小児研究所と、メルボルンの王立小児病院、メルボルン大学の研究者たちによって行われた最近の査読付き研究は、小児における新型コロナウイルス感染症ワクチン接種後の、黄色ブドウ球菌の懸念すべき側面に光を当てている。
驚くべきことに、この研究結果は、ファイザーの新型コロナウイルス感染症ワクチンが小児の異種免疫を変化させ、他の病原性感染症にかかりやすくする可能性があることを明らかにしている。
過去の報告では、新型コロナウイルスの(自然)感染だけでも子どもの自然免疫系に影響を及ぼし、他の病原体にも感染しやすくなる可能性があることが示されている。
ワクチンの異種効果
多くのワクチンが、標的となる病原体だけでなく、無関係な感染症に対しても防御することが長い間知られてきた。これらのオフターゲット効果、つまり異種効果は、全体的な免疫応答を強化し、より広範囲の疾患から個人を守る上で重要だ。
これらの効果は、弱毒化生ワクチンで特に顕著であり、ワクチンの特異的防御によるものと考えられる以上に、全原因による乳児死亡率の減少と関連している。
提案されたメカニズムの 1つ
これらの異種効果の背後には訓練された免疫があり、これは単球のような自然免疫細胞が代謝およびエピジェネティックな変化を通じて免疫学的記憶を発達させるプロセスだ。
ワクチンの積極的な異種効果を理解し、利用することは、さまざまな病原体に対する防御を拡大する可能性を秘めている。
新型コロナウイルスワクチン接種と小児における異種影響
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックにより、 BCG ワクチンを含むワクチンの異種効果に対する新たな関心が高まっている。
これまでの研究では、異種抗原に対する in vitro サイトカイン応答を評価することで異種効果を調査してきたが、この分野の研究は主に成人に焦点を当てていた。今回の研究は、小児における新型コロナウイルスワクチン接種の免疫学的異種効果を調査した最初の研究となる。
研究デザインと調査結果
この研究には、ファイザー・ビオンテック社製の COVID-19 ワクチンを 2回投与された 5~ 11歳の小児 29人が参加した。
ワクチン接種前と 2回目の接種後、そして接種 28日後に血液サンプルを採取した。さらに、8人の子どもはワクチン接種から 6か月後にサンプルの分析を受けた。
研究結果
異種刺激物質に対する免疫反応の低下:ワクチン接種(V2 + 28 = 2回目の接種後、そして接種 28日後)から 1か月後、子供たちは、黄色ブドウ球菌、大腸菌などの細菌を含む、さまざまな異種病原体および Toll様受容体アゴニストに対するインターフェロン-γ および単球化学誘引物質タンパク質-1 反応の低下を示した。
これは、ファイザーの新型コロナウイルスワクチンが、これらの無関係な病原体に対する免疫反応を弱める効果があることを示唆している。
ウイルス免疫反応の持続的な減少:ワクチン接種から 6か月後、ウイルス刺激剤に対するサイトカイン応答の持続的な減少が見られたが、細菌刺激剤に対するサイトカイン反応の減少は見られなかった。これは、ウイルスに関しては、免疫応答の変化が長期間にわたって持続したことを意味する。
SARS-CoV-2に対する免疫応答の増強:逆に、この研究では、スパイクタンパク質サブユニット S1および S2を含む SARS-CoV-2 特異的刺激に対するサイトカイン応答が V2+28 (2回目の接種後、そして接種 28日後)で増加し、ワクチン接種から 6か月後の反応が、ワクチン接種前よりも高いままであることが判明した。
ワクチン特異的抗体との相関はない:重要なことは、この研究では、抗 SARS-CoV-2 受容体結合ドメイン IgG 抗体のレベルと、ワクチンによって誘発されるサイトカイン応答の変化との間に相関関係が見出されなかったことである。これは、観察された免疫応答の変化がワクチンに対する特異的な抗体応答に関連していないことを示唆している。
影響と懸念
この研究の結果は、ファイザー製新型コロナウイルスワクチンが小児の免疫系に与える影響に関して重要な懸念を引き起こしている。異種病原体に対する免疫反応の変化、特に細菌に対する反応の低下により、ワクチン接種を受けた子供が細菌感染しやすくなる可能性がある。
さらに、この研究は、これらの変化した免疫反応の長期的な影響についてさらなる研究の必要性を強調している。
このワクチンは SARS-CoV-2 に対する免疫は強化すると思われるが、他の病原体に対する免疫が低下するという代償を伴う可能性がある。
これは、特に学校や保育園など、子どもたちが定期的にさまざまな微生物にさらされている環境では、公衆衛生に重大な影響を及ぼす可能性がある。
結論
ファイザー社新型コロナウイルスワクチンの小児免疫反応への影響に関するこの査読済みの研究は、特に小児集団におけるワクチンの影響を徹底的に理解することの重要性を強調している。
これらのワクチンは、COVID-19 の蔓延を制御する上で重要な役割を果たしたと主張されているが、異種免疫に対する潜在的な影響を無視することはできない。
これらの発見の臨床的影響を評価し、公衆衛生への広範な影響を考慮してワクチン接種政策を導くには、さらなる研究が必要だ。
パンデミックとの継続的な戦いにおいて、小児における新型コロナウイルスワクチン接種の利点と潜在的なリスクのバランスを取ることは、依然として複雑かつ進化する課題だ。
研究結果は査読誌「Frontiers In Immunology」に掲載された。
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