12月28日の英国ガーディアンの報道より
自然災害による非常事態宣言が次々と発令される年末のアメリカ
この年末にきて、世界中の気候がなんだかムチャクチャな様相を呈してきていまして、それを少しまとめてみたいと思いました。
まずはアメリカです。
クリスマスあたりからのアメリカの気候と気温は「異常」といって、何ら差し支えないと思うほど激しいものです。
アメリカは、もしかすると、今現在、「もっとも異常な天候が各地に出現している国」といってもいいのではないかと思えるほどです。
この10日くらいの間に、アメリカで、自然災害による「非常事態宣言」、あるいは災害事態などが宣告された州は、知る限りで以下の通りとなります。文末のリンクがソースです。
12月28日の時点で非常事態宣言が発令されているアメリカの州
・ニューメキシコ州 大雪による非常事態宣言( KOAT7 )
・ミズーリ州 豪雨と洪水による非常事態宣言( News Channel 3 )
・テキサス州 竜巻と洪水と吹雪による災害事態( USA Today )
・オクラホマ州 歴史的な猛吹雪(ブリザード)と竜巻に対しての非常事態宣言( KOCO )
・アーカンソー州 ブリザードと竜巻に対しての警報( Arkansas Online )
・ルイジアナ州 嵐と竜巻に対しての警報と洪水警報( WDSU NEWS )
・ミシシッピ州 ブリザードと竜巻と洪水に対して非常事態宣言( Business Insider )
・アイダホ州 嵐と強風の被害でアメリカ政府から災害宣言( ホワイトハウス ニュースリリース )
・アラバマ州 洪水と熱波に対しての非常事態宣言( Bill McKibben )
・カリフォルニア州 大規模な森林火災による災害事態( abc news )
・ジョージア州 過酷な悪天候での非常事態宣言( WSPA News )
・テネシー州 嵐と洪水被害で非常事態宣言( WHNT 19 NEWS )
・ウィスコンシン州 大雪による非常事態宣言( wausau daily herald )
などとなります。
州としての非常事態宣言も、その州の中の一部地区への非常事態宣言も含まれています。
アメリカの州の位置から確認しますと、大体、下のように被害が起きていたということになります。
報道を見ていますと、なんというか「複数の自然災害」によって非常事態宣言が出されているところが多いのですね。
たとえば、強風と洪水とか、強風と竜巻と大雨とか、猛吹雪と洪水とか、混沌とした状況となっている地域が多いようです。
その他に、12月に、アメリカ農務省から「農作物の被災地区」と指定された地区が含まれる州が、
・カリフォルニア州
・メイン州
・マサチューセッツ州
・ニューハンプシャー州
・バーモント州
・フロリダ州
・ジョージア州
・カンザス州
・アラバマ州
などとなっています(ソース:アメリカ農務省)。
そして、アメリカの気温がまたカオスなんです。
少し前の、
・首都で真冬に桜が咲き乱れるアメリカと「本物のパスポート」を大量製造して次々と入国してくる IS メンバーの姿が重なる2015年の最期の時間
2015/12/14
という記事では、12月中旬に、アメリカのワシントン DCで「12月に桜が咲いた」ということをお伝えしたのですが、最近の報道を見ますと、その後もアメリカのいろいろなところで桜が咲き続けているらしく、下は、ワシントン DCの 12月27日の様子だそうです。
桜が咲き続けるワシントン
・What December’s cherry blossoms mean for spring
そして、今年のクリスマスのニューヨークでは、下のように、観測史上で最高気温のイヴとなりました。
史上最高気温のクリスマスとなったニューヨーク
・読売新聞
しかし、実は上の「アメリカ東部が暖かかった」というだけではわからない「クリスマスの異常」は、その12月24日のイヴの日のアメリカ全体の気温分布を見ますと、明らかです。
2015年12月24日のアメリカの最高気温
・The US is experiencing some very strange weather
本来、この時期寒いはずのニューヨーク(通常は5度程度)などの東海岸の各都市の気温が異常に高かった反面、本来、比較的暖かいはずのカリフォルニア州などの西海岸がとても寒い状況にあったことがわかります。
そして、ふと思ったことは、このアメリカというひとつの国の気温分布状況は、今後の「世界全体の気温状況」の予兆とも言えるものになるかもしれないということでした。
気温が異常に高いところと低いところが混在して、そして、「その地域の通常の状態とはまったく違う気温や気候というものが数多く出現していくかもしれない」という意味で、今のアメリカの様子は世界の今後をあらわしているような気がします。
というか、もう現時点で世界の気候は相当なことになっています。
極めて激しい天候となっている、いくつかの国と地域をご紹介しておきたいと思います。
壊滅的な洪水に見舞われ続けるイギリス
多くの家が水没したイングランド・ヨークの街
・IB Times
イギリスでは、12月に入ってから大雨と洪水が繰り返されていまして、そして、クリスマス前後に北部などを襲った洪水は、英国史上でも「歴史的な規模の洪水」となりました。
・英国で「聖書での大洪水のような」と報じられるほどの歴史的な洪水
という記事でもふれましたが、まさに壊滅的な被害をもたらしていて、インディペンデントの報道によれば、これら一連の洪水の被害規模は、今後の予測も含めて、日本円で1兆円を越える可能性があると伝えています。
イギリスの悪天候は、これで終わったというわけではないのです。
直近だけでも、イギリスの天候は、報道によれば、12月30日も激しい雨が予測されていて、12月31日も大雨が予測されています。
イギリスだけではないですが、中東からヨーロッパの各地は、何というか、気象や気圧、そして大気の流れなどの配置状況が、根本的に変わってしまったかのように悪天候が繰り返されていまして、今後もある程度は同様の事態が起きる可能性がありそうです。
ジカウイルス騒動の渦中にある南米はクリスマスの大洪水
南米でも、広範囲で降り続く雨により、パラグアイ、アルゼンチン、ブラジルなどで大規模な洪水被害となっていて、報道では、十数万人が家からの退避を余儀なくされ、また、少なくとも 10名ほどが亡くなっているとのことです。
水没したアルゼンチンのコンコルディアという街の様子
・アルジャジーラ
この南米の洪水なんですが、気になることがあるのです。
もちろん、洪水の直接的被害も大変なのものだと思うのですが、洪水が起きている「場所」がどうも・・・。
つまり、現在、洪水が起きているブラジルやアルゼンチンといった場所は、先日の記事、
・世界に広がるかもしれない「誰も妊娠してはいけない」状態 : 赤ちゃんに影響を及ぼすジカウイルスでのブラジル非常事態宣言から思う来年
2015/12/26
でふれました、妊婦が感染すると高い確率で赤ちゃんが小頭症として生まれてしまうということがわかり、かなりの深刻な事態となっているジカウイルスが現在蔓延している場所なのですよ。
このウイルスは「蚊」が媒介するものなんです。
洪水であちこちに水がある状況で、気温がある程度高い状態が続いた場合、ジカウイルスを持つ蚊が広範囲に拡散するのに最適の条件となってしまうような気がするのです。
最近のニュースの中では、このジカウイルスの話は最も強烈な印象として残るものですので、南米の洪水は気になるものではあります。
あとは、世界のどこがどうと書き出すと、キリがないのですが、
・メキシコで数十年に1度の大雪( 7NEWS )
・アルゼンチンで歴史的な大雪( ahora calafate )
・南アフリカで大規模な森林火災( news24 )
・オーストラリアでは異常な熱波( 地球の記録 )
・フィリピンで「摂氏0度」が記録される( GMA )
など状況はさまざまですが、どれにしても「極端」という言葉がふさわしいです。
そして、おそらく、アメリカやイギリスを含めて、年末から 2016年の始まりにいたるまで、現在の状況と似たような天候状況のまま新しい年へと突入していくことになりそうです。
そのようにして始まる可能性のある 2016年は「気候」というキーワードが今年よりもさらに重大なものとなりそうな気配があります。
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