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地球最期のニュースと資料

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宇宙線レベルが著しく増加している今の地球と、そしてこれから

   

Cosmic Rays

太陽活動はさらに弱く鳴り続けているようで、昨日も今日も太陽は黒点ゼロでした。そのせいか何となくボーッとしたファティマ 100年目となっています。

・SDO/HMI

そんな中で、「地球へ到達する宇宙線レベルが著しく増加している」ということが、スペースウェザーで報じられていました。

宇宙線は、

・太陽活動が「強い」と、「地球にやってくる量は減る」
・太陽活動が「弱い」と、「地球にやってくる量は増える」

ということになっていますので、太陽活動縮小期の今、宇宙線が増えているのは当然のことなのですが、実際の数値なども含めて、ご紹介しようと思います。

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宇宙線の増大がもたらすもの

まずは、宇宙線の現状について、スペースウェザーの 5月 12日の記事をご紹介させていただきます。

COSMIC RAYS ARE INTENSIFYING

宇宙線が激しく増大している

多くの人々が、太陽活動が静かになる太陽活動極小期(ソーラーミニマム)は、宇宙天気の観点からは退屈な時期だと考える。

しかし、それは違う。

太陽黒点サイクルの中で最も太陽黒点数が少ない太陽活動極小期は、私たちの地球周辺の空間に多くの結果をもたらし、太陽活動が活溌な時期とは違う別の性質を見せてくれるのだ。

太陽活動極小期の最も重要な変化のひとつは、宇宙線が増大することだ。宇宙線とは、 深宇宙から地球にまで到達する高エネルギーの放射線で、黒点の数が減少すると、地球に到達する宇宙線レベルが激化することが知られている。

では、太陽活動が弱くなっている現在も、それは起きているのだろうか。

答えは「イエス」だ。

下は、スペースウェザーが、地球の成層圏の放射能レベルを、カリフォルニア上空の高高度での気象気球で監視しているレベルだ。最新のデータは 2017年 5月6日のものとなる。

このデータは、宇宙線のレベルが 2015年3月以降、約 13%増加していることを示している。

宇宙線は高エネルギーの光子であり、遠方の超新星や天の川銀河内の他の爆発的な宇宙事象によって出現すると考えられていて、それが地球の方向に加速された亜原子の粒子だ。通常、宇宙線は、太陽系のすべての惑星を包み込んでいる太陽の磁場によって保持されている。

しかし、太陽活動が最大期から最小期へと移行する中で、太陽の磁気シールドは弱くな。そのような時期である現在の 2017年には、宇宙線は、ますます私たちの地球に到達し続けることになる。

宇宙線は私たちにどのような影響を与えるのだろうか?

いくつかの研究では、宇宙線が雲を作り出し、天候や気候を変え、あるいは落雷を作り出している可能性があることを示している。また、宇宙線は、心臓の疾患や不整脈と関係があることを結びつける研究もある。

なお、この宇宙線の増加は、測定装置のあるカリフォルニアのみで起きているのではなく、現在、世界中で宇宙線レベルは上昇している。

 

ここまでです。

なお、現時点で、地球で観測されている宇宙線のレベルは、観測史上で最も高かった 2010年に次ぐくらいのレベルにまで来ています。下のグラフはフィンランドのオウル大学が 1965年から観測している宇宙線観測グラフからの抜粋です。

1987年から2017年までの30年間の宇宙線レベルの推移

cosmicrays.oulu.fi

太陽活動の低下ぶりによっては、今後さらに宇宙線レベルは上がっていくものと思われます。

そして、大事なことは、

「地球に降り注ぐ宇宙線がかつてないほど増加した場合の影響は何か」

ということなんですが、これについては、「曖昧ながら」いえることは、スペースウェザーの記事にもありましたけれど、

・天候(宇宙線が増えると雲が多くなる)
・人体への影響

があるとは思われるのですが、この宇宙線の影響に関しては、太陽からの磁場などの影響ほど、はっきりとした統計がないというのが事実です。

あと、比較的有名な主張として、「宇宙線が増加すると、火山の噴火や大地震が増える」というものもありますが、そういう傾向は認められても、断言できるレベルではありません。

これについては、

噴出する「地震を起こすものの正体」: 月、重力、太陽活動、宇宙線、惑星直列
 2016/04/22

など何度か記事でふれたことがあり、個人的には魅力的な説だと思うのですが、データとしての決定打がありません。

なお、スペースウェザーの記事に「宇宙線と心臓疾患と関係がある」というような下りがあり、初めて知ったことでしたが、下のような学術論文もありました。

アメリカ国立生物工学情報センターのデータベースにある2006年の論文
ncbi.nlm.nih.gov

この論文は、傾向として、地磁気と宇宙線のレベルによって、

・不整脈
・突然の心臓死
・心筋症

の発症数に変化があるということを示した医学論文のようです。

 

とはいえ、今のところ、科学の世界で、宇宙線の影響について比較的はっきりしていることは、

「宇宙線が増えると、雲が増える」

ということだけのような気がします。なので、宇宙線が増えると、必然的に「悪天候」や、それに準じる状態が増えることも考えられ、いずれにしても、宇宙線は天候には影響するものだとは思います。

これに関しては、

「雲の生成は宇宙線によるもの」という説が25年にわたる観測の末に「結論」づけられる
 2016/05/29

という記事などを参考にしていただれば幸いです。

後は、これは科学的な話とは違うことかもしれないですが、私個人は、

「宇宙線は人類の進化と関係する」

というように考えています。

これに関しましては、具体的なことを書いたものではないですが、

私たちに残されたかすかな「破局の回避」の可能性のために(3):急激に増加する宇宙線の中で「突然」進化する人類
 2013/04/09

という記事に記したことがあります。

あと、比較的最近、「宇宙線を食糧にしている生命体の可能性」について、科学誌サイエンスに発表されたものを、

放射線を食べて生きる生物の発見から始まった、科学者たちによる「宇宙線を食糧にして生きる地球外生命体」の存在についてのシミュレーション
 2016/10/11

という記事でご紹介したことがあります。

その際には全体を訳したので、大変に長いものとなり、むしろわかりにくくなってしまっていましたが、その際にご紹介したサイエンスの記事の最初のほうを編集して再掲しておきたいと思います。

「宇宙線」というものの真実はわかりにくいですが、いろいろな可能性や、あるいは、いろいろな「思索」がそこから生まれるものではあると思います。


Alien life could feed on cosmic rays
Science 2016/10/07

地球外生命体は宇宙線を食べているかもしれない

南アフリカで発見された放射性ウランからエネルギーを得る微生物は、宇宙生物学者たちに、「宇宙線を食料にしている宇宙の微生物が存在する可能性があるのではないだろうか」という考えをもたらしている。

理論的には、高エネルギーの宇宙線は、たとえば、南アフリカのムポネン金鉱(Mponeng gold mine)の地下3キロメートルから発見された真正細菌「デスルフォルディス・アウダクスヴィトール(Desulforudis audaxviator)」と同じ種類の生物が生き続けられる理由となり得る。

この南アフリカのデスルフォルディス・アウダクスヴィトールは、鉱物同士の化学反応や放射線による物理的な作用で生じる無機物を取り込み生きているのだ。

この事実が示すところは、この宇宙にあるいかなる惑星であろうと、そこが宇宙線からの防御が弱いのなら、デスルフォルディス・アウダクスヴィトールのいとこのような生命が存在する可能性があるということになる。

いや、惑星ということとではなくとも、この宇宙空間自体のどこでもその可能性があることになるのだ。

南アフリカの金鉱山の深い地下で見つかったこの奇妙な微生物は、生命に関して、これまでにないひとつのモデルを提供する可能性がある。

それは「生命」というものに関しての考えを覆すということで、つまり、これまでの考えで「そこは生命が生きていける環境ではない」と考えられていた場所で生命が生きていくことができるという可能性についてのことだ。

デスルフォルディス・アウダクスヴィトールは棒状の細菌で、南アフリカの地下 2.8キロメートルの、生命維持にとってすべてが欠乏しているような場所で繁栄している。

そこには生命に必要とされる、太陽光、酸素、炭素が一切ない。

その代わりに、この「金鉱虫(gold mine bug)」は、鉱山の奥の放射性ウランからエネルギーを得ているのだ。

そして今、科学者たちはこのように予測し始めた。

「宇宙の他の場所でも、南アフリカの金鉱と同じように、放射線、特に宇宙から降り注ぐ宇宙線を食糧にして生きる生命たちが存在するのではないか」



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