・Maracaibo, Venezuela April 23, 2017
新約聖書『マタイによる福音書』 24章 06-14節
戦争と戦争のうわさとを聞くであろう。注意していなさい、あわててはいけない。それは起らねばならないが、まだ終りではない。
民は民に、国は国に敵対して立ち上がるであろう。またあちこちに、飢饉が起り、また地震があるであろう。
しかし、すべてこれらは産みの苦しみの初めである。
そのとき人々は、あなたがたを苦しみにあわせ、また殺すであろう。またあなたがたは、わたしの名のゆえにすべての民に憎まれるであろう。
そのとき、多くの人がつまずき、また互に裏切り、憎み合うであろう。
また多くのにせ預言者が起って、多くの人を惑わすであろう。また不法がはびこるので、多くの人の愛が冷えるであろう。
しかし、最後まで耐え忍ぶ者は救われる。
そしてこの御国の福音は、すべての民に対してあかしをするために、全世界に宣べ伝えられるであろう。そしてそれから最後が来るのである。
対立と敵対の日々の中で
いやもう、世界中で「対立の嵐」が吹き荒れていまして、上に記しました聖書「マタイによる福音書」の部分は、
「この世の終わりはどんな感じなんスか?」
という民の質問について語られている部分ですが、「戦争の噂」とか、「民は民に、国は国に敵対して立ち上がる」とか、こんなに急激に世界全体で同時に起きている状態であるのも珍しいですよねえ。
藤井聡太七段と今泉健司四段も対決しましたし(その対決はいいんだよ)、あと、不倫報道の対立もいろいろと(それは構わなくていいんだよ)、そんな中で、立て続けに以下の報道が流れていました。
インド軍と中国軍が、国境で過去 45年において最大の衝突を起こしたことと、北朝鮮が南北の連絡所を「爆破」したという報道でした。
中国とインド、国境付近で衝突。戦いで双方合わせて 60人以上の兵士が死亡
Over 60 Soldiers Killed in Battle Waged Between China and India
過去数週間、中国とインドの国境沿いの緊張が高まっている。しかし、16日の緊張は最悪の事態を迎えた可能性がある。
ヒマラヤ東部ラダック地域で 3人のインド人兵士が殺されたと主張する最初の報告が出された後、最新の報道では、小競り合いからの戦闘で 20人のインド人兵士が殺され、40人以上の中国人兵士が殺されたことが伝わりつつある。
米国の報道によると、米国諜報機関は、中国側では、上級将校 1名を含む 35人の中国兵が死亡したと確信している。
報告書では、戦闘は会談に続いて発生したとされ、会談で緊張が高まり、兵士同士の肉体的な対立を招いたと述べた。死傷者のすべては、ナイフや警棒などの使用と、崖から落とされたものであり、銃器は使用されていないという。
中国政府は、中国兵の犠牲は人民解放軍に対しての屈辱だと見なしているが、インド側を刺激することを恐れて中国側の死者数を公表していないと情報筋は言う。
北朝鮮が予告通り連絡事務所爆破、さらに行動激化も
北朝鮮は16日、南西部・開城にある南北共同連絡事務所を爆破した。
韓国統一省が確認し、北朝鮮の国営メディアも、連絡事務所を「完全に破壊する措置」を同日午後2時50分に取ったと報じた。北朝鮮は13日、金正恩朝鮮労働党委員長の妹、金与正党第1副部長の談話で、韓国の脱北者団体による北朝鮮体制批判ビラ散布への報復として同事務所の破壊を予告していた。
韓国大統領府は16日、爆破に「強い遺憾」を表明し、「北朝鮮が状況をさらに悪化させた場合、強力に対応することを厳重に警告する」とけん制した。
国ではなく、「民が民に」のほうに関しましても、以下のような記事で取りあげていますように、アメリカを中心として、「対立しっぱなし」の構造が、比較的広く世界中で起こっています。
・奴隷制度「廃止」のために活動した人たちの彫像までも次々と破壊されるカオスの中で、アメリカは「なんでもかんでもやっちまえ」状態に
ちなみに、アメリカの分断は、今に始まったものでもなく、2017年頃にはすでに「頂点」に至っていた感じがあります。
たとえば、以下の 2017年の記事では、アメリカの分裂と対立が、すでに不可逆的なものにまで成長している可能性があることにふれています。
この記事を読み直していましたら、この中で、イギリスの作家ジョージ・オーウェルの小説『1984年』のことにふれていました。
これは、1949年に発表されたデストピア小説なんですけれど、これが「今」と似ている(笑)。
たとえば、小説『1984年』は、その背景として以下のような社会が描かれます。
ジョージ・オーウェル『1984年』の舞台設定
・世界は分割統治されている
・紛争地域をめぐって絶えず戦争が繰り返されている
・思想・言語・結婚などあらゆる市民生活に統制が加えられている
・市民は常に「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビジョンでコミュニケーション
・ほぼすべての行動が当局によって監視されている
新型コロナウイルスの中で生まれた世界そのものだなあと。
国境封鎖などでは、グローバルという概念が消えて「世界は分割統治」された状態で、「紛争地域をめぐって絶えず戦争が繰り返されて」いて、そして、「あらゆる市民生活に統制が」加えられていて、そして、テレワークやオンライン飲み会全盛の今は、
・市民は常に「テレスクリーン」と呼ばれる双方向テレビジョンでコミュニケーション
して、さらには、
・ほぼすべての行動が当局によって監視されている
というのは、たとえば、最近の以下のような報道にもその雰囲気が出ています。
「夜の繁華街」入店時に連絡先確認 接待伴う店に指針
日本経済新聞 2020/06/10
繁華街で接待を伴う夜間営業をする飲食店に向けて業界団体がつくった指針案が10日、分かった。新型コロナウイルスのクラスターが発生したときに濃厚接触者を追えるよう、客にアンケートを実施して連絡先の届け出を求める。
キャバレー、ホストクラブ、スナックなどが対象で、ナイトクラブにも同様の指針を示す。
強制力はないものの、店は客に「全国一律の対策」と説明でき、感染防止策を徹底しやすくなる。連絡先は半年間保存する案を検討中だ。客が応じない場合は店の判断で入店を断る可能性もある。
ただ飲みに行くだけで「身元が追跡される」という。
このようなことを徹底した場合、夜の街は死に絶えるでしょうね。
繁華街に行く人たちが一番イヤなことが、こういう「連絡先の届け出」だと思いますので、本当に、夜の文化は終わったんだなあと、しみじみ思います。
私自身、2月以来、都心に行ってないのですが(マスクしている集団を見るのがイヤなので)、この数年、都心に行く理由の大半が、繁華街に飲みに行くことでしたので、このような状態ですと、今後もう都心に行くこともなさそうです。
なお、先日のメルマガでもふれたのですけれど、今、アメリカの都市部に暮らしている人たちの、かなり多くが、「田舎へ移動しようとしている」ことが、世論調査で明らかになっています。
アメリカでは農村および地方の不動産への関心が高まっている
最近の世論調査では、アメリカ人の 10人に 3人以上がパンデミックにより農村地域での生活を望んでいると述べている。そして今、4人に 1人が郊外に住みたいと考えている。
別の世論調査では、パンデミックのために、都市に居住する人たちのほぼ 40%が、都市を離れることを検討していることがわかった。(fool.com)
私も以前からそのようなことを考えることもあったのですが、「しかし、あまり都心から遠いと遊びに行けなくなっちゃうしなあ」という崇高な理由もあり、なかなかそういう気持ちになり難い面もありましたが、都心の繁華街が今後滅亡していくのなら特にそのことも気にする必要もなくなったのかもしれません。
2009年のウェブボットには、
《闘争》というキーワードが高くなる頃、自然災害や経済崩壊が原因で人口の大移動が起こる
というような下りが何度も出てきますが、原因は何であるにしても、アメリカでは、すでに「都市部からの逃亡」が発生し始めているようです。
日本も表だってそうはならなくても、少しずつ、その流れは拡大していくのかもしれません。テレワークの拡大などもその一端と関係していくはずです。高い家賃の都心にいる必要がどんどん消えていっていますしね。
話を戻しますと、国と国にしても現在の「対立」の状況は、過去にないほどのものになっているかもしれず、たとえば、文春などは以下のように「核攻撃」という単語を使った記事を出していました。
・「北朝鮮の核攻撃で300万人が死亡」国際政治学の権威が描く“米朝核戦争”最悪のシナリオの中身
文春オンライン 2020/06/17
実は、この 10年くらいの間は、「朝鮮半島から世界の終末が始まる」とするような考え方は、政治的にも宗教的にもオカルトでも常に言われ続けていました。
以下の過去記事は、そういうものを取りあげたもののひとつです。
イスラエル発の終末予言第二弾 : 今度は1500年前の秘密の預言書に「最終戦争と北朝鮮の関係」が記述されているというのですが
In Deep 2017/05/04
ここでご紹介したイスラエルのメディアの記事の冒頭は以下のようなものでした。
何世代にもわたって、学者たちを困惑させ続けてきた 1500年前の預言がついに解読された。
賢人によって記されたその秘密のメッセージには、北朝鮮の差し迫った緊張は、最終戦争において最高潮に達するだろうことを示唆している。
また、その賢人のメッセージには、この難しい時代にどう対処するかについてのいくつかの厳しい警告が含まれてもいる。
朝鮮半島が今後どのようになっていくのかはわからないですけれど、「かつてないほど緊張している」ことは間違いないと思われます。個人的には、金さんの妹さんの表情には、彼女の登場時から「一種の恐ろしさ」を感じていましたが、どうなんですかね。
それにしても、最高指導者の金さんはどこに行ってしまったのでしょうかね。一説には、遠い山で静養しているという話もあり、「遠山の金さん…」という言葉が図らずも当てはまるという部分もありますが、金さんの動向がまるでわからなくなってしまったこと自体が最も不穏な感じです。
そういえば、今回の「インドと中国の衝突」は、過去記事に出てきた事例とも関連することを思い出しました。
そして、「今日、日本で起きていたこと」を思い出して、ちょっと興味深く感じた次第です。
ラダックの光
今回、インド軍と中国軍の衝突が起きた場所は、ラダックという山岳地帯で、北緯 33度線上でもあります。
中国側は人民解放軍の国境警備兵、インド側は、インド・チベット国境警察隊がそれぞれ警備に当たっています。
ラダックにて。中国国境警備兵(右)とインド・チベット国境警察隊
・oka-jp.seesaa.net
このラダックで 2012年に起きたことを、当時、何度か記事にしていたことがあるのです。
ちょっと話がややこしいことですので、ここでまとめて述べられるというようなものでもなく、その関係の記事をリンクさせていただきます。
そのうち、振り返らせていただくかもしれません。
2012年に中国・インド国境で起きていたこと
・軍事兵器か未知の発光体か: 中国インド国境沿いに無数に出没する「肉眼で見えているのに識別できない飛行物体」 (In Deep 2012/11/29)
・インド軍が対峙するものは何か?: 印中国境の UFO 目撃地帯は「北緯 33度線上」だった (In Deep 2012/12/01)
・インド中国の国境沿いの「謎の飛行物体」騒動は拡大して(In Deep 2013/08/22)
何が起きていたのかといいますと、ラダックで「謎の光が目撃され続けていた」のです。
以下は、2012年11月のインターナショナル・ビジネス・タイムズの記事です。
インドと中国の国境付近で続発している UFO 目撃例がインド軍を驚かせている
インドと中国の国境を警備するインド軍部隊が、ジャンムー・カシミール州のラダックで未確認飛行物体の目撃情報を多数報告していることが最近判明した。
同州タクンに配備されたインド・チベット国境警察は、ラダック地域のパンゴン湖周辺で 100件以上の「不審な発光体」を確認したことを公式に報告している。
インドの宇宙開発を担当する国家機関「インド宇宙研究機関」でさえも、これらの未確認の発光体を識別することができなかった。同時にインド国防研究開発機構とインドの国立技術研究機構(NTRO)も同様に、この飛行体を識別することができなかった。
報告では、これらの発光体は、3時間から4時間黄色く発光しながら飛行し、その後に中国の地平線上に消えていくという。インド軍では、インド・チベット国境警察が撮影した写真を分析したが、無人航空機(UAV)や、中国の無人偵察機、あるいは低軌道衛星ではないことが判明した。
インド軍の兵士たちのに中にはこの飛行体を怖れている者たちが多くいるという。(IBT)
猛者集団のインド兵たちを恐れさせたこの光は以下のようなものでした。右側の写真の丸い光が、インド・チベット国境警察が撮影した写真です。
さて、そして、今日(6月17日)の日本では、仙台発の以下のような報道がなされていました。
“未確認飛行物体“が仙台上空に出現。気象台も困惑「全くもって何なのか分からない状況です」
ハフポスト 2020/06/17
「白い風船のような丸い物体が空に浮かんでいる...。」
宮城県仙台市の上空で6月17日の早朝、丸い形をした物体が浮かんでいるとの目撃情報が多数寄せられ、ネット上で話題となった。物体を見た人の間では「UFOなのではないか」などと様々な憶測が飛び交い、Twitterでは「仙台上空」「未確認飛行物体」がトレンド入りした。
正体は一体、何なのか。
仙台市天文台は17日の午前6時前、公式インスタグラムに空に浮かぶ物体の写真を公開。物体は、白い風船のような球体の下に、十字型のものが付いているように見える。
物体について、仙台市天文台は「現在、仙台上空南西に明るい光の点が見えています。拡大すると気球の様なものに見えます。動きは非常に遅いのでしばらく見られると思われます」と綴ったが、正体については特定できていなかった。
観測課の職員は、物体の飛行は「確認しており、事実」とした上で、「一部の人から、観測気球じゃないかという憶測も飛んでいますが、少なくとも気象台が飛ばしたものではありません。正直、まったくもって何なのか分からない状況です」とコメント。
白い球状の物体の下に「十字架みたいなのが吊されている」と(笑)。
なかなか趣深い飛行物体ですが、これを見ていて、何となく 2012年の「インドの国境ラダックの光」を思い出していました。
しかし、光はともかく、ラダックでの衝突は深刻でもあります。
このラダックという場所は、よく中国軍とインド軍の衝突が起きる場所ですが、今回のような推定死者数 60人というような事態は、過去 45年間なかったことで、朝鮮半島と同様に懸念されています。
戦争のうわさ、そして「民は民に、国は国に敵対して立ち上がる」事例は拡大していくのですかね。
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