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2020年からの世界 アメリカの憂鬱 人類の未来

奴隷制度「廃止」のために活動した人たちの彫像までも次々と破壊されるカオスの中で、アメリカは「なんでもかんでもやっちまえ」状態に

投稿日:2020年6月16日 更新日:

6月11日 19世紀に奴隷制度廃止のために闘ったマティアス・ボールドウィン像の姿

Rioters in Philly deface a statue of Matthias Baldwin




 

カオスUS

アメリカで暴動というのか反乱というのか内戦というのかわかりませんが、混乱が発生して半月以上となりましたが、もともとは、

「黒人男性への暴行に対しての抗議デモ」

というような名目で始まったために、たとえば、歴史上で奴隷制度に関わったような人物の彫像が破壊されたりするということが起き得ることは理解できました。

たとえば、奴隷商人として財を成したコロンブスのような人物の像が破壊されたりすることはわからないわけではないわけです。

6月10日 斬首された米ボストンのコロンブス像

NBC

やや無念げなコロンブスの首のほう

WBZ-TV

しかし、実際には、現在のアメリカで行われている「破壊」は、完全なカオスとなっているようでして、「破壊対象の理由の整合性が失われている」のです。

たとえば、6月7日の記事「パンデミック、経済崩壊、そして完全な社会的崩壊」では、アメリカの首都ワシントンのインド大使館にある「ガンジー像」が、ペンキで「この人種差別主義者め!」と書かれて汚損されたことを取り上げたことがあります。

6月4日 攻撃されたガンジー像

Indian Embassy US staff reporting vandalism of Gandhi statue

冒頭のマティアス・ボールドウィンという人は、19世紀のアメリカの蒸気機関車の発明家であり、奴隷制度の廃止のために活動した人物でしたが、この写真のように攻撃を受け続けています。

このあたりから「ああ、こりゃもう事態は単にカオスだ。整合性なんてありゃしない」と気づいてくるわけで、もちろん、そこには何らかの「背後の意図」が存在するのかもしれないですが、方向性や指向性を持たせずに、

「とにかく社会を混乱させる」

という一種の純粋破壊理念がアメリカ中に広まっているようです。

以下はこの数日で破壊、汚損されたアメリカの彫像の数々です。実際にはこの何倍もあります。

まずは、アメリカ合衆国の第 3代大統領で、奴隷制廃止論者であったトーマス・ジェファーソンさんの彫像は、6月14日に台座から外され破壊されました。

6月14日 米ポートランドにあるジェファーソン高校にて

Thomas Jefferson Statue Pulled Down

ボストンには「ショー記念碑 (Shaw memorial)」というメモリアル彫像があります。これは、アメリカの南北戦争で奴隷制度の廃止のために戦ったすべてのアフリカ系黒人の兵士たちへ捧げる記念碑で、アメリカで初めて黒人兵士の部隊を讃えるためにつくられたものでした。

それも以下のように破壊されて、落書きされまくり。

6月12日 南北戦争の黒人部隊を讃えたボストンのショー記念碑

BLM protestors vandalised the Shaw memorial

写真中央部に一部モザイクがかかっていますが、これは「アメリカのメディアでは載せられない単語」がそこに書かれてあるということだと思いますので、容易に想像できます。

以下の写真には、おそらく上の写真でモザイクが入れられていた文字が書かれています。

これは、奴隷制度に反対する活動を行っていた 19世紀のアメリカの詩人ジョン・グリーンリーフ氏の像です。

6月15日 カリフォルニア州ウィッティアにあるジョン・グリーンリーフ像

BLM protestors vandalized a statue of John Greenleaf in Whittier, CA

このジョン・グリーンリーフ彫像の写真右側に青いペンキで描かれている上段の単語が先ほどモザイクがかけられていたものだと思われます。

緑のペンキで描かれている BLM というのは、今回の一連の行動の象徴とされる「 Black Lives Matter 」という標語の頭文字です。

Black Lives Matter = 黒人の生命は重要だ、というような意味ですが、その名の行動の下で、アメリカの歴史で奴隷制度の廃止のために活動した人々や、それどころか、黒人兵士を讃える記念碑そのものが攻撃されているということになります。

ムチャクチャでしょー。

このような行動は世界中に広がっています。

 

 

ヨーロッパでも

イギリスでは、1970年代から 1980年までイギリスで活動したジャマイカ生まれの劇作家であり俳優の黒人男性であるアルフレッド・ファゴン (Alfred Fagon)氏の彫像が、何らかの腐食性の液体で攻撃されました。

6月12日 液体で攻撃された英ブリストルのアルフレッド・ファゴン像

'Bleach attack' on Bristol actor's statue shocks community

アルフレッド・ファゴン氏(1937 - 1986年)

alfredfagonaward.co.uk

もともと、この1週間ほどの間のイギリスでは、「人種差別主義者たちの彫像を破壊せよ」という運動が起きていまして、イギリスの元首相のウィンストン・チャーチル像とか、18世紀のイギリスの奴隷商人であるロバート・ミリガン像など次々と破壊されていました。

6月14日 倒されマスクをつけられた英スケッグネス市のチャーチル像

lincolnshirelive.co.uk

6月9日 英ロンドンのロバート・ミリガン像

Calls grow to pull down racist statues

英国 SUN の報道によれば、活動家たちは、「イギリス全土で 60の彫像が破壊されなければならない」としているそうで、記事にはそのリストも載せられています。

アメリカだけではなく、全体として、「なんでもかんでもやっちまえ」という方向性にもなっている感じもないではないです。

ニュージーランドでは、オークランドにある元首相ジョージ・グレイ卿の彫像がペンキで攻撃されました。

6月15日 オークランドの元首相像

A statue of Sir George Grey in Auckland's Albert Park was vandalised

他にも、検索していますと、おびただしい「彫像への攻撃例」が見られますので、欧米の主要国全域で起きていることなのかもしれません。

それでも、他国と比べてもアメリカの攻撃の「無分別」性は抜きんでており、革命や内戦というよりも、今や確かに、「無分別な反乱」というイメージのほうが強そうですが、しかし、ここまで整合性を失った動きとなっていることには、やはり背景がいろいろとありそうです。「無分別な反乱を装う」という行動は可能なことです。

以前、以下の記事で、アメリカのカオスは、すべてが「仕掛けられている」とするアメリカの心理戦とサイバー戦の専門家の主張をご紹介したことがあります。

アメリカの現在のカオスは自然でも偶然でもなく、「作戦計画」として仕掛けられ続けている。そのアメリカの行く末は国家の完全な分裂かそれとも…
In Deep 2018/06/30

アメリカで起きることは「常に意図的である可能性が高い」ということに言及しているのですけれど、今回の破壊的カオスもそうなのでしょうかね。

いずれにしましても、まだまだこの混沌とした状態は続いていきそうです。

 
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