ヘルペスウイルスの再活性化についてさらに知る
なんか今回のこのタイトルじゃ、私がうつ病にでもなったみたいですが、そういうわけではなく、ここ最近のブログ記事の内容が重くて、そして、今回もそれと関係している可能性が高く、タイトルをどうつけたらいいのわからなくなってしまいまして、途中でタイトルをつけることを放棄した次第です。
まあしかし、私自身にしても、うつというのか、二十代の頃からそんな感じの状態は何度も繰り返して経験していることもあり、常にそのメカニズムには関心はありました。
それはともかく、今日知ったことと関係しているというのは、ふたつほど前の以下の記事の内容です。
コロナの長期後遺症の原因が「日本人のほぼ100%が持っている」休眠中のウイルスが「再活性化する」ことによるという米国と中国の論文から見える、やや暗い未来。何か手立ては?
投稿日:2021年9月6日
キーワードは、
「潜伏ウイルスの再活性化」
でした。
この記事を書いた後、なんとなく日本の報道を見ていましたら、『うつ病の原因はウイルスだった』という本が紹介されている記事を目にしました。
著者は、東京慈恵会医科大学の近藤一博教授という方で、ウイルス学が専門です。
そこに、「ヒトヘルペスウイルス6がうつ病の原因になることを発見した」と書かれていたのです。
これが少し気になりました。
というのも、先ほどの過去記事で、長期のコロナの後遺症の原因となっているかもしれない可能性があるものとして、「エプスタイン・バール・ウイルス (EBウイルス)」である可能性があるという論文をご紹介しました。
この EBウイルスというのは、その学名は、「ヒトヘルペスウイルス 4」なんです。同じヒトヘルペスウイルスなんですね。
ヒトヘルペスウイルス 4のことを書いた直後に、先ほどのように、「ヒトヘルペスウイルス6がうつ病の原因」というようのが出てきたわけです。
それで、アマゾンで注文しまして、先ほど届いたんですよ。
9月に出たばかりの本のようです。
またいつもの悪いクセで、最初から読まず、パララ…とページをめくっていましたら、「あ、これ」という記述に出くわしたのです。
ちなみに、このヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)がうつ病の原因であることを発見した、ということについては、近藤一博教授たちの研究グループが、昨年論文に発表していました。以下の論文です。
Human Herpesvirus 6B Greatly Increases Risk of Depression by Activating Hypothalamic-Pituitary -Adrenal Axis during Latent Phase of Infection
ヒトヘルペスウイルス6は、感染の潜伏期に視床下部 - 下垂体 - 副腎軸を活性化することにより、うつ病のリスクを大幅に増加させる
Wikipedia を見てみますと、今では、このヒトヘルペスウイルス6が起こす病態の中に、うつ病も含まれていて、今では「正式な学説」と見ていいようです。
Wikipedia より
> HHV-6は多発性硬化症の患者で報告されているほか、慢性疲労症候群、線維筋痛症、AIDS、視神経炎、がん、側頭葉てんかん、うつ病などの疾患の共役因子としても報告されている。 (ヒトヘルペスウイルス6)
なお、ヒトヘルペスウイルス6も、前々回の記事の EBウイルス(ヒトヘルペスウイルス4)同様、
「ほぼ 100%の人が体内に終生持っている」
ものです。そして、やはり通常は「休眠」しています。
赤ちゃんの時に、ほとんどの子どもたちが「突発性発疹」という、多くは 0歳の時に突然 40℃などの高熱を出して、でも赤ちゃん自身は元気というようなものがありますが、あの原因ウイルスのひとつでもあります。つまり、その時点で、ほとんどの人たちは感染し終えているわけです。
この『うつ病の原因はウイルスだった』は、全体的に大変に興味深いものですが、今回のことと関連して目に止まったのは以下の部分でした。
近藤一博著『うつ病の原因はウイルスだった』より
人体には、様々な部位に 30種以上のウイルスが住み着いていることがわかっています。「共生」というぐらいですから、これらのウイルスは、一見、フレンドリーです。
「潜伏感染」や「持続感染」という形で存在して、すぐには派手な症状を起こしません。
潜伏感染は、なかなか不思議な現象です。
ウイルスの遺伝子がヒトの細胞に潜んでいて、増殖することもなく、いつもは人体を外敵から守ることに一生懸命な免疫系も、なぜかこの居候を許している。
まだわかっていないことが非常に多い分野なのです。
この本の主役である「ヒトヘルペスウイルス6(HHV-6)」も、そんな共生ウイルスのひとつ。口唇ヘルペスなどで知られる、ヘルペスウイルスの一種です。
ヘルペスウイルスの仲間は、ヒトに最初に感染する初感染と呼ばれる時と、潜伏感染していたウイルスが再び活動を始める「再活性化」と呼ばれる時にだけ姿を現します。
一番わかりやすいのが水痘・帯状疱疹ウイルスというウイルスです。
このウイルスは、初感染の時には水痘(水ぼうそう)という病気を起こし、その後、一生涯ヒトの身体に潜伏し、潜伏感染中のヒトが年をとってくると、再活性化して帯状疱疹を起こしてウイルスを放出し、他のヒトに乗り移ります。
HHV-6 は、ほぼ 100%のヒトが小児期に突発性発疹として感染し、その後は潜伏感染状態で、一生、人体に住み着きます。
非常にありふれたウイルスですが、「脳に潜伏感染する」という特徴があります。(うつ病の原因はウイルスだった)
ここまでです。
太字の「脳に潜伏感染する」という部分は、実際の本でも色で強調されていため、強調しました。
この短いセクションにはいろいろと思う部分があります。
ここでは「潜伏感染」という概念を「水ぼうそうと帯状疱疹」(どちらも原因は 6 ではないヒトヘルペスウイルス)で説明されてらっしゃいますが、ここを読んで、ふと思いましたのは、
「ワクチン接種後の副反応として帯状疱疹の報告が少なくない」
ということでした。
それと合わせて、まあ筋違いのことを書いてしまうかもしれないですが、気楽に読み流されてくだされば幸いです。
帯状疱疹のメカニズムから見る今の世の中
接種後に帯状疱疹となる事例がかなり多いことは、有害事象を集められているツイッターにも多く、また、帯状疱疹は正式な副反応・副作用としては認められていないかもしれないですが、検索でも、医療関係者からのものを含めて多くの報告があります。高齢者ということではなく起きている事例もよく見かけます。
帯状疱疹というのは、そういつでも簡単に発症するというものでもなく、ここではワクチンとの関係を云々いうつもりはないですが、ただ、副反応ということではなく、「トリガー」にはなり得るのかなと、ふと思ったのです。
何が起きると帯状疱疹を発症するかというと、
「潜伏していたウイルスの再活性化」
です。これがキッカケとなります。
先日の記事では、EBウイルス、すなわちヒトヘルペスウイルス4 が、コロナによって再活性化していることが、アメリカなどの専門家によって突き止められ、それが「長期のコロナ後遺症と関係している」という可能性が強くなったのですが、この帯状疱疹などを考えても、
「コロナウイルス、あるいはスパイクタンパク質は、さまざまな潜伏ヘルペスウイルスを再活性化させているのではないか」
という可能性があるのではないかと思ってしまったのです。
あるいは、この著作『うつ病の原因はウイルスだった』では、「うつ病」を発症するトリガーとして、ヒトヘルペスウイルス6 というものが判明したとありますが、場合によっては、そういうものも再活性化させたりしてはいないのだろうか……と。
先ほどの近藤教授の論文によれば、うつ病患者のうちで、ヒトヘルペスウイルス6 (正確には、その遺伝子が作るタンパク質)の抗体は、ほぼ8割( 79.8%)から見出されており、つまり、
「うつ病患者の大部分がヒトヘルペスウイルス6の再活性化によって発症した可能性がある」
といえると思われます。
今まで言われてきたうつ病メカニズムがかなり根底から崩れる話ともなりそうですが、しかし、ここではうつ病そのものは置いておいて、ヒトヘルペスウイルス6が再活性化する過程を以下のように記されています。
近藤一博著『うつ病の原因はウイルスだった』より
今まで「 HHV-6 は脳(正確には嗅球)に潜伏感染するウイルス」と紹介してきましたが、実は、ヒトに感染したばかりの時は、脳とは別の場所に住んでいます。
それは、血液中の「免疫細胞」の中です。
免疫細胞は、体内に侵入してきたウイルスを片っ端から食べてしまう、コワモテの細胞です。この免疫細胞の中にいる間は、HHV-6 はまったく悪さをしません。
ところが、あるきっかけで場所を移動し、嗅球に感染してしまうと、SITH-1遺伝子(※ うつ病の原因物質であることがわかった遺伝子)を発現させ、人をうつ病にしてしまうようになるのです。
HHV-6 は、どんな時に、どんな理由で嗅球に感染するのでしょうか。
「潜伏」というだけあって、HHV-6は、いつもはおとなしくしています。
病気を引き起こすことも、増殖することもなく、免疫細胞の中でじっとしている。
ところが、宿主の身体に極度な疲労が蓄積したり、強烈なストレスを受けたりすると、HHV-6 は「生存の危機だ」と感じて、ある行動を起こすのです。
HHV-6 が身体の異変を察知する仕組みには、「疲労因子」というものが関係しているのですが……今は触れないでおきましょう。
要は、「沈みかけた船からネズミが逃げ出す」のと同じ理屈です。
「ピンチだ」と判断した HHV-6 は潜伏感染モードをやめ、爆発的に数を増やし始めるのです。
私たちウイルス学者は、この現象を「再活性化」と呼びます。(うつ病の原因はウイルスだった)
ここまでです。
この部分を読んで、「なぜ潜伏ウイルスが再活性化するのか」が、前々回の記事の EB ウイルスも含めて、イメージとしてわかった気がします。
> 「生存の危機だ」と感じて、ある行動を起こす
> 「沈みかけた船からネズミが逃げ出す」のと同じ理屈
> 「ピンチだ」と判断した HHV-6 は潜伏感染モードをやめ
こういうことなのかと。
そういえば、全然関係ない話ですけど、私は二十代のときに一度だけ帯状疱疹になったことがあるのですが、あれは、初めてパニック障害の発作を起こしたすぐ後のことでした。
おおむねパニック発作を初めて起こしたときには、ほとんどの人が「死ぬような恐怖」に見舞われるのですけれど、当時は「こんな困ったこと(パニック発作 → 続けて帯状疱疹)が続くとは」とか思っていましたけれど、先ほどの文章を読み、「強い死の気配がトリガー」だったのかもしれないなと認識しました。
初めてのパニック発作 → 帯状疱疹という流れは、ある意味では、わかりやすいウイルスの再活性化の状態だったのかもしれません。
私は以前、パニック障害の人たちをずいぶんと知っておりましたが、パニック障害の人たちって、その後にうつ状態に移行していく人たちもかなり多いのですよ。どうしてなんだろうと思っていましたが、ヒトヘルペスウイルス6 の再活性化の影響もあるのかもしれないですね。
パニック発作ってものすごい過負荷な状態ですから。カフカじゃないですよ(いいから)。
話を戻しますと、コロナ自然感染の重症化が「生存の危機だ」とヘルペスウイルスに感じさせるほど心身共にダメージを与えることも想像できますけれど……しかし、
「では、ワクチン接種後に帯状疱疹が多い理由は? つまりウイルスの再活性化が起きている理由は?」
という部分は複雑なところです。
ここでは、新型コロナウイルス、あるいはそのスパイクタンパク質としておきますが、それらは、免疫細胞の中で休眠していたヒトヘルペスウイルスに何らかの「再活性化のトリガー」を与えている可能性があるのではないかと思えてきたのです。
これらのウイルスはほぼ 100%の人たちが持っていますが、潜伏させて寝かせておけば、おそらく、ほぼ一生何も起きないものです。
先ほどの著作では、
> この免疫細胞の中にいる間は、HHV-6 はまったく悪さをしません。
とあり、先日の記事では、
> B細胞に潜伏している限りは、一生、休眠している。
とあり、このままずっと休眠し続けていてくれれば何の問題もないものが、いったん再活性化すると、多岐に渡り厄介なことになりかねない。
もし、コロナウイルスというのかスパイクタンパク質というのか何というのか、とにかく、それがさまざまなヒトヘルペスウイルスを再活性化させてしまっていたら……。
数千万人……。
うーん……難しいですね。
ちょっと医学のページを見てみましたら、これは 2010年の文章ですが、
> みずからの力で再活性化~増殖し得るのはウイルスのなかでヘルペスウイルスのみで、進化したウイルスといわれる所以でもあります。
ということなのだそうです。
ワクチン後の世界……というのを、このような「ウイルスの再活性化」という仮定としての説の視点から考えますと、どうもやはり明るい感じの話には持っていけない感じです。
現実にどうなっていくのかは、時間の経過に従う他はないようです。
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