・What is transverse myelitis, the illness that paused Oxford COVID vaccine trials?
治験はすぐに再開
今日、NHK で以下のニュースを読みました。
アストラゼネカ 新型コロナワクチン 日本での臨床試験も再開へ
製薬大手「アストラゼネカ」が、中断していた新型コロナウイルスのワクチンの臨床試験をイギリスに続いて日本でも近く再開する方針を固めたことが関係者への取材で分かりました。
イギリスの製薬大手アストラゼネカは、オックスフォード大学と共同で新型コロナウイルスのワクチンの開発を進めていて、イギリスやブラジルなどでは臨床試験の最終段階を迎えています。
ところが、イギリス国内でワクチンを接種した1人に原因不明の重い症状が確認されたことなどから、アストラゼネカは先週、世界各地で行っていた臨床試験を一時的に中断しました。 (NHK 2020/09/14)
「もう再開かよ」と感心するなり呆れるなりしましたが、数日前、以下のようなことがあり、ワクチン開発が一時的に停止されていたのです。
9月9日のブルームバーグの記事からです。
英アストラゼネカ、コロナワクチン試験中断-原因不明の疾患
英アストラゼネカは新型コロナウイルスワクチンの試験を中断した。試験参加者1人に有害反応の疑いが見られたためだとしている。新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発を急ぐ取り組みに遅れが生じる懸念がある。
アストラゼネカの発表資料によると、参加者1人に原因不明の疾患の発現が見られた後、ワクチン試験の標準的なレビューに基づいて中断を決めた。 (Bloomberg 2020/09/09)
これらの報道では、
「原因不明の疾患の発現」
というような表現がされていまして、症状や病名は書かれていないですが、海外の報道では、その病名が報じられています。最初に報じたのは、アメリカのニューヨーク・タイムズでした。
それは「 transverse myelitis 」、日本語では「横断性脊髄炎」というものです。
日本の医学事典から調べてみますと、以下のようなものです。
急性横断性脊髄炎
症状と徴候
頸部、背部、または頭部に疼痛が生じることがある。胸部または腹部の周囲に帯状に分布する緊張、足および下肢の筋力低下、チクチク感、およびしびれ,ならびに排尿排便困難が数時間から数日をかけて出現する。
さらに数日をかけて完全な感覚運動障害を伴う横断性脊髄症へと進行して、対麻痺、病変レベル以下の感覚消失、尿閉、および便失禁を生じる場合もある。 (MSD マニュアル)
このようなもので、もう少し読み進んで「予後」というところを読みますと、以下のように書かれてありました。
急性横断性脊髄炎
予後
一般に、進行が急速であるほど予後は不良となる。
疼痛の存在はより重度の炎症を示唆する。
約3分の1の患者は回復し、3分の1の患者には筋力低下および尿意切迫が残り、残りの3分の1の患者は寝たきりになり失禁を認める。(MSD マニュアル)
このように、発症した患者さんのうちの、3分の2に後遺症が残り、その半分は「寝たきりになる」というものです。
今回のアストラゼネカのワクチンの臨床試験の中で、そういう症状の参加者が出たわけですが、先ほどのように、日本では、数日後に試験再開を発表しています。
イギリスやブラジルでも、9月12日までにすでに治験を再開しています。
研究者サイドの考え方は、非常にはっきりとしていまして、アストラゼネカと共にワクチンの開発をおこなっている英オックスフォード大学は、以下のように声明を出したと BBC は伝えています。
「このような大規模な治験で、一部の参加者が体調を崩すことは予想されること」
なお、この「横断性脊髄炎」を調べていましたら、興味深い記述に突き当たりました。
横断性脊髄炎と書くと難しいですが、「横断性」をとれば、「脊髄炎」、つまり脊髄が炎症を起こす疾患です。
その原因については、いろいろと考えられていますが、
「少なくとも全体の3分の2では、原因が不明(突発性)」
だとされています。
自己免疫障害と関係していることも指摘されていますので、他のさまざまな「原因のわからない病気」と類似した部分もありそうですが、アメリカの医学系サイトを見ていましたら、以下のような記述がありました。
これは、他の多くの発症原因の可能性が挙げられた後に書かれていたものです。
アメリカの医学メディアより
COVID-19 自体が横断性脊髄炎を引き起こす可能性があることを示唆するいくつかの症例報告がある。
たとえば、ドイツの臨床医は、医学誌「神経学 (Journal of Neurology)」で 5月に発行された論文で、 COVID-19 肺炎となった 60歳の男性について、症状からは迅速に回復したが、退院後 3日で横断性骨髄炎を示唆する症状を発症した事例について説明している。 (Managed Healthcare)
症例は稀なものとはいえ、新型コロナウイルスに続いて、この横断性骨髄炎を発症した事例があるということのようです。
そして、「そのウイルスのワクチンを作って、いつの日か実際に使用しようとしている」ということで、「ほんの少しの確率」とはいえ、そういう事例が増加することもあり得るものなのかもしれません。
なお、この医学メディアは、アメリカの横断性骨髄炎の発症数にふれていました。
決して頻繁に起きるものではないですが、人口の多いアメリカのような国では、結果的に毎年かなりの人がこの「全体の3分の2が寝たきりになる」疾患にかかっているようです。
以下がその部分です。
アメリカの医学メディアより
横断性骨髄炎の発症率
研究では、100万人あたり 1〜 8例の発生率が引用されることが多い。
このような割合からみれば、アメリカでは毎年 330人から 2,640人の横断性骨髄炎の新規症例が起きている可能性がある。
NEJMクリニカル・ラクティスの医学者によれば、多発性硬化症や他の脱髄性疾患に関連する症例を含めると、推定発生率は 100万人あたり約 25例に増加し、この発生率だと、アメリカで毎年約 8,000の症例が発生することになると述べている。 (Managed Healthcare)
要するに、アメリカではこの深刻な予後の病気を発症する人が、毎年 8,000人ほどもいるということになりそうです。
こうなりますとと、稀な疾患ともいえないもののようにも思います。
そういえば、「アメリカ」という言葉で、以前書いた記事を思い出しました。
18歳までに120回近くの予防接種を受ける国、アメリカ
このアメリカという国では、宗教上の理由などによって予防接種を拒否する人を除けば、全体の 95%の子どもたちが、18歳までに 100回以上のワクチンを接種するのです。
正確には、アメリカの CMSRAI (小児医療安全研究所)の 2017年の記事には、以下のように書かれてあります。
アメリカでは、6歳までに 14種のワクチン接種を 50回行い、18歳までに強力な免疫調節成分を含む 16種類のワクチンを 69回接種する。 (CMSRAI)
アメリカの一般的な子どもは、18歳までの間に、30種類のワクチンを合計 119回接種するようです。
ここまでではなくても、主要国では比較的似たような感じの国も多く、これだけの数の接種となりますと、「その全部が絶対に必要だとは思いにくい」とは感じます。
そのことと関係するということではないでしょうけれど、現在のアメリカ、あるいはヨーロッパの多くの国も比較的似ているのですが、アメリカに関しては、
・5歳未満の子どもの 100万人以上が、精神神経系の薬を服用している。
・17歳未満では 830万人以上の子どもたちが精神神経系の薬を服用している。
ということになっています。
子どもたちが、こんなにメンタル系の薬物を服用している時代というのは、過去にはなかったと思われます。
これについては、以下の過去記事に詳しく書いていますので、ご参照いただければと思います。
イタリアで小児へのワクチン接種が強制となる法律が承認される中、アメリカで初めてとなる医学調査「ワクチンを接種した子どもと、摂取していない子どものどちらが多くの病気を持っているか」の衝撃の結果を見てみると
投稿日:2017年5月26日
ワクチンの副作用……といえば、子宮頸がんワクチンのことをどうしても思い浮かべてしまうのですが、以前、「日本の子どもたちで、子宮頸がんワクチンによる健康被害を受けた数は 500人以上」という内容の記事を見たことがありました。こちらの記事です。
「いくらなんでも、そんなには」
と、その時は思ったのですが、厚生労働省の資料を見ていると、その数も誇張ではなく思えるのです。
以下は、厚生労働省のウェブサイト上にあるアーカイブです。
ワクチンによる副作用が報告された例で、子どもさんだけではないですが、本当にものすごい数が記されています。
平成23年1月31日までとあり、ずいぶん以前のものですが、この数と、その後の年数を考えますと、毎年かなりの人たちが苦しめられている可能性もないではないかもしれません。
少し抜き出しますと、項目は多いですが、その中の「年齢」と「起きた副作用」と「副作用が起きた日」と「予後」は、たとえば以下のようになっています。
こういうのがズラーッと並んでいます。
年齢が「 10歳未満」が多く見られ、また「未回復」という事例もわりとあることがわかります。
この中に、下から 4番目に 10歳未満の女の子で「未回復」となっている急性散在性脳脊髄炎という、脊髄炎という文字がある症状があり、どんな疾患か調べてますと、ドクターズファイルには以下のようにありました。
急性散在性脳脊髄炎は、脳、脊髄の神経に炎症が起きて神経の被膜が傷つき、中心部分がむき出しになってしまうことで、さまざまな症状が出る病気です。まれな病気で、日本の全国的な調査による罹患率は、人口10万人当たり0.8人で、子どもに多い病気です。
ウイルス感染後やワクチン接種後に起きることが多いとされています。重い後遺症を残す場合も多く、死亡率も高い疾患です。 (doctorsfile.jp)
「これもワクチン要因なのか」と思い、さらに調べますと、またも厚生労働省の資料に行き当たりまして、そのタイトルは、「重篤副作用疾患別対応マニュアル - 急性散在性脳脊髄炎」というもので、そこには以下のように書かれてありました。
ワクチン接種の1~4週間程度後に、「頭痛」、「発熱」、「嘔吐」、「意識が混濁する」、「目が見えにくい」、「手足が動きにくい」、「歩きにくい」、「感覚が鈍い」などの症状が現れた場合は、直ちに医師・薬剤師に連絡してください。
ワクチン接種後には、まれにこのような副作用が生じるので、できるだけ早く専門医のいる病院を受診し、適切な診断と治療を受けることが必要です。 (厚生労働省)
稀な例とはいえ、「ワクチン接種後に一定の確率でこの疾患が起きることは専門家たちは《知っている》のだな」と初めて知りました。
予後が非常に悪いこの疾患。
しかも、単なるインフルエンザワクチンで起きるようなのですね。
「命の重要さの釣り合いが取れてないわな」
と思いつつも、今後もこういうことはどんどんと増えていくのだろうなあとも思います。
というのも、たとえば、インフルエンザワクチンは、今シーズン「過去5年間で、最大量となる 6300万人分を供給する」のだそうです。
昨日、厚生労働省が、ツイッターで「国民の皆様へ」として以下のように通知していました。
9月14日の厚生労働省のツイートより
【国民の皆さまへ】
新型コロナウイルス感染症の流行が懸念される中、この冬に向けてインフルエンザワクチンの需要が高まる可能性があります。今年は、過去5年で最大量(最大約6,300万人分)のワクチンを供給予定ですが、より必要とされる方に確実に届くよう、ご協力をお願いします。 (厚生労働省 / twitter)
それに加えて、新型コロナウイルスのワクチンが仮に完成した場合には、それも何千万人分も供給されるのでしょうから、この「億単位の接種数」に、先ほどの
「横断性骨髄炎の発症確率」
とか、子どもの
「急性散在性脳脊髄炎の発症確率」
などを数字で照らし合わせてみますと、なかなか先の暗い展望ではありそうです。
先日、「コロナワクチンの副作用、製薬企業を免責 法案提出へ」という朝日新聞の記事で報じられていましたように、日本では、新型コロナウイルスに対してのワクチンで、国民にどんな副作用が起きても、製薬企業は責任が完全に免除されることがほぼ決定しています。
私たちにとって、この先を生き抜くための本格的なサバイバルが始まっているのかもしれません。
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