異常気象は2016年を通して継続する可能性が高くなり
この週末あたりは気温が上がるようなことは聞いていましたが、先ほど私の住む地域の天気予報を見てみますと、気温が下のようになっていました。
2月14日の所沢市の気温の予測
・Yahoo! 天気
「・・・2月の夏日・・・」
とつぶやきながらも、しかし、エルニーニョだのなんだのとある最近の複雑な天候状況ですと、こういうこともあるんだろうなあと納得しました。
しばらく世界中で続いている気温差などの激しいアンバランスな気候の原因は根本的にはよくわからないわけですが、その要因のひとつとして、現在まだ進行している史上最強レベルの「エルニーニョ現象」が関係していると考える人たちは多いです。実際、エルニーニョというのは、海水面の温度の差異の異常であるわけですので、気候に影響があるとは思います。
これに関しては、昨年の、
・「温暖化が招く寒冷期」からの気温の回復に40年から100年かかるという気候モデルが提示される地球の海で成長する「モンスター・エルニーニョ」
2015/10/16
という記事に書いたことがありましたが、その中でご紹介した記事に、以下のようなくだりがありました。
ニューサイエンティスト「モンスター・エルニーニョが不気味に迫る中、世界は準備をする段階に突入した」より
太平洋を西に渡る風が弱まる時にエルニーニョは出現し、暖かい海水が南米にも向かって広がり、降雨をもたらす。
その結果、アジアとオーストラリアに乾燥をもたらし、南北アメリカの多くには雨をもたらす。
アフリカでは、激しい洪水により食糧不足が悪化することが予想されるとして、サハラ以南のアフリカに対して、赤十字国際連盟は緊急アピールを発表した。
チリとペルーも激しい影響を受ける可能性があるとして準備を進めている。
このようにありましたが、確かに、現在の西オーストラリアでは「 47℃」などという、やや異常ともいえる猛暑に見舞われていたり、南米での洪水も頻繁です。
西オーストラリア州の記録破りの熱波
・西オーストラリアが「世界で最も暑い場所」になった日。その気温は47℃
エクアドルの洪水(2016年1月下旬)
日本の天気も、暖冬と大雪と大寒波が入り乱れる、ややむちゃくちゃな進行も見せながら進んでいます。
これらの原因の一端かもしれないエル・ニーニョは、共同通信の報道によれば、現在すでにピークを過ぎていて、「夏ごろには終息する見込み」だとのことで、これでやっと通常通りの穏やかな気候が訪れるかと思っていましたら、下の報道のようなことになりそうなのだそうです。
2月11日の米国報道より
・Business Insurance
これは要するに、
・夏ごろまでにエルニーニョは終息する見込み
だけれど、そのまま、夏過ぎからは、
・ラニーニャ現象に移行する
という予測となっているようなのです。
エルニーニョだとかラニーニャだとか、ややこしいことこの上ないですが、どちらも「太平洋の海水の温度が通常と違う」というもので、気象庁のサイトの説明では、以下のようになります。
赤い字はこちらによるものです。
エルニーニョ/ラニーニャ現象とは
エルニーニョ現象とは、太平洋赤道域の日付変更線付近から南米のペルー沿岸にかけての広い海域で海面水温が平年に比べて高くなり、その状態が1年程度続く現象です。
逆に、同じ海域で海面水温が平年より低い状態が続く現象はラニーニャ現象と呼ばれています。
ひとたびエルニーニョ現象やラニーニャ現象が発生すると、日本を含め世界中で異常な天候が起こると考えられています。
ペルー沖の太平洋の海域の海水温度が高いか低いかという違いなんですが、どちらであっても、「世界中で異常な天候が起きやすい」ということで、どうやら、この予測通りですと、2016年は、
・夏まではエル・ニーニョで異常気象
・夏からはラニーニャで異常気象
という流れとなっていってしまう可能性も高いようです。
ところで、この「エルニーニョ」とか「ラニーニャ」という言葉は一体何なのか、という疑問を持たれたことはないですか?
私もそう思ったことがありまして、これらが「スペイン語」であることと、大ざっぱなスペイン語の意味は知っていましたが、これらの現象の意味を、まあ無駄話ではありますが、少し書いておきたいと思います。
男の子・神の子・女の子
エルニーニョと、ラニーニャから、それぞれ「エル」と「ラ」を取ると、
「ニーニョ」
という言葉になることがおわかりかと思います。
このニーニョ( Nino )というのは、スペイン語で「子ども」という意味でして、そして、ヨーロッパの多くの言葉には、
・男性名詞
・女性名詞
という概念がありまして、それにより、単語につく「冠詞」が違ったりします。
英語なら、「 the 何とか」とか「 a 何とか」で済むところなんですが、ヨーロッパの言葉の場合、男性名詞と女性名詞ではつく冠詞が違ったりするのです。
スペイン語では、
・男性名詞につく冠詞(単数)が「エル」( el )
・女性名詞につく冠詞(単数)は「ラ」( la )
ということになりまして、つまり、
・エル・ニーニョ( el nino )意味は「男の子」
・ラ・ニーニャ( la nina )の意味は「女の子」
ということのようになるのですね。
日本語にしてしまえば、今起きていて夏まで続くと見られる現象は、
「男の子現象」
そして、今年の夏から始まると見られるのは、
「女の子現象」
ということになりまして、こう考えると、エルニーニョだとかラニーニャの報道があるたびに、スペイン語を使っている人たちは何だか違和感とかないのかなあとも思いますが、もう少し調べてみますと、気象庁のサイトに以下のようにありました。赤い字はこちらによるものです。
エルニーニョ/ラニーニャの語源は何ですか
もともとは、ペルー北部の漁民が、毎年クリスマス頃に現われる小規模な暖流のことをエルニーニョと呼んでいました。
エルニーニョはスペイン語でEl Niñoと書き、英語ではThe ChildやThe Boyが対応します。
この子供(男の子)は、定冠詞も名詞も大文字で書き始めることからわかるように、単純に一般の子供を意味するのではなく、「幼子イエス・キリスト」を指しています。この言葉が、次第に数年に一度起こるペルー沖の高水温現象の意味で使われるようになりました。
一方、ラニーニャ(La Niña)はスペイン語で「女の子」を意味します。
「神の子キリスト」を意味するエルニーニョの反対現象を「anti-El Niño (アンチ・エルニーニョ)」などと呼んでは語感が悪い、と米国の海洋学者フィランダー(S. G. H. Philander)が1985年に提唱し、定着しました。
ということで、エル・ニーニョは「神の子キリスト」だったということで、こうなると、この現象もオオゴトになってきます。
つまり、今起きていて夏まで続くと見られる現象は、
・神の子イエス・キリスト現象
となるわけです。
興味深かったのは、それに対してのラ・ニーニャ現象は、もしかすると、エルニーニョの反対の現象なので、「反(アンチ)エルニーニョ」、すなわち、太平洋のペルー沖の海水温度が低くなる現象は、
・アンチ・神の子キリスト
という意味で名付けられる可能性もあったところを、女の子(ラ・ニーニャ)という言葉を当てはめることで難を逃れたようです。
いずれにしても、「神の子の現象」という、わりと大仰な意味を持つものだということを、今回知りました。
そして、この「神の子現象」から「女の子現象」へと、この夏にバトンタッチした場合、異常気象はさらに継続している可能性も強くなっています。
なお、昨年 12月の時点で、ウォールストリート・ジャーナルはすでに、エルニーニョとラニーニャが連続してやってくることでの作物相場の変動や、食糧問題について記していました。一部抜粋します。
今度はラニーニャ現象の公算、農産物市場への「嵐」に懸念
Wall Street Journal 2015/12/25
エルニーニョ現象が今冬にピークを迎えるなか、投資家たちは既に、その逆のラニーニャ現象が天候パターンをほぼ逆転させ、農産物市場に大打撃をもたらすかもしれないと身構えている。CMEグループのシニアエコノミスト、エリック・ノーランド氏は、エルニーニョとその影響の方がよく知られているかもしれないが、価格ボラティリティの尺度を基にすると、ラニーニャ現象期は大豆やトウモロコシ、小麦といった作物の相場がさらに50%ほど動く可能性があると指摘する。
ちなみに2010年7月にラニーニャが確認されてからの12カ月間で、シカゴ商品取引所の小麦相場は21%、大豆は39%前後上昇したほか、ニューヨークの砂糖先物相場は67%上昇した。
ラニーニャ現象が起こるか否か、また、その影響がどれほど深刻になるかを予測する方法はない。しかし、日本の気象庁によると、過去15回のエルニーニョ現象のうち、それに続いてラニーニャ現象が11回発生しているという。
ラニーニャ現象の影響は農業にとどまらないかもしれない。CMEグループによれば、1998年から2000年まで続いたラニーニャ現象は、米国とカナダで例年よりも寒冷な冬が到来し、天然ガス価格を上昇させた。
今の状況と「逆」の気候や気温が訪れる可能性があるということで、今のところは、そうなるかどうかはわからないですが、最近の無軌道な気候の荒れ方を見ていると、そうなることも考えられそうな気もします。
そして、先日の、
・2016年2月に激増を見せている世界の火山噴火から、6世紀の地球を巻き込んだ「過去2000年で最大の気候変動」が招いた小氷河期による社会変動と「これからの世界」の関係を改めて振り返ってみる
2016/02/10
では、今後の「社会変動」の可能性を、過去との関連で少しふれましたが、その記事に書いた以外にも、現在、「太陽活動」が、ますます弱くなっていて、以前、何度か記事にしましたが、現在の太陽活動周期(サイクル24)が過去 200年間の太陽サイクルの中で最も弱いものであることが、ほぼ確定してきていることが報じられています。
そして、次の太陽活動周期(サイクル25)は、現在のサイクルよりも、さらに太陽活動は弱くなると見られています。
歴史的に弱い太陽活動が今後さらに弱くなる、その影響
太陽活動の弱さについては、2013年にはその兆しがはっきりとし始めていまして、その時も、
・太陽活動が「過去200年で最も弱い」ことが確定しつつある中で太陽活動は復活するか
2013/10/21
という記事に記したことがありましたが、それから2年以上経ちまして、そのことは確定的になったようです。
結局、
「現在のサイクル24は、過去200年で最も弱い太陽活動のまま終わっていく」
ということになりそうで、そして、次の太陽活動周期「サイクル25」は、
「史上最も弱い太陽活動になるかもしれない」
という予測が、さまざまなところから出されています。
右側サイドに、太陽黒点の日々の変化を載せていますが、黒点は今のところは完全に消えることはないですが、その活動は極めて弱く、たまにフレアなども出しますけれど、もはや大きな太陽活動はしばらくない気がします。
通常通りなら、このまま太陽活動はさらに静かになっていって、そして今の予測では「記録的に弱い活動となる可能性がある」次の太陽活動にバトンタッチするということになります。
そして、太陽活動が弱くなってきますと「宇宙線が増加する」という傾向があります。
これは現時点でも起きていまして、先日のスペースウェザーでは、地球の大気中の宇宙線の増加が著しいことを報告していました。
Spaceweather より
・COSMIC RAYS CONTINUE TO INTENSIFY
地球へ到達する宇宙線が増加すると、それぞれ確定的な話ではないですが、
・雲が増えるために、天候に影響がある
・火山の噴火や地震にのトリガーに影響を与えるという説がある
というようなことがあります。
それぞれのことについて、「雲と宇宙線の関係」は、
・「銀河からの宇宙線が直接地球の天候を変化させている」 : デンマーク工科大学での実験で確定しつつある宇宙線と雲の関係
2013/09/05
という記事などに。
「噴火や地震と宇宙線の関係」については、古い記事ですが、
・太陽活動と地震・噴火の活動に関しての2つの考え方
2011/02/17
などに書いたことがあります。
太陽活動によりますが、今年の春以降は、かつてないほど地球へ到達する宇宙線が多くなる可能性もありますので、そうなった場合、もしかすると、天候や、あるいは地質活動にも影響がさらに出るかもしれません。
個人的には、その可能性は高いと思います。
そして、それらの天候も地質活動などの変動は、結局は食糧や燃料などを含めた社会変動に大きな関係を持つものになる可能があるということを意識して生きたいところです。
そして、それにリンクするように市場や経済も消耗していくのかもしれません。
そういう時代に突入したような感じがあります。
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