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2020年からの世界 人類の未来 健康の真実

新型コロナウイルスは「人間の細胞をゾンビ化してコントロールしている」ことを国際研究チームが発見。このウイルスは感染細胞に《触手》を伸ばさせ他の細胞に感染を拡大させる

投稿日:2020年6月27日 更新日:


・6月26日の米ロサンゼルス・タイムズの報道より。LA Times




 

あまりにも不気味なコロナウイルスの挙動

米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者を中心とした国際研究チームが、

「実に不気味な新型コロナウイルスの挙動」

を発見したことが、アメリカで一斉に報じられています。

新型コロナウイルスの感染力の強さや、感染メカニズムの多様性は、以前からずいぶんと知るところとなっていたというようなこともあり、さほどのことでは驚かなくなっているのですけれど、今回の報道は「久しぶりに驚いた」ものでした。

昭和の名コメディアンだった三波伸介さんの当たりギャグに「びっくりしたなぁ、もう」というのがありましたが、そういう感じですかね。

三波伸介さん(1930 - 1982年)

Google

この今回の研究で見出された新型コロナウイルスの特性というのは、わかりやすい表現ですと、

「新型コロナウイルスは、感染したヒト細胞をゾンビ化し、その後ウイルスが細胞に指令を出し、他の健康な細胞に感染を促す運動をさせる」

というような感じでしょうか。

新型コロナウイルスに感染した細胞は、触手のような突起を作り、そして、その触手が、まだ感染していない他の細胞に伸びていき、感染していない健康な細胞に穴を開けて「感染を促進する」ようなのです。

イメージとしましては、以下のような説明になるのではないかと思います。


FT

こんなようなウイルスの挙動がこの世に存在するとは知りませんでした。

今回は、米ロサンゼルスタイムズの記事をご紹介しようと思います。

まず、その報道です。

 


体内に侵入した新型コロナウイルスは、それまで科学者たちが認識していたよりも、はるかに不気味な活動をしていた

Inside the body, the coronavirus is even more sinister than scientists had realized
LA Times 2020/06/26


COVID-19を引き起こすコロナウイルスに感染した細胞の電子顕微鏡画像。

 

新型コロナウイルスに対して科学者たちが見積もっていた感染メカニズムについての仮定が、実に気味の悪い方向に向かいはじめている。

新型コロナウイルスとその宿主の間の相互作用を調査している米カリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者たちが率いる国際チームは、SARS-CoV-2 新型コロナウイルスが人間の細胞に感染した後に、「猟奇的な変体」を起こしていることを発見した。

新たに新型コロナに感染したヒトの細胞は、ウイルスからの指示に従い、ウイルスの粒子がちりばめられた多面体の触手を発芽させることがわかったのだ。

これらの細胞は変形しており、「ゾンビ細胞」と呼べるものとなっているが、これらの流れる繊維のような、あるいは糸状の触手(糸状仮足)を使用し、まだ感染していない健康な隣接した細胞に感染を到達させているようなのだ。

この触手は、ヒトの細胞体に穴をあけ、コロナウイルスの毒素をそれらのヒト細胞の遺伝的指令中枢に直接注入しているように見える。つまり、隣接したヒト細胞にも別のゾンビ細胞を作るのだ。

この新しい研究の論文の著者であるカリフォルニア大学サンフランシスコ校の研究者が率いるチームは、新型コロナウイルスがこれらの新たに発芽した樹状の突起を使用して、新しい細胞を捕獲し、新たな細胞感染を確立する効率を高めているようだと述べている。

この研究は6月26日に医学誌セル( Cell )に掲載された。

科学者たちは同時に、細胞のコロナウイルスによる乗っ取りを阻害し、新型コロナウイルスの感染が成立するプロセスを遅くする可能性のあるいくつかの薬物を特定したと確信している。これらの薬剤化合物の多くはガン治療として設計されたもの(抗ガン剤)だが、新型コロナウイルスに見つかった、この糸状の触手の産生を活性化する化学信号を阻害するために機能すると考えられるという。

彼らが COVID-19 に対して潜在的に有用であると確認した 7つの薬物の中には、胆管ガンおよびある種の小児脳ガンの治療として初期の臨床試験では、今のところ実験段階にある抗ガン剤であるシルミタセルチブがある。この薬は、すでに急性骨髄性白血病を治療するために使用されている。

この新しい研究は、タンパク質間の相互作用である「プロテオミクス」の科学を使用して、有望な COVID-19 治療を特定するという野心的な努力から生まれた。

科学者たちは、新型コロナウイルスが宿主細胞に感染したときに起こる化学的シグナルと連鎖的な発生事象を特定しようと試みた。次に、それらの化学信号を混乱させ、感染プロセスを妨害する可能性のある薬物化合物を探した。

これまで、科学者たちは、新型コロナウイルスの感染プロセスについて、さまざまなウイルスと同様の、ありふれたものだと考えていた。つまり、ヒトの口、鼻、気道、肺、血液に並ぶヒトの細胞の表面にある受容体に感染すると考えられていた。

また、この新型コロナウイルスは、SF小説での宇宙からの侵略者のように、はるかに大きなヒト細胞の表面の受容体に結合することが知られていた。そして感染したウイルスが、ヒト細胞の通常の機能を乗っ取り、複製の工場にする。

これは他の多くのウイルスで見られるのと同様の感染メカニズムだ。

しかし、今回の研究で見出された、新型コロナウイルスが感染細胞で糸状の触手の発芽を開始させるという事実は、コロナウイルスが、その進化のどこかの時点で、ヒト細胞から他のヒト細胞へ感染を迅速に渡すための複数の方法を(進化として)獲得したことを示唆している。

通常、ウイルスに感染した細胞が急激に増加すると、感染した患者の体内ではウイルス量が増え、さまざまな症状と共に発症し、そして発症した後は、他の人へのウイルスの感染が促進される。

カリフォルニア大学サンフランシスコ校の論文の筆頭著者の 1人であるネバン・クロガン(Nevan Krogan)氏は、新型コロナウイルスには、私たちのような科学者がこれまで考えていたものと一致しない特性がたくさんあると語る

この新型コロナウイルス感染細胞における糸状の触手の発見は、このウイルスが細胞から細胞への感染を確立させる方法を「複数」進化の中で開発してきたことを示す。

クロガン氏は以下のように語る。

「この新型コロナウイルスは、感染した細胞を殺す前に、他のメカニズムを使ってウイルスが他の細胞に感染するという特性を持っていまして、このことは非常に不気味です」

感染したヒト細胞が糸状の触手を発芽させることは、単に不気味に見えるだけではなく、これらはいくつかのかなり厄介な他のウイルスと似ていることも示す。

たとえば、天然痘を引き起こすポックスウイルス属の一種のワクシニアウイルスは、感染した細胞から発芽する糸状の触手(糸状仮足)を使用して、他の細胞に「乗り移り」、より多くのウイルス粒子を注入する。

HIV (エイズウイルス)と一部のインフルエンザウイルスは、同様に、糸状の触手を使用して、ヒトの細胞に侵入する能力を高めることが知られている。

米コロンビア大学のウイルス学者であるアンジェラ・L・ラスムッセン (Angela L. Rasmussen)氏は、感染したヒト細胞の外格を変化させるウイルスは数多くあり、糸状仮足による感染の誘導はその 1つの方法だろうと述べる。 感染力の強化はウイルスがしばしば果たす 1つの役割だ。

しかし、クローガン氏は、それらのウイルス(天然痘ウイルス、HIV 、一部のインフルエンザウイルスなど)でさえ、今回の研究で見出された新型コロナウイルスの感染細胞に見られたような多数の触手の産生を促進するようには思われないと言う。新型コロナウイルスに感染したヒト細胞から突き出ている分岐触手は、非常に珍しいものであるとクローガン氏は述べている。

コロンビア大学の微生物学者であるスティーブン P・ゴフ (Stephen P. Goff)氏は、糸状仮足がウイルスをヒト細胞に感染させる第2の方法として必然的に行動していると仮定するなら、注意が必要かもしれないと言う。

(※ 訳者注 / 感染させる第2の方法とありますが、「第1の方法」は、ヒト細胞の受容体に感染する一般的なウイルスの感染方法であり、新型コロナウイルスは、その他に触手で感染を拡大する特性を持っている可能性があるということで、つまり、一般的なウイルスにより、さらに「感染力が高い」ことを示していると思われます)

「今回の新型コロナウイルスについての発見は興味深いものです」とゴフ氏は言う。

この研究で撮影された新型コロナウイルスの画像は印象的で、糸状の触手には多くのウイルスが含まれており、研究室ではそれらの増殖を阻害するとウイルスの複製が減少するように思われたことを示している。

これは、糸状仮足が細胞に感染するウイルスの能力を何らかの形で増幅していることを強く示唆しているとゴフ氏は認めた。

「しかし私たちは、感染のプロセスにおいて、この奇妙な触手の影響を受ける段階は今のところわかりません」と彼は言う。

「今後、それを突き止めていくことは刺激的な作業となりそうです」


 

ここまでです。

本当にすごい能力でして……。

驚きますねえ……。

(もういいから)

 

この新型コロナウイルスの感染機能は、まるでよくできた兵器のような構造とメカニズムのようにさえ見えますけれど、過去記事でもふれたことがありましたが、こういう異様な特性を持たなくても、この新型コロナウイルスというのは、強力な感染性を持っているウイルスであることは研究でわかっていました。

以下のような記事に記しています。

[完璧なウイルス]新型コロナは「3種類の感染受容方法」を持ち、増殖するための酵素を「8種類利用できる」おそらく史上最強のウイルスであることが判明。これにより治療薬の開発は不可能である可能性が高まる
In Deep 2020/03/10

 

国際的な研究により、新型コロナウイルスは「332種類のヒトタンパク質」を利用してヒト細胞と結合できる驚異的な感染能力を持つことが見出される。治療薬開発は厳しい局面に
In Deep 2020/04/05

このように、もともと「あり得ないような感染力」を持つと共に、さらに最近では「変異」も進んでいまして、少し前のアメリカの研究では「現在、欧米で主流となっている変異株は、当初の 10倍の感染力を持つ」ことが示されています。

ますます加速する突然変異 : 新型コロナウイルスの現在の感染力は「最初の10倍」であることが判明。そして、中国やアメリカでは次々と新しい株が発見され、対策に終わりが見えない状態に
In Deep 2020/03/21

 

それに加えて、今回の国際研究チームによって明らかとなった、

「新型コロナウイルスは感染したヒト細胞をコントロールして感染の促進を促す」

という特性があることがわかったということになります。

この記事を読んだだけでは、

「これが当初からあった新型コロナウイルスの能力なのか」

あるいは、

「変異、進化で獲得した能力なのか」

はわかりませんが・・・それにしても・・・新型コロナウイルスの出自がどんなものであったとしても(自然にしても人為的にしても)これらの特性や能力はスゴすぎて、驚くばかりではあります。

この「ヒトの細胞に触手を発生させる特性」が以前からあったものなのか、最近になって獲得したものなのかはわからないにしても、仮に「変異」でこのように変化し続けているとすれば、

「この先、どのように変異・進化していっちゃうの?」

という気にもなります。

ただ、どれだけ感染力が増大していくにしても、結局、数多くの免疫と抗体を獲得する(つまりたくさんの人々が感染する)ことしかパンデミック終結への帰結はないことは同じだと思いますが……というより、こんな優れた感染メカニズムには対抗のしようがないようにも思います。

いずれにしましても、新型コロナウイルスというこのウイルスの持つ、不気味で一種異常な感染能力の一端を私たちは改めて知るところとなったわけです。

ただ、今回の記事でちょっと恐かったのは、「新型コロナウイルスの治療薬として抗ガン剤を使おうしている」という戦慄すべき思惑です。

ウイルスに感染して体の弱っている人にそんなものを使ったら、仮に細胞から細胞への感染拡大は予防できても、全身のヒト細胞そのものが弱ってしまって、やられてしまうように思います。

つまり、「ガンの治療をしているわけではないのに、抗ガン剤の副作用に苦しまされる」ということになってしまう可能性があるのではないのかなと。

こういう全体のバランスを考慮しない発想が現代医学の根本的な問題のような気もします。

 
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