米調査企業ピューリサーチセンターのニュースリリースより
・Pew Research Center
それは精神の進化か後退か
先週発行させていただきましたメルマガのタイトルは、
自然災害と「もはや慈悲なし」の文言に導かれ行き着いた「神という存在の真実」
という物々しいものだったのですけれど、これは、最近の日本も含めた、異様な自然災害の連鎖と「その慈悲のなさ」から、聖書に出てくる以下のふたつの文言について書き始めたものでした。
「汝 わが民にあらず」
「もはや慈悲なし」
この言葉は、1960年代のルイス・ブニュエル監督の映画「銀河」の冒頭で使われるもので、私はその映画で知ったものです。謎の紳士が主人公の男性に、子どもを作り、その長子の名前を「汝 わが民にあらず」にし、次の子の名前を「もはや慈悲なし」にしなさい、と言うところから映画は始まるのですが、妙に耳につくフレーズでした。
映画のことはともかく、私は、メルマガは書く内容を定めないで書き始めることも多いのですが、この時のメルマガもそうでした。何もテーマを決めずに書き始めているうちに、以下のふたつの言葉、
「汝 わが民にあらず」
「もはや慈悲なし」
から、ヘンな方向に思想が飛んでいってしまいまして、キリスト教と聖書について一種とんでもない可能性について行き着いてしまったのです。その内容はほとんど暴論ですので、公共のこの場で書けるようなものではないですし、内容が正しいとは(私自身では思ってはいても)言えるようなものでもありません。
しかし、ちょうどこう最近、そのようにキリスト教について考えている中で、冒頭のような、最近の「アメリカでのキリスト教徒の劇的な減少」についての市場調査を見まして、また、それと関係する記事を読んだりしまして、妙に印象に残ったので、ご紹介したいと思います。
簡単にいうと、今のアメリカでは、
・キリスト教徒が大幅に減り続けている。
・無神論と不可知論者、そして特定の宗教を持たない人たちが大きく増えている
というふたつの傾向があります。
「不可知論」というのは、「物事の本質を知ることは不可能であるという立場」のことだそうで、つまり、そこから、
「人間は神の存在を証明することも反証することもできない」
というような考えとなっている人たちのことで、無神論とは違いますけれど、実質的に宗教に意味を見出さないことだと思われます。
こういう意味では、私は、長く、不可知論者だったかもしれないですが、最近は、むしろ「無神論者」に近づいているのかもしれません。このあたりは微妙な話でもあります。
冒頭にあります、アメリカの調査会社ピューリサーチセンターの報告書の最初は、以下のようなものです。
In U.S., Decline of Christianity Continues at Rapid Pace
アメリカの宗教的景観が急速に変化し続けている。
2018年と 2019年に実施されたピューリサーチセンターの電話調査では、アメリカの成人のうち、自分の宗教について、キリスト教徒であると述べた人たちの割合は、 65%だけだった。その一方で、自らの宗教的立場を「無神論者」、「不可知論者」、または「特に何もない」とする人々から構成される宗教的に関係のないとする人たちの割合は、26%だった。これは、2009年には 17%だった。
現在のアメリカでは、プロテスタントもカトリックも、どちらもその信者の数を減らしている。
現在、アメリカの成人の 43%がプロテスタントで、 2009年の 51%から減少している。また、アメリカの成人の 5人に1人(20%)が、カトリック教徒だった。これは、2009年には 23%だったので、やはり減少している。
増えているのは、宗教的な帰依を「なし」とするグループだ。無神論者は、現在アメリカの成人の 4%を占めており、2009年の 2%からわずかながら増加した。不可知論者は、アメリカの成人の 5%を占め、10年前の 3%から増加した。
また、アメリカ人の17%は、所属する宗教を「特になし」としているが、これは 2009年の 12%から増加している。キリスト教以外の宗教の信者数も、成人人口の伸びは鈍くなっている。
このピューリサーチの調査結果を含めて、最近のアメリカでのキリスト教の状況について、米国ブログ「ジ・エンド・オブ・アメリカンドリーム」の記事よりご紹介したいと思います。なお、このジ・エンド・オブ・アメリカンドリームの著者は、バリバリのキリスト教徒で、それだけに、現状を憂いております。
ここからです。
The Percentage Of Christians In America Has Hit An All-Time Low
End of the American Dream 2019/10/24
アメリカのキリスト教徒の割合が史上最低を記録
アメリカでのキリスト教信仰の衰退が加速し続けており、最新のその数値は衝撃的でもある。現在、ほとんどのヨーロッパ諸国はすでに「ポスト・キリスト教(キリスト教の国だというのは過去の話)」の国と見なされているが、アメリカもまったく同じ道を進んでいるようだ。
しかし、アメリカが建国されたとき、アメリカ大陸に入植した人たちの 98%はキリスト教徒であったと推定されている。キリスト教の信仰は、私たちの政府の形態の発展に重要な役割を果たしてきた。歴史を通じて、あらゆる世代のアメリカ人は圧倒的にキリスト教徒だった。
しかし今、それは大きな変化を遂げている。ピューリサーチセンターによって発表されたばかりの新しい調査によると、今では自分自身をキリスト教徒だと見なしているアメリカ人は 65%に過ぎない。
ピューリサーチセンターの報告は以下のように述べる。
2018年と 2019年に実施されたピューリサーチセンターの電話調査では、アメリカの成人の 65%が、自分の宗教について尋ねられたときに、自分自身をキリスト教徒であると述べている。
その一方で、自らの宗教的立場を「無神論者」、「不可知論者」または「特に何もない」とする人々から構成される宗教的に関係のないとする人たちの割合は、26%だった。これは、2009年には 17%だった。
このように、増えているのは、無神論や、不可知論者あるいは特に宗教には帰依していないとする人々だ。それぞれ 10年前より大きく増えている。
ピューリサーチの調査では、宗教への所属に関しては、世代間に大きなギャップがあることも示されている。
高齢のアメリカ人たちは依然として圧倒的にキリスト教の信仰に所属するが、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた人たち)では、自分をキリスト教徒だと考える人の割合は半数に満たないのだ。
ピューリサーチは以下のように報告する。
データは、高齢のアメリカ人たちと、若い世代であるミレニアル世代では、宗教的な所属のレベルに大きなギャップがあることを示す。
1928年から1945年の間にアメリカで生まれたサイレントジェネレーションと呼ばれる高齢世代では、84%がキリスト教徒であると述べた。その次の世代のベビーブーマーと呼ばれる世代でも、76%が自らをキリスト教徒だと述べている。
対照的に、ミレニアル世代で、自分をキリスト教徒だとした人の割合は、49%であり、半数以下だった。この若い世代では、10人に 4人が宗教的な所属を「なし」と答えており、10人に 1人は、キリスト教以外の宗教を信仰していた。
西暦2000年代に成人を迎えたミレニアル世代は、アメリカでキリスト教徒が少数派となった最初の世代となった。
建国以来のアメリカで、このような規模の宗教的な変化が起きたことはない。そして、これは必然的に、私たちの社会の将来に大きな影響を与えるはずだ。
「特に宗教はない」とした若いアメリカ人の成人の割合は、1986年以来ほぼ 4倍になっている。これは、左派が文化戦争に勝利していることの最も明確な兆候の 1つなのかもしれない。
このように、キリスト教信仰から多くの人々が離れていっている結果として、アメリカでは教会が全国的に数多く閉鎖され続けている。
実際、2018年11月のこちらの報道では、アメリカでは、毎年 6,000〜 10,000の教会が閉鎖されていると推定される。
これは別の表現では、現在のアメリカでは 1週間に 100以上の教会が消滅していることを意味する。
その結果、アメリカには、空の建物となった教会が数多くあり、それらの多くは、ホテルやバー、室内娯楽場に改装されている。アトランティックの記事「アメリカで空の教会が次々出現している」という記事には、使われなくなった教会のその後として以下のようにある。
放棄された教会の多くは、ワイナリー、醸造所、バーなどになっている。あるいは、ホテルなどに改装された。中には、子ども用の屋内遊び場やスケートパークなどの娯楽施設に変身した教会もある。
しかし、キリスト教信仰がアメリカで衰退しているからといって、キリスト教の精神が衰退しているというわけではない。アメリカの歴史を通じて見れば、状況が最も暗いと思われた時には、むしろ、そのような時に、アメリカ史上で最大の精神的な目覚めがしばしば沸き起こった。
イエスのメッセージは時代を超越している。そのためにも、私たちは、キリスト教徒であることの本当の意味を全世代の若者たちに示す立場を持つ。
現在の状況は、若者たちが教会に行かないからといって、アメリカ人が霊的な飢えを失ったという意味ではないと思いたい。
なお、今日のアメリカで最も急速に成長している宗教は「ウィッカ」だ。
(※ 訳者注 ウィッカ / Wicca とは、古代の多神教的信仰を復活させたとする新宗教。元々の言葉の意味は「魔女」あるいは「魔術師」)
現在アメリカには 100万人以上の魔女がいると推定されており、そして、魔女たちの最も重要な祝日の 1つが近づいている。古代人はその祝日を「サムヘイン」と呼んでいたが、今日では「ハロウィーン」と呼ぶ。
アメリカで自分をキリスト教徒だと考えているアメリカ人は、65%いるとはいえ、彼らの多くは、もはや教会に行ったり、信仰を実践したりはしていない。アメリカでの教会への出席率は何年もの間急落し続けており、キリスト教信仰がアメリカの政治プロセスに与える影響も衰退している。
かつてのアメリカでは、キリスト教徒でなければ、国の公職に立候補することは非常に困難だった。
かつて私たちのアメリカ国家の基盤であった信仰は、今や、テレビや映画で笑い物とされ、嘲笑さえされている。信仰は、政府や企業から排除され、学校から、そして主流のエンターテインメント産業からも排除されている。
私たちアメリカ人たちは、「神のいない社会」を望んでいたのだろうか。そして、今のアメリカ社会はそのように人々が望んで作られたものだというのだろうか。
私たちはこの長い年月で何を得たのだろう。
ここまでです。
私自身は、教会を中心に組織化・形式化した現在のキリスト教そのものの衰退は、時代から見て、ある程度は必然のような気もしないでもないですが、
「キリストが本来、人々に教えたかったことは何だったのか」
ということには、最近さらに興味があります。
今後の、少し遠い未来には、「宗教」という枠組みではない信仰として、古代からの真実の教えというようなものが、少しずつ台頭してくるような時代になっていけばいいニャーと……あ、やっちゃった。
いや実は、最近うちのベランダに、二匹の白い猫が毎日来るようになっていまして(参考リンク「ニャンくんたちの来訪以来」)、それらの相手をしているうちに、自分でも「ニャンとしたことだ」というような言葉を使うことがあり、文章にそれが出てしまいましたら申し訳ありません、と、ここでお詫びさせていただきます。