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地球最期のニュースと資料

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北半球の海の「植物プランクトン」が劇的に減少し続けていることが NASA の調査で判明。そして、その海のプランクトンたちもまた「他との共生」で進化していた

      2017/12/04

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▲ 2015年09月24日の NASA Earth Science News より。

 

 

植物は人間と「対」だから

前回の記事、

「植物はいかにして地球に誕生したか」

では、英国の専門機関ジョン・インズ・センターなどの国際研究により、4億年ほど前に、海中の藻類が陸上の植物となっていった過程で、

藻類と菌類の共生により、藻は陸上で生きていけるように進化した

ということと、

それを可能とする遺伝子は、藻と菌類「共に」DNA に組み込まれていた

というようなことが判明したということをご紹介した記事でしたが、それを読んで、私はこれまで「この世の存在は奇跡」だと思っていましたが、確かに奇跡は奇跡であるにしても、1から緻密に組み立てられていた

「あらかじめ完全な計画性を持つ奇跡」

であったことに気づきます。

「数十億年後の地球はこうなる」ということが、地球に小惑星などがどんどん衝突していた40億年くらい前から「すでに確定していた」と。

地球に、小惑星の衝突のお陰で水ができて、その中では微生物の活動が可能となり、宇宙から降り注ぐ「生命の種」のうちで、活動可能なものから「萌芽」していは、それらの中の藻類には、「陸上で《陸上生物と共生して》生きるための生存能力」をもともと持っていたと。

そこから地球の生命の歴史が始まった、と。

いつの時代でも、地球の支配者は常に植物でした。

「支配者」というのは、悪い意味でのほうではなく、つまりは、食物やエネルギー源として、ほぼすべての生き物の生命が「植物の存在」の上にあるからです。

植物が地球の生命の営みのすべての根幹にある、という意味での支配者です。

植物が支配者であるのは今でも同じですが、「人間が地球に登場してから、その植物との関係は、それまでのいかなる動物とも違うものとなった」という事実もあります。

それまでの生物たちは、植物と「エネルギー(エサ)」として対峙するという部分がほとんどで、その植物を食べた生き物が、今度は肉食の生き物のエサになり、というような食物体系の頂点にいる植物という図式。

しかし、人間は違った。

植物で衣装を作り、植物(木材)で住む場所を作り、あらゆる道具を作りだし、あるいは、植物(薪)で暖を取り、何より「植物の観賞」ということをする。

どんな国でも、花を飾り、観葉の木々を飾るのが現代ですが、この「植物を見る」ということに価値を覚えるのは、他のあらゆる動物と比べて人間だけのはずです。

過去記事でも、

オランダの女性たちが発見した奇跡のエネルギー生成 : 生きた植物と生きた微生物と水のコラボレーションが生み出した驚異の発電法 – Plant-MFC
2015年07月04日

や、

毒の効用 : 植物毒もまた人間文明の手助けをしてきた…ことを書いているうちに、話がローン・ガンメンにまで逸れてしまって申し訳ありません
2015年07月08日

など、現代から「未来」に対しても、植物と人間の共生は続く「べき」だというようなことを書いたこともあります。

人間と植物の関係は、地球上の他のあらゆる動物と違い、植物は人間の歴史の、ほぼすべてに寄り添ってきた存在であり、つまり「人間と植物は一体の存在」という言葉が強く思い出されます。

ただ・・・この「一体」という言葉について、今朝、散歩をしている時、道の木々を見ながら、ふと思ったことがありました。

それは、

「植物が地球の支配者であるなら、それと一体である私たち人間も地球の支配者であるはずだけれど、果たして、そうなのだろうか?」

という疑問というのか何というのか、そういう思うでした。

私たち人間は地球の支配者であるのか?
あるいは、それに相応しいのか?

まあ、その疑問はわからないのですが、植物側の希望(?)としては、私はそれ(人間が地球の支配者であること)を望んでいるのだと思っていますので、人類がそれに相応しい存在になれるとよいのですけれど。

さて、今回は「地球の海で植物プランクトンが減っている」という NASA の発表をご紹介しようと思います。

 

 

海の重要な植物プランクトンたちの進化もまた他との共生の中で起きた

そのタイトル通りのものなんですが、この「海の植物プランクトンが減っている」ということに興味を持ったのは、以前、

人間より多くの遺伝子数を持つイネとミジンコに感謝しながら、高齢化社会をめぐる暗いニュースから肯定的な側面を探りだそうと

という記事で、藤野での田植えに招待していただいた際に、藤野まで来ていただいてお会いした方が、自宅で、プランクトンの成育環境を再現されているという方でして、その方が、

「都会の淡水には、今は動物プランクトンがいないんですよ」

とおっしゃっていたことを思い出しましたのです。

動物プランクトンの代表といえば、ミジンコですが、そういうものが、都会の淡水から消えているのだそうで、そういう話を覚えていたので、今回の NASA の

「海では、植物プランクトンが減少している」

という調査結果に反応した次第でした。

植物プランクトンの代表としては、珪藻(ケイソウ)というものがあります。

 

珪藻
keisou-nasaNASA

 

この珪藻というのは、ネイチャーの「珪藻の変化に富んだ歴史」というページには、

珪藻は、海水や淡水にすむ微細な藻類の一種で、海洋の主要な生物であり、地球の一次生産能力の約5分の1を担っている。

というもので、さらに、このネイチャーの記事は、珪藻の一種のゲノム(遺伝子と染色体)が解読されたことを紹介する記事なのですが、続けて、こうありました。

珪藻遺伝子のうち数百個が細菌からの遺伝子移動によって獲得されたものであることが明らかになったが、あるいは逆の珪藻から細菌への移動という可能性もある。

遺伝子移動は珪藻の進化の過程でよく起こったらしく、植物や動物の遺伝子も含めた、正正統的でない組み合わせの遺伝子がみられ、これらが栄養素の処理や環境シグナルの伝達に重要な役割を果たしているらしい。

というように、植物プランクトンである珪藻の進化もまた、

> 細菌からの遺伝子移動によって獲得されたもの

とあり、昨日の記事の「藻と菌の共生による進化」と、何となく似た構造で「進化」してきたことがわかります。

この珪藻と細菌の関係も、偶然などではなく、あらかじめお互いの遺伝子の中に「誰かが」書き込んでいたメカニズムであり、そして、上にありますように、この進化を遂げたことで、

> 地球の一次生産能力の約5分の1を担っている

という現在の「珪藻と海の関係」が存在しているようです。

珪藻もまた、地球の歴史の中で、「地球の海が生きた状態となっていく」ことに大きく関与していたと思われます。

 

関係ないですが、今朝、散歩をしていて、ふと思ったのですが、「地球のあらゆる生命は他者と共生して存在している」のだということを確信的に感じました。

要するに、たとえば、ダーウィンの進化論的な発想では、生物たちは地球の歴史の中で「生き残りをかけてきた」みたいな闘争的、肉食的、西洋価値観的なニュアンスで語られることがありますが、私は歩きながら、

 

「そうじゃない」

 

と、翻然と思うに至ったのでした。

 

「地球のあらゆる生命はお互いに共生していて、そして、共生の中でだけ進化するんだ」

 

と。

まあ、正しいかどうかはわからないですが。

 

いずれにしても、海の重要な役割を担う植物プランクトンが減っています。

その NASA の記事をご紹介します。

ちなみに、この記事はもともとがわりとわかりにくい内容ですので、 NASA の解説動画からの図なども入れています。

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NASA Study Shows Oceanic Phytoplankton Declines in Northern Hemisphere
NASA 2015.09.24

NASA による研究で、北半球の海洋植物プランクトンが減少していることが判明

新しいNASAの研究は、世界の海では、海洋の食物連鎖の基礎となる海洋植物プランクトンの数が大幅に減っていることを見出した。

NASA は、衛星データによる駆動モデルに基づいた長期的な植物プランクトンの状態の動向について、今回初めてとなる調査を実施した。この調査結果論文は、9月23日の、アメリカ地球物理学連合の科学誌グローバル・バイオジオケミカル・サイクルズ( Global Biogeochemical Cycles )に発表された。

調査の結果、植物プランクトン類の最大のタイプである珪藻は、1998年から 2012年の間に、全世界で、年間1パーセント以上減少していた。

「植物プランクトンは、木々や草花のように、光合成のための二酸化炭素を必要としています」と、今回の論文の主筆である NASA ゴダード宇宙センターのセシール・ルソー博士( Dr. Cecile Rousseaux )は述べる。

植物プランクトンが大発生する時には、数百キロメートルなどの広範囲に及ぶこともあり、そのような場合は、宇宙の人工衛星からも観測することができる。

大気中の二酸化炭素は、冷たい海水に溶解する。

小さな植物プランクトンたちは、動物がエサを食べて育つのと同じように、海に溶解した二酸化炭素を摂取し、有機炭素に変換する。

これは、すべての海洋食物系の中の重要な拠点となる。

そして、植物プランクトンの細胞が死ぬ時には、自らの体の中に炭素を蓄えたまま、海底に沈んでいく。

それらのプランクトンたちの死骸の一部は、海流の作用で、再び海面へと上昇し、他の植物プランクトンの群にエネルギーを供給することになるのだ。

しかし、残りの死骸は、海底の堆積物中に蓄積され、数千年間、または、数百万年間というような長期間にわたり海底に保存され続ける。

これが、大気から除去された二酸化炭素の長期間にわたり(海水に含まれないで)海底で保存されるシステムのひとつとなる。

珪藻類の減少は、15年間の研究期間中に何種類かの植物プランクトンの減少の変化があった、いくつかの地域で見られている。

ルソー博士と研究チームは、海域のクロロフィル(葉緑素)の海の色の測定値を取得するという方法を取った。

クロロフィルは、植物の光合成の一部として生成される。

観測は NASA の海域調査衛星「シーウィフス( SeaWiFS )」から行われた。

 

NASA の衛星SeaWiFS
NASA-SeaWiFS

それより得られた下のデータ(例)は、すべてのタイプの植物プランクトンからなるクロロフィルの総量を示している。

 

plankton-decline-01

(訳者注)実際は動画です。赤い部分が植物プランクトンの量が少ない海域で、青くなればなるほど多いことを示すようです。

 

以前の研究で、北半球において、総クロロフィル量が減少していることが確認されていた。しかし、減少した植物プランクトンの種類はわからなかった上に、「なぜ減少しているか」という理由もわからなかった。

そこで登場するのが、海洋コンピュータモデルだ。

衛星からのデータと、海域での実地観測データの情報から NASA の海洋生物地球化学的コンピュータモデルは、海の条件を再現した。

たとえば、その海流、日光の当たる量、その海域で植物プランクトンたちが利用可能な栄養素の量などの条件を NASA のコンピュータは正確にはじき出した。

このコンピュータモデルは、大きなサイズのプランクトンである珪藻と、小さなサイズのタイプの、たとえば、円石藻や緑藻植物門と呼ばれる植物プランクトンとを研究者たちが区別できることにも貢献した。

「生物地球化学的モデリングのデータに、衛星データを含めることは、非常に興奮する試みです」と NASA の海洋学者のジェレミー・ワーデル( Jeremy Werdell )氏は述べる。

衛星データは、異なる植物プランクトンの種類や、それらに影響を与える可能性がある栄養素レベルを明確に区別することはできない。

それは、船などによる直接的な採取等によるサンプリングを加えることで、世界の海洋の全体の状況を把握することができるのだ。

こんコンピュータモデルによれば、珪藻の減少は、混合層と呼ばれる海水の最も上の層が浅くなってきていることに起因していることがわかる。

季節変動を考慮しても、混合層は 15年間の研究期間の間に 1.8メートル浅くなった。

混合層は、波と海流が絶えずぶつかり合い、泡立つ場所であり、それより下の深い海水の層から栄養分を引き出される。

 

mixed-layer

 

上層部の状態は、混合層がどの程度深いか、そしてどの程度の太陽光量を受けているかに依存し、この状態が植物プランクトンの増殖を促進する条件と直結する。

しかし、混合層が浅いと、海水の容積が少なくなり、海水の栄養素の保持が少なくなるのだ。

そうなると、植物プランクトンたちの栄養分が不足する可能性がある。これは、コンピュータモデルで報告された珪藻の必須栄養素の濃度からも確認されている。

しかし、混合層が浅底化している理由については、依然として不明だ。

混合層が浅底化するひとつの可能性として、海の上層部の撹拌を引き起こす「風の変化」ではないかとルソー博士は言う。

珪藻の減少は、統計学的には顕著である一方で、ルソー博士は、「現時点では深刻な状態ではない」とも述べる。

しかし、これが、自然変動や気候変動によるものかどうかなどを監視すねために、海の条件の変化に応じて、将来的にモニタリングが続けられる。



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