NASAにより撮影された北極の穴についての4月20日の報道
・Curious Circles in Arctic Sea Ice
シベリアの永久凍土に発生した亀裂についての4月23日のロシアの報道
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今の時代は、話題が過ぎ去った後に忘れ去られる速度もはやいもので、ちょっと前に「アナと雪の女王」というようなディズニー映画が人気を博していたような記憶がありますが、今回の話題は「穴と雪の……」(それはもういい)。
……で、どのような話題かといいますと、冒頭にありますように、最近、
・北極圏
・シベリア
という、どちらも雪と氷、そして永久凍土に覆われた大地に、
「原因不明の亀裂や穴が生じた」
ということが報じられていたのです。
どちらも詳細はよくわかっていない出来事ですので、概要などを簡単にご紹介したいと思いますが、どちらも、「過去記事の内容と関係している」という部分があります。
とりあえず、それぞれをご紹介します。
2018年4月 NASAの観測で発見された謎のサークルと穴
NASAにより撮影された南極の穴
・NASA
NASA は、北極の氷上を観測する「アイスブリッジ・オペレーション(Operation IceBridge)」というプロジェクトを 2009年から行っています。
これは航空機を使って、北極等の氷の上の池などの数を調査したりするもので、北極の氷の変化や融解について、「異常がないか」というようなことを調べているプロジェクトです。
そのアイスブリッジでの観測において、4月14日、「氷の上に奇妙な3つの穴」があることが見出されました。
何となく意味ありげな形状をしているためか、これについていろいろ SNS などで話題になっていて、ネット上では、陰謀論から地球温暖化論までいろいろな意見が交わされているようです。
しかし、今のところ、科学的な見解としては、その原因を説明することにおいて、なかなか難しいサークルであり穴であるようで、どうしてこのような穴が北極の氷の上にできているのかは今のことろはわからないようです。
この写真が撮影された場所は、NASA に緯度などのクレジットがありまして、それによれば、カナダの北極海側のあたりで、地図の下の位置だと思います。
現在、北米大陸から北極圏までの地域は、非常に冷たい大気に覆われていて、気温などからの自然条件で、このような「氷が溶けたような穴」が発生する可能性はほとんどゼロです。
また、一般的に考えれば、この場所に「海中から氷を溶かすようなエネルギーがある」というように考えるのも難しいですので、そのために、科学者たちからは、合理的な見解は今のところ出ていません。
・・・ただまあ・・・これはあくまで個人的な見解ですが、
「海底火山が噴火すれば、こういうようにはなるのでは」
というようには思います。
噴煙を上げるタイプの派手なのではなく、深い海底で熱を噴出し続けているようなタイプの……まあ、火山の噴火というのか、熱の噴霧というのか、そういうものが海底で起きれば、あり得る感じもしますけれど、いずれにしても、現在は公式にどんな現象なのかは説明されていません。
そして、シベリアにも(またしても)とても印象的な穴が発生しています。
2018年4月 ロシア・シベリアの永久凍土の亀裂
「穴」について報じるロシアのニュース
・Russia24
ロシアのシベリアにある「タイミル」という地区(以前は、タイミル自治管区という自治区で、現在は、クラスノヤルスク地方のひとつの地区)で、
「永久凍土に亀裂と巨大な穴が開いて、大地が崩壊している」
ということが、4月23日のロシアの報道で一斉に報じられました。
場所は、クラスノヤルスクの「ウスチ・アヴァン」という場所で、地図では下の位置になります。
原因などについては調査中ですが、亀裂の中を調査した科学者のコメントには、
「亀裂の中は、硫黄の鋭い臭いが感じられ、暖かい空気が流れている」
という部分があり、それが何かはわからないですが、「何かしらの暖かいものが地下から上昇している」という可能性を感じます。
もちろん、永久凍土でこういうことが起きること自体が、ロシアの科学者たちにとっても大変な驚きではあるようです。
・・・というようなふたつの出来事が最近あったわけです。
そして、過去記事との関連を簡単に書かせていただこうと思います。
この数年の出来事とそれぞれがリンクして
まずは北極のほうですけれど、最近、「南極に原因不明の巨大な穴」が発生したことを、以下の記事でご紹介したことがあります。
南極という場所の真実 : 地球で最大の重力異常の場を持ち、地球で最も火山が密集する地帯であることがわかった南極。そして最近そこに地球で最も大きな氷の穴が誕生
その穴の面積は、「オランダの面積よりも大きな穴」ということで、大規模な現象であることがわかります。
それで、これも原因はわからないとはいえ、実は最近、
「南極大陸の氷の下には、130を超える火山がある」
ことがわかっているのです。
下は英国ガーディアンに載せられていた「南極の海底火山」の図です。
南極の 138個の火山のうち 91個は 2017年の調査で初めて見つかったもので、これにより「南極は、地球で最も火山が密集している場所」であることがわかったのです。
もし、こんな数の火山が「氷の下で活動を開始したら…」というようなことを懸念する人々も出てきているわけですが、もちろん、この南極の穴がそういう「火山活動」と関係しているものかどうかはわかりません。
そして、シベリアの永久凍土のクレーターのほうですが、これに関しては、2014年に起きた「シベリアの永久凍土で連続したシンクホール事象」をご紹介して以来、何度か取りあげてきていたものでした。
2014年にシベリアで次々と見つかったクレーター
下の記事にそれまでの経緯がまとめられています。
シベリアのクレーターは「半径100キロメートルに響く爆発音と天空の巨大な光」を伴う凄まじいエネルギー現象から発生していたことが判明。そして、それらの穴は今も拡大し続けている
これに関しては、世界中の科学者が今も原因を調査している本当に不思議なクレーター現象でした。
上のリンクの記事に、2015年3月のナショナルジオグラフィックの記事から抜粋していて、「地中の氷塊が何らかの理由で溶けたことによるのではないか」という説が書かれていますが、しかし当時、現場では「爆発」があったのです。ただ氷塊が溶けるだけの原因では、この爆発は説明できません。
今回、永久凍土が崩壊したウスチ・アヴァンという場所も、以前の地図と合わせてみれば、「同じようなエリア内」であることがわかります。
ただ、こう地図で見ますと、それぞれの場所が近いように見えますけれど、右下の日本列島と比べればおわかりかと思いますが、かなり広大な範囲にまたがる話です。
そして、「このあたりはほとんどが永久凍土」なのです。
何ともいえないとはいえ、どうやら・・・このあたりの相当広い範囲での永久凍土に「何らかの熱」の影響が加わっている可能性があります。
それで、次々と崩壊している。
これら一連の現象に感消しているキーワードは、おそらくは、
「地球内部からの熱」
ではないかと思います。
これが北極にも南極にも、シベリアにも共通することなのではないでしょうか。
そして、これは「気候変動とは関係ない」とも言えそうです。シベリアの永久凍土も、南極や北極の氷床にしても、現実として大気中の気温のささいな変化でこれほど大きな現象を起こすとは考えにくいです。
やはり「下からの熱」なのではないかと思う次第です。
火山活動が活溌化している今の時代と時期に、海底に、あるいは氷の下に、あるいは未知の火山存在を含めて、「地球の中から巨大な熱源が上昇してきている」というように考えるのは、それほどオカルトだとも思えません。地球の内部から熱が地表に上昇してくる現象は火山の噴火だけではありません。
この先……それが何か月後か何年後かはわからないですが、この先に、
・北極で起きること
・南極で起きること
・永久凍土地帯で起きること
などを見ていれば、もう少し何かがわかってくるのではないでしょうか。
そして、仮に「地球内部からの熱(かそれに準じるもの)の噴出」だったとすれば、それは最終的には地球の環境に極めて大きな影響を及ぼすでしょうけれど、その前に、いろいろな「個別の現象」が提示されるはずです。いや、すでに個別の現象は提示され続けているのかもしれません。
それを見て考えていくことを地球が私たちに突きつけているようにも思えます。