オーストラリアに拠点を置く国際電波天文学研究センターが研究結果を発表
最近、天文観測の国際研究チームによって、「宇宙の銀河たちが次々と殺されている」という研究発表がなされたことが報じられています。
冒頭は、そのニュースを動画にしていたものから拝借したものですが、内容が説明欄に簡単にまとめられていまして、翻訳しますと、以下のようになります。
宇宙の何かがすべての銀河を殺し続けている
深い宇宙の中、科学者を完全に困惑させるような方法で、数々の銀河が何かに殺され続けている。これは天体物理学上の非常に大きなミステリーだ。
全宇宙を通して銀河が殺されている中で、科学者たちが答えを求めているのは、何がそれらを殺しているかということだ。
2017年1月17日に国際電波天文学研究センター(ICRAR)に拠点を置く国際チームが発表した新しい研究は、この質問に答えようとしている。
研究では、「ラム圧ストリッピング」と呼ばれる現象が、銀河のガスを駆逐し、新たな星を作るために材料を奪うことによって、銀河を早期の死に送るという事実が明らかとなっている。
11,000個の銀河の研究で、星形成のための生命線であるガスが宇宙全体の広範なスケールで激しく剥奪されていることが示された。
というもので、実際に何が原因でこのようなことが起きているかはわかっていないようなんですが、観測上で「現実的に」銀河が次々と殺されているようです。
もしかしたら、本当に今、私たちの住む宇宙は消えていくプロセスにあるのかもしれないのかもしれない、というようなことも思わないでもないですが、それにしても、何がどうなっているのかとは思います。
理解できない部分が多くありますけれど、今回はこのことをわかる範囲でご紹介しようと思います。
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銀河が「殺されている」原因は基本的には不明
なお、この「銀河が殺される」という表現は、こちらで勝手につけたものではなく、国際電波天文学研究センター自身が、ウェブサイトに下のように「 Murder (殺人、殺りく)」という言葉を使った見出しをつけています。
国際電波天文学研究センターウェブサイトより
今回は、このことを報道していた記事をご紹介したいと思いますが、どの報道も、物理学的素養のない私には、翻訳がとても難しいものではありました。なお、この「銀河の死滅」を導いている直接的な原因そのものはわかっているそうで、それは「ラム圧ストリッピング」と呼ばれる現象によるものなのだそうですが、これに関しては、調べても私にはよくわからないものでした。
そんなわけで、わからないことが多いながら、そのことについて報道していた記事をご紹介したいと思っていますが、ひとつだけ最初に注記しておきたいことがあります。
それは、どの記事にも、今回の研究チームの「推測」として、銀河の殺りくが起きている原因を
「暗黒物質」
だと言っている話が出てきます。ここだけは気になるので、先に少し書いておきます。
暗黒物質というものは、いわゆる教科書的には、下のようなものです。
暗黒物質(ダークマター)とは、天文学的現象を説明するために考えだされた「質量は持つが、電磁相互作用をしないため光学的に直接観測できず、かつ色荷も持たない」とされる、仮説上の物質である。 (暗黒物質 - Wikipedia)
というものです。
上にもありますように、「仮説上の物質」であるわりには、現在はどうも「これは当然のようにある」ことになっている気配が伺えます。そして、実際に、この暗黒物質というものが存在するのかしないのかは今でもわかっていませんが、科学者たちは必死でこの暗黒物質を探し続けています。
そして、私がこの「暗黒物質」というものに対して持っている思いは、これが実際に存在するのかしないのかにかかわらず、
「暗黒物質という概念は、科学者の《奢り》の最たるシンボル」
だと私は考えています。
もともと暗黒物質などいうものはかつてはなかったものですが、「実際に観測される宇宙での現象が、現在の宇宙論と合わないから作った」という、バリバリの架空の存在です。
そのひとつとして、たとえば、銀河系の中心と外側の回転の速度についての問題が、現在の物理学(一般相対性理論など)では説明できないので、「だったら、説明できるものを作っちゃえばいい」ということで作られたようなものです。
この銀河については、ひとつの例えですが、それがどんな例えであっても、つまり科学者たちは、
「自然で実際に起きていることより、科学者たちの作り出した計算式のほうが価値があるので、そちらを立てる」
ということにしたということです。
「自然現象ごときが、現代物理学に反しているなどけしからん」
と。
宇宙の大部分は、一般相対性理論で完ぺきに説明できるのに、「ほんのいくつか」説明できないことがある。それでは困るので、「自然に合う理論を新たに考えるのではなく、自然のほうを理論でねじ曲げてみる」というものです。
このことが、私が「暗黒物質が実際にあろうがなかろうが、これを作り出した意志は人間と科学の奢りの象徴だ」と考える理由です。
真実の方を曲げることで新たな真実を作ろうとするのは、おそらく自然と神の意志に反した奢りのような気はします。人類が滅亡するとすれば、こういうことが原因なのかもしれません。
まあ、それはともかくとして、科学者の方々の立場としては、それ(ささいな矛盾で、物理の理論が根底からひっくり返る)もいろいろと大変なので、穏便に進んでほしいという部分はあるでしょうし、それは理解できます。
この暗黒物質のことに関しては、文句を書いているのではなく、今回の記事の中に「暗黒物質が銀河の大量死滅の原因」というようなことが書かれていましたので、「暗黒物質が原因ということはなさそう(存在しないから)」ということの説明として書かせていただきました。
では、暗黒物質が原因ではないとすると、「銀河を殺しているものの正体は何か」というと、それはわかりません。
文字通り、「何かが銀河を殺し続けている」という以外には言いようがないです。
それにしても、次々と銀河が死滅していっているとすると、その範囲はどこまで拡大するものなのですかね。
私たちの天の川銀河も、わりと急速に「殺されて」しまう可能性はあるのでしょうか。そちらも知りたいですね。
では、ここから記事です。
Something unknown is sucking the life out of galaxies
earth-chronicles.ru 2017/01/19
未知の何かが銀河の生命を殺している
天文学者たちは現在、非常に奇妙で、同時に恐ろしい現象を見ている。
宇宙の向こうに散らばっている銀河を「何かが」文字通り殺しているのだ。
この「殺りく」の加害者はまだ発見されていないが、オーストラリアにある電波天文学研究センター(ICRAR)の研究者たちは、この謎の事象を解決しようとする多くの努力を続けている。
世界有数の性能を持つ望遠鏡で 11,000個以上の銀河を研究している科学者チームは、この事象は、いわゆる「ラム圧ストリッピング」のプロセスに関連する可能性があるという結論に達した。
ラム圧ストリッピングは、銀河にガスを送るものだが、観測されたすべての徴候は、このプロセスが、これまで考えられたよりもずっと頻繁に宇宙で発生している可能性があるということだった。
実際には、ガス状銀河がなければ、宇宙は新しい星を作り出すことができないので、銀河はこのプロセスの中で速やかに死んでいく。
・Animation of Ram Pressure Stripping ESO
この銀河に対しての犯罪の容疑者は誰なのかということについて確定的な答えは出ていないが、研究者たちは、おそらくは暗黒物質以外のなにものでもないだろうと述べている。
暗黒物質とは、宇宙における質量の大半を占めながら観測されていない仮説上の物質で、見ることのできない正体不明の物質とされている。現代の宇宙論では、これは、宇宙の全質量の少なくとも 27%を占めているとされる。宇宙の残りの 68%は暗黒エネルギーで構成されているとされている。
そして、銀河は暗黒物質の雲に埋め込まれているとされ、それは、暗黒物質ハロと呼ばれる(ハロは「丸い輪」とか「丸い光の輪」のような意味)。
これらの暗黒物質ハロが、既知の宇宙全体で銀河を殺しているのだ。
研究者は、これらの現象について以下のように語る。
「銀河はその生涯の間に、私たちの銀河系のような典型的なものから、その何千倍もある大規模ハロまで、さまざまな大きさのハロに存在することができます」
「より大きなハロを銀河が通過すると、それらの間で過熱された銀河間プラズマが、ラム圧ストリッピングと呼ばれる素早く作用するプロセスによって、銀河のガスを除去するのです。そして、銀河のガスを物理的に吸引して、巨大な宇宙の箒(ほうき)のように働いていると考えることができると思われます」
銀河に影響を及ぼすラム圧ストリッピングは、科学者には知られている現象だった。
新しい星の形成においては、銀河の周囲のガスを消費するが、同時に、銀河が死ぬ過程も加速されると考えられている。
銀河の周囲のガス雲を使って星が形成される現象を、科学者たちの間では「絞殺」( strangulation / 絞め殺すこと)という名称で知られている。
この研究の結果は、王立天文学会の月報に掲載される。