2016年1月5日の米国アウトドア専門メディアの報道より
サンアンドレアス断層からカスケード沈み込み帯にかけて続く極端に多い群発地震の報にふれて
まず、「日本は世界で最大級の地震大国」ということを踏まえて、次の USGS (アメリカ地質調査所)のデータによる「過去1週間で日本で発生した地震の発生状況」をご覧になって下さい。
日本で2016年1月1日から1月7日までに発生した地震
・USGS
USGS は、アメリカの地震については非常に詳細ですが、他の地域に関しての地震の報告については大ざっぱで、わりと大きめの地震だけを記録している感じもしますので、これは正確な比較でも何でもなく、あくまで「たとえ」として見ていただく、ということをご念頭にして、次に、『同じ期間」のアメリカでの地震の状況をご覧下さい。この1週間にマグニチュードを記録したすべての地震です。
データは同じ USGS のもので、地図の縮尺も同じです。
北米大陸で2016年1月1日から1月7日までに発生した地震
私はこれを見て、何というか、頭の中で「ジャーン」という音がしたような感じがしたのでした。
通常のデータと比較しても、カリフォルニア州などと、あとは、ワシントン州からカナダにかけて、いくら何でも地震が多すぎます。たった1週間ですよ。しかも、「震源地が重なっている場所では、同じところで何度も起きているので、表示がすべてはされていない」というすごさも加わります。
次は同時期のアラスカです。
米国アラスカ州で2016年1月1日から1月7日までに発生した地震
こちらは、通常との比較をしているわけではないですが、1週間と考えると、かなりのもののように見えます。
そして、次はハワイです。
こちらは上と同じ縮尺では小さすぎて何だかわからなくなりますので、少し拡大したものです。
米国ハワイ州で2016年1月1日から1月7日までに発生した地震
さて・・・。
上の図で示されたアメリカのいくつかのエリアで 2016年1月1日からの1週間で発生した地震の総数は何回だったと思われますか?
そして、それは「世界全体の地震の何割を占めていた」と思われますか?(タイトルに書いちゃってるじゃん ← ああ、そうだ)。
まあ、ともかく、これに関しては、USGS の地図から、完全に正確ではないにしても、ほぼ、それと近い数を割り出すことができます。
それは下の通りでした。
日本語にいたしますと、
・この時期の全世界でのすべての地震発生回数は 1714回
・そのうち、上のアメリカの地域での地震発生回数は 1356回
ということになり、2016年の最初の1週間の地震のうちの「約8割がアメリカで起きていた」ということになります。
とはいえ、先ほども書きましたが、これはあくまでアメリカ主体のデータではあるわけで、たとえば、すべてのマグニチュードというなら、日本の過去1週間の地震の数もかなりのものとなるはずです。
日本での今年 1月1日から 7日までについては、有感地震だけで 32回ありましたので、揺れを感じないものを含めると、相当なものだとは思います。
しかし、それにしても、今のこのアメリカの状況は、やはりすごいです。
うーん・・・どういうことなんだか・・・よくわからないです・・・。
考えてもわからないので、今日はここまでとさせていただきます(おいおい)。
いやまあ、確かにわからないことは事実なんですけれど、ハワイは別として、これらの場所に、ある程度リンクする概念はあるのです。
それは、
・環太平洋火山帯
・カスケード沈み込み帯
・サンアンドレアス断層
です。
目覚め続けている環太平洋火山帯と「カスケード沈み込み帯」
環太平洋火山帯というのは、太平洋を囲むようにある火山地帯であると同時に地震多発地帯でもあり、主要国では、南米の太平洋側からアメリカやカナダ、アリューシャン列島、日本、太平洋側の東南アジア、ニュージーランド、などとなっています。
環太平洋火山帯
・Ring of Fire
この環太平洋火山帯に関しては、2014年の6月に、
・環太平洋火山帯の目覚め? …
2014/06/23
という記事を書いたことがあり、2015年9月には、
・もしかすると完全に目覚めたのかもしれない「環太平洋火山帯」:続く南米の異変、サンアンドレアス断層の映画、そして連動する地震
2015/09/20
という記事を書きました。
どちらも、環太平洋火山帯での地震活動や地質活動が活発になってきている「かもしれない」ということを記したものですが、どうも、ここにきて、かなり顕著なことになってまいりました。
また、上のリンクの後者の記事では、アメリカの「サンアンドレアス断層」という、アメリカ西海岸やカナダ、メキシコなどに至るまで、非常に巨大な地震を発生させる「可能性」を持つ断層のことにもふれました。
このサンアンドレアス断層の上には、さらに、「かつてマグニチュード9の大地震をアメリカ大陸沿岸に引き起こした断層」である「カスケード沈み込み帯」というものがあります。
それぞれの場所と、現在、群発地震が起きている場所との関係は下のようになります。
サンアンドレアス断層とカスケード沈み込み帯
双方の場所と非常にリンクしているという見方もできなくはないです。というか、そう見てもあまり間違いではない感じもします。
ちなみに、このふたつの断層で地震が「連動」したりしますと、もう大変なことになるというようなことも言われています。
日本でも南海トラフ地震のように、沈み込み帯の地震や、あるいは、複数の断層が動型する地震について述べられることがありますが、アメリカの場合は断層の幅もすごいですしね。
上の図に、大体の日本列島との大きさの比較を載せたりしていますが、カスケード沈み込み帯とサンアンドレアス断層を並べますと、北海道から九州まであたりと変わらない長さということで、そういう断層でもあります。
カスケード沈み込み帯については、WIRED の 2008年の記事のタイトルと冒頭だけでも、地質学的にどのようなとらえられ方をされているのかわかりやすいかと思います。
巨大津波が日本も襲う、M9の米国北西部地震:50年以内に発生?
WIRED 2008/10/28
米国北西部の「カスケード沈み込み帯」で1700年に起きたマグニチュード9の地震は、日本にも甚大な津波被害をもたらした。これと同程度の大地震が、今後50年以内に75%で確率で発生するとの予測もある。
この「カスケード沈み込み帯」は、ワシントン州オレゴンおよびカナダのブリティッシュコロンビア州南部の沿岸およそ80キロメートルに位置しており、全長がおよそ1100キロメートルに及ぶ。
サンアンドレアス断層が持つ最大威力よりも30倍以上強力な、マグニチュード9の地震を引き起こす力を秘めている。
このカスケード沈み込み帯の前回の地震から、そろそろ 316年目(地震発生日は 1700年1月26日)になるのですけれど、この 316 という数字も「債務」という言葉を彷彿とさせて、日本の財政などを思い、暗澹とした気分となったりします(変な方向の心配かよ)。
さて、まだ、いろいろと続きはあるのですが、療養などを含む諸事情で今回はここまでとさせていただきます。
今回の続きというか、アメリカを含めた地震のことについては、世の中に何もなければ、次回に書かせていただきます。
タイトルにある「1ヶ月で1万回以上の地震」というところまで今回は書けなかったのですが、それを含めまして、カリフォルニア、アラスカ、ハワイ他、アメリカの地域別で、それぞれがどのような状況になっているかをお伝えしたいと思っています。
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