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アメリカでも日本でも数百万人が服用しているかもしれない高血圧の薬バルサルタンから「強い発ガン性物質」が検出されて、アメリカ中が大騒ぎ

投稿日:

2019年6月19日の米ブルームバーグより


Bloomberg




製薬という行程の闇

ブルームバーグを見ていましたら、「アメリカで、高血圧の治療に非常によく処方されている薬から、発ガン性物質が発見された」という記事がありました。

それは、バルサルタンという高血圧治療薬、つまり血圧を下げる薬で、スイスに本拠地を置く国際製薬企業ノバルティスから発売されているものです(商品名は、ディオバン)。

これをを少し調べてみますと、日本でもかなりの売上があるもののようですので、もしかすると、ご本人か周囲で服用されている方もいらっしゃるかもしれないなと思いまして、そのブルームバーグの記事をご紹介しようと思います。

まあ、「血圧を下げながら、効率よくガンになる」というようなものは、もう何のために何を服用しているのかよくわからないですしね。

なお、ノバルティの日本法人であるノバルティスファーマ株式会社での、このバルサルタンの 2017年の売上は 128億円で、同社の売上ランキングの 9位でした。

今回ご紹介する記事は「アメリカ国内の問題」としての記事ですので、日本で販売されているバルサルタンとは関係ないとは思います。

しかし、記事にあります「薬が流通するまでの行程」の真実を知りますと、アメリカと同じようなものである可能性も否定できないのかもしれません。

とりあえず、ブルームバーグの記事をご紹介します。

オリジナルの記事は、後半に、アメリカの薬の承認や流通についての複雑な状況が書かれてありますが、割愛しています。

 


Fourth Carcinogen Discovered in Heart Pills Used by Millions
Bloomberg 2019/06/18

何百万もの人たちが服用している高血圧治療薬から4番目のクラスの発ガン性物質が発見された

米オンライン薬局の調査の中で、広く処方されている高血圧治療薬の中に、またもガンを引き起こす化学物質が発見されたことが、アメリカ食品医薬品局 (FDA)に報告された。

米コネチカット州に本拠を置くオンライン薬局バリシュア (Valisure)が、アメリカ食品医薬品局に提出した内容によれば、スイスの国際的な製薬会社ノバルティスを含むいくつかの企業によって製造された「バルサルタン」という薬からジメチルホルムアミドと呼ばれる溶媒が検出されたという。

ジメチルホルムアミドは、世界保健機関(WHO)によって発ガンの可能性が高いと分類されている物質だ。

バルサルタンは、以前にも、発ガン性化学物質である N-ニトロソジメチルアミンが中国企業によって作られた製薬から 2018年7月に検出されている。それ以来、数十種類のジェネリック薬品のバルサルタンが販売停止となっている。

このバルサルタンは、高血圧症に対する数十年前からある治療薬で、他の薬と一緒に丸薬として出されることがある。

薬局バリシュアは、アメリカで現在実際に市場に出回っているバルサルタンから、発ガン性物質のジメチルホルムアミドを発見した。現在アメリカに出回っているバルサルタンは、販売停止となったバルサルタンの代替品として、アメリカ食品医薬品局はその安全性を強調していた。

しかし、その薬から発ガン性物質であると分類されているジメチルホルムアミドが発見されたというのは、政府機関の取り組みについての難解さを示す。

ノバルティスの広報担当は、電子メールで「ノバルティスは現在、あくまで許容の限度内で微量のジメチルホルムアミドが溶剤として薬に含まれている可能性を完全に排除することはできていません」と述べた。

食品医薬品局は、回収された薬がどのように汚染されたかを調査している。

なお、食品医薬品局は、バルサルタンを高血圧治療薬として処方されている患者は、主治医の判断が出るまでは、服用を続けるべきだと述べている。突然、薬の服用を中止することは良くないという。

 

薬の製造プロセス

バリシュアの調査結果は、薬の製造は、一般的に理解されているよりもさまざまな過程を経ていることを示唆している。

バリシュアの CEO デヴィッド・ライト(David Light)氏は、以下のように述べている。

「薬というのは、製造過程でさまざまなプロセスを経て、数多くの人々の作業のあいだを通過していきます。新品の薬でさえ、それは 10キロメートル以上走った後の中古車のようなものなのです」

薬が作られる際には、最初の原料は、薬剤の中に入れられる前に形を変える必要がある場合もあるだろう。そのような材料を分解する場合に、ジメチルホルムアミドのような溶媒が使われるかもしれない。

ジメチルホルムアミドは他の溶剤よりも安価であるため、ジェネリック医薬品事業から経済的な打撃を受けている製薬企業には魅力的な物質でもある。

アメリカ食品医薬品局は、薬剤中に、1日分で約 880ナノグラムに相当するジメチルホルムアミドの曝露を許可している。その後、アメリカの政府機関は 2017年に許容溶剤レベルを改訂した。その後、 WHO は 2018年にジメチルホルムアミドを発ガン性物質として分類した。

バリシュアは、ノバルティス社を含む、同社がテストした 6社の製薬会社のうち 5社によって製造されたバルサルタンにジメチルホルムアミドを発見した。

バルサルタンが、アメリカで承認されたのは 1996年のことだ。

ノバルティスは、ディオバンや、材料の供給元から提供された文書には、薬を作る際にジメチルホルムアミドを使用していないことを示唆していると報じているが、しかし、供給業者は、ディオバンの不活性成分を含む材料を提供している。

バルサルタンを取り巻く焦点は、主に中国の供給業者 (Zhejiang Huahai Pharmaceutical Co. Ltd.)および、インドの供給業者(Hetero Labs Ltd.)によって製薬企業に供給されている有効成分に集中している。


 

ここまでです。

ここにあります「薬が作られる経路と仕組み」の記述から、それはなかなか複雑なものなのだなあと改めて知りました。

同じ「バルサルタン」薬を、いくつもの会社が作っていて、そして、今回、問題が見出された流通経路には、「薬や原料を提供している中国やインドの会社」が絡んでいたりしているわけで、

「薬というのは、どこをどう行き来しているのかわかりにくく、製造責任の所在がどこにあるのかもわかりにくい」

ものだということを知りました。

おそらく、販売されているすべての薬はそういうものなんだと思います。

いろいろな場所で、いろいろな処理がなされ、いろいろな作業がおこなわれ、そして結局、

「その薬がどんなものかの全体象を知っている人はほぼいない」

と。

以前、以下の記事でふれましたけれど、「血圧の基準がさらに下げられる」という状況になりつつある今、このバルサルタンではなくとも、高血圧の薬を処方される人々の数は日本でもアメリカでも増える一方でしょうしね。

2017年11月のある日、高血圧患者が突然「3000万人も増えた」アメリカ。「要治療」高血圧の基準が140から130に引き下げられ、患者数は1億人に

 

なお、日本でもアメリカでも「高血圧の基準」が変更されるたびに、飛躍的に高血圧患者が増えてきたという歴史があります。

以下は、日本での「血圧の基準と、高血圧患者の数の推移」のグラフです。

 

それと共に、高血圧の薬の売り上げは、飛躍的に上昇しました。


yoshiokajimusho.net

このグラフは、2008年までのもので、その後、高血圧の基準が変更されていますので、ここからまた一段も二段も売上は上昇しているはずです。それまで病気でも何でもなかった人たちが、「ある日、あなたは病気です」と、高血圧の薬を処方されるようになるという繰り返しで現在に至っています。

血圧の薬には、もともと問題のあるものも多く、たとえば、「 ACE阻害薬」というカテゴリーの高血圧治療薬を服用した人たちが、

「肺ガンの発症率が最大 31パーセント増加した」

という研究が、権威ある英医学誌『ブリティッシュ・メディカル・ジャーナル(BMJ)』に掲載されていたことがあります。

このACE阻害薬というジャンルの降圧剤を服用している日本人は、200万人いるそうです。

200万人規模の人たちの肺ガンの発症率が 31パーセント増加すると考えると、なかなか迫力のある話だと思います。

 

なお、日本は薬の処方大国ですが、その中でも、高血圧の薬と、抗ガン剤の売り上げは圧倒的です。

たとえば、2015年の日本国内の薬の売上の上位 100 のうち高血圧の治療薬が 10種類ランクインしていて、抗ガン剤にいたっては、13種類がランキングに入っています。

バルサルタンも、2015年の売上 100位のうちの 52位となっていますので、かなりの人に処方されていると思われます。

私自身は、何年も血圧を測ったことがないので、自分の血圧をまったく知らないですし、今後も人生で測ることもなさそうですが、「血圧というのは、それぞれの固体差があって当然なのでは?」とは思います。

体格や体重によって、年齢の差によって、あるいは仕事や運動量の種類などによって血圧は違うでしょうし、あるいは動脈の年齢によっても違うでしょうけれど、その差があるのは当たり前なのではないかなと。

そして、年老いていくにつれて、人それぞれの相応の状況で、疾患になったり死亡したりする。それはみんなが違う。

それでいいのではないかなと。

年齢も性別も職種も体格も体重も異なる人々に、みんな同じ基準の血圧を目指させるなんて、不健康で非人道的な話だと思います。

いずれにしても、アメリカのバルサルタンは、「 6社のうち 5社から発ガン性物質が見つかっている」ということですので、日本のものも何ともいえない部分がある可能性がないわけではなさそうなことも想定されそうで、関係のある方はご留意いただければと思います。





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