2016年9月17日のロシアの報道より
今回は、中国がすでに一部を開始している大規模な気象コントロールプロジェクトについての記事をご紹介しようと思うのですけれど、それにしても、相変わらず天候がすさまじいです。
今年は日本や台湾を中心として、何度も台風などの被害を受けているのですが、ここにきて雨量などを含めて、何だか「拡大している」というような雰囲気もないでもないです。
日本の雨量も何だかすごいことになっている。下は、現在の台風 16号に関しての、ウェザーマップの記事です。
鹿児島県南九州市で1時間に160ミリ 宮崎県日向市では24時間に403ミリで観測史上最大
ウェザーマップ 2016/09/20
台風16号の接近に伴い、鹿児島県南九州市では20日午前1時までの1時間に160ミリもの非常に猛烈な雨を解析し、本日3回目の記録的短時間大雨情報が発表された。
また、宮崎県日向市では20日午前1時までの24時間雨量が403ミリに達し、1976年の観測開始以来最大となった。
このうち335ミリがこの6時間に降った雨量であり、土砂災害や河川の増水の危険性が非常に高まっている。
もうこれらの、
> 1時間に160ミリもの非常に猛烈な雨
> 24時間雨量が403ミリ
> このうち335ミリがこの6時間に降った雨量
などは、ちょっと、さすがにほとんど目にすることのない数値のような気もします。
NHKの報道によりますと、宮崎県日向市では、
午前7時40分までの24時間の雨量が578ミリと、平年の9月1か月分のおよそ1.6倍の雨が降る記録的な大雨となりました。
というような、
> 平年の9月の1か月分のおよそ1.6倍の雨が24時間で降った
ということになっていまして、8月の頃よりもさらにすさまじくなっているような感じがします。
日本がこういう状況ですので、他の国の天候の状況は報道されにくいですが、何だかこの数日、「世界中で天候が荒れている」のです。
今回のメインのテーマは、冒頭の「中国の気象コントロール」のニュースに関してですが、ここ数日の世界の天候について、一部羅列してみたいと思います。
ここには、ロシアやベトナム、中国などをあげましたが、他にも北米からヨーロッパ、アジアの各地まで激しい悪天候が世界を貫いています。
なぜ最近はこんなことになったのかということと共に、ここに人為的に手を加えた場合、気象はさらにどうなっていくのか、というようなことを考えます。
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2016年9月中旬くらいからの数日の世界の天候に関する報道より
ロシア沿岸州(半月以上続く洪水)
ロシア沿岸州とは、下の位置にある日本と近い場所ですが、ここが、8月の終わりからずっと台風の影響を受け続けています。
ロシア沿岸州(洪水)
・Google Map
この地域が、台風10号の影響で壊滅的な被害を受けたことは、「東北を直撃した「ライオンロック/台風10号」がその後、ロシア沿岸州に到達という記事でご紹介しましたが、これが 8月の終わりのことでした。
それから半月後の同じ地域の様子が下の写真です。悪天候が繰り返しているために、まったく洪水が収まっていないようなのです。
・The flood in Primorye, Russia
もともと大雨とか洪水とかとはあまり縁がない場所だったせいなのか、雨の規模のわりに(雨量そのものは日本の感覚では特別激しくはないと思います)被害が長く続いています。
ロシア南部ノヴォロシスク(記録的な短時間豪雨)
黒海に面したロシア南部にあるノヴォロシスクでは、9月17日に「信じられないような豪雨」に見舞われ、あっという間に様々なものが破壊された様子が報じられていました。
・A powerful downpour hit Novorossiysk, Russia
ベトナム(熱帯低気圧)
ベトナムも今週、悪天候の嵐に見舞われていて、9月15日の嵐では 1700以上の家屋が強風や大雨などで倒壊し、5名が死亡、10名が行方不明となっています。
オーストラリア(過去100年間で最も雨の多い3日間を記録)
オーストラリアでは、9月の中旬、過去 100年間で最大の雨量を記録しました。
とはいっても、24時間雨量が 120ミリということで、先ほどの宮崎県の「 24時間雨量 403ミリ」というようなものと比べますと 3分の1にも満たないのですけれど、それでも当地としては記録的な豪雨であり、大きな洪水となりました。野生動物の生態にも影響を与えている可能性が報じられています。
洪水の中で行き場を失っているコアラ
・telegraph.co.uk
中国(台風14号)
そして、今回の「気象コントロール」の話題の主でもある中国。
中国も台風14号(アジア名:ムーランティ)で、9月18日までに、28名が死亡し、80万人が避難しました。
この台風 14号は、福建省に上陸した台風としては、中国の建国以来最も強かったものと中国メディアは伝えています。
そういうわけで、中国も台風の大きな被害を受けたのですけれど、今回の台風 14号の中国での報道で印象的だったのは、台風に臨む中国の人々の態度でした。
それは、多くの人々が
「台風の影響での高波を見物しに海岸に集まった」
のでした。
中国浙江省の海寧市の海岸には、なんと 10万人が「高波見物」に訪れ、そして、下のように高波と遊んだり、記念撮影をしたりしていたようです。
ひさしぶりに、「お前たちは・・・」という感想を得ましたが、この人たちにしてみれば、高波というものが珍しいですので、仕方ないのかもしれません。これからも中国に台風が来るたびに沿岸は高波見物の人たちで溢れるのだと思います。
さて、このように、危機管理に独特の対応で挑む中国人の方々ですが、その中国で、これまでにない気象コントロールが始まろうとしています。「上空の水蒸気を移送して、陸地に水に転用する」という本当に大規模な計画らしいのです。しかも、一部の実験は開始されています。
「スカイリバー(天河)プロジェクト」と呼ばれる、この気象コントロール計画については、欧米のメディアが報じていて知ったのですが、最近、中国の英字紙に、その内容が簡単に記されていましたので、ご紹介します。
現在すでに荒れている気象ですが、そこに、こういうような「気象への大きな介入」をすることで、さらなる気象のカオスを生んでしまう可能性もあるのではないかと私は思っていますが、プロジェクトは進む一方のようです。
それでは、ここからご紹介します。
Project aims to divert water through the sky
Eons.cn 2016/09/14
このプロジェクトの目的は空の水を地上に転用すること
このプロジェクトの初期の研究は、大気中の水分が豊富な場所から、乾燥した土地へと「空を通して」大量に水を転用するために気象パターンを変更するという方法論から始まった。
中国の科学者たちは、空の水蒸気の流れの方向を変更するために気象改変技術を使用することを計画している。
そして、新華社通信によると、プロジェクトの初期研究はすでに始まっている。
このプロジェクトは「天河(sky river = 空の川の意味)プロジェクト」と名付けられており、長江流域の上空のように大気中に豊富に含まれている水蒸気を、乾燥した中国北部へと導くことを目的としている。
これにより、雨が降らずに干ばつに苦しむ中国北部などの多くの地域に雨がもたらされるだろうと北京の清華大学学長であり、中国科学アカデミーの会員のワン・ガンギン(Wang Guangqian, / 王光谦)氏は語る。
理論的に、このプロジェクトは、最終的には、雨を降らせることを目的としている地域全体に対して毎年 50億立方メートルの水をもたらすことができる。
これは黄河流域や他の内陸河川での水不足を緩和するために十分な量だ。
ワン氏は長い間にわたり、この計画の研究を主導してきた。研究には、中国のトップクラスの科学者たちが数多く参加している。
清華大学の水資源の研究者である魏博士は以下のように述べる。
「 2017年6月の終わりまでに、私たちの研究はテストを実施することのできるレベルに向けてのいくつかの進歩に達していると考えています」
魏博士は、テストの結果を監視する衛星と地上からの探査方法を使用して、すでに、いくつかの初期の実験を行っていると述べた。そして、これはより多くの中国の機関と共にその作業を深めている。
現在の研究では、対流圏の境界で水蒸気を輸送することを可能とすることが、安定的かつ秩序的におこなうことができるためのルートを発見しているという。これらのルートを、彼らは「天河」、または「空の川」と呼ぶようになった。
科学者たちは、空気中の水蒸気を、大地の液体の水に変換するための基本的な物理法則に続いて、その後、それを正確に輸送する方法を研究している。降雨の引き金には、ロケットを使用できると確信している。
「空の川」の概念は、青海チベット高原の生態系にも大きく影響する。
このプロジェクトの成功は、中国の北部地域に対して、そして、中国全体のための経済と社会の発展を後押しすると科学者たちは言う。
「このプロジェクトは、そのための有望な見通しを持っています」と、中国科学アカデミーのバオ・ウェイミン(Bao Weimin)氏は言う。
科学者たちが、干ばつに襲われた地域に大気中から水資源を提供することの実現の可能性について検討したのはこれが初めてではない。
議論は何十年もの間、さまざまなレベルで進められてきていた。