アメリカ農業の危機を報じるブルームバーグの記事より
・It’s Not Just Corn, U.S. Farmers May Forgo Near-Record Soy Acres
2017年の日本の大豆の国内生産と輸入状況
・帝国書院
毎日、納豆を食べる私に迫る危機
今年は、春の早い段階から、主に気象の問題による「農業への影響」がかなり強く出ていることを、例えば以下のような記事を含めて、何度か取り上げさせていただいたことがあります。
世界的な食糧危機がやってくる : フランス、アメリカ、オーストラリアなど農業輸出大国で記録にないような甚大な被害が進行していることが明らかに
その中でも、食糧品の超輸出大国のひとつであるアメリカは、特に中西部を中心に洪水によって農作地が壊滅的な影響を受けたことが伝えられました。
その後も、アメリカ中西部での大雨は断続的に続き、主力農産物のひとつであるトウモロコシなどが「植え付けできない」状態が拡大しています。
そして、最近、米ブルームバーグなどの調査で、この記録的ともいえる植え付け不能の状態が、「大豆」にも広がっていることがわかりました。
それらの記事を読んだ時、私は、「大豆はいかんよ、大豆は」と呟きました。
私個人の話ですけれど、昨年以来、「腸内環境の改善」というようなものに興味を持ち始めまして(そういうことに興味を持つほど、体調が良くなかったということです)、そこそこの月日が経過しようとしています。
私自身がどうだということは今回の記事とは関係のないことですので、長く書かないですけれど、「腸の状態」を最も客観的に、しかも的確に見分けることができるのは何かといいますと・・・まあ、尾籠な言葉となるのは恐縮ですが、いわゆるベンハーとかベン・ジョンソンとか英国ビッグベンとか、そういう言葉に含まれるものだと思います。
今は、それらの調子が、人生で経験したことのないほど良くてですね。
そういうような変化が・・・まあ、いろいろ試して数カ月から1年くらいかかっていますので、時間のかかるものではあるのかもしれないですが、専門用語で言いますと、「うんちくん絶好調!」ということになるでしょうか。
それに伴い、他のいろいろもおかげさまで快調な感じなんですけれど、どうして、今回の記事にこんなことを書いているかといいますと、
「腸の調子と体調が回復するにつれて食べ物の嗜好に極端な変化が出てきた」
のです。
簡単に書けば、動物性タンパク質への興味が消えたのです。
私はベジタリアンではないですし、出されたものや作ってもらったものは食べますけれど、朝と昼は基本的に自分で作りますが、まったく肉類、魚類を食べたいと思わなくなってしまったのでした。
食べておいしいと思わないので、必然的に買うこともなくなりました。
じゃ、今は何が好きかといますと、納豆や豆腐、海苔やワカメ、エノキやマイタケというものを、ご飯と食べるということが多いのですけれど、このような面子の中では、「納豆の栄養とカロリー」は重要な気がしますし、そもそも昔から「1日1回納豆食べないとどうにもならない」人でもありました。
東日本は、納豆をよく食べる生活習慣の家も多いかと思いますが、北海道の私の育ったあたりも過度に納豆を食べる場所で、朝食の食卓に納豆が置かれてないということはまずなかったです。
納豆そのものがおいしいかどうかはともかく、幼少時から十数年などの間、ずっとそういう食生活をしていると、「納豆は人生の必然」ということになってしまうのですね。
2011年の東日本大震災の直後も、私本人がとても困ったのが、「納豆が手に入らない」ということでした。これは結構長く続きました。
そしてですね。
その「大豆」の日本での生産状況はどのようになっているかといいますと、冒頭に示しました通りなのであります。
大豆の国内生産は 7.3%のみ。
そして、輸入大豆の大部分がアメリカ産。
「豆腐は日本の国民食」とか「納豆は東日本の心」とかいうようなことを、いくら言ってみたところで、すでに今の日本は「自力では、豆腐も納豆もほぼ作ることができない」という状況なのが現実です。
この状況はずっとそうですから、今後もそうなのだと思いますけれど、「大豆だけは何とかならんのか」と昔から思っています。
大豆を原料とした日本特有の食べ物がどれだけあることか。
輸入大豆の大部分がアメリカ産と、先ほど書きましたけれど、そのアメリカで、トウモロコシに続いて、大豆の植え付け状況も、「過去最悪級」となっていることが報じられています。
今回は、その状況について、ブルームバーグの記事やアメリカ農務省などの資料をまとめた、アメリカのブログ記事を翻訳したいと思います。
現段階では、日本に対して、どの程度の影響になるかはわかりません。
しかし、すでにアメリカの大豆の植え付け面積は平年より極めて低い上に、今後、仮に、夏の気候などに異常なことがあれば、さらに農作物の状況は壊滅的になる可能性もあります。
ここからです。
US farming crisis: It’s not only corn! American farmers now face the prospect of also failing to plant soybeans because of rampant rainfall
strangesounds.org 2019/06/21
アメリカの農業危機 : それはトウモロコシだけではない。アメリカの多くの農家が、雨のために大豆の植え付けに失敗するという見通しに直面している
今年のアメリカは、記録的な数のトウモロコシの植えつけができない農場の面積が記録されている。そして今、アメリカの多くの農家は、雨のために大豆の植え付けにも失敗する見通しに直面している。
トウモロコシ関連産業について
イリノイ州で 1957年からトウモロコシの栽培をおこなっているマッキューン氏は、「この時期にトウモロコシの高さがこの程度だとは考えもしなかった」と言い、手で腰のすぐ下あたりを示した。
イリノイ州は、アメリカで2番目にトウモロコシの生産量が多い土地だが、今年は、あまりにも条件が悪く、そのため、農家の人々の士気も著しく低い。この日、マッキューン氏を含む地元の 125人の農家の人々が、地元のレストランに集った。
農作物の生産者たちが直面している逆風の要因は複数ある。
記録的な大雨がアメリカ中西部を浸水させ、ミシシッピ川の交通を奪った。これらは、農家の人々が必要とする物資を引き入れるため、そして彼らが農作物を出荷するためのルートに極めて重要なのだ。
この春、トウモロコシの植え付けが失速したため、6月の報告書でアメリカ農務省は、今年のトウモロコシの収穫予測を引き下げることを余儀なくされた。
マッキューン氏と他の農家の人々は、今年のトウモロコシの収穫が、どれほど悪いものになるかについてのアメリカ農務省の報告書はまだ完全に把握はしていないと述べた。
マッキューン氏によれば、現在まで、彼の 2500ヘクタールの農場の面積のうち、まだ 380ヘクタールしか植え付けできていない。悪天候が原因だという。
同じイリノイ州で農家を営むスネッチャー氏は、トウモロコシの植え付けを行ったが、「それは戦いだった」と述べる。
「1週間かけて植え付けをした。そうしたら、その3日後に激しい雨に見舞われ、結局その1週間後には、はじめから植え付けをやり直すしかなかったんだ。今年は、大雨の泥に対処することにうんざりしているよ」
大雨以外にも、農家の人々で、ドナルド・トランプ大統領による中国との貿易戦争を非難している人も多い。しかし、マッキューン氏とスネッチャー氏は、トランプ大統領を支持しており、彼らはむしろ、アジア諸国による不公正な取引慣行が問題だと述べる。
イリノイ州タンピコで農家を営んでいるウェッツェル氏は、トウモロコシ生産地帯の影響は長く続くだろうと警告する。ウェッツェル氏は、およそ 400ヘクタールの畑のうちの 75%に植え付けすることができたが、しかし、彼は次のように言う。
「正常な状態に戻るには、2年から 3年の歳月が必要だろう」
1000ヘクタールの農場を営むクリステンセン氏は、今年はふだんの収穫量の 3分の1さえ植えることができなかったと述べる。
先祖がドイツからアメリカに移住して現在に至るコスター氏は、イリノイ州の一部の農家は、この深刻な状況を乗り切ることができなかったと語る。
「この小さな町では、農業の影響がすべてに波及するんだよ。肥料の事業、種子の事業、農作機械の事業、輸送、エレベーター関係、すべてが農業に依存している」
大豆関連産業について
深刻な農作状況に陥っているのは、トウモロコシだけではない。アメリカの農家は現在、あまりにも降雨量が多いために、大豆の植え付けにも失敗する見込みに直面している。
アナリストの平均推定によると、大豆の生産者たちは 89万ヘクタールという広大な面積で大豆の植え付けができなかったとして、保険会社に保険金の請求をおこなうと予測している。
トウモロコシについては、19人のアナリストの調査によると、大雨や洪水など自然の状況により植え付けができなかった農地面積は、総計 270万ヘクタールとなっていた。
これは、5月30日にブルームバーグがおこなった世論調査の平均値である 240万ヘクタールから増加している。
なお、アメリカの過去 1年間は、過去 125年の記録の中で最も雨が多かった。アメリカ農務省が、平年より早い時期に、トウモロコシの予想収穫量を引き下げたのは、ここに理由がある。
大豆についても、7月11日に発行されるアメリカ農務省の月例報告で、予想収穫量が引き下げられる可能性がある。
人工知能と機械学習を使用して農業を分析する企業 Gro インテリジェンス社の最高経営責任者(CEO)サラ・マンカー氏は次のように述べている。
「予測は現時点でも良くありません」
今年の雨の見通しは、農作物の損失や収穫時の価格の下落をカバーする保険契約の植え付け期限に間に合わなかった。
Gro インテリジェンス社の上級アナリストは次のように述べる。
「農家の方々は、トウモロコシを植えることができませんでした。そして今は大豆を植えることができていません。作物の植え付け面積の減少のリスクが最も大きい地域としては、イリノイ州、インディアナ州、アイオワ州、ミネソタ州、サウスダコタ州があります」
「長い大雨によって荒れた畑が乾燥するまでには、かなりの時間がかかります。乾燥するのを待つあいだに、植え付けできる期間が終わってしまうのです」
ここまでです。
なお、このアメリカ中西部の今後の中長期の気象予測は「 7月は冷夏」ということになっています。
そして、雨が多い状況はさらに続くと予測されています。
以下の図は、アメリカ海洋大気庁 (NOAA)による今年 7月のアメリカの降水量の予測です。「緑」は、平年より雨が多い予測であることを示します。
そして、この緑の地域こそ、今回ご紹介した記事に出てきた地域です。
NOAAによる2019年7月の米国の降水量予測
・NOAA, Karen Braun
また、この地域は、気温もとても低くなる予測が出されていて、つまりは、
・寒い7月
・日照の少ない7月
・雨の多い7月
ということになっていまして、場合によっては、再度の洪水などもあり得ないわけではなさそうです。
日本の農作の状況も、地域によってはなかなか厳しくなっているようで、読売新聞の報道には、以下のような話も出ていました。
「田んぼを50年以上やっているが、6月半ばでまだ田植えができない年は初めて。収量はせいぜい平年の半分程度だろう」。12日、矢吹町のコメ農家高久正美さん(72)は、ようやく水が流れ込んできた水田を見つめ、無念そうに語った。
矢吹町やJA夢みなみによると、田植えが遅れているのは同町東部の沢尻地区など4地区の約3ヘクタール。まだ水を張れてもいない田もある。
というように、
> 50年で初めて
というような状況になっている場所もあるということで、日本も、地域によっては厳しい状況のところも出ているのかもしれません。
全世界的な農作の危機というものが拡大している気配がさらに強くなっています。
聖書のヨハネの黙示録には、以下のような下りが出てきます。
新約聖書「ヨハネの黙示録」 06章06節
すると、わたしは四つの生き物の間から出て来ると思われる声が、こう言うのを聞いた、「小麦一ますは一デナリ。大麦三ますも一デナリ。オリブ油とぶどう酒とを、そこなうな」。
「デナリ」は当時の通貨単位で、具体的にはどれほどなのかはわからないですけれど、小麦もオリーブオイルもワインも「価格というものによる統制が効かなくなる時代」ということなのかもしれません。
1デナリ・・・500円くらいですかね(安いなオイ)。
まあ、食糧が高くなるだけならともかく、入手もできないような世の中になるのは困りますね。