新たに承認されたコロナワクチンの成分からさえも漂う食糧危機
メルマガの号外で、4月19日に日本で 4例目に承認された米ノババックスのコロナワクチン(販売名「ヌバキソビッド筋注」)の「特例承認書」を少しご紹介したりしていました。
まあ、今回の話はワクチンとは関係ない話ですので、それはどうでもいいのですが、厚生労働省ページにある、この「ヌバキソビッド筋注」 (すごい名称)の、添付文書を見ていまして、
「ああ、食糧危機に関与する懸念として、これもあったか」
と思い出したものがありました。
何の話かおわかりにならないかと思いますが、このヌバキソビッド筋注というワクチンの添付文書に以下のようにあります。
> 本剤はSARS-CoV-2の組換えスパイク蛋白質(rS)抗原を含有する。スパイク蛋白質は、組換えバキュロウイルス発現系を用い、無血清培地を使用して製造する。
> ツマジロクサヨトウ由来細胞内でスパイク蛋白質をコードする組換えバキュロウイルスが増殖すると、細胞質中にスパイク蛋白質が発現する。 (ヌバキソビッド筋注 添付文書)
ここに、
「ツマジロクサヨトウ」
とあります。
この 4例目に特例承認されたコロナワクチンは、この「ツマジロクサヨトウ由来の細胞内」とありますように、このようなものの細胞を使っているようですが、このツマジロクサヨトウとは何かといいますと、「ガ (蛾)」です。
それの何が食料危機と関係するのかといいますと、このツマジロクサヨトウというのは、その幼虫は「ものすごい作物の害虫」なんです。これは日本でも拡大している兆しがあることを 2019年8月の記事で取り上げたことがあります。
[記事] またも「食糧の黙示録」的状況が : 農作物に対しての最大級の大害虫ツマジロクサヨトウが信じられない速度で、中国、そして日本を含むアジア10カ国に急拡大中
In Deep 2019年8月13日
このガの何が厄介かというと、こちらの報道によれば、
・繁殖力が極めて高い
・移動能力に非常に優れている(一晩で 100キロメートルを移動できる)
・駆除に使える殺虫剤が存在しない
ということになっていまして、この「駆除に使える殺虫剤が存在しない」というのは、かつてアフリカでの流行時に使われた殺虫剤により、「耐性」ができているとのことで、そういう意味では「進化も早い」生物なのかもしれません。
そして、このガの寄主植物は、農林水産省の資料では、
> イネ科(いね、とうもろこし、さとうきび等)、ナス科(トマト、なす等)、ヒルガオ科(さつまいも等)、マメ科(大豆等)など 80種類以上の作物に被害を与える
とあり、特に「コメ(稲)」が好きなようです。
食用として栽培されている主要な野菜や穀物はほとんどを網羅しているようで、こんなものが、日本で本格的に拡大しないことを祈っていますが、先ほどの 2019年8月の記事は、「中国で、このツマジロクサヨトウが大発生している」報道をお伝えしたものです。
当時の台湾の報道にによると、2019年7月中旬の時点で、ツマジロクサヨトウが発見された国は、スリランカ、バングラデシュ、カンボジア、ミャンマー、フィリピン、タイ、中国、台湾、そして「日本」と、アジア 10カ国に拡大したことが記されていました。
その報道には、「なぜ、ツマジロクサヨトウが、こんなに急速に広範囲に拡大したのか」という理由について、以下の言葉が出ています。
「なぜ、ツマジロクサヨトウが、こんなに急速に広範囲に拡大したのか、専門家にも、その理由はわからない」
分布範囲を見ますと、アジアの温暖な地域で拡大しているようですので、夏になれば今年の状態がわかると思うのですが、勘弁してほしいですね。
そして、理由はよくわからないながらも、ノババックスのコロナワクチンには、この「ツマジロクサヨトウの細胞」が使われているようです。
いろいろなものを使いますね。
そういうようなことを思ったりしていたのですが、今、「中国」と書きましたが、現在のいろいろな報道を見ていますと、
「今後の食糧危機の深刻化のキーは中国にある」
ことが、よくわかってきます。
もう本当にいろいろなことが明らかになっているのですが、いくつかの報道からご紹介したいと思いますが、最大のポイントは以下のあたりかもしれません。
・中国の今後の穀物生産が最悪の収穫になる可能性がある
・中国政府はものすごいペースと量でアメリカのトウモロコシを買い占めている
・ゼロコロナ政策と封鎖で、中国の農作物の輸送が止まっている
中国の今年の、アメリカからのトウモロコシの購買量は異常ともいえる量となっており、以下は、2021年と 2022年の同時期を比較したグラフです。
中国は、膨大な量のトウモロコシをアメリカから購入しているわけですが、アメリカの農業メディアは、4月4日の記事で、
> これはほんの始まりに過ぎないかもしれない
と書いています。
その農業情報メディアの最近の記事をひとつご紹介します。
中国は現在、買いだめモードにあり、それが穀物価格を歴史的な高値に押し上げている
China is in Hoarding Mode Right Now, And It's Pushing Grain Prices to Historic Highs
AG WEB 2022/04/15
中国は今週の初めに米国のトウモロコシを再び大量に購入した。市場アナリストたちは、食糧安全保障への懸念が中国の商品に対する欲求の高まりを後押ししていると述べている。
USDA (アメリカ農務省)は 4月10日に、中国による合計 102万トンのトウモロコシの購入を確認した。購入したうちの 68万トンは古い作物用であり、残りの 34万トンは 2022/2023年の販売用だ。
この購入は、先週の 2021年5月以来の中国の過去最大のトウモロコシ購入に続くもので、
この際には、合計 1084万トンの購入だった。農業専門誌プロファーマーの編集者であるブライアン・グリート氏は、これは今後も続く傾向だと考えている。
グリート氏は以下のように述べる。
「現在、中国は買いだめモードにあります。食糧安全保障は、中国の最上位の優先事項ではないにしても、重要な最優先事項の 1つであり、そして、ウクライナ問題がそれを着火させました。それまで、ウクライナは中国へのトウモロコシの主要な供給国でした。(それがなくなったことで)中国がより多くのトウモロコシを世界に求める光景を見ることになると思われます」
今週、トウモロコシの価格は再び上昇し、トウモロコシ先物価格はブッシェルあたり 7.83ドルを超え、2012年以来の最高値を記録した。
価格が上昇したとしても、ウクライナの危機の影響により中国政府は多くのトウモロコシ購入に拍車をかける可能性があるため、中国の購入への関心が止まるとは思われない。
それだけではなく、グリート氏は、中国政府が「他の商品」も購入を増加させると予測しており、供給が逼迫している中で、世界中で価格がさらに高騰する懸念を持っている。
ちょうど 1か月前、中国の農業大臣は、中国の小麦作物が「史上最悪」である可能性があることを示唆した。このニュースは、市場にかなりの懸念を引き起こしたが、しかし、その後、中国は作物の状況は数週間前に伝えられたよりもかなり良いことを示した。
しかし、アナリストたちは、中国がより多くの小麦を求めて市場に参入すると予想している。
もともとロシアとウクライナからの小麦に依存していた国々は、現在、エジプトなど多くの国が小麦を探している。
しかし、インドは今季、小麦が豊作であり、 1億1,100万メートルトンの収穫があり、インドは輸出を劇的に増やす考えだ。
また、小麦は世界中で栽培されているため、世界的な小麦の不足が避けられないと考えるのは時期尚早かもしれないと専門家たちは言う。
専門家は以下のように言う。
「世界中のどこかで毎月、小麦が収穫されているので、小麦がトウモロコシや大豆のような悲惨な状況になるかどうかはわかりません。ただ……(アメリカの場合)テキサス州、オクラホマ州、カンザス州、モンタナ州などで作物の状態が悪く、あまり良くなっていません」
テキサス州の一部では、干ばつが冬小麦に打撃を与えており、さらに今週の天候により、小麦はすでに損失の兆候を示しているため、アメリカの小麦供給は、さらに減少する可能性がある。
ここまでです。
一応、専門家たちは、「小麦はトウモロコシのような異常な高値になることないのではないか」と言っていますが、この記事でもふれられていますが、中国そのものの「今季の冬小麦の収穫が建国史上最低」だと伝えられています。
[記事] 中国の冬小麦の収穫が「国の歴史上最悪」であることを農業当局が発表
地球の記録 2022年3月8日
それで、次は「春小麦」ということになっていくのですが、
「そこでロックダウン」
ですよ。
[記事] 中国の重要な穀物地帯の吉林省が、ロックダウンのために「作物の春の植えつけができていない」模様
地球の記録 2022年4月12日
場合によっては、次の収穫も「中国の歴史上最悪級」になる可能性が出てきているわけです。
そうなった場合、先ほどのトウモロコシの購買グラフにあったような、「強引ともいえる購入」の方法で小麦市場に参入すると見られ、経済的に強くない国とかは、もう何もできないと思われます。
また、「ロックダウンで中国の農業生産が停止しているかもしれない」ということについては、最近、ある程度詳しい状況を、アジアの政策研究グループ POREG が記していました。少しずつ再開はされているようですが、輸送等が止まっていて、いろいろとどうにもならない状況ではありそうです。
今回はそれをご紹介して締めさせていただきます。
中国が「なぜゼロコロナ政策を続けているのか」ということも含めて、中国が現在おこなっていることは、自国への影響力云々以上に、
「他国に混乱を引き起こす」
ということが、それが意図されているにしても意図されていないにしても、現実として起きてくる、あるいはすでに起きているわけで、今後の食糧問題も、中国の行動次第では、大変に危機的なものへ突入する可能性があるかもしれません。
中国の食糧安全保障:吉林省の農家は、ロックダウンがトウモロコシの供給を脅かしているため、畑を休耕させている
China food security: farmers in Jilin leave fields fallow as lock-down threatens corn supply
poreg.org 2022/04/04
中国では、春の耕作に先立って、トウモロコシ栽培の主要な拠点である吉林省でロックダウンが緩和される兆しが見られないため、食糧安全保障への懸念が高まっている。
重要なトウモロコシ生産地域である吉林省の梨樹県のような県の一部では、農家の人々が家から出ることが許可されていないため、前回の収穫からの作物の藁が地面に散らばっていた。
「現在、畑のいたるところに作物の藁が散らばっています」と、2ヘクタールのトウモロコシ畑を耕作しているドン氏は言った。「種を蒔くことは不可能です」
ドン氏は、この地域の農家は通常、5月の初めに種まきの準備をするために、畑を掃除し、畝を作り、施肥していると述べた。
「今年は(ロックダウンにより)誰も外出することが許されていないのです」と彼は言った。「そして、農産物店には、種も肥料がないのです。たとえ種と肥料を売っていたとしても、外に出られないので、買いに行くことができません」
吉林省には、中国全体の 10パーセントを占める 420万ヘクタールのトウモロコシ畑がある。
しかし、3月14日以降、吉林省はロックダウンと移動禁止令の下で効果的に封鎖されており、来たるべき収穫についての懸念が高まっている。すでに農産物の輸送は完全に中断されている。
中国政府は「ゼロコロナ」政策からの脱却を拒否しており、全国のほとんどの地方自治体に、移動制限や封鎖など、コロナ発生の可能性を抑えるための予防措置を講じるよう促している。
データによると、特定の地域で走行しているトラックの数を測定する吉林省の道路車両の貨物流量指数は、4月1日には 16.12であり、昨年の同時期と比較して 86.7%減少した。
コンサルタント会社のアナリストである Lin Guofa 氏は以下のように述べている。
「農業資材を輸送する際にいくつかのハードルがありますが、しかし、吉林省の種まき時期は 4月下旬か 5月上旬なので、このギャップを埋める時間的猶予はまだあります」
Lin 氏によると、2021年に 2億7,260万トンのトウモロコシが生産された中国では、その約 60%が主に豚の飼料として使用されている。残りは通常、でんぷん、でんぷん糖、燃料エタノールなどの製品に加工される。
「飼料用トウモロコシはまだ供給が逼迫しています。しかし、それは過剰な供給がある豚市場の状況に依存し、過剰な生産能力は今年の残りの期間に徐々に削減される可能性があります」
税関のデータによると、世界最大の穀物消費国である中国は、2021年に 2,835万トンのトウモロコシを輸入し、それは、前年比 152%の増加であり、そして、ウクライナとアメリカが最大の供給国だった。
ロシアがウクライナに侵攻した後、中国政府は穀物と肥料の自立を求める声を倍増させた。中国の胡春華副院長は 4月1日、トウモロコシの需要は、現時点で中国の供給を上回っており、中国は昨年を上回る生産量を増やすために協力しなければならないと述べた。
農村部のパンデミック防止は、作物が遅滞なく植えられ、春の耕作が完了することを確実にするために、農業生産と調整される必要がある、と副院長は述べた。
「食糧安全保障は「国の優先事項」であることを念頭に置いて、省政府は種子、農薬、肥料などの重要な要素の供給を強化するだろう」と吉林省の広報官である張宝城氏は述べた。
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